著者
濱尾 章二 樋口 正信 神保 宇嗣 前藤 薫 古木 香名
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.37-42, 2016 (Released:2016-05-28)
参考文献数
21
被引用文献数
5

シジュウカラ Parus minor の巣材47営巣分から,巣材のコケ植物と発生する昆虫を調査した.巣材として21種のコケが使われており,特定のコケを選択的に用いる傾向があった.巣材から,同定不能のものを含め7種のガ成虫が発生した.巣立ちが起きた巣でガが発生しやすい傾向があり,一因として雛の羽鞘屑が幼虫の餌となることが考えられた.巣立ち後野外に長期間置いた巣で,ケラチン食のガが発生しやすい傾向があり,巣の使用後にガ成虫が訪れ産卵することが示唆された.さらにガに寄生するハチが見いだされた.シジュウカラの営巣はこれらの昆虫にとって繁殖可能な環境を作り出していることが示された.
著者
浅川 達人 岩間 信之 田中 耕市 佐々木 緑 駒木 伸比古 池田 真志 今井 具子
出版者
日本フードシステム学会
雑誌
フードシステム研究 (ISSN:13410296)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.21-34, 2019 (Released:2019-09-27)
参考文献数
16
被引用文献数
3

The purpose of this study is to analyze, based on evidence, factors preventing the elderly from maintaining a healthy diet by using a revised food access indicator that takes food availability in stores into account. The area being studied is A City, a regional city in the northern Kanto region of Japan. The dependent variable in the study was dietary diversity score, which is a measure of the risk of adverse health effect caused by deterioration of diet. Multilevel analysis was used for the analysis of factors to allow individual level factors and group level factors to be analyzed independently.Regarding the individual level factors, results of the analysis suggest that FDs problems are present in areas with reduced food access, reduced social capital, or both, which supports the previous finding of FDs study groups. Among the group level factors, the presence of a store within a close distance of 500m most strongly affected the diet of the elderly. However, when a supermarket with nearly 100% food availability was located about 400m away or further, the condition for raising dietary diversity score from low to high was not met. In contrast, when the data was analyzed by assuming the shopping range to be 2km each way, the availability of a store as fully stocked as a supermarket within about 1.3km met the condition for raising dietary diversity score from low to high.
著者
竹下 明裕 古牧 宏啓 浅井 隆善 梶原 道子 岩尾 憲明 室井 一男
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.711-717, 2016-12-20 (Released:2017-01-12)
参考文献数
17
被引用文献数
1

近年,若年者の献血人口の減少が問題になっている.将来の献血を担う,高校生の献血に対する意識調査を行うことは献血の将来を考えていく上で重要である.アンケート方式による50項目の意識調査を行い,献血に関する高校生への広報や教育の現状と高校生の意識を調査した.調査は連結不可能の疫学調査として行い,35校中30校から協力が得られ,調査対象16,333人のうち15,521人(95.0%)より回答を得た.男性49.3%,女性は49.8%であった.献血を経験した高校生は1,198人(7.7%)で,未経験者は88.6%であった.疲労感や睡眠不足,ダイエット等は採血の際に注意すべき生活習慣である.献血可能年齢と体重,献血場所,献血に関わるリスク,血液の海外依存度等の献血に関する知識は不十分であった.献血への関心度は献血経験のある高校生で高く,初回献血の重要性が示唆された.高校への出張献血や献血に関する授業は献血を推進していく上で有用である.しかし献血に関する教育手法と普及活動にはさらに工夫が必要であると思われる.
著者
金盛 弥 古澤 裕 木村 昌弘 西園 恵次
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.475-482, 1995-06-09 (Released:2010-06-15)
参考文献数
10

狭山池は我が国最古のダム形式の農業用のため池であり、多くの文献によってその築造の歴史や改修の記録が残されている。現在、大阪府ではこの池を新たに洪水調節機能をもつ治水ダムとして活用する事業に取り組んでいる。今回の事業を進めるなかで、これまで数々の貴重な土木遺構が発掘され、狭山池の築造の歴史と過去の土木工事の様子が我々の目前に姿を現してきた。古墳時代から昭和の時代までの狭山池の用水による農業生産によって生活を支えられてきた多くの農民や当時の指導者達のこの池の築造と改修への努力と貢献が遺構や文献から明らかとなっている。以下の文ではこれら歴史的ダムの保全の事業の一部を紹介し、また改修の歴史を刻む堤体断面や数々の土木遺構を通じて、それぞれの時代での取り組みの有様を明らかにするとともに、今回発掘された貴重な歴史的土木遺構を将来へ継承するため、建設を計画している狭山池ダム資料館 (仮称) の概要を紹介するものである。
著者
古明地 樹 Tatsuki KOMEIJI コメイジ タツキ
出版者
総合研究大学院大学文化科学研究科 / 葉山町(神奈川県)
雑誌
総研大文化科学研究 = Sokendai review of cultural social studies (ISSN:1883096X)
巻号頁・発行日
no.15, pp.47-64, 2019-03-31

