著者
太田 麻衣子
出版者
史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.98, no.2, pp.354-387, 2015-03

江蘇省淮安市から出土した運河村墓は戦国中後期の境に造営された楚国の墓とされ、楚が前四世紀末には[カン]溝以東まで支配を拡大していた証左とされた。しかし本稿では同墓が土着の習俗を保持した楚墓とは異質な墓であることを指摘し、江東の情勢と比較することで、淮安に楚の実効支配が及んだのは戦国後期以降だったことを明示した。つまり戦国中期には楚が淮河・長江両下流域をも支配するようになっていたとする従来の認識は誤っており、春秋戦国に江漢地区で栄えた楚と秦末漢初に江淮地区で興った楚とを単純に同一視することはできないのである。秦末に楚の勢力として挙兵した人々のなかには戦国時代に楚の支配を短期間しか受けていない地域の人々も少なくなかったのであり、淮安出身の韓信もその一人だった。彼らが楚のもとに結集した一要因としては楚文化の共有が指摘でき、今後は漢帝国の成立に楚文化が果たした役割について考えていく必要がある。
著者
太田 勝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DC, ディペンダブルコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.402, pp.13-18, 2006-12-01

踏切障害物検知やプラットホーム転落検知を、カメラなどの視覚センサを使って実現しようという動きがある。これは画像処理技術を使ってカメラで捉えた画像から対象とする事象を自動的に検知(画像検知)する安全監視システムである。画像検知は他のセンサ方式と比較した場合、広範囲なセンシングが可能であり、今後この技術を用いた安全監視システムが徐々に実用化されていくものと考えられる。しかしその評価指針はまだ存在しない。そこで関連指針の調査、および画像検知を鉄道安全監視システムに用いるための評価指針の検討を実施した。
著者
川戸 明子 太田 仁 伊丹 昌一
出版者
梅花女子大学
雑誌
梅花女子大学心理こども学部紀要 (ISSN:21860726)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.43-66, 2014

特殊教育から特別支援教育への改革により、教育界では、特別支援学校のみならず、通常の学校においても特別支援教育の知識や経験が必要とされてきている。しかし、学校においては、団塊の世代の大量退職以降日本の教員の年齢構成の不均衡が蓄積された教育実践力の伝承を困難なものとしている。これまでの専門的な知識や技能、有用な教材教具の継承を実現することは教育現場の喫緊の課題である。本報告は、授業の流れに沿った障害種別ごとの児童生徒への配慮点に焦点を当て、経験の少ない教員が授業における配慮点を理解し、指導に生かすことを目的として、配慮事項を一覧表として示し、自己チェックできる「授業改善にむけてのふりかえりシート」(以下「ふりかえりシート」)を、大阪府立支援学校の管理職や教員の協力を得ながら5 年かけて作成した経緯を『特別支援学校における「指導実践改善シート」~1作成までの経緯~-視覚障害・聴覚障害・知的障害・肢体不自由・病弱・発達障害児の適性指導の共有に向けて-』としてまとめたものである。Not only the schools for special needs education but also the regular schools are in need of knowledge and experiences of special needs education since the change was made from "special education" to "special needs education." However, at the places of education, the age distribution of teachers is unbalanced since the mass retirement of Japan's "baby boomers," which makes it difficult to hand down the accumulated educational practices to the next generation and share the versatility of those practices. Therefore, it is the urgent task for the field of education to realize the application of special knowledge and skills adapted to the situation, acquired by the past practices of special needs education and the succession of effective teaching materials. In addition, to provide special support for the children and students with the wide range of disabilities and impairments at the regular schools, it is necessary for the teachers to acquire not only the knowledge and skills about the specific disability or impairment but also the wide range of practical teaching ability in special needs education. Under the current circumstances of education as described above, this report summarizes the development process of the self-rating "Evaluation Sheet for the Improvement of Educational Practices at the Schools for Special Needs Education (hereinafter,"K-ESIPS")." The evaluation criteria are the consideration points along the lesson process for the children and students with special needs, which are listed for each type of disabilities and impairments. It took 5 years to develop with the cooperation of the managerial staff and teachers of the Osaka Prefectural Schools for Special Needs Education.
著者
川戸 明子 太田 仁 伊丹 昌一
出版者
梅花女子大学心理こども学部
雑誌
梅花女子大学文化表現学部紀要 = Baika Women's University Faculty of Cultural and Expression Studies bulletin (ISSN:13499750)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.43-66, 2014

