著者
宮ノ下 明大 今村 太郎 古井 聡 西田 典由
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.117-121, 2013

<p>ノシメマダラメイガの1齢幼虫を粒状アーモンドチョコレート製品で飼育した時の発育を28℃,70%RH,16L8Dの条件で調べた.供試したチョコレート製品は,ロースト・ホールアーモンドに3種類の異なるチョコレート(ミルクチョコレート,ホワイトチョコレート,粗く砕いた柿の種入りミルクチョコレート)を掛けて包んだ形状である.各製品での個別飼育の結果,成虫羽化数はミルクチョコレートでは1個体,ホワイトチョコレートでは0個体,柿の種入りチョコレートでは4個体であった.発育日数は,ミルクチョコレートで149日,柿の種入りチョコレートで80,87,91,101日(平均89.7日)であった.集団飼育(<i>n</i>=30)では,ホワイトチョコレートで2個体の成虫羽化がみられた(発育日数は149日と109日).30個体の幼虫が一度に摂食した場合でも,表面のチョコレートを穿孔し内部のロースト・ホールアーモンドを加害することはなかった.</p><p>今回の発育試験の結果から,日本において夏季に本種が粒状アーモンドチョコレート製品に産卵,幼虫侵入が生じた場合,成虫羽化までは80日以上かかると推測された.</p><p>ロースト・ホールアーモンドでの28℃での平均発育日数は,雄では30.2日,雌では32.3日で,成虫羽化率は88.4%(<i>n</i>=26)であった.本種幼虫が何らかの理由で粒状アーモンドチョコレート製品のアーモンドを加害できた場合は,そうでない場合に比べ,著しく発育が短縮(28℃の場合は30日程度)されると考えられた.</p>

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著者
古城貞吉 編
出版者
六星館
巻号頁・発行日
1935
著者
糀屋 絵理子 樺山 舞 山本 真理子 樋上 容子 小玉 伽那 向井 咲乃 矢野 朋子 奈古 由美子 中村 俊紀 廣谷 淳 福田 俊夫 玉谷 実智夫 奥田 好成 生島 雅士 馬場 義親 長野 正広 樂木 宏実 神出 計
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.602-609, 2021-10-25 (Released:2021-12-08)
参考文献数
21

目的:多病を抱える高齢者の疾患管理において,季節変動に伴う血圧の変化が,臨床上,問題であると指摘されている.本研究では,在宅医療を受療中の在宅療養高齢者において,季節変動に伴う血圧変動の実態を把握するとともに,療養中イベントとの関連,変動に関連する要因を検討した.方法:包括的在宅医療確立を目指したレジストリー研究(OHCARE研究)の協力機関にて在宅訪問診療を受療している,65歳以上の患者,かつ初回調査と追跡調査(平均追跡日数368日)で,夏季(6/1~8/31),冬季(12/1~2/28)に調査を行った57名を対象とした.診療記録より,患者の基本属性,血圧値,療養中イベントを含む情報を収集し,季節変動に伴う血圧値を把握した.また,収縮期血圧における季節間血圧変動について,中央値を基準に,季節変動大・小の2群に分け,対象の特性を比較するとともに,療養中イベント(入院,転倒,死亡)との関連の有無を検討した.結果:対象の約60%は要介護3以上と虚弱状態であった.患者の血圧平均値は,夏季120.5±12/66.9±8 mmHg,冬季124.7±11/69.5±7 mmHgと冬季の方が有意に高値であった(P<0.01).また血圧変動レベル大小2群で特性を比較すると,変動レベルが大きい群の方が小さい群より,夏季血圧が有意に低かった.また,血圧変動レベルが大きい群の方が「療養中の入院」の発生割合が有意に高かった(P=0.03).結論:在宅医療を受ける高齢療養者において,季節間で血圧は変動し,特に夏季の血圧低下が変動に影響する可能性が考えられた.また,血圧変動性の大きさが療養中の入院イベントリスクと関連する可能性が示唆された.これらの変動を把握した上で,医療者は臨床的な諸問題を考慮し,患者個々に最適な治療,ケアを検討する必要がある.
著者
鷲見 公崇 吉川 大弘 古橋 武
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.869-872, 2020-10-15 (Released:2020-10-15)
参考文献数
4

