著者
佐藤 修一 大森 みさき 村山 恵子 中村 貴文 斎藤 光博 今井 理江 堀 玲子 長谷川 明
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.195-200, 1999-06-28
被引用文献数
13 6 8

日本歯科大学新潟歯学部の学生および職員から無作為に抽出した101名に対し,口腔内の揮発性硫黄化合物の濃度を測定する口臭測定器Model RH l7 Eハリメーター^<[O!R]> (Interscan社,米国)を用いて口臭測定を行い,口臭の官能試験と比較することにより,その有用性について検討した。また,同意の得られた者13名に対し口腔内診査を行い,口臭と臨床的パラメータの関連についても検討を行った。その結果,1) 官能評価値に対するハリメーター値の範囲に重複が認められるため,ハリメーターのみで口臭の程度を判別することは困難であると思われたが,官能評価値とハリメーター値は対応する傾向があり,本日臭測定器はチェアーサイドにおいて便用しうると考えられた。2)臨床的パラメータとハリメーター値はすべての指標において相関関係は有意ではなかった。
著者
堀江 宗正
出版者
東京大学文学部宗教学研究室
雑誌
東京大学宗教学年報 (ISSN:2896400)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.57-72, 2000-03-31

This article surveys the theories of prominent psychologists of religion - W. James, S. Freud, C. G. Jung, E. Promm, A. H. Maslow, and E. H. Erikson. It shows that they are concerned with the process of self-actualization though not all of them use that term. Finally, their theories of self-actualization are considered in relation to religion. The psychologists of religion delineated the process of human psychological growth in analyzing religion as a research object, whether presenting an authentic way of religion or criticizing an actual way of religion. Despite of their differences and their uniquenesses, the processes they described are so similar that one can include them under the title of self-actualization. Self-actualization is the process by which one leaves one-sided ego and actualizes the authentic self or gradually approaches the genuine self. Its significant feature is the ultimate concern to the Self. The psychological thought movement, which regards self-actualization as a norm, should be understood as one example of what Bellah calls "modern religion," the last stage in his scheme of religious evolution. Thus referring to Bellah's discussion, it can be made clear that the psychological thought movement in modern advanced countries represents a new spirituality, although those who are concerned would claim it to be different from religion. In the last part of this paper, the author focuses on the motif of recovery of totality in the theory of self-actualization and points to the fact that the motif is expressed as "healing" in the recent scene of the movement.
著者
堀田 亮年
出版者
日本混相流学会
雑誌
混相流 (ISSN:09142843)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.390-397, 2010-12-15 (Released:2011-02-09)
参考文献数
6

As an engineer who has devoted himself in the nuclear industry for almost three decades, the author gave a personal view on educating two-phase flow and developing human resources. An expected role of universities in on-going discussions of collaboration among industry-government-academia is introduced. Reformation of two-phase flow education is discussed from two extreme viewpoints, the basic structure of physics and the practical system analysis.
著者
堀田 秀之 小達 和子
雑誌
東北海区水産研究所研究報告
巻号頁・発行日
no.7, pp.60-69, 1956-03 (Released:2014-08-22)

1951年から1955年に亘って採集された約50標本1500尾のサンマの消化管を調査し、その食餌構成と摂餌行動について、次の様な知見が得られた。1.サンマの主なる餌はPlanktonic crustaceansで、稚魚・魚卵(主にカタクチイワシ)やSagittaが之に次いでおり、Phytoplanktonは消化管中には認められない。2.サンマの食性は幼魚期(体長約6cm)から固定し、幼魚から成魚に至る間に食性の変化が認められない。3.単位体重当りの摂餌量は体重の小さいものの方が一般に大きい傾向がある。4.サンマは産卵時期でも常に摂餌している。5.サンマの消化管内容物の季節的変化は、一般に春季(5月・6月)と秋季(10月・11月)にPlanktonic crustaceansの出現割合が高く、この時期には消化管の空虚なものは少ない。空虚な消化管の出現割合は海洋に於けるPlanktonの存在量と関連する。6.鈎頭虫類の1種の寄生虫が体長20cm以上のものに屡々見出される。この寄生率・寄生密度は餌料と関連を持つものと考えられる。7.サンマの索餌活動に日週期的変化が認められ、昼間から日没時にかけて盛んに摂餌し、夜間は摂餌しない様である。8.夜間棒受網と流網による漁獲物の摂餌量を比較すると、流網のものの方が多く、棒受網のものは消化管が殆んど空虚なものばかりである。
著者
持田 徹 垣鍔 直 堀越 哲美 桑原 浩平 窪田 英樹 松原 斎樹 くわ原 浩平
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

