著者
飯山 正夫 吉田 和史 堀内 博
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.166-172, 1999-06-28
参考文献数
17
被引用文献数
6

本研究の目的は,デジタル画像解析を用いて歯肉発赤状態認識を解明し,歯肉発赤状態の自動認識アルゴリズムの開発のための基礎データを得る事である。10年以上の臨床経験を有する歯科医師9名に対し歯肉デジタル画像4枚を順にモニター画面で提示し,健全/概ね健全,軽度の炎症,発赤状態の著しい重度炎症の3つのカテゴリーに相当する範囲を指定させた。画像は,RGBカラー画像(Red,Green,Blue 各 8 bits)で画素数は2,268×1,764 pixels,記憶容量は約11MBであった。範囲選択の際,形態にはとらわれず歯肉色だけで判断するように確認した。指定された範囲の画素数,R,G,Bそれぞれの平均グレーレベル値を測定し記録した。カテゴリー間の有意差の検定には,Student's t-testを用いた。また,発赤の顕著な歯肉デジタル画像を三原色それぞれのグレーレベルで表示する3枚の画像(R,G,B画像)に分離し,肉眼でみた発赤状態との比較を行った。その結果,R,G,B値での健全/ほぼ健全群と軽度炎症群間でのt値(P値×10つは,それぞれ3.12(2.3),4.16(0.65),3.29(1.4)であり,軽度炎症群と重度炎症群間は,4.45(0.2),9.18(-0.00001),9.45(-0.00001)であった。また,歯肉各所の発赤状態のコントラストで原画像と最もよく相関した画像は,三原色分離画像の中でG画像であり,歯肉発赤状態の視覚認識においてG値の関与が高い事が明らかになった。今後,修正を加えたG値を用いて歯肉発赤認識アルゴリズムの開発を行う予定である。
著者
岡花 和樹 村上 元良 細辻 浩介 堀 優作 森 真樹 竹中 章勝
出版者
日本デジタル教科書学会
雑誌
日本デジタル教科書学会発表予稿集 日本デジタル教科書学会第7回年次大会 (ISSN:24326127)
巻号頁・発行日
pp.29-30, 2018 (Released:2018-10-03)
参考文献数
2

平成 32 年度より施行される次期小学校学習指導要領解説総則には,「児童がプログラミングを体験しながら,コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付ける ための学習活動」として,第5学年 B 図形の(1)における正多角形の作図が例示されている。本 研究では例示内容の他に,児童が継続してプログラミングを通して学習ができ,教科単元の学習 活動を深める学びにつながる授業開発を行なった。小学校 5 年生 B 図形(1)平面図形の性質の中 の合同な図形に注目し,合同な図形を描く際に分度器を用いて角の大きさを測定するアナログ的 操作をとり入れ,どの合同条件に対応するのか,必要な角の大きさや辺の長さは何かを考えなが ら,プログラミング環境 Scratch を用い,作図過程をプログラミングすることによって提示され た課題と同様の手順で図形を描いていくプログラム開発と授業開発を行い授業実践した。本発表 では従来のアナログ的な学びを活かしながら,新たにプログラミング的思考を育成する授業づく りを行うことで,数学的な見方考え方と情報的見方考え方を育成することでプログラミング的思 考の育成を同時に行える授業の提案をしたい。
著者
三井 一希 佐藤 和紀 萩原 丈博 竹内 慎一 堀田 龍也
出版者
日本デジタル教科書学会
雑誌
日本デジタル教科書学会発表予稿集 日本デジタル教科書学会第7回年次大会 (ISSN:24326127)
巻号頁・発行日
pp.27-28, 2018 (Released:2018-10-03)
参考文献数
1

本研究では,IoTブロックを活用したプログラミング授業を開発し,実践した。アンケート調査の結果から,児童が IoT ブロックを活用したプログラミングを好意的に評価していることが確認された。また,自由記述の結果からどのような点に興味を感じ,どのような点に困難を感じているのかを明らかにした。
著者
佐藤 和紀 礒川 祐地 萩原 丈博 竹内 慎一 堀田 龍也
出版者
日本デジタル教科書学会
雑誌
日本デジタル教科書学会発表予稿集 日本デジタル教科書学会第7回年次大会 (ISSN:24326127)
巻号頁・発行日
pp.5-6, 2018 (Released:2018-10-03)
参考文献数
2