事象関連電位P300は,脳波特徴量の一つである.このP300を利用した技術に関する研究はこれまで盛んに行われてきたが,脳波を計測するため“脳波計”が高額であるため,これらの技術の普及が難しいという課題がある.この課題の解決策の一つに,価格が低額である簡易脳波計の利用が挙げられるが,簡易脳波計は計測精度が低いことが知られている.そこで本論文では,簡易脳波計を用いて計測されたP300に対する検証と,より精度の高いP300計測のための工夫を行う.
著者
古澤 伸晃 岡本 瑞穂 新里 知佳野 八木沢 誠
出版者
日本体育大学
雑誌
日本体育大学紀要 = Bulletin of Nippon Sport Science University (ISSN:02850613)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.3035-3039, 2020-08

ABO血液型は日本ではごく一般的に受け入れられており,血液型性格診断や血液型占いなど娯楽にも用いられている。今日でもなお,血液型と人格は,スポーツの分野においても信じられており,インターネット上でも数多くヒットする。対峙する意見があり,結論に至っていない。本研究は,スポーツパフォーマンスと血液型の関係について,量的方法と文献を用いて考察するものである。私たちは,306名の武道(剣道,柔道,相撲)を専攻している学生を対象に,Web上でのアンケート調査を実施した。質問内容は,競技歴,競技成績,資格,そして血液型とした。回収率は,98.6%だった。血液型の分布は,A型116(38.4%),B型71(23.5%),O型84(27.8%),AB型26(8.6%),不明5(1.7%)であった。これは,日本人全体の血液型分布,A型37%,B型22%,O型32%,AB型9%の傾向と一致していた。このことは,武道種目に特化した血液型分布は存在しないことを示唆している。競技歴は95人が15年以上,169人が10年から15年未満,29人が5年から10年未満,9人が5年未満で,10年以上が全体の87.4%を占めている。10年以上を武道の熟練者とし,剣道,柔道,相撲の種目ごとと血液型を比較した。A型とO型の柔道の数値が同じではあったものの,分布は,A型,O型,B型,AB型の順に多く,この点についても,日本人の血液型分布と同じ傾向にあると言える。競技成績については,世界大会を含む全国大会以上(予選通過)と地方大会以下に区分し,血液型との関連を調べた。全国大会以上が最も多かったのはA型であるが,これはA型の競技者数が多いだけで,統計的な有意差はなかった。どの種目においても,全国大会出場以上の数が多いのは,この集団がもともと武道を専攻しているといった選択バイアスのためであると言える。つまり,武道系種目において,スポーツパフォーマンスと血液型には関係がないことが結論づけられた。血液型と人格については,擬似科学の分野でも説明されていて,それを信じる人もいる。血液型にまつわる研究はサイエンスとしては必須不可欠であるが,そのいっぽうで,いかに疑似科学を抑制するかの思考と方法論を見いだしていくかが今後の課題と言える。そして,スポーツにおいて最も重要なことは,日々のトレーニングとたゆまない努力と言えよう。
著者
古賀 絢子
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
法学研究 = Journal of law, politics and sociology (ISSN:03890538)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.309-346, 2018-02

一 はじめに二 平成二七年判決法廷意見における夫婦同氏制による「子の利益」論 1 法廷意見による合憲論と夫婦同氏制による「子の利益」 2 法廷意見が示す夫婦同氏制による「子の利益」 3 夫婦同氏制による「子の利益」論に対する批判三 ステップファミリーにおける夫婦同氏制による「子の利益」 : 実態調査をもとに 1 ステップファミリー : 標準的な婚姻家族と「例外」家族のあいだ 2 ステップファミリーにおける家族と子の氏の仕組みと実情 3 継父子間の養子縁組による継父子同氏の持つ意味 4 ステップファミリーにおける両親双方との同氏による「子の不利益」四 ステップファミリーにおける子の氏の問題を手がかりとした平成二七年判決への反論 1 ステップファミリーにおける子の氏の問題による示唆 2 夫婦同氏制による「子の利益」の創出 3 夫婦同氏制による「子の利益」と「子の不利益」 4 夫婦同氏制による「子の利益」と婚姻家族モデル五 おわりに : 夫婦・家族の氏に関する制度の改革へ向けて犬伏由子教授退職記念号
著者
前野 英生 浦塚 清峰 神山 孝吉 古川 晶雄 渡邉 興亜
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.331-339, 1997-09-15 (Released:2009-09-04)
参考文献数
10
被引用文献数
1

