著者
佐藤 裕二 七田 俊晴 古屋 純一 畑中 幸子 内田 淑喜 金原 大輔
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.101-104, 2021-09-30 (Released:2021-10-21)
参考文献数
6

目的:2021年6月に,2020年6月(医療保険導入後2年2カ月)の社会医療診療行為別統計が公表されたので,これを前報の実施状況と比較することで,最新の口腔機能低下症の検査・管理の実態を明らかにすることを目的とした。 対象と方法:2019年6月,2020年6月および2021年6月に発表された社会医療診療行為別統計により,医療保険導入後2カ月,1年2カ月,2年2カ月の口腔機能低下症の検査・管理の実施状況を調査した。 結果:「65歳以上の初診患者」は225万人(2019年),188万人(2020年),125万人(2021年)と減少していた。そのため,2019年から2020年にかけての検査・管理件数はわずかな増加(1.2倍)であったが,初診患者数に対する実施率は1.8倍になった。 考察:検査・管理件数は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響も考えられ微増(21.2%増)にとどまったが,普及は進みつつある。ただし,口腔機能低下症の有病率と比べると依然として実施率は少ない。 結論:口腔機能低下症の検査・管理は普及してきたが,さらなる普及に向けた努力が必要であることが示された。
著者
寺石 眞弘 大谷 文夫 園田 保美 古澤 保
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報 (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.135-142, 1999-04

1996年10月19日, および12月3日に日向灘中部でM6.6の地震が続けて発生した。日向灘地殻活動総合観測線のうち, 2つの地震に一番近い宮崎観測所の伸縮計記録では, 地震発生の約18ヶ月前から歪変化率が増加し, 地震発生後まで続いている。主歪解で見ると、南北伸張軸の値が, 異常変動が始まる前の約5倍の1.6×10-6/yearとなった。また, これらの地震以後, 日向灘全域で地震活動が活発になった。
著者
中山 智晴 山﨑 裕司 森田 ゆかり 大﨑 康史 古谷 博和
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.9-13, 2022 (Released:2022-02-20)
参考文献数
9

〔目的〕パーキンソン病(PD)患者に対する段階的難易度設定による起居動作練習が,動作時間に及ぼす即時的効果について検討した.〔対象と方法〕PD患者13名を対象として,段階的難易度設定の技法を用いた起き上がり動作練習と寝返り動作練習を,計10~15分間実施した.〔結果〕介入前の起居動作時間の中央値は7.5秒,介入後の起居動作時間の中央値は4.4秒であり,動作時間は有意に短縮した.動作時間の改善度は,起居動作に時間を要していた重症度の高い症例ほど大きかった(rs:0.95).〔結語〕段階的難易度設定による起居動作練習は,PD患者の起居動作時間を短縮させる即時的効果を持つ,有効な動作練習と考えられた.
著者
世古 将之
出版者
日本鉄道技術協会
雑誌
JREA : 日本鉄道技術協会誌 (ISSN:04472322)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.37419-37422, 2013-01-01
著者
松山 友美 笹ヶ迫 直一 小池 明広 松浦 理城 古賀 孝臣 川尻 真知 大八木 保政 岩城 徹 吉良 潤一
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.249-254, 2008 (Released:2008-04-25)
参考文献数
21
被引用文献数
15 14

症例は63歳の男性である.1998年右手脱力,翌年に左手脱力が出現し,徐々に進行した.2003年首下がり,2004年11月下肢脱力が出現した.臨床的には進行性の下位運動ニューロン症状が主体であった.2005年2月嚥下性肺炎で緊急入院した.入院9日後気管切開,同13日後心電図モニター上ST上昇,特徴的心エコー所見からたこつぼ型心筋症と診断した.循環管理をおこない一旦小康状態になるもふたたび血圧低下し,治療に反応せず入院37日後死亡した.剖検上心筋に梗塞巣はなく,心尖部・心基部のびまん性心筋変性と線維化をみとめたが死因は確定できなかった.神経病理学的には筋萎縮性側索硬化症(ALS)の所見であった.ALSでたこつぼ型心筋症を合併した例のはじめての剖検報告である.
著者
上根 学 チャンドラー ラビ 古屋 正貴 畠 健一
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨
巻号頁・発行日
vol.36, 2014

