著者
古市 朝美 白木 善尚
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013-MUS-99, no.59, pp.1-6, 2013-05-04

今日,楽曲製作に用いられる音源の多くは,楽器音の波形をサンプリングしたPCM音源が使われている.一方,偏微分方程式を用いて楽器の音響特性を表現し,その偏微分方程式の解に基づく物理モデル音源も実用化されている.物理モデル音源は音高,音色,音程などの操作が容易であり,音の立ちあがりや連続した音の生成等,PCM音源と比べて自然な楽器音作りが可能である.本報告では,代表的な撥弦楽器であるギター音の生成法,特にグリッサンド音の物理モデル音源の生成法を提案する.更に生成した音源の聴取実験を通して,提案した方法の妥当性の検証を行う.
著者
古賀 慎二
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.138-151, 2007-03-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
29
被引用文献数
4 4 3

本稿は, 京都市を対象に, 1990年代後半期におけるオフィスの立地変化に伴う業務地区の変容を考察したものである. バブル経済崩壊後の長期不況により, 京都ではほとんどの業種でオフィスが減少した. その中でも京都を歴史的に支えてきた繊維・衣服等卸売業オフィスは減少が著しい. 他方で, 情報・サービス業オフィスは不況期でも増加し, 京都駅周辺など交通条件の良い地区で新たな集積がみられるようになった. 中心市街地の業務地区の面積はこの期間に約3分の1縮小し, 都心部内のかつての業務地区に立地していたオフィスの跡地はマンション開発の好適地となっている. また, 大都市で近年みられるようになった投資用マンションの立地が, 京都の業務地区を変容させた一要因でもある.
著者
森山 昭雄 鈴木 毅彦 加古 久訓 中村 俊夫
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.77, no.13, pp.924-939, 2004-11-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
28
被引用文献数
1

岐阜県高富低地において,ボーリング資料を用いて推定した地下構造と,1本のオールコア・ボーリング中の広域テフラおよび化石ケイソウ群集の分析から,堆積環境の変遷にっいて考察した.高富低地を構成する高富層(新称)は,下位から高富基底礫層,高富下部泥層,高富軽石質砂層および高富上部泥層に分けられる.上部泥層および下部泥層は湖成堆積物であり,上部泥層からはK-Ah,AT,Aso-4の広域テフラが検出された.高富軽石質砂層からは御岳火山起源の御岳第一浮石層(On-Pm1)および御岳藪原テフラ(On-Yb)などが検出され,高富軽石質砂層は木曽川流域に広く分布する木曽谷層に対比される.テフラの年代から古木曽川は,約100ka頃に美濃加茂付近より関市をまわる流路を通り,当時湖の環境であった本地域に高富軽石質砂層を一時的に流入させたと考えられる.オールコア・ボーリング資料が得られた西深瀬では,約31kaから現在まで泥炭湿地の環境が続いた.また,梅原断層以南の鳥羽川低地には,長良川が最近まで流下していた可能性が高い.
著者
古後 晴基 黒澤 和生 長谷川 敦子 有賀 透仁 秋吉 祐一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.41-44, 2010 (Released:2010-03-26)
参考文献数
13
被引用文献数
8 4