雪上車搭載高感度アイスレーダにより, 1992年に南極大陸ドームF (77°19'S, 39°42'E, 標高3810m) 周辺の深さを最大3520mまで氷厚観測することができた.ドームF頂上部のDF80付近は, 周囲の基盤地形にくらべ盆地上の地形をしており, かつ, 内部層構造は, 傾きが小さいことからから, 流動によって氷床の鉛直分布が大きく乱されていないことを確認した.また, ドームF周辺およびその地点から大陸沿岸のS16までの基盤地形と氷床内部層の構造を明らかにし, それらの特徴について考察した.レーダ観測により判明した基盤高度は, ドームFからMD164 (S16より南へ約440kmの地点) までの内陸部では平均高度約500mであるのに対し, この点を境に沿岸部では海抜高度0m程度にステップ状に段差があることを見出した.また, この段差を境に氷の内部の構造が異なっている.氷床内部層構造は, 沿岸に近いほど複雑であり, 内陸部は沿岸部に比べ連続的で単純な構造であった.その要因は, MD164での段差が氷床流動に影響を与えているためと考えられる.
著者
高戸 毅 朴 修三 北野 市子 加藤 光剛 古森 孝英 須佐美 隆史 宮本 学
出版者
一般社団法人 日本口蓋裂学会
雑誌
日本口蓋裂学会雑誌 (ISSN:03865185)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.57-65, 1994-04-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
47

現在,口蓋裂は手術法の進歩,言語管理の徹底により,その多くが鼻咽腔閉鎖機能を獲得し,正常な構音発達を遂げている.初回手術のみで鼻咽腔閉鎖機能を獲得するものは90%前後とする報告が本邦では多い.残りの数%は,初回手術後も十分な鼻咽腔閉鎖機能が獲得できず,その多くは二次手術が必要となる.その際われわれは,鼻咽腔閉鎖機能改善を目的として,咽頭弁手術を行ってきた.鼻咽膣閉鎖機能不全が疑われる症例には,4~5歳に発音時にセファログラムおよび鼻咽腔ファイバースコープ下の鼻咽膣運動の評価を行い,鼻咽腔閉鎖機能不全症を最終的に判定し,咽頭弁手術を施行している.今回われわれは,就学前に咽頭弁手術を施行し,5年以上経過観察を施行した37症例について,術後の合併症および言語成績に関し検討を加えた.その結果,1年後に全例に開鼻声の減少などの改善を認め,日常会話レベルでも鼻咽腔閉鎖機能に問題が無くなったのは,二次手術例で約83%,5年後では約92%と良好な結果を示した.咽頭弁術後も閉鎖機能不全を残した症例で,術式による差は特に認められなかった.むしろ,こうした症例の多くに精神発達遅滞や,心奇形など,他に奇形を伴っていることが特徴的であった.合併症として,鼻閉・口呼吸が術後1年目で7例に,5年目でも4例に認められた.術後,呼吸困難や睡眠時無呼吸症を呈した症例はなかった.また術後5年目までに鼻咽腔閉鎖機能不全を再発した症例はなかった.今回の調査では,重篤な合併症は認められなかったが,扁桃肥大や小顎症などに対しては術前に睡眠時ポリグラフ検査などが必要と考えられる.また術後の顎発育抑制についても,慎重な経過観察が今後とも必要と考えられる.
著者
古瀬 徳雄
出版者
関西福祉大学研究会
雑誌
関西福祉大学研究紀要 (ISSN:13449451)
巻号頁・発行日
no.11, pp.19-28, 2008-03

