著者
高木 志郎 吉田 雄紀 岡田 真人
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

Batch Normalizationはニューラルネットワークの学習を高速化,安定化させ,汎化性能を向上させる方法として知られている.しかし,その知名度に比してBatch Normalizationがニューラルネットワークの学習ダイナミクスに与える影響についての理解は依然として不十分である.近年この問題に取り組むいくつかの研究が出てきているが,Batch Normalizationつきニューラルネットワークの学習ダイナミクスを解析的に導出した研究はほとんどない.学習ダイナミクスを導出することはBatch Normalizationが学習にどのような影響を与えているかについて理解する上で重要であるため,我々は統計力学的な手法を用いた先行研究を頼りに,Batch Normalizationつき3層ニューラルネットワークの学習ダイナミクスを解析的に導出した.具体的には,Batch Normalizationありのニューラルネットワークについて,系の大域的な挙動を表すオーダーパラメータの微分方程式を導出した.
著者
横井 彩 眞鍋 求 能登 舞 蓮沼 直子 野澤 一美 川口 尚子 情野 治良 奥田 誠 吉田 康弘
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.17, no.6, pp.347-353, 2018 (Released:2019-08-13)
参考文献数
7

乾皮症に対して,保湿剤によるスキンケアが有用であることは広く周知されている。そこで今回,我々は同一分子内に両荷電を有する両親媒性キトサン誘導体である部分ミリストイル化カルボシキシメチルキトサン(以下 PMCMC)を配合した O/W 型乳液を開発し,乾皮症を有する被験者19名に対する保湿効果を検討した。 4 週間の使用試験の結果,皮膚所見(乾燥・落屑)・角層水分量・経皮水分蒸散量・痒みのいずれの項目も,試験開始時に比べ有意な改善が認められ,対照として用いたW/O 型乳化製剤のヘパリン類似物質製剤(医薬品)と同等であった。また,興味深いことに,被験者による使用感評価は対照よりも高く評価された。これらの所見は,PMCMC 配合乳液が医薬品と同等の保湿効果と高い使用感特性を有することを示唆するものである。よって,本製品はアドヒアランスやスキンケアの継続性を高め,また QOL の向上に寄与することが期待される。 (皮膚の科学,17 : 347-353, 2018)
著者
小林 浩 吉田 昭三 春田 祥司 重富 洋志 吉澤 順子 野口 武俊
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

子宮内膜症からの癌化機序として遺伝子不安定性等を検討した。繰り返す月経血の逆流による酸化ストレスにより、子宮内膜症自体に遺伝子変異が生じており、脱落膜化機能に関連した遺伝子群がメチル化され発現低下していた。これはすでに子宮内膜症患者の正所子宮内膜においてもその発現変化を確認できた。毎月おこる月経血に含まれるヘモグロビンによるヘムや鉄により酸化ストレスによりG→T変異を起こし遺伝子変異が惹起された。元来胎児期から子宮内膜に遺伝子変異を有していると推定された女性が、生後に繰り返す出血により広範囲な遺伝子変異が発生し、鉄による酸化ストレスの影響を受けて子宮内膜症から発がんする機序を検討した。
著者
市橋 則明 伊藤 浩充 吉田 正樹 篠原 英記 武富 由雄
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.388-392, 1992-07-10 (Released:2018-10-25)

健常女性30名を対象に大腿四頭筋とハムストリングスの求心性収縮と遠心性収縮による筋力と角速度の変化の関係を検討した。その結果,求心性収縮においては,大腿四頭筋とハムストリングス共に角速度が増加するに従い有意にピークトルクは低下した。遠心性収縮においては,大腿四頭筋のピークトルクは角速度の変化の影響を受けなかったが,ハムストリングスのピークトルクは角速度が増加するとともに有意に増加した。また,H/Q比は求心性収縮においては,角速度が増加するに従い有意に大きくなったが,遠心性収縮においては,有意な変化を示さなかった。E/C比は角速度が増加するに従い両筋共に有意に大きくなった。
著者
井上 友樹 村上 拓彦 光田 靖 宮島 淳二 溝上 展也 吉田 茂二郎
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.89, no.3, pp.208-216, 2007 (Released:2008-07-15)
参考文献数
42
被引用文献数
5 2