本論では、江戸時代中期の絵師、橘守国(延宝七(一六七九)年―寛延元(一七四八)年)画作『絵本通宝志』(享保十四(一七二九)年刊、以下『通宝志』)を、「太公望図」を中心に分析することにより、守国が行った作画方法を明らかにし、守国作品の位置づけを試みる。今回の分析から、守国の作図は画題が持つ複数の定型表現を取り合わせて行われていると推定できた。これは、守国が狩野派に学んだ知識を絵師の需要に即して変容させたものであると考えるものである。近世中期以降、町絵師が増加することで、粉本に対する需要が増していた。狩野探幽の弟子である鶴澤探山に学んだ橘守国は、その需要に応じるように大坂で多くの絵手本を作成した。それらの絵手本は浮世絵師を含む町絵師に大きな影響を及ぼしたことで知られる。本論で扱う守国画作の『通宝志』は、柏原屋より刊行された絵手本である。様々な画題を紹介し、人物図や和漢の故事画題に関しては解説を付す形式をとる。自序に従えば、守国は、作画の際に先例となる図様を粉本として用いるべきだと考えており、粉本として『通宝志』を手掛けたという。この主張は典型的な粉本主義と同種のものだと言える一方で、図様の中には先例から逸脱したものが少なくない。特に、巻五上にはその傾向が強く表れる。巻五上は、狩野永徳以来宝永年間まで狩野派が描き続けてきた賢聖障子(けんじょうのそうじ)という画題を掲載している。賢聖障子とは、三二人の漢人物を描いた紫宸殿を飾る画題であり、守国が狩野派の粉本を目にしていたと推測される。しかし、守国が描く賢聖の図は狩野派画の賢聖障子資料と同一の構図ではない。粉本主義の主張と、描いた作品の独自性という矛盾に対し、本論では「太公望図」を中心として分析を行った。その結果、太公望図には、舶載の漢籍などに由来する肖像画的な系統と、故事を絵画化した系統の二系統が存在することが判明した。また、守国の作画は両者を取り入れていることが判明した。これは賢聖障子の画題紹介をすると同時に、絵師の需要に即した図を守国が作画したものであると推測する。このことから、『通宝志』巻五上から見る守国作品は、絵画領域において狩野派という雅文化の知識を、庶民文化へと普及させる一翼を担ったと考えられ、知識が庶民文化へ伝達される近世中期的特徴と一致するものである。In the 18th century, books classified as e-dehon (絵手本) or gafu (画譜), which are illustration books for painters to use in their works, were published in Osaka (大坂). Although these were low-brow media as printed books, some painters who studied drawing from such highly regarded schools as Kanoh-ha (狩野派), the most popular school in the Edo period, made e-dehon and gafu. This characteristic coincides with the character of the 18th century, a period where high culture and low culture converged.Tachibana Morikuni (橘守国) was a painter who studied the methods of the Kanoh-ha school and made many e-dehon in this period. The e-dehon by Morikuni influenced many painters, and this study focuses particularly on the influence on ukiyoe-shi (浮世絵師). Meanwhile, the influences on Morikuni himself are rarely discussed. What knowledge and drawing theories did Morikuni learn from the Kanoh-ha? How did Morikuni use this knowledge and theory in his work? In an attempt to answer these questions, this paper analyzes an illustration of Taikobo (太公望) found in "E-hon Tsuhoushi (絵本通宝志)" Volume 5 by Morikuni.Volume 5 of "E-hon Tsuhoushi" introduces "Kenjo-no-soji (賢聖障子)", an illustration of 32 Chinese people set at the shishinden (紫宸殿), the hall where royal ceremonies were held. Taikobo is one of the Chinese people depicted in this illustration. The Kanoh-ha school considered tracing to be the most important aspect of painting, and Morikuni made the same assertion in "E-hon Tsuhoushi". Thus, one would expect that Morikuni would draw the illustrations to be the same as the original "Kenjo-no-soji" in "E-hon Tsuhoushi". However, the illustrations in "E-hon Tsuhoushi" are different from the original "Kenjo-no-soji" by Kanoh-ha. Based on an analysis of Taikobo, this paper infers that the illustration was made from two traditional Kanoh-ha illustrations. In other words, Morikuni did not deviate from his claim when he made the new Taikobo illustration.These illustrations were likely drawn in response to requests from purchasers such as machieshi (町絵師), painters who also painted for townspeople. The original illustration of kenjo-no-soji is too prestigious for machieshi to use. By adopting Kanoh-ha theory and drawing new illustrations in response to the demands of machieshi, Morikuni successfully made new illustrations that were more convenient for them.
著者
名古屋市 編
出版者
名古屋市
巻号頁・発行日
vol.第18回, 1926