英国のウイリアム王子からケイト妃に贈られた婚約指輪は,ブルー・サファイアである.ウイリアム王子の母であり,世紀のロイヤリティ・ウエディングといわれたダイアナ妃の左手に輝いていたものと同じブルー・サファイアである.このブルー・サファイアはスリランカのラトゥナプラ産であり,ラトゥナプラの宝石商からかつてエリザベス女王に献上されたものであった.2011年.スリランカのカタラガマで良質でしかも大粒のブルー・サファイアが産出されたことは記憶に新しい.今回,スリランカにおける良質なブルー・サファイアを産出する代表的な4つの鉱山,サバラガムワ県のラトゥナプラ,パルマドゥッラ,そしてウーバ県のオッカンベディア,新鉱区であるカタラガマを現地調査した.<br>各地区の鉱山数は現在,ラトゥナプラで約3000箇所,パルマドゥッラで約300箇所,オッカンベディアで50~60箇所,そして新鉱区となったカタラガマは10~20箇所で採掘されている.サンプル石の産地確認を徹底するために各鉱区の鉱山から直接原石を入手し,研磨,インクルージョン観察を試みた.更にFTIRにより,Fe,Ti,Ga,Crの成分分析,蛍光X分析を試みた.今回の現地調査の目的は,加熱処理,Be加熱処理が横行する中,確かなサンプル検査石を入手すること,そして各鉱区の品質をジェム・クオリティー,ジュエリー&bull;クオリティー,アクセサリー・クオリティーの3段階に分けそれぞれ3クオリティーのブルー・サファイアの出現率を調査することにあった.宝石の価格相場は,宝石の品質を評価し,その品質の出現率と需要できまる.今回,スリランカ産ブルー・サファイアの新鉱山を含む4鉱区を調査実施したので,その原産地状況を報告する.
著者
古屋 正貴 エリアス チャールズ M.
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨
巻号頁・発行日
vol.35, 2013

パラサイトに含まれるオリビンを宝石としてカットできるようになってから,市場でもパラサイト起源のペリドットが見られるようになった.これらはすでにいくつかの研究がされているが,この度,アメリカのAdmire隕石からカットされたペリドットを検査する機会を得たので,改めて通常の地球起源のペリドットとの比較,検証を行った.<BR> 検査としては拡大検査,屈折率,比重などの通常の鑑別検査と共に,蛍光X線での成分分析,FT-IRや紫外可視分光光度計などの分析機器を用いた検査を行い,その他にも磁石を用いての磁性の検査などを行った.<BR> パラサイト起源のペリドットに地球起源のものとの違いが見られた点としては,拡大検査のインクルージョンでは1) 周りの鉄質隕石が含まれたもの,2) 独特な針状インクルージョン,3) 地球起源のものではあまり見られない強いクリベージなどが認められた.また,屈折率と比重との関係において,パラサイト起源のものの方に比重が高くなる傾向がみられた.そのほか成分分析からは,パラサイト起源のものにニッケル分が低い特徴が見られた.またカット石では母岩と成る鉄質隕石をインクルージョンと含むものでは強い磁性も違いとして認められた.<BR> 数は少ないもののAdmire隕石以外の隕石との比較ではあまり有効な違いは見られなかった.これはそのペリドットの生成が,火星と木星のアステロイドベルトの小惑星同士の衝突によるもので,それが地球のどこに隕石として落ちたかの違いであり,由来自体には違いがないためと推測される.<BR> 上記のような違いがパラサイト起源のペリドットと地球起源のペリドットには認められ,それらを宝石鑑別上でも区別することが可能であることが分かった.<BR> 【参考文献】<BR>1. Leelawathanasuk, T., et al. "Pallasitic peridot: The gemstone from Outer Space" IGC 2011 Interlaken, Switherland<BR>2. Shen, A., et al. "Identification of extraterrestrial peridot by trace elements" Gem and Gemology, Fall 2011, United States<BR>3. Wikipedia, "Pallasite" Internet homepage
著者
古見堂 奈々子 加賀 有津子 武田 裕之
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.761-767, 2015-10-25 (Released:2015-11-05)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

本研究は、共働き世帯の日常行動の1つである保育所への送迎に着目し、送迎行動と送迎に対する満足度との関係、及び送迎に対する満足度と子育て観との関係から、現在の送迎システム及び保育施設の整備に対する提言を行うことを目的とする。送迎行動及び子育てに対する意識を調査するため、公立保育所利用者に対するアンケート調査を行った。共働き世帯において、送迎の負担は母親が担っている場合が多く、自転車、徒歩に加え、公立保育所では禁止されている自動車を主な送迎交通手段としていることが明らかになった。禁止されていても自動車を利用している現状では、実態に即した送迎ルール作りが必要であると言える。また、送迎満足度に影響する要因としては、送り迎えのどちらを行うか、第一希望の保育所かどうかよりも、「自宅から保育所までの距離」が大きいという結果が得られた。子育て否定的印象には送迎満足度が影響を与えていることも明らかにした。送迎の負担を減らすためには、利便性の高い地域だけでなく、住居地域内の保育サービスを更に充実させていく必要があると言える。
著者
赤沢 克洋 古安 理英子
出版者
地域地理科学会
雑誌
地域地理研究 (ISSN:21878277)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.1-14, 2020