特殊教育から特別支援教育への改革により、教育界では、特別支援学校のみならず、通常の学校においても特別支援教育の知識や経験が必要とされてきている。しかし、学校においては、団塊の世代の大量退職以降日本の教員の年齢構成の不均衡が蓄積された教育実践力の伝承を困難なものとしている。これまでの専門的な知識や技能、有用な教材教具の継承を実現することは教育現場の喫緊の課題である。本報告は、授業の流れに沿った障害種別ごとの児童生徒への配慮点に焦点を当て、経験の少ない教員が授業における配慮点を理解し、指導に生かすことを目的として、配慮事項を一覧表として示し、自己チェックできる「授業改善にむけてのふりかえりシート」(以下「ふりかえりシート」)を、大阪府立支援学校の管理職や教員の協力を得ながら5 年かけて作成した経緯を『特別支援学校における「指導実践改善シート」~1作成までの経緯~-視覚障害・聴覚障害・知的障害・肢体不自由・病弱・発達障害児の適性指導の共有に向けて-』としてまとめたものである。
著者
太田 茂
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.226-231, 2016

日本薬学会は1880年創立当初より学会論文誌を継続して刊行しており,現在は英文誌として『Chemical and Pharmaceutical Bulletin』と『Biological and Pharmaceutical Bulletin』の2誌と,和文が主である『薬学雑誌』を毎月発行している。これらの学会論文誌はいずれもJ-STAGEによりオープンアクセス誌として公開されている。また,2016年5月に試験的に公開された「J-STAGE評価版」に協力し,英文誌2誌をモデル誌として公開している。J-STAGE評価版は,スマートフォン等のモバイル端末での閲覧が可能となり,特に若い世代における閲覧の増加が期待できると考えている。
著者
太田 茂
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.226-231, 2016

日本薬学会は1880年創立当初より学会論文誌を継続して刊行しており,現在は英文誌として『Chemical and Pharmaceutical Bulletin』と『Biological and Pharmaceutical Bulletin』の2誌と,和文が主である『薬学雑誌』を毎月発行している。これらの学会論文誌はいずれもJ-STAGEによりオープンアクセス誌として公開されている。また,2016年5月に試験的に公開された「J-STAGE評価版」に協力し,英文誌2誌をモデル誌として公開している。J-STAGE評価版は,スマートフォン等のモバイル端末での閲覧が可能となり,特に若い世代における閲覧の増加が期待できると考えている。
著者
稲熊 隆博 太田 英明
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.1-5, 2009-01-15
被引用文献数
1

宇宙日本食の開発は、2002年2月に(社)日本食品科学工学会が宇宙航空研究開発機構(JAXA)の前身である、宇宙開発事業団(NASDA)から「宇宙食としての日本食の開発に関する研究」の委託を受けたのが始まりである。(社)日本食品科学工学会を中心に、大学や公的研究機関と日本の食品企業でプロジェクトチームが組織された。開発のための取り組みとして、日本における宇宙食の認証のための規格・基準作り、その運用などがあげられた。現在、それらがまとめられ、JAXA. HP.宇宙日本食(http://iss.jaxa.jp/spacefood/index.html)に提示されている。ただ、当時それらの課題解決のための考え方や進め方がわからなかった。宇宙食の開発およびその現状把握を含め、米国のNASAへ調査することになり、2002年3月にジョンソン宇宙センター(JSC;テキサス州、ヒューストン)とケネディー宇宙センター(KSC;フロリダ州、オーランド)を訪問した。そのときの調査に参加した食品企業である、味の素(株)、日清食品ホールディングス(株)、理研ビタミン(株)、ヤマザキナビスコ(株)、そしてカゴメ(株)と学会関係者、NASDAのメンバーは、「宇宙日本食を創る」という強い意志を確かめ合って、「ドリーム・チーム」と呼ぶことにした。なお、その後「ドリーム・チーム」には、ハウス食品(株)、尾西食品(株)、三井農林(株)、(株)マルハニチロホールディングス、山崎製パン(株)、キューピー(株)、そして新規の容器開発で大日本印刷(株)が加わった。本報告では食品企業における「ドリーム・チーム」の活動についてまとめることにする。
著者
太田 信介 松井 義郎 福留 文乃 海野 智 大村 進 藤内 祝
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.623-627, 2007-10-20 (Released:2011-04-22)
参考文献数
12
被引用文献数
1