世界の二大指標であるISO-7730のPMV指標と,ASHRAE(米国暖冷房空調学会)の基準であるSET^*指標の長所・短所を整理した。そして,平均皮膚温およびぬれ面積率と心理量の関係を,熱伝達論および人体の温熱生理特性から検討し,椅座の被験者実験の結果から,新しい温冷感の評価法を提案した(持田・桑原・窪田・長野)。また,屋外における夏服と冬服の着用実験から,著者らが提案した日射の影響を組み込んだSET^*が屋外においても適用可能であることを確認すると共に,屋外熱環境評価のための新しい温熱指標として予想温冷感ETSを開発した。札幌・名古屋での温冷感・快適感申告データから,SET^*の温冷感中立域・快適域を決定した(桑原・堀越・持田)。汗による水分吸収により着衣の電気抵抗が変化すると考え,着衣面の電気抵抗を測定することにより吸汗量を推定する方法を実験により検討した。また同方法を用い,軽装時において,冬期と夏期に40℃に曝露したときの胸部,上腕部,大腿部の局所の放熱過程を測定した結果,皮膚面の受熱量は着衣の表面温度が低下し始めてから,冬期の実測では約10分,夏期の実測では約6分遅れて低下することを確かめた。(垣鍔)。さらに,人体と環境との対流熱交換量を正確に算定するために,椅座・立位時の対流に関与しない面積(非対流伝熱面積)の実測を行った。姿勢による部位別の対流伝熱面積の違いを明確にし,対流伝熱面積を考慮した立位と椅座時の平均皮膚温算出用の重み係数を提案した。全体表面積に比し,対流伝熱面積が小さいほどHardy-DuBoisの平均皮膚温との差が大きいという姿勢に依存する特性を示した(松原)。
著者
齋藤 仁弘 金子 和幸 堀江 康夫 小泉 寛恭 大谷 一紀 五十嵐 孝義 塩田 陽二 吉橋 和江 廣瀬 英晴 西山 實
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.124-130, 2001-03-25
被引用文献数
12

フィラー含有量の多い歯冠用硬質レジン(高フィラー型硬質レジン)の4製品, エステニア(EE, ED), アートグラス(AE, AD), ベルグラスHP(BE, BD), グラディア(GE, GD)のそれぞれ2種類(エナメル用, デンチン用)について, それらの曲げ強さ, 曲げ弾性率, ヌープ硬さ, 吸水量および溶解量を測定した. 試験体の作製は, 製造者指示に従い, 測定結果はt-検定(危険率5%)で統計処理を行った. 曲げ強さは96.2〜210.6MPaを示し, エナメル用ではEE>BE>AE>GE, デンチン用では, BD,ED>AD>GDの順に大きな値であった. 曲げ弾性率は6,8〜24.6GPaを示し, エナメル用ではEE>AE, BE>GE, デンチン用ではBD>ED>AD>GDの順に大きな値であった. ヌープ硬さは42.7〜163.8を示し, エナメル用ではEE>BE>AE, GE, デンチン用ではBD>ED>AD, GDの順に大きな値であった. 吸水量は9.7〜28.1μg/mm3を示し, エナメル用ではGE>AE, BE>EE, デンチン用ではGD>AD>BD>EDの順に大きな値であった. 溶解量は0.2〜0.6μg/mm^3を示し, エナメル用およびデンチン用の両者で有意差は認められなかった. 以上の結果から, 高フィラー型硬質レジンは製品ごとの性質を理解した上で, 適切な症例や応用部位に用いるべきであることが示唆された.
著者
松田 佳紀 堀内 千歌 荒木 卓哉
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学政策研究 (ISSN:2185985X)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.121-130, 2011-03-25

