著者
杉本 琢磨 堀山 貴史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.232, pp.19-25, 2010-10-08

Vickreyオークションでは,第一価格を入札した者が,第二価格で商品を落札する.このオークションは,入札者に対し誘因両立性を持つことが知られている.一方,入札者のプライバシーに配慮して,各入札者の入札額や誰が落札したかを入札者には伏せたまま実行する場合には,競売人が落札者に対して第二価格を偽ることができる.本研究では,秘密分散を用いることで,競売人の不正を許さず,全体の半分未満の参加者がsemi-honestな参加者として結託したとしても情報を漏らさない情報理論的に安全なプロトコルを提案する.このプロトコルは,入札者が直接情報のやり取りを行うことで,第三者機関を必要としないことが特長である.さらに,第一価格入札者が複数存在した場合のタイブレークの方法,オークションの結果が正当であり競売人による不正が無かったことを入札者に納得させる方法を提案する.
著者
堀口祐耶 市川尚 窪田諭 阿部昭博
雑誌
第75回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.715-717, 2013-03-06

近年地震などの災害により, 被災地だけでなく被災地周辺の観光地においても風評被害を受けている. 東日本大震災では,多くの観光地において風評被害の影響を受けた. しかし, 風評被害に対する活動を報告するするサイトは多く見られたが, これらの活動についてまとめているサイトや風評被害に関する研究は少ない.そこで, 筆者らは観光提供側を対象に過去に発生した観光への風評被害の事例を紹介し, 風評被害の理解を深めてもらうことを目的としたポータルサイトの研究を行ってきた. 本稿では, 新聞データベースの分析を通して, 観光風評被害事例データの分類・収集方法およびメタデータの再構築について考察を行う.
著者
堀口 祐耶 市川 尚 阿部 昭博
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告情報システムと社会環境(IS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.7, pp.1-5, 2013-11-25

近年,地震などの災害によって,被災地周辺の観光地における風評被害が大きな問題となっているが,観光風評被害に関する状況・経過や対策に関する情報提供の研究や取り組みは遅れている.本研究の目的は,Web 上の散在する風評被害に関する事例を収集し,観光に関わる行政職員や事業者に情報提供を行うシステムの在り方を明らかにすることにある.本稿では,東日本大震災での風評被害事例の特徴分析と,その結果に基づく情報提供システムの開発について述べる.システム開発においては,事例分析結果等を踏まえ,これまで試作したシステムのメタデータ,提供機能,対象ユーザと公開方法について見直しを図った.また,有識者によるシステムの一次評価を実施し,提供情報を拡充した.By disasters such as earthquake in recent years, the harmful rumor in the tourist destinations around disaster areas has become a major problem. However, study of providing information in regard to various situation and measures of the harmful rumors in tourism is tardy. The purpose of our study is to clarify features of information system for gathering and providing of the harmful rumor cases in tourism on the Web. This paper describes characteristics analysis of harmful rumor cases caused by the Tohoku earthquake and tsunami in 2011, and development of information providing system based on the analysis results. In the system development, we reviewed previous specifications of prototype: meta-data, functions, operation policies and target users. Also through primary evaluation by tourism experts, we expanded content of the system.
著者
堀部 智久
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、プロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)関連タンパク質の一つであるPDI P5(P5)の活性阻害剤の低分子化合物スクリーニングを行い、これまでに得られた候補化合物の関連および類似骨格を有する低分子化合物のP5の還元酵素活性への影響を調べた。また、候補化合物の癌細胞におよぼす影響さらには、既存の抗癌剤との併用効果の検討を行った。
著者
堀江 武 中川 博視
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.687-695, 1990-12-05
被引用文献数
24 21