下層植生からみた剥皮害の発生傾向を明らかにすることを目的として,熊本県球磨地域のヒノキ人工林77地点を対象に,剥皮害木本数と下層植生との関連性を検討した。まず,下層植生の繁茂状況をデジタルカメラを用いて撮影し,定量化した。また,下層植生の種組成データを基に,TWINSPANにより調査点を三つの植生タイプに分類した(スズタケタイプ,先駆種タイプ,常緑高木種タイプ)。次に,下層植生が繁茂している調査点では剥皮害木本数が低く抑えられているのか,ブートストラップ法により検討した。その結果,常緑高木種タイプの調査点においてのみ,下層植生の繁茂状況が剥皮害木本数の多寡に影響していたことが明らかとなった。これは,下層植生による物理的,視覚的な遮蔽効果によるものであると考えられた。
著者
森 功次 林 志直 秋場 哲哉 野口 やよい 吉田 靖子 甲斐 明美 山田 澄夫 酒井 沙知 原 元宣
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.81, no.3, pp.249-255, 2007-05-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
18
被引用文献数
3 4

ノロウイルス (NV) による集団胃腸炎の予防対策に資するため, ノロウイルスと同じカリシウイルス科に属し, 培養可能であるネコカリシウイルス (FCV) を用い, ウイルス感染価と遺伝子量を指標に, 速乾性消毒剤 (クロルヘキシジン, 第四級アンモニウム塩ヨード化合物), ウェットティッシュ (クロルヘキシジン, 第四級アンモニウム塩安息香酸PHMB), 機能水 (強酸性電解水, オゾンのナノバブル水) の手指衛生効果の比較を行った.速乾性消毒剤にはいずれもウイルス除去効果はなく, ヨード化合物を含むものにのみ有意なウイルス不活化効果がみられた. ウェットティッシュでは界面活性剤を含む安息香酸およびPHMB含有品に強い除去効果と不活化がみられた. 機能水によるすすぎ洗いの効果が確認され, さらに石けんを用いることにより除去効果も強まる傾向がみられた.これらの検討から有効な手洗い方法の選択がウイルス性胃腸炎の発生予防および拡大防止策となることが示唆された.
著者
佐藤 理 岩井 裕 吉田 英生
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.80, no.820, pp.TEP0360, 2014 (Released:2014-12-25)
参考文献数
9
被引用文献数
4 2

The purpose of this study is to clarify the effect of a component for high-pressure water separation, which is included in the air conditioning system of the general commercial aircrafts, on the air-cycle operation (reverse Brayton cycle); the high-pressure water separation consists of water separator and two heat exchangers called reheater and condenser, respectively. This paper briefly describes the typical system configuration of the air-cycle refrigeration progressed with evolutions in turbofan engine. Since nowadays, 4-Wheel air-cycle has been a trend on the aircraft air conditioning system, this paper theoretically shows its advantage on the basis of the thermodynamic cycle study. In the following chapters, an analysis was conducted on the interaction between a reheater and a condenser when each heat transfer performance changes from the baseline operating point. Also, the comparative study was made on the system performances by the 3-wheel and 4-wheel air-cycle. In addition, this paper describes how the heat transfer performance is designed for the reheater and the condenser under the system requirements for the entire air conditioning system.

1 0 0 0 OA 吉田松陰全集

著者
吉田松陰 著
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
vol.第5巻, 1936
著者
島崎 豊 竜 瑞之 吉田 葉子 平田 善彦 古田 太郎
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.264-270, 2009 (Released:2009-10-10)
参考文献数
13
被引用文献数
1