中心市街地の衰退は全国各地で問題になっている。本報告書で取り上げた熊本県八代市本町商店街も郊外大型店舗の進出やモータリゼーションの発達により衰退の一途を辿っている。著者らは高校生と成人を対象としたアンケート調査および実地調査、八代市本町商店街関係者からの聞き取り調査を実施し八代市中心市街地の現状を調査した。調査結果から、中心市街地が生活の拠点としての役割を失っており、高校生に対するアンケート調査では「中心市街地がどこにあるか知らない」という意見まで見られた。調査から確認された消費者の需要をもとに八代市中心市街地活性化策を考案した。商店街に新たな役割を付与することを「元気と潤いのあるまちづくり」と定義付けを行い、本論を展開する。最終的に八代市本町商店街関係者とのディスカッションを経て「一口店主制」を提案する。This paper describes the process of the downtown revitalization project in Honmachi shopping street, Yatsushiro city, and Kumamoto prefecture. There are a number of run-down downtowns across Japan including the Honmachi shopping street. We administered a questionnaire and conducted field observations in order to grasp the situation and yield ideas for the revitalization of the shopping street. Based on the results from these research activities, we propose the "Unit storekeeper system."
著者
堀江 郁美 山口 和紀 柏原 賢二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.9, pp.2830-2839, 2006-09-15
参考文献数
17

ウェブサイトにおいて,一貫性のない構造は読者を混乱させるということが指摘されている.そこで,本研究では一貫性のない構造を発見する方法として高階ランク分析を提案する.高階ランク分析は,ウェブを有向グラフと見なし,非有基的集合論を基にした高階ランクを用いて,ウェブサイトから一貫性のない構造を発見するものである.この高階ランク分析の有効性を確かめるために,4 つのウェブサイトに高階ランク分析を適用し,各々のウェブサイトにおいて一貫性のない構造として発見されるページが特殊なものや誤ったものであることを検証した.An irregular structure that differs from the typical structure in a Web site might confuse readers, thus reducing the effectiveness of the site. In this paper, as a method for detecting such irregular structures, we propose higher-order rank analysis. In the analysis, viewing the Web as a directed graph and employing a higher-order rank based on the non-well-founded set theory, we are able to detect irregular structures differed from the typical structure of a target site. To test the effectiveness of our method, we applied it to several Web sites in actual use, and succeeded in identifying irregular structures within the sites.
著者
市野 素英 田村 智彦 西山 晃 堀田 千絵
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

寄生虫感染症のマラリアでは、免疫応答で重要な役割を果たす樹状細胞(DC)の成熟阻害が起こり、宿主が免疫抑制状態に置かれることが知られている。しかし、その分子メカニズムはよく判っていない。本研究では、マラリア原虫感染赤血球が宿主の骨髄細胞に作用し、DCの分化に必須の転写因子IRF4/IRF8の発現を転写レベルで抑制してDCの分化異常を起こすことを、マウスマラリアモデルを用いた解析により明らかにした。
著者
任 之家 堀田 良和 鈴木 智 野波 健蔵 安田 憲太 平林 大輔 古屋 光啓
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第50回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.92, 2007 (Released:2008-12-11)

QTWは科学観測等での利用を目的として開発中の無人航空機で、プロペラ付翼のティルト角を変更することにより、ヘリコプタモードからエアプレンモードへと連続的に飛行することが可能である。ヘリコプタモードの姿勢ダイナミクスをシステム同定手法により分析し、LQIコントローラを設計した。また、任意のティルト角でのマニュアル飛行を可能にする装置(PFCS)と自律制御器を組み合わせ、オペレータ支援用自律制御システムを設計し、有効性を検討した。
著者
新堀 敏基 相川 百合 福井 敬一 橋本 明弘 清野 直子 山里 平
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
Papers in Meteorology and Geophysics (ISSN:0031126X)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.13-29, 2010 (Released:2010-12-28)
参考文献数
60
被引用文献数
6 10 1