4 0 0 0 OA 大名古屋

著者
名古屋市 編
出版者
名古屋市
巻号頁・発行日
1937
著者
古田 悦子 草間 経二
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.157-162, 2012-03-15 (Released:2013-10-03)
参考文献数
4
著者
北岡 志保 古屋敷 智之
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.702_2, 2017 (Released:2017-07-01)

げっ歯類を用いたうつ病モデルの1つである.このモデルでは,解析対象のマウスを体格が大きく攻撃性の強いマウスの攻撃に1日10分間,10日間連続で曝露し,その後,マウスの行動変化を調べる.反復社会挫折ストレスは社会性の減弱(社会忌避行動の誘導)や,不安亢進,快感覚の消失といったうつ病でみられる症状を誘導する.反復社会挫折ストレスによる社会忌避行動の誘導は抗うつ薬の反復投与により改善する.つまり,このモデルは予測妥当性を満たすうつ病の動物モデルとして注目されている.
著者
畑江 敬子 香西 みどり 古川 英 熊谷 美智世 伊藤 純子 十河 桜子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.250, 2003

【目的】近年、家庭用調理機器においては従来のガスコンロに代わり、電気の誘導加熱を利用した電磁調理器(IH)の普及が進んでいる。そこで本研究では、現状の調理内容に即したエネルギー使用データを収集し、ガスコンロとIHの違いを把握することを目的としている。【方法】 春夏秋冬それぞれ1日の朝食、昼食、夕食の献立を、女子栄養大出版部「栄養と料理」献立カレンダーより選定し、さらに一部をアンケート結果による人気メニューに置きかえることにより、季節、栄養、カロリー、調理方法、人気を考慮した現代版メニューを作成した。年代と調理経験の異なる3人の調理者により、作成メニューについてガスコンロ、IHそれぞれに対し同じ調理を行い、熱量および使用時間を測定した。実験では大きさを揃えた両調理器で適した鍋を用い、同一メニュー内では食材および量を統一した。【結果】IHの方が多くの一次エネルギーを消費した。四季別において冬メニューでは夏の2倍以上のエネルギーを消費し、調理別においては湯沸かし茹で、煮るでエネルギー消費量全体の6割以上を占め、これらはガスコンロ、IHで同じ傾向を示した。火力別の効率と使用割合から一次エネルギーでの総合効率を求めると、ガスコンロで50.0%、IHで27.7%となった。ランニングコストは四季別、調理別のどちらにおいても電気代の方がガス代に比べ高くなった。両調理器の10年間の使用を含めた製造から廃棄までの総エネルギー消費量は、IHではガスコンロの約1.3倍となった。

4 0 0 0 OA 古事類苑

著者
神宮司庁古事類苑出版事務所 編
出版者
神宮司庁
巻号頁・発行日
vol.服飾部4, 1914
著者
石川 敏三 仲西 修 掛田 崇寛 山本 美佐 古川 昭栄 伊吹 京秀 徳田 信子 石川 浩三 鈴木 秀典
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

慢性疼痛はしばしば不安や鬱を併発し、極めて難治性である。そこで、痛覚ー情動系における分子メカニズムを解明し、また神経栄養因子(BDNF)治療応用について検討した。その結果、前帯状回や脳幹部(網様体)におけるモノアミン変調に随伴したBDNFの機能低下が慢性疼痛や気分障害に関連すること、またカテーコール化合物や磁気治療の有用性が判明した。慢性疼痛の治療法に新たな指針を提唱するものと考えられる。
著者
仲嶺 真 古村 健太郎
出版者
日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.87, no.5, pp.524-534, 2016-12
著者
田邉 徳子 古谷 勝則
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.387-392, 2014 (Released:2015-05-22)
参考文献数
63
被引用文献数
1

This study focuses on the functions of rivers serving as canals. The Ooka and Nakamura basin in Yokohama City was designated as a study subject. The history of development and decline of canals, which had been affected by changes in the roles of canals, had been clarified. Bibliographical research and spatial analysis with a graphic plan and topographical maps were conducted for the investigation. The subject area was reclaimed land which was completed 350 years ago, and some changes were triggered by the opening of Port of Yokohama. Furthermore, multiple canals were built in the middle of the Meiji Period in order to improve convenience of transportation and to protect foreign settlements. At that point, canals were the foundation of everyday life. However, demand for canals started diminishing towards the middle of the Showa Period due to the new establishment of railways and motorways, and canals were started to be filled in or converted to culverts towards the end of the Showa. The remaining area is now utilized as a subway, green passage or parks. Therefore, it is concluded that the canals are important components of the current city landscape with the history of development and decline.
著者
大塚 好古
出版者
海人社
雑誌
世界の艦船
巻号頁・発行日
no.844, pp.78-87, 2016-09