手荒れ防止の新たな取り組みとして,手荒れの程度(高度,中程度,低度)に応じて,手袋,皮膚保護剤,保湿剤を使い分ける方法がある.事前調査において最も多く見られた中程度の手荒れでは皮膚の乾燥だけでなく角層バリア機能が部分的に失われていると考えられる.今回,この角層バリア機能の改善を目的として開発されたフッ素系ポリマー含有製剤の手荒れ改善効果を調査した.頻回の手指衛生を行う医療従事者の業務中の実使用に耐え得るか調査するため,手指皮膚への保持能と石けん手洗いによる角層細胞剥離率を測定したところ,本製剤は手指皮膚への保持能力が高く,石けん手洗いによる角層細胞剥離率を顕著に抑制することがわかった.また,2ヶ月間に渡り中程度手荒れを有する看護師33名が本製剤を勤務中に使用し,その手荒れ改善効果とアンケートにより使用感を検証したところ,27名(82%)のTEWL値(経皮水分蒸散量)が有意に低下した.以上のことから,本製剤は中程度手荒れの角層バリア機能を改善し,手荒れ改善効果を有することが示された.
著者
藤巻 裕蔵 戸田 敦夫 吉田 真二
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.67-69, 1979-01-30 (Released:2008-11-10)
参考文献数
7

日本鳥類目録第5版によると,繁殖期にハギマシコとギンザンマシコが記録されているのは,大雪山と利尻岳だけである。われわれは1975,1976両年の6,7月に日高山系と茅室岳と日高幌尻岳七ツ沼付近で鳥類調査を行ったが,その際ハギマシコとギンザンマシコを観察した。斉藤(1970)は「日高山脈学術調査報告書」に,日高山脈とその周辺の鳥類のリストを示し,その中にハギマシコをあげているが,年月日,場所を記していない。日高山脈における繁殖期のハギマシコとギンザンマシコのはっきりした観察例は,今回のわれわれの報告が最初のものと思われる。またギンザンマシコは,つがいで見られたところから,七ツ沼付近で繁殖している可能性がある。
著者
吉田 直哉 鈴木 康弘 安部 高太朗
出版者
学校法人 敬心学園 職業教育研究開発センター
雑誌
敬心・研究ジャーナル (ISSN:24326240)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.81-89, 2018 (Released:2019-01-23)
参考文献数
30

本稿の目的は、保育者の専門性に関する議論の現状と、その課題を明らかにすることにある。現在の保育者の専門性論には、保育者の専門性を、具体的に保育者が向き合う複数の職務の場面ごとに専門性を当てはめていく論法、あるいは、ケアという保育者にとっての根源的・核心的な専門性を想定し、そこから保育者の具体的な職務能力が派生すると考える論法の二つの形態が見られる。前者は、複数に分化した専門性の間の関連性が見失われがちであるという欠点、後者は、ケアという心理的・倫理的概念が、保育者の専門性を、個人の人格的な特性や資質といった、訓練可能なスキル以外のものに押し込めてしまう欠点を有している。今後の保育者の専門性論は、これらの欠点の克服、つまり、保育者の専門性諸要素の構造化と、保育者の専門性を訓練可能、伝達可能なスキル・知識の体系として構築することという二つの課題に向き合わなければならない。
著者
河野 菜摘子 吉田 恵一 原田 裕一郎 大浪 尚子 竹澤 侑希 宮戸 健二
出版者
JAPANESE SOCIETY OF OVA RESEARCH
雑誌
Journal of Mammalian Ova Research (ISSN:13417738)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.191-197, 2010 (Released:2010-12-03)
参考文献数
22

受精は,新しい生命の誕生には必要不可欠で,多段階の過程を経て細胞融合にいたる現象である(図1).その多段階の過程のうちの1つでも異常が認められると,受精の進行が妨げられ,次世代の個体ができなくなる“不妊”という生命のサイクルにとって致命的状況を招いてしまう.不妊は動物,植物を含めたすべての生物種の集団としての存続を脅かす難治性疾患とも考えられ,環境および内在性因子の影響から,診断法,治療法など,数々の未解明な問題を含んでいる.Izumoは精子側因子として1),CD9は卵側因子として膜融合に必須であり2–4),精子および卵子の細胞膜に存在すると考えられてきた(図2).しかし最近の研究から,CD9は卵子から放出されるナノサイズの膜構造体の主要な構成成分であることが明らかになった5).本稿では,CD9を介した配偶子融合の分子メカニズムについて紹介したい.