コンテンツツーリズムの取り組みを充実させるためには、旅行者選好に基づくマーケティング管理が必要である。その端緒は旅行者がコンテンツツーリズムに対して何を求めているのかを把握することである。しかし、コンテンツツーリズムにおける旅行者ニーズの把握は十分ではない。そこで本研究では、旅行者の視点からコンテンツツーリズムの取り組みの重要度を定量的に明らかにすることを目的とした。このために、ベスト・ワースト・スケーリングに基づいたアンケート調査を実施し、コナンのまちづくりを分析対象とした2つの分析課題に取り組んだ。第1に、ランダムパラメータロジットモデルを適用した結果から、①作品の世界を味わえるような取り組みが旅行者にとって最も重要であること、②コナン通りに見どころをつくる取り組み、撮影スポットを充実させる取り組み、家族で遊べる施設や場所を充実させる取り組み、コナンに関するグッズを充実させる取り組みが重要であること、③入館料を下げる取り組みが相対的に重要でないことがわかった。第2に、交差項を含めた推定を行った結果から、①若年層、長時間滞在、女子旅、子供連れ以外、休憩目的以外、コナンファン、コナンマニア、漫画アニメ愛好、聖地巡礼および買い物愛好の属性や選好をもつ旅行者ほど作品の世界を味わえるような取り組みの重要度が相対的に高いこと、②男性、県内居住、長時間滞在、女子旅、子供連れ以外、コナンファン、コナンマニア、漫画アニメ愛好、聖地巡礼および買い物愛好の属性や選好をもつ旅行者ほどコナンのまちづくりにおける様々な取り組みの重要度が相対的に高いこと、③旅行者のいくつかの属性や選好と取り組みの重要度には理論整合的な関係が確認できることが示された。
著者
岡田 悟 山田 優樹 伊從 慶太 古家 優
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.3-9, 2022 (Released:2022-03-12)
参考文献数
15

7ヶ月齢の猫が,左後肢足底部からの反復性の出血を主訴に来院した。患部のパンチ生検による病理組織検査より,脈管奇形が示唆された。パンチ生検後に生検部位からの出血が止まらなかったため,電気メスを用いた焼灼処置を行った。出血量は減少したものの,その後も出血は改善と再発を繰り返した。第30病日に造影CT検査を行ったところ,患部周囲の血管新生および血管拡張が認められた。第37病日に止血を目的として,左後肢第4趾と第5趾を断趾した。断趾後の組織を用いた免疫組織化学による病理組織診断の結果,この脈管奇形は皮膚リンパ管奇形と診断された。病理組織学的マージンは確保されていた一方で,術後1ヶ月の肉眼所見では皮膚表面の小嚢胞が少数残存しており,完全切除に至っていない可能性が考えられた。しかし,術後20ヶ月の時点において出血は認められず,日常生活も問題なく送れている。本例は猫で報告の少ない皮膚リンパ管奇形の報告であり,その診断と治療について考察する。
著者
古山 徹 古谷 敏雄 竹本 巳喜男
出版者
一般社団法人 日本時計学会
雑誌
日本時計学会誌 (ISSN:00290416)
巻号頁・発行日
vol.141, pp.1-12, 1992-06-25 (Released:2017-11-09)

Nowadays, as watches become multifunctional, the number of circuit components for watches are increasing. Like other watch makers, CITIZEN is also advancing medium and small scale productions of a wide variety of watches. For this purpose, cost reduction and automation of soldering, in particular, are of urgent necessity. For an actual automation, however, there are a number of items to be accomplished; 1) Positioning accuracy of the circuit components, and constancy of soldering amount, 2) Prevention of solder ball formation, 3) Establishment of soldering technique for the components which cannot be heated entirely, and 4) System switchable for meeting multi-lots scale productions. As the systems meeting the above items, there are two systems: a cell type robot soldering one and a line type point soldering one. An experimental research made on automation of soldering about these two systems is reported in the present paper. Further, a method of quick switching between both the systems only by replacing programs and special jigs is executed, intending to improve repeatability and reduce operating time. Our future task is to develop and introduce higher speed and better-switchable production system utilizing the merits of both the present systems.
著者
内山 聡至 日詰 正文 古屋 和彦
出版者
独立行政法人 国立重度知的障害者総合施設のぞみの園
雑誌
国立のぞみの園紀要 (ISSN:24350494)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.30-45, 2021 (Released:2022-03-10)
参考文献数
8

本研究では,発達障害者支援センター,地域包括支援センター,社会福祉協議会を対象に,発達障害の診断がある高齢者および発達障害の可能性がある高齢者とその家族等からの相談の実態調査を行った.その結果,各機関において一定数の高齢期発達障害者の存在が確認された.相談内容の主訴として,発達障害者支援センターでは発達障害に関すること,地域包括支援センターでは高齢に伴う諸問題に関すること,社会福祉協議会では金銭に係わる生活困窮に関すること,が傾向としてみられた. 各機関の高齢期発達障害者の支援経験は乏しく,地域連携や研修会等も行われていないのが現状であった.調査結果より,高齢期の発達障害者への支援に関する今後の課題について,①家族支援の構築,②支援者の研修体制の構築,③精神保健,医療を含めた地域連携の構築,④発達障害理解のための啓発活動の推進の4点が挙げられた.