平成30年3月には文部科学省から「小学校プログラミング教育の手引(第一版)」が発行され,プログラミング教育に関する授業についての6つの分類が示された.本研究は,IoTブロック型のプログラミングツール「MESH」を活用したプログラミング授業に関する活用ワークショップの参加者のうち,小学校教員5名を対象にプログラミング教育の授業構想をしてもらった.そこで得られた授業構想をプログラミング教育の手引による分類に整理した結果,B分類とC分類を中心に構想された.
著者
堀江 秀樹
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.109-113, 2011 (Released:2011-02-02)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

同一ビニールハウスで収穫したキュウリ果実中の糖含量について日ごとの変化を調査した.果実中にはグルコースとフルクトースがほぼ等量含まれていた.果実中のグルコース(およびフルクトース)の含量は,収穫日によって0.8~1.4%の間で変動した.果実中のグルコース含量と収穫前日の天候との関連が認められ,日照時間が短い場合や遮光処理した場合に,翌日収穫した果実中のグルコース含量が低下した.キュウリ果実中の糖含量は日々変動するため,キュウリの内部品質管理には果実中の糖含量を簡便・迅速に測定できるのが望ましい.そこで,使い捨て型のバイオセンサーである血糖センサーを用い,果実中のグルコースを測定することを試みた.血糖センサーを用いて得た結果は,キャピラリー電気泳動法で分析したグルコースのデータと高い正の相関を示した.試料の前処理は簡単で,結果を得るのに10分程度しか要しないので,血糖センサーを用いたこの方法は,キュウリ果実中のグルコースの迅速定量に非常に有効である.
著者
堀野 眞一
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.23-28, 2013-01

東日本大震災で起きた東京電力福島第一原発の事故は東北から関東にかけた広い範囲に放射能汚染をもたらした。放射能の直接的な作用が,人体に及ぼすのと同様の影響を野生ニホンジカ(以下,シカ)にも及ぼすことは,疑う余地が無い。しかし,それを実際に検出することは容易でなく,長期的な調査研究が必要になると思われる。一方,人間活動,とくに狩猟活動,の変化を介した放射能汚染の間接的な影響は既に出始めている。そのようなことがなぜ起こるのかを理解するとともに,今後の推移を予想するためには,人間とシカの関係について現状と背景を知っておく必要がある。
著者
根田 遼太 井上 純大 中村 健太郎 堀 隆博 渡辺 晋二
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.126, 2015

2011年3月に発生した東日本大震災の津波被害を受けた東松島市沿岸部(宅地、畑地等)を対象に、被害後3年半経過した植生及び土壌状況(化学性、物理性)の調査を行ったので報告する。東松島市沿岸部8箇所において周辺域の植生を調査し、長谷川式土壌貫入計を用いた土壌硬度の測定及び0-10cm、10-20cm、20-30cmの深さごとの土壌化学性(pH、電気伝導度、C/N比、土壌塩類)を測定した。<br> 調査地の植生は、木本種の出現はほぼニセアカシアのみであり、草本種ではセイタカアワダチソウなどの外来種が優占した。ニセアカシアの樹齢は3年であったため、津波被害直後に成立した可能性が高い。土壌硬度は植物生育に概ね良好な値を示したが、化学性は一部で土壌塩類、pH、C/N比などが植物生育にとって異常値を示した。津波被害を受けた沿岸部は3年半経過した現在でも海水の塩の影響が残っていると見られる場所が存在し、土壌改良および適切な植生誘導がなければ、旺盛な繁殖力と塩類堆積土壌への適応性の高さによりニセアカシアの優占する景観となる可能性が高いと考えられた。沿岸部の正確な植生動態の予測には、今後の詳細かつ広域な調査が必要である。
著者
大堀 洋平 小林 豊和 黒田 良
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.89, 2011