Although varicella zoster virus (VZV) infection commonly occurs in the oral and maxillofacial region, tooth exfoliation and alveolar osteonecrosis are relatively rare complications. We describe two cases of tooth exfoliation and alveolar osteonecrosis caused by VZV infection of the trigeminal nerve and review the literature. A 66-year-old man and a 38-year-old man were referred to our hospital because of tooth exfoliation. The first patient had a history of spinocerebellar degeneration, and the second had a history of chronic myelogenous leukemia. Tooth exfoliation occurred on day 21 and day 25 after the onset of VZV infection, respectively. Clinicopathological examination in the first patient revealed actinomyces infection. Panorama x-ray films obtained previously in the second patient revealed no evidence of severe periodontal disease before VZV infection. These findings suggested that tooth exfoliation and osteonecrosis by VZV infection were not only caused by existing severe dental infectious disease, but also by various factors such as multiple oral bacteria, tissue reaction to VZV infection, and compromised status.
著者
佐藤 翔 井手 蘭子 太田 早紀 林 直樹 道浦 香奈 副田 沙織
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.195-200, 2016
被引用文献数
1

本研究では同志社大学の学生102名を対象に2015年に実施した質問紙調査の結果に基づき,日本の大学生のWikipediaに対する信憑性認知や,学習におけるWikipediaの利用実態を明らかにするとともに,どのような要因が信憑性認知や学習における利用に影響を与えるかを検証する.分析の結果,回答者はWikipediaをどちらかと言えば信憑性のあるものと考えており,レポート作成等にも用いているが,参考文献には挙げない傾向があること等がわかった.
著者
門間 義之 入江 一成 太田 紀久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SST, スペクトル拡散 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.98, no.213, pp.1-6, 1998-07-24

筆者等は、地域の一般家庭あるいは中小ビジネスユーザに利便性の高いコンピュータ通信サービスを経済的に提供することを目的として、地域情報ネットワークシステムの開発を進めている。登録ユーザ間でPCを利用したコネクションレス通信を行えるグループ通信サービスを提案し、これまでに、大規模ユーザを効率的に収容可能とするための多重化ブルータ、宅内にLANと同じイーサネットインタフェースを提供するためのローエンドカード、並びにグループ管理サーバを開発し、実験システムによる基本特性確認を行った。今回、本システムを実際に地域に展開する場合を想定し、複数のセンタ(収容局)あるいは多重化ブルータを結ぶ加入者収容形態について検討を行った。実際の実験システムにより多重化ブルータを跨る場合のスループット特性を明らかにする。また、他地域との接続サービスについても述べる。
著者
藤川 賢治 太田 昌孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICSS, 情報通信システムセキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.86, pp.57-62, 2009-06-11

本稿では階層化QoSルーティングプロトコルHQLIPにおける広告メッセージ削減手法を説明し評価を行う。HQLIPでは「より悪い情報」か「同じかより良い情報」によって広告間隔を変化させることで、過大広告を禁止しつつ広告頻度を低く一定に保つ。HQLIPの広告手法によりシグナリング開始後の失敗を排除する広告量削減が可能となり、クランクバックが不要となる。
著者
田中 智夫 太田 光明 植竹 勝治 江口 祐輔 タナカ トシオ オオタ ミツアキ ウエタケ カツジ エグチ ユウスケ Toshio Tanaka Mitsuaki Ota Katsuji Uetake Yusuke Eguchi
雑誌
麻布大学雑誌 = Journal of Azabu University
巻号頁・発行日
vol.11/12, pp.126-129, 2005 (Released:2012-09-12)