イネの幼穂分化, 出穂および成熟などの発育ステージを環境要因の経過から予測するモデルの基本構造とパラメータの推定法を提案し, その考え方のもとに出穂期の気象的予測モデルを導き, 水稲品種日本晴に適用した。本モデルでは, de Witらの発育速度の慨念を適用して, 出芽後n日目の発育指数 (Developmental Index, DVI) はその間の発育速度 (Developmental Rate, DVR) を積算したものとして与える。さらに出芽時のDVIを0, そして出穂時のそれを1と定めることによって, 出芽から出穂に到る発育過程をDVI=0〜1の間の連続的な数値として表すことができる。このようなDVIの制約条件下で, DVRと気温および日長との関係を与える数式を導き, かつそのパラメータを, 筑波と京都での日本晴の作期移動試験および人工気象室実験から得られた出穂日のデータを用いて, シンプレックス法によって決定した。得られたパラメータの値から, 日本晴の出芽から出穂までの最小日数 (基本栄養生長性) は51.4日, 限界日長は15.6時間, 発育の最低温度は12〜13℃, 同最適温度は30〜32℃, そして日長に感応し始める時期はDVI=0.20と推定された。本モデルによる出穂データの推定精度は標準誤差で3.6日であったが, 従来の有効積算温度法によるそれは6.5日であった。したがって, 本報のモデルは従来の方法に比較して高い予測精度を得ることが可能と考えられる。
著者
磯部 由香 平島 円 堀 光代 長野 宏子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.4, 2014 (Released:2014-08-29)

【目的】調理の重要な操作として「切り方」が挙げられる。本研究では,大学の調理実習で「切り方」の扱うための知見を得ることを目的とし,大学生と専門学校新入生の「切り方」の知識とその操作を行う自信度について分析し,学生の調理技術について検討した。 【方法】2010~2013年に大学・短大・専門学校に入学した学生1,149名に対し,20種類の「切り方」の知識とその自信度についてアンケート調査した。それぞれの項目について「できる」「ほぼできる」「少しできる」「たぶんできる」「できない」「知らない」から選択回答させた。その結果から20種類の切り方をクラスター分析により分類した。 【結果】学生が「知っている」切り方は「リンゴの皮むき」「みじん切り」「ジャガイモの皮むき」の順で多かった。しかし,学生が「できる」と回答した,すなわち自信度の高い切り方は「輪切り」「みじん切り」「いちょう切り」の順だった。「皮むき」については自信度が低かった。学生の自信度により切り方を分類したところ,自信度の高い切り方が7種類,個人差の大きい切り方5種類,自信度の低い切り方8種類と3つに分類された。自信度の高い切り方は高等学校までの教科書に多く記載されている切り方で,自信度の低い切り方は教科書にほとんど記載されていなかった。したがって,学生の調理技術を高めるためには経験することが重要であり,大学の授業で扱う必要があるとわかった。また,大学で調理実習を行う予定の学生と行わない学生に分けて切り方を自信度別に分類したが,調理実習を行う学生のほうが自信度の高い切り方が少なかった。実習を行う予定の学生のほうが調理の難しさを理解しているのではないかと推察された。
著者
福田賢一郎 濱崎雅弘 福原知宏 藤井亮嗣 堀田美晴 西村拓一
雑誌
研究報告知能システム(ICS)
巻号頁・発行日
vol.2014-ICS-176, no.9, pp.1-6, 2014-07-15

介護の現場では記録作成業務の負荷が高いことが指摘されおり,特に被介護者の家族からの依頼や従業員の気付きなどサービス品質向上に不可欠な 「申し送り」 がノートなど紙面で行われている.我々は実践コミュニティからの要望に基づきながら,実践コミュニティ主体での申し送り業務支援システムの開発をしている.本発表では我々の提案システムが介護現場へ本格導入された事例を報告するとともに,従来のノートを用いた紙面による申し送りをすべて廃止し提案システムだけで運用した申し送り業務のデータと従来の紙面によるものとを比較した結果を考察する.
著者
速水 淳史 山脇 光夫 堀尾 武
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.175-178, 2000 (Released:2010-08-25)
参考文献数
16