【はじめに】<BR> 疲労性骨膜炎・疲労骨折は,スポーツ選手によく起こる疾患である.理学療法評価において,疲労性骨膜炎・疲労骨折の病態を示唆する評価法は散見するばかりである.今回、骨に直接的にストレスを加える評価法を考案した.その評価法を用い,アプローチの結果,良好な結果が得られたので,ここに報告する.<BR>【症例紹介】<BR> 小学生(高学年),男性,野球選手(軟式・センター/ショート・右投げ左打ち).診断名は,右脛骨疲労性骨膜炎.レントゲンは,異常所見なし.現病歴は,当院受診約3週間前,走行時に右下腿内側に疼痛出現.疼痛軽減しないため,当院受診した.受診時の主訴は,歩行時痛であった.<BR>【理学療法評価】<BR> 圧痛は右脛骨近位内側にあり,歩行時に疼痛出現.立位アライメントは,右足位やや外転位,両膝顆間距離2横指,右骨盤やや前方回旋位,体幹やや右側屈位.脛骨ストレステスト(徒手で脛骨に外反・内反,前弯・後弯,外旋・内旋ストレスを加える)実施(以下,疼痛出現時,+と表記する).外反ストレス(++),前弯ストレス(+),外旋(遠位)ストレス(+).スクワッティングテストは,knee in時疼痛出現.歩行において,initial contactからmid stanceにかけて遅延し、骨盤・下腿外方移動不十分であった.<BR>【アプローチ】<BR> 当院初診時;右足部に内側縦アーチサポーター(ソルボ素材)装着.<BR> 約1週間後;サポーターに,後足部横アーチパッド1mm追加.<BR>【経過】<BR> 理学療法開始(当院初診)時,右足部への内側縦アーチサポーター装着にて,歩行時痛消失.練習は,走行・ノック禁止.約1週間後,走行時痛は10点法にて2点と軽減し,後足部横アーチパッド1mmを追加にて走行時痛消失.翌日には,制限なく練習参加.約3週間後来院し,圧痛・動作時痛消失を確認し,終了.<BR>【考察】<BR> 本症例は,動作時,脛骨近位内側に疼痛が出現していた.疲労性骨膜炎・疲労骨折は,疼痛部位にどのようなストレスが加わり生じたのかを把握することが重要と考える.どのようなストレス(方向・種類)かを示唆する評価として,脛骨へ直接的にストレスを加えた.その結果,脛骨外反・前弯・外旋(遠位部)ストレスにて,疼痛出現した.荷重位にて,スクワッティングテストを行い,knee inにて疼痛出現し,歩行時立脚期において,骨盤・下腿外方移動不十分であった.以上を解釈すると,本症例の疲労性骨膜炎は,立脚期における下腿の前内方への動きが脛骨近位内側への離開ストレスとなり,疼痛を発生させていたのではないかと考える.よって,右足内側縦アーチサポーターを装着することで,立脚期に下腿を後外方へ誘導し,離開ストレスを軽減させ,疼痛軽減に至ったと考える.<BR>【おわりに】<BR> 疲労性骨膜炎・疲労骨折の理学療法において,骨への直接的ストレステストは病態を示唆する有効な評価法であり,サポーターの適切な選択,運動療法の一助となると考える.今後,ストレステストと動作の関係を検討していきたいと考える.
著者
杉本 紘介 道口 康二郎 佐原 由希子 深堀 ユリエアリーシア 南 太貴 川越 陽介 酒井 康成 江島 美希 請田 咲紀 山下 将毅 井上 美沙 田村 美由紀 橋本 誠 力武 宏樹 松田 朋子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1028, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに】超高齢社会を迎え,高齢者においては栄養状態の評価や栄養状態改善への取り組みが注目されており,低栄養状態は創傷治癒の遅延だけでなく入院期間の延長や死亡率にまで影響すると言われている。理学療法の臨床においても低栄養状態により動作レベルが制限され,身体機能や各種動作,ADL等に影響を及ぼすケースがあり,転帰先への影響も考えられる。そこで高齢者の低栄養状態を判断する一つの指標である血清アルブミン値(以下Alb)が転帰先に対して影響しているのではないかと考えた。