動物介在療法AATや動物介在活動AAAにに参加するイヌには,何らかのストレスが負荷されていることが知られていることから,本研究では,AAAにおける活動形態の違い及び活動経験に伴う慣れと,イヌのストレスとの関係について調査することを目的としたが,初年度はまず1つの施設において,慣れについて検討した。都内の特別養護老人ホームで活動するボランティア団体を調査対象とし,1年間にわたり毎月1回の活動時におけるイヌの行動と,活動前後の尿中カテコールアミン濃度を測定した。その結果,A及びNAの活動前後の濃度差は,活動回数を重ねるごとに直線的に有意に減少し,介在活動に参加するイヌは,活動への参加初期には少なからずストレスを感じていることがうかがわれた。また,介在活動に参加するイヌのストレスは,ヒトとの直接的な触れ合いというよりは,高齢者施設などの新奇刺激のほうが大きく影響しており,ハンドラーによる日常と異なる場面での行動・姿勢の制御も大きく関わってきていることが示唆された。2年目には,活動形態の異なる施設(高齢者が円状に位置し,その中を活動スペースとする「イヌが囲まれる」方法と,高齢者が向かい合って2列に並び,その間を活動スペースとする「イヌが囲まれない」方法)において,同様の活動を行うボランティア団体を調査対象として,原則として1年間毎月1回の調査を行った。いずれの施設においても,供試犬の尿中カテコールアミン濃度は,活動日の朝に比べて活動後に有意に上昇した。しかし,活動形態の違いによる差は認められず,高齢者の並び方といった要因は,「触れられる」,「行動を制御される」などの負荷がかけられる中では,大きな影響は認められなかった。各行動形の生起頻度や時間にも,活動形態による違いは認められなかった。なお,イヌの体格によって,ふれあい活動の内容や状況が異なることから,今後,犬種や活動内容とストレス強度との関係についても検討が必要であろう。 Stress states of dogs under an animal-assisted activity (AAA) in a nursing home were assessed by observing the dogs' behavior and urinary catecholamine concentration. In the first year, data collection was done every month in order to study the effects of habituation to AAA on the stress level changes of dogs. The results showed that even the dogs with AAA experience might feel some degree of psychological stress during AAA especially in the novel environment. Behavior of dogs was not affected by the AAA experience. In the second year, the similar program was conducted in the other three nursing homes, and the effects of contents of AAA were studied. In the two homes, the elder people sat in a circle around the dogs and their owners (C). In another home, the elder people sat in a double rank (R). Twenty-four dogs aged 2.3-7.7 years were used in total. Urine was gathered on the previous day of AAA (T1), in the morning of AAA (T2) and just after AAA (T3). Catecholamine concentrations of T1 and T2 urine were significantly different (p<0.01). Therefore, T2 urine was used as a baseline, and the difference of catecholamine concentrations between T2 and T3 urine was compared between C and R. Adrenaline (A) and noradrenaline (NA) concentrations of T3 urine were significantly higher than those of T2 urine in both C and R conditions (all : p<0.05). Dopamine concentrations of T3 and T2 urine were almost the same. These results showed that the dogs might feel some degree of psychological stress during AAA program. But the contents of AAA especially the position of elder people did not affect the stress level of the dogs.
著者
加藤 弘通 太田 正義
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.147-155, 2016
被引用文献数
7

本研究の目的は, 中学校における学級の荒れと規範意識および他者の規範意識の認知の関係について検討することにあった。そのために公立中学校2校の中学生1~3年生906名を対象に質問紙調査を実施した。学級タイプを通常学級と困難学級に, 生徒タイプを一般生徒と問題生徒に分け分析を行った結果, 規範意識に関しては通常学級と困難学級では差は見られなかったが, 他の生徒の規範意識に関しては, 通常学級と困難学級で差が見られ, 困難学級の生徒のほうが学級全体の他の生徒の規範意識をより低く評価していた。以上のことから, 学級の荒れには, 生徒自身の規範意識の低下が関係しているのではなく, 他の生徒の規範意識を低く見積もる認知が関係していることが示唆された。こうした結果をふまえ, 学級の荒れを解決するためには, 従来から指摘されている生徒の「規範意識の醸成」よりも, 実際にはそれほど低くない他の生徒の規範意識を知ることが必要であり, そのための手立てとして, 生徒相互の「規範意識を巡るコミュニケーション」の活性化が必要だろうということが議論された。

1 0 0 0 OA 三河

著者
太田亮 著
出版者
磯部甲陽堂
巻号頁・発行日
1926
著者
太田克明
雑誌
在来家畜研究会報告
巻号頁・発行日
vol.9, pp.53-94, 1980
被引用文献数
2