〔目的〕研究1は健常者の筋硬度を定量化し性差を検証することである。研究2は筋硬結を有する筋・筋膜痛症候群(Myofascial Pain Syndrome:以下MPS)において,筋疼痛と筋硬度との関連性を明らかにすることである。〔対象〕研究1では20歳代健常者52名とした。研究2では,病院受診者で画像検査・神経学的検査所見に異常がなく,慢性の腰痛を訴え最長筋に筋硬結を有する者44名とした。〔方法〕研究1では,最長筋,僧帽筋,大菱形筋の筋硬度を筋硬度計にて測定した。筋硬度の性差をt検定にて検証した。研究2では,筋硬度は筋硬度計にて測定し,筋疼痛は数値的評価スケール1)(numerical rating scale:以下NRS)にて測定した。筋疼痛と筋硬度との関連性をPearsonの相関係数にて検証した。〔結果〕研究1では,僧帽筋において,女性は男性と比較して有意に高い値を示したが,最長筋と大菱形筋においては,有意差は見られなかった。研究2では,筋硬結の筋疼痛と筋硬度との相関関係は弱かった。〔結語〕僧帽筋において,女性は男性と比較して筋硬度が高いことが分かった。筋硬結を有するMPSにおいて,筋疼痛の程度は筋硬度の程度に影響されないことが分かった。
著者
小峯 敦 藤田 菜々子 牧野 邦昭 古家 弘幸 橋本 努 原田 太津男 堂目 卓生
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、3つの時代と2つの国(および全世界)という特徴的な時期・国に焦点を当て、「戦争・平和と経済学」の複雑な関係を歴史的・思想的に精査することで、「経済学は戦争を回避し平和を構築することに貢献できるのか」という根源的な問いに回答する。初年度に続き、二年目はこの共同研究を軌道に乗せ、特に、(a))学術雑誌(英語)の「戦争と平和の経済思想」シリーズを特集させること、(b)近隣の社会科学者や政策担当者に開かれた形で、日本語による専門書・啓蒙書を編纂すること、という二点を推進した。その具体例として、(a)学術雑誌History of Economic Thoughtにおいて、War and Economicsというシリーズを2017年度中に3回連載し、研究分担者・連携研究者による3本の英語論文を掲載した。また、(b)いくつかの出版社と交渉し、『戦争と平和の経済思想』(晃洋書房、2018年度後期に出版予定)として出版するべく、11人による原稿を集め、草稿を検討する研究会も行った。2017年度における最大の実績は、Fabio Masini (the University of Roma Tre, Italy) とMaria Paganelli (Trinity University, USA)という研究者を招き、2日間に渡り、広島修道大学で国際会議を開催したことである(2017.9.4-5)。平和記念館の資料にもアクセスできたことは大きな収穫であった。二番目の実績は、経済学史学会・全国大会で、スミス研究の世界的権威Nicholoas Phillipsonの招待講演を実現したことである。特に、現実主義的な側面をスコットランド啓蒙研究の立場から、一般会員にも平易に講演された。

4 0 0 0 OA 南狩遺文

著者
山中信古 編
出版者
天香堂
巻号頁・発行日
vol.1,2, 1870
著者
古賀 純一郎
出版者
茨城大学人文学部
雑誌
人文コミュニケーション学科論集 (ISSN:1881087X)
巻号頁・発行日
no.9, pp.25-46, 2010-09

メディア界の最近のトピックを挙げるとしたら政権交代によって初めて白日の下に曝された日米核密約に象徴される権力の情報操作と、深刻な危機に陥っている日米欧の新聞の経営の立て直し策、具体的にはネット情報への有料課金制であろう。情報操作は、権力の監視を担うメディアにとって避けては通れない課題である。分厚いこの壁を乗り越えてこそ報道は輝きを増すし、この過程を白日にさらすことが情報操作を抑止する原動力になる。透明性の高い政府は、民主主義の円滑な運営にとって欠くべからざる要件でもある。この実現のための権力への監視、情報操作の抑止は、メディアに課された重要な責務の一つと言える。2009 年夏の政権交代によって明らかになった沖縄返還をめぐる核関連の日米密約は、情報操作の最たるものである。国家の"犯罪" を裏付ける電信文を当時入手した毎日新聞記者西山太吉が突き付けた、「まぎれもなく密約は存在している」、との指摘に対し政府は、国会などの答弁で「そうした事実はない」とシラを切り続けて来た。裁判の過程でも、否定し続け、この結果、有罪の刑が西山に下された。密約はないと情報操作し続けた政府の行為。これは主権者である国民に対する悪質な背信行為に他ならない。スクープした西山は、機密漏えい罪で起訴され、有罪判決に服した。毎日新聞も西山をかばい切れず、退社を余儀なくされた。これは、まさに、言論弾圧である。"戦後最大"と表現してもよいのではなかろうか。メディアは、なぜ、西山を当時守り切れなかったのか。戦後最大の言論弾圧に一致して団結し、圧力に抗することができなかったのだろうか。今一度、約40 年前を振り返り、問題を整理し、政府の不正、情報操作を厳しく検証、指弾。責任の所在を明確化させることが必要であろう。もちろん、メディア側の責任の整理も重要だろうし、判決を下した司法の責任も検証されてしかるべきだろう。この論文が考察するもう一つのテーマ。オンライン情報への課金制は、実現すれば、ネット社会に突入して以来最大の、歴史的画期と位置付けられよう。当然のように受け入れられてきた「ネット情報は無料」という考え方が180 度転換するからである。まさに、革命的な変化である。これが、本当に実現するのか。ここ1 ─ 2 年の推移は、注意深く見守る必要があろう。アマゾン・ドット・コムの「キンドル」やアップルの「iPad(アイパッド)」に代表される新たな電子情報端末が売り出された。これを通じて閲覧可能な有料の新聞記事、書籍、雑誌の情報が課金制にどういう影響力を及ぼすのか。目が離せないところである。最近の情報操作の実態と課金制に対するメディアの動きなどを分析した。