本研究は,当院回復期病棟入院患者を対象に入退院時のAlbを用いて比較検討を行い,また動作等への影響を調べるためFIM,日常生活機能評価との関連性を調べたので報告する。【方法】対象は平成24年6月から1年間で当院回復期病棟に入院した70歳以上の運動器疾患30名,脳血管疾患14名,廃用症候群(術後・肺炎等)36名の計80名(男性26名,女性54名),平均年齢84.79±5.69歳である。方法は入退院月のAlb,FIM,日常生活機能評価を用いて,自宅及び施設に退院した自宅施設群と転院やその他であった転院他群を比較した。FIM,日常生活機能評価の入退院月は自宅施設群63名(平均年齢84.7±5.51歳,男性15名,女性48名),転院他群は17名(平均年齢85.12±6.52歳,男性11名,女性6名)であった。Albは検査した対象者のみの比較であるため,入院月は自宅施設群59名(平均年齢84.64±5.47歳,男性15名,女性44名),転院他群16名(平均年齢85.13±6.73歳,男性10名,女性6名)であり,退院月は自宅施設群22名(平均年齢85.14±5.63歳,男性11名,女性11名),転院他群16名(平均年齢86.06±5.4歳,男性10名,女性6名)であった。また対象者の入院期間内の総評価数を用いてAlbとFIM(評価総数n=143),Albと日常生活機能評価(評価総数n=140)の関連性を求めた。なお解析ソフトはSTAT VIEWを使用し,入退院月の比較はMann-WhitneyのU検定とt検定(対応なし),各項目の関連性はSpearmanの順位相関にて解析した。有意水準は全て5%とした。【説明と同意】本研究は所属の倫理委員会の承認を得て,患者・患者家族に研究の目的・方法を十分に説明した上で協力の可否を問い,同意書にて同意を得た。【結果】Albでは,入院月では自宅施設群(中央値3.4g/dL)が転院他群(中央値2.85g/dL)に比べ有意に高い値を示した(p<0.001)。また退院月でも自宅施設群(中央値3.2g/dL)が転院他群(中央値2.7g/dL)に比べ有意に高い値を示した(p<0.05)。FIM,日常生活機能評価では,入院月・退院月ともに自宅施設群が有意に高い値を示した(全てp<0.0001)。Albとの関連性では,FIM(相関係数0.375,p<0.0001),日常生活機能評価(相関係数-0.327,p<0.001)と有意な相関関係が認められた。【考察】先行研究では退院時のAlbにおいて自宅退院群が非自宅退院群に比べ有意に高値を示した報告がある。本研究では,退院月は栄養状態に問題のある対象者のみの検査結果ではあるが同様の結果を示した。さらに退院月だけでなく入院月のAlbが自宅や施設退院につなげる因子の一つであることが示唆された。またFIM,日常生活機能評価に関しても同様に入院時から能力が高い方が自宅や施設へ退院できる要因と言える。Albとの関連性では有意な相関関係が認められ,AlbがFIMや日常生活機能評価に関係している結果も得られた。Albは骨折,手術及び点滴,輸液などで低値を示す。つまり急性期から回復期へ転院する際の値が後の転帰先に影響を及ぼしていることになる。超高齢社会が進む中,理学療法においても在宅復帰を実現するためには,基本動作やADLなどの動作能力や認知機能の向上とともに高齢者の低栄養状態の改善を考慮し,急性期から他職種との連携による栄養状態の把握や積極的な介入が必要だと考える。【理学療法研究としての意義】超高齢社会が進む中,高齢者の栄養状態は理学療法を実施する上でも把握する必要がある。AlbがFIMや日常生活機能評価と関連性は認められたが,相関係数としては低い値であった。今後は各評価項目の中で何に対して影響が大きいのかを調べていくことで,栄養状態と基本動作能力やADL能力,認知機能など踏まえて適切な予後予測につながっていくと考える。
著者
関 友作 赤堀 侃司
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.97-108, 1996-09-20 (Released:2017-10-20)
参考文献数
29
被引用文献数
3

