- 著者
-
渡邊 美咲
野口 実華子
橋本 多美子
吉田 精作
- 出版者
- 公益社団法人 日本食品衛生学会
- 雑誌
- 食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
- 巻号頁・発行日
- vol.60, no.6, pp.159-167, 2019-12-25 (Released:2020-01-23)
- 参考文献数
- 28
- 被引用文献数
-
2
室内に常在する有機リン系難燃剤(PFRs)の精白米への室内汚染について実態把握をするため,大阪近郊の64例の一般家屋において,1週間室内に静置した精白米へのPFRs汚染を調査した.2015年(37家屋)は6種類のPFRsを,2016年(27家屋)は10種類のPFRsを調査した.精白米はアセトン–ヘキサンによりホモジナイズ抽出し,ヘキサン–アセトニトリル分配で脱脂後,GC-FPDで定量した.2015年では調査した37例中35例からPFRsが検出され, 2016年では27例全例からPFRsが検出された.検出最高値はTCEPで160 ng/g,TCIPPで500 ng/g,TBEPで430 ng/gであった.検出された各PFRsの濃度比は各家屋で異なっていた.家庭で保存中の精白米16例の分析では,保存方法に関係なく,10例からPFRsが検出された.市販玄米16例の分析では,12例からPFRsが検出され,玄米の流通,保存過程での汚染が考えられた.