4 0 0 0 OA 骨盤骨折のIVR

著者
近藤 浩史 棚橋 裕吉 大澤 まりえ 山本 敬洋 横山 太郎 菅原 利昌 古井 滋
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.1061-1067, 2016-09-30 (Released:2017-01-18)
参考文献数
17

高エネルギー外傷による重傷骨盤骨折は,出血性ショックの原因となる後腹膜血腫や合併損傷,多発外傷を生じる重篤な状態を引き起こし,死に至ることも少なくない。高エネルギー外傷では骨盤正面X線写真を系統的に読影し,すみやかに治療戦略を立てる。骨折部の安定化や止血術には簡易固定法,創外固定,骨盤パッキング,動脈塞栓術がある。動脈塞栓術は広く普及し,その有用性が報告されている。骨盤骨折の診断,治療方法を理解することは重要であり,本稿では骨盤骨折の診断から動脈塞栓術の方法について概説する。
著者
古森厚孝 編
巻号頁・発行日
vol.[1], 1837
著者
代居 敬 金子 雅一 林 宗廣 窪田 秀治 古本 啓一
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科放射線学会
雑誌
歯科放射線 (ISSN:03899705)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.213-222, 1992-12-31 (Released:2011-09-05)
参考文献数
16

Six cases of so-called maxillary sinus mucous retention cysts are reported here, focusing mainly on X-ray CT and rotational panoramic examinations. The originating wall and the CT number of the lesions are studied.The results are as follows:1. Alternate positioning of the patient in the CT examination seemed to present valuable information on the origin and the contents.2. The probability of occurence seemed to be more than previously reported because three mucous retention cysts were found during CT examination.3. Mucous retention cysts seem to originate from all of the walls of the maxillary sinus except the upper with equal probability.4. According to the CT number, the mean value seemed to be around 80. There seemed to be a tendency for small mucous retention cysts to have a rather large CT number.It is also reconfirmed that the CT examination seems to be valuable for diagnosing the diseases occuring on the maxillary sinus.
著者
武長 玄次郎 廣田 純子 古宮 照雄
出版者
木更津工業高等専門学校
雑誌
木更津工業高等専門学校紀要 (ISSN:2188921X)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.175-191, 2007-01

第1章ではヘンリー八世時代の経済の混乱とイギリス海洋精神の発揮、第2章では大商人の援助による海上貿易活動とイギリス帝国の形成、第3章はエリザベス朝演劇の世俗的傾向と、宗教から見たギリシャ劇との比較、第4章ではヨーロッパ文化の精華としてのイタリア・ルネサンスの意義とそのイングランドへの影響、科学的精神と結び付きながらも、科学対非科学という近代社会的対立に陥らなかった独自の文化概念を述べている。

4 0 0 0 香纓考

著者
古勝 隆一
出版者
日本香文化学会
雑誌
香文化録 = Fragrance culture review (ISSN:24241008)
巻号頁・発行日
no.5, pp.2-12, 2020-05
著者
伊藤 玄 古屋 康則 堀池 徳祐 向井 貴彦
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.41-50, 2020-04-25 (Released:2020-05-02)
参考文献数
39

An examination of the genetic population structure of Cobitis minamorii tokaiensis in central Honshu Japan, based on mitochondrial DNA nucleotide sequences in the cytochrome b region, revealed that the subspecies is subdivided into three regions (West-Shizuoka, Mie, and Aichi-Gifu) on the evidence of haplotype distribution and pairwise Φst among populations. However, the phylogenetic analyses indicated that the haplotypes in the three regions belong to the same haplotype group, suggesting that C. m. tokaiensis dispersed following the interconnection of paleo-river systems within relatively recent geological time, and subsequently differentiated in several areas. Because of its genetic characteristics, the three regions are important for conservation of the subspecies’ genetic diversity.

4 0 0 0 OA 神人と魔人

著者
栗原古城 著
出版者
紫雨出版社
巻号頁・発行日
1919
著者
金子 弥生 小池 伸介 古谷 雅理
出版者
東京農工大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

現在、里山生態系保全にとっての大きな課題は、在来種の選好生息地の確保と外来種対策である。本研究では在来中型食肉目保全を目的として、種判別を自動、低労力、低コストで行うことのできる動物自動識別装置を開発した。この装置により、食肉目群集共通のKey Habitatを調べ、種間相互作用の将来の変化を視野に入れた在来種の個体群構造を把握、生息地保全策について考察した。さらに、システムを応用して外来種(アライグマ、ハクビシン)選択捕獲装置「ラクーンターミネーター」を製作した。