気象庁では、火山現象予報の一つとして、2008年3月31日から降灰予報の業務を開始した。この論文では、降灰予報を高度化するために気象庁・気象研究所で開発している降灰予測システムを用いて、降灰量の量的予測を行う方法について論じる。降灰予測の方法は、まず初期値となる噴煙柱モデルを、仮想質量をもつ火山灰トレーサーで構成する。次に、トレーサーの時間発展を移流拡散モデルにより計算する。火山灰移流拡散モデルは、気象場に気象庁メソ数値予報モデル(MSM)を用いたラグランジュ記述のモデルであり、移流・拡散・降下・沈着の各過程を考慮している。そして沈着したトレーサーの仮想質量から、単位面積あたりの重量(面密度)として降灰量を算出する。噴煙柱モデルに気象レーダーで観測された噴煙エコー頂高度を用い、降灰量の算出にMSMより細かい水平格子間隔を用いて、本方法を2009年2月2日浅間山噴火の事例に適用した。観測値と比較して、降灰域の定性的な特徴は概ね予測でき、分布主軸上の降灰量も同じオーダーで予測可能であることが示された。
著者
堀之内 妙子
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

【発芽停止因子(Germination Arrest Factor : GAF)であるFVGの全合成研究】現在広く用いられている除草剤は作物と雑草間の選択性が低く、また除草剤の利用という行為自体が耐性株の出現リスクを負うことが問題となっている。そのため、今後は新たなメカニズムによる優れた選択性を有する除草剤の開発が望まれる。4-Formylaminooxyvinylglycine(以下FVG)は、根圏バクテリアの一種Pseudomonas fluorescence WH6から単離された二次代謝産物である。FVGは、雑草として広く知られるスズメノカタビラなどの単子葉類の種子の発芽を停止する一方で、ニンジンやタバコなど双子葉類の生長にはほとんど影響を与えない。そのため選択的除草剤としての可能性を有している。そこで筆者は、FVGが有する特異なホルムアミドオキシビニル構造の構築法の確立、作用メカニズムの解明に貢献しうる環境に依存しない恒常的な試料供給、類縁体展開による優れた除草剤候補化合物の創製につながると考え、FVGの合成研究に着手することとした。L-メチオニンからチオアセタールを調製し、SMe基を脱離させることでFVGの骨格構築を試みた。しかしながら塩基存在下で銀塩や水銀塩を作用させたところ、アルデヒドが少量得られるのみであった。そこでチオアセタールを酸化して得たスルホキシドの熱分解によるFVGの骨格構築を試みたが、この際は系中で生じたFVGの保護体がN-O結合の開裂を伴い分解したことを示すような副生物が得られた。この知見をもとに、よりマイルドな反応によるFVGの骨格構築法を考案し、L-メチオニンから調製したデヒドロ体に対し、ヒドロキサム酸を用いてオキシマーキュレーションと続く逆チオマーキュレーションを行うことでFVGの保護体をE体選択的に得、保護基の除去によりFVGを重水溶液として得た。水銀を用いた本反応は新規性を有し、ビニルグリシン類縁体など他の天然物を始めとする生理活性有機化合物の合成研究に応用可能であると考えられる。本研究成果はFVGの類縁体展開も可能とするものであり、新規除草剤開発に向けてその礎を築くことができたと考えている。
著者
清川 昌一 伊藤 孝 池原 実 山口 耕生 堀江 憲路 菅沼 悠介 尾上 哲治 奈良岡 浩
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は32-30億年前の太古代中期海底堆積物と22億年前の原生代堆積物をターゲットにし,地球の歴史上最も変化が大きいとされる環境変化の記録を地層から紐解いた。1. ピルバラにて地層掘削を行い200mの32億年前の縞状鉄鉱層の掘削に成功した.世界初,この時代の新鮮で連続性の良いコアを獲得した.2.同地区の縞状鉄鉱層の掘削現場の側方層序比較し,比較的浅い海の堆積物であることがわかった.3.掘削コアの化学分析:当時の海の硫黄同位体が現在と類似し,すでに酸素を供給するシステムの可動が確認できた.4.ガーナ,ベリミアン帯において,原生代の海底の証拠地層を復元し,海洋性島弧近傍環境を復元した.