炎症性辺縁隆起性白斑は尋常性白斑の1症状または1亜型と一般的に考えられており, 発症機序に関してはいまだ定説はないが, 細胞性免疫の関与が強く示唆される。症例は61歳, 男性。前胸部に環状紅斑が出現し拡大傾向にあったため受診された。初診時, 左頚部に不整形脱色素斑とそれを取り囲むように境界不明瞭な浮腫性紅斑及びその近縁に白斑を伴わない淡い紅斑も認めたため, 炎症性辺縁隆起性白斑と診断した。ステロイド内服, 外用にて治療を行い, 治療開始後約3週間で白斑辺縁部の紅斑は消失し, 白斑の辺縁も不鮮明となってきた。このことより早期に炎症症状を消退させることが白斑の新生を抑える上で重要であると思われる。
著者
水田 惠三 清水 裕 西道 実 田中 優 堀 洋元
出版者
尚絅学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

仙台市、新潟中越両地区に防災意識に関するアンケート調査を行い、両地区の比較を行った。ランダムサンプリングにもかかわらず仙台、新潟中越両地区の回収率は5割近く、両地区ともに防災への意識は高い。両地区とも防災の主体は50歳代以上の方である。両地区においては災害伝言ダイヤルへの関心は少なく、さらに携帯電話が通じない場合の家族との連絡方法、集合場所を確認していない。発災後の情報源のほとんどはテレビであり、停電した場合(ワンセグは除いて)のことがほとんど想定されていない。仙台市民は家具の安定や自宅の耐震強度など防災のハード面に力を入れていたのに対して、新潟中越は地震に関する情報、家族での話し合いなど防災のソフト面に力を入れていた。仙台市民は地震による津波の被害はほとんど想定していなかった。
著者
荻野 弘之 早川 正祐 佐良土 茂樹 波多野 知子 三浦 太一 荒幡 智佳 桑原 司 赤堀 愛美 ロウ クリストファー チャールズ デイヴィド ヴォルフ フランシス フェラーリ ジョン ロング アンソニー
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

1980年代の「徳倫理学」の復興以来注目されているアリストテレス倫理学を、従来のように、単に『ニコマコス倫理学』だけで解釈するのではなく、『エウデモス倫理学』『大道徳学』『徳と悪徳について』といった(参照される機会が殆どなかった)複数の著作やヘレニズム時代の偽作との比較検討を含めて、成立史、影響史を立体的に考察する。この作業を通じて、「善美」「思慮」「幸福」「友愛」などの諸概念をめぐるアリストテレス倫理学を単なる一枚岩の体系としてではなく、複雑な可能性の芽を孕んだ思想の培養基として理解する道を開く。これによって最近の英米でのアリストテレス研究の水準に追いつくことが可能になった。
著者
河村 雅明 竹内 仁 八田 善弘 相磯 きすみ 堀越 昶 大島 年照 堀江 孝至
出版者
The Japanese Society of Hematology
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.206-211, 1995-03-30
被引用文献数
2 1

症例は47歳の女性。貧血と末梢血へのリンパ芽球の出現を指摘され,1988年10月当科に入院した。ALL (L2)と診断され,JALSGのALL-87プロトコルが開始された。治療開始10日目に39.6°Cの発熱がみられ,緑膿菌による敗血症とそれに伴うエンドトキシンショックを合併したが,抗生剤の併用により軽快した。白血球の回復に伴い,胸部X線写真で左上肺野に浸潤影が出現し,陰影は急速に拡大するとともに,三日月状空気透亮像(air crescent)を伴う空洞形成を呈した。経気管支鏡的に起因菌の検索とAMPH-Bの注入を行ったところ,菌は証明されなかったが空洞は軽快した。完全寛解後,腰痛が出現し,腰椎X線写真で,腰椎椎体の壁不整および椎間腔の狭小化を認めた。腰椎椎弓切除術および病巣〓爬術を施行し,病巣部よりアスペルギルスの1コロニーが培養された。AMPH-Bの静脈内投与で腰痛は軽快し,その後の化学療法は支障なく行えた。AMPH-Bは本症例の治療に有用と考えられた。