本研究では,テキストにおけるレイアウトとしての段落表示が,内容理解に与える影響を調べた.実験では,段落の設定を変えた3種類のテキストを用意し,それぞれの再生成績を比較した.テキストは,1)正しく段落づけしたもの(正段落),2)誤った段落づけをしたもの(誤段落),3)段落のないもの(無段落),の3種類であった.再生成績は,正段落,誤段落,無段落の順であり,正段落と無段落の間に有意差があった.これは,全体の再生だけでなく,要旨の再生についても同じ結果であった.このように,正しい段落設定が内容理解を高めるのは,段落が文章を視覚的に分節化することにより,読み手に次のような読解方略を促すためであると推察された.つまり,1)段落ごとに内容を体制化し,ポイントを把握する;2)段落間の関係をもとに文章構造を理解する,という方略である.このような方略の利用が,読み手の内容理解を促進すると考えられた.
著者
山縣 友紀 五十嵐 芳暢 中津 則之 堀本 勝久 福井 一彦 植沢 芳広 山田 弘
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
JSAI大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.2F401, 2018

<p>薬剤性肝障害は医薬品開発中止の主要因となっているが,肝毒性の発現機序(メカニズム)は複雑でありその全体像の把握は困難とされている.本研究では,オントロジー工学理論に基づき,機序の本質を捉えた肝毒性知識の体系化と記述枠組みのモデル化を行う.さらに,応用として創薬における安全性評価への適用について検討する.</p>
著者
飯塚 真理 宇井 万津男 伊吹 令人 城下 尚 倉林 良幸 堀越 美枝子
出版者
公益社団法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.439-445, 1996-09-22 (Released:2011-11-08)
参考文献数
9

今回われわれは, 子宮内膜増殖症のホルモン療法後妊娠し, 分娩後に子宮内膜癌に進行した1症例を経験したので報告する.症例は23歳, 0妊0産.月経不順.1991年5月, 不正性器出血を主訴に来院した.子宮内膜の肥厚がみられたため内膜細胞診と組織診を施行し, 異型増殖症と診断された.未産婦であり, 挙児希望があったため, ダナゾール療法を開始した.3ヵ月後, 内膜組織診で桑実形成性腺腫性増殖症と診断され, 大量黄体ホルモン療法を施行した.その間, 内膜細胞診と組織診を再検したが悪性所見はみられず, 4ヵ月後, ホルモン療法を中止し, 排卵誘発を行った.3ヵ月後に妊娠が成立し, 1993年2月正常分娩となった.1年後, 内膜細胞診と組織診で異型増殖症と診断され, ホルモン療法を再開した.4ヵ月後, 内膜組織診で高分化型腺癌, 間質浸潤陽性と診断されたため, 1994年8月, 準広汎子宮全摘術+両側付属器摘出術+骨盤リンパ節郭清術を施行した.現在まで, 異常なく経過している.
著者
中井 さち子 丹羽 光明 山崎 成一郎 堀井 博
出版者
九州看護福祉大学
雑誌
九州看護福祉大学紀要 = The journal of Kyushu University of Nursing and Social Welfare (ISSN:13447505)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.13-18, 2015-03

「目 的」 生産方法の違いが、農産物の持つ抗酸化力にどのような影響を及ぼすのか、特に土壌養分の質の違いに着目し実験を行った。「方 法」 慣行農法と有用微生物群(EM)を活用した有機農法で別々に育てられた、自家採種の自然種の野菜(ダイコン)の抗酸化力・糖度・電気伝導度・可給態窒素を圃場にて栽培測定した。測定機器はウイスマー社フリーラジカル評価システムF.R.E.E(Free Radical Elective Evaluator)、アタゴ社製Brix糖度計およびHORIBA社製コンパクト電気伝導率計B-173を使用し、測定を実施した。統計処理は、Studentのt検定を行った。「結 果」 ダイコンにおける抗酸化力の平均値は、EM農法が493.05μmol /mlに対して慣行農法は440.44μmol /ml、一方糖度の平均値はEM農法が7.5Brix%に対して慣行農法は7.1Brix%であった。抗酸化力(0.01<p<0.05)、糖度(p<0.01)共にEM農法のほうが慣行農法に比較して高い抗酸化力を示した。一方、野菜から体に入り、有害とされる硝酸態窒素は慣行農法が高かった。また養分(肥料)は慣行農法の方が一気に土中に放出されるが、有機農法の方は微生物が養分を抱え込みながら徐々に土中放出することが示された。「考察・結論」 有用微生物群を活用したEM農法の方が、慣行農法に比べて抗酸化力・糖度の高い農産物を栽培できることが示唆された。EM農法で育てられた抗酸化力の高い食材を摂取していくことは、活性酸素の影響を防ぎ、ヒトの健康維持に有用であると考えられる。さらに有用微生物群は土中で養分を作物に供給する調整能力があることが伺われた。