エジソンが録音機器を1877年に発明した12年後,ブラームスがピアノで〈ハンガリー舞曲第1番〉をシリンダー録音し,後で「ブラームス」と叫んでいる声を放送で聴いた記憶があるが,この声は自身によるものか,他者が紹介している声なのか判別が難しいとされている.この頃,ドイツ音楽の巨匠の3大Bの一人である彼が,日本音楽と出会い,興味を示したといわれている.白いあごひげを蓄えたブラームスが,妙齢な女性の奏でる『六段』の箏の調べに耳を傾け,楽譜に見入る姿が四曲一隻の屏風に描かれている.プラームスの真髄は,ドイツ音楽そのものの伝統が隅々にまで浸透していることは言うまでもない.慎重な計画性と入念な仕上げは,重厚な表現を生み,絶対的な孤独や諦念に満ちた抒情性と秘められた憧れの表出が,質朴な人間性となじみながら深化し,浄福の味わいを持つに至っている.その彼が,日本文化の到来に刺激を受け,作品構造のひとかけらに,にじませていったものがあるのではないかと,その発見に取り組むことにした.そこで,1888年頃,『六段』をウィーンで聴取した年に一致する彼の作品《二重協奏曲》に焦点をあて,日本文化の作風への波及について論じたものである.
著者
古瀬充宏編集
出版者
朝倉書店
巻号頁・発行日
2014
著者
秋吉 駿 古居 彬 平野 陽豊 隅山 慎 棟安 俊文 三戸 景永 曽 智 笹岡 貴史 吉野 敦雄 神谷 諭史 中村 隆治 佐伯 昇 吉栖 正夫 河本 昌志 山脇 成人 辻 敏夫
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.Annual57, no.Abstract, pp.S236_2, 2019 (Released:2019-12-27)

【目的】ヒトの疼痛を客観的に定量評価することを目的として,著者らは末梢交感神経活動を反映する血管剛性と電気刺激時の主観的疼痛度の間に有意な関係があることを見出した.本報告では,血管剛性から筋交感神経信号の分散を非侵襲推定し,推定した分散から主観的疼痛度をより高精度で客観的に定量評価する方法を提案する.【方法】広島大学・医の倫理委員会承認のもと事前にインフォームド・コンセントが得られた健常成人男性22名(22.7±1.0歳)を対象に皮膚電気刺激実験を行った.刺激中の心電図,血圧,指尖容積脈波から求めた血管剛性を用いて筋交感神経信号の分散を推定した.その後,ウェーバー・フェヒナー則を用いて筋交感神経信号の分散と主観的疼痛度の関係をモデル化し,モデルによる推定値と実測値との相関解析を行った.比較のため,血管剛性と主観的疼痛度の間においても同様の解析を行なった.【結果】筋交感神経信号の分散から推定した主観的疼痛度と実測した主観的疼痛度の相関は,血管剛性の場合と比較して上昇した(提案法: r = 0.60, p < 0.001, 血管剛性: r = 0.47, p < 0.001).【結論】提案法は主観的疼痛度を従来法より高精度かつ客観的に定量評価可能であった.
著者
池田 稔 大澤 隆男 熊谷 健太 古谷 純
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.3_29-3_38, 2021-01-31 (Released:2021-02-20)
参考文献数
4

本稿は,日立製作所が2005年から2007年に実施した,多様な製品群を対象としたデザイン言語開発の枠組みについて述べるものである。そのプロセスや成果について具体的な実施例を示しながら報告することで,その有用性と展開の可能性について考察するものである。ここで扱うデザイン言語とは、製品の色彩や造形の表現を対象とする。 デザイン言語開発の枠組みは,大きく3つの活動から成っている。一つ目は、複数のデザイン言語開発を、一貫した考え方に基づいて行うためのデザインフィロソフィーの設定である。二つ目は、ユーザーの視点に基づいた製品カテゴリーの再分類である。三つ目は、前述2つの活動を踏まえた、具体的なデザイン言語の開発である。これらの活動をまとめ、デザイン言語開発の枠組みとした。本報告では、この枠組みについて詳しく述べるとともに、実際にそれを活用して行った生活家電製品とATMのデザイン開発の事例を紹介する。