著者
宗兼 麻美 大橋 英智 太田 仁士 里見 和彦
出版者
川崎医科大学
雑誌
川崎医学会誌 (ISSN:03865924)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.51-55, 2015

ビタミンB1欠乏は急性心不全,末梢神経障害,ウェルニッケ脳症など重篤な病態をきたしうるため,プライマリケア医が認識しておくべき重要な病態と考える.今回,我々は胃切除後にWernicke脳症を発症した症例を経験したため文献的考察を加え報告する.患者はアルコール多飲歴,偏食はないが,7年前に胃全摘術(Roux-Y 再建)を受けている.入院時,回転性めまい,複視,歩行障害,下肢の感覚低下を認め,腰椎疾患やフィッシャー症候群などを疑い検査を行ったが特徴的な所見が得られなかった.第40病日に意識レベルの低下と小脳症状,眼球運動障害の増悪を認めた.頭部MRIで中脳水道や小脳虫部に左右対称性の高信号域を認め,Wernicke脳症として治療を開始した.治療開始前の血清ビタミンB1濃度は低値であった.治療開始後,意識レベル,眼球運動障害は改善したが,呼吸筋の筋力低下が出現し,肺炎にて第60病日に永眠された.胃切除後の患者に点滴を行う際にはビタミンB1を補充したものを投与するべきである.
著者
茨木 俊行 池田 浩暢 太田 英明
出版者
Japan Association of Food Preservation Scientists
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 = Food preservation science (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.3-7, 1997-01-25
被引用文献数
4

葉ネギのMA貯蔵に適した雰囲気ガス条件を得るため, 15℃の環境下において種々のガス濃度組成が呼吸速度, 成分および鮮度保持力に及ぼす影響を検討した。<BR>二酸化炭素排出速度は, 大気下の葉ネギでは111mgCO<SUB>2</SUB>/ kg/ hrであったが酸素濃度の低下 (二酸化炭素濃度の上昇) とともに減少した。大気下や, 酸素濃度が高く, 二酸化炭素濃度が低い雰囲気下のものではアスコルビン酸含量, 全糖含量およびグロロフィル含量は経時的に減少した。しかしながら, 酸素濃度と二酸化炭素濃度がそれぞれ7.6と4.1%のものではこれらの成分の低下は認められなかった。葉先枯れも酸素濃度が低いほど抑制できた。葉ネギの鮮度を保つには酸素と二酸化炭素の濃度をそれぞれ7.6%と12.6%から4.1%と17.1%に保つと良いと考えられた。
著者
尾﨑弘明 新妻弘崇 太田学
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告データベースシステム(DBS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.14, pp.1-7, 2013-11-19

英語を母語としない日本人には英語の冠詞の適切な使い分けは難しい.そこで我々は,類型化した冠詞の用法に重みを付与することで,冠詞を含むフレーズの検索結果数と冠詞の用法を組み合わせたスコアを算出し,それを基に冠詞を修正する手法を提案した.しかし,冠詞の用法と検索結果数を組み合わせて適切に冠詞を判断することは難しく,改善の余地があった.そこで本稿では,検出した冠詞の用法と検索結果数を素性として機械学習により冠詞を判別する方法を提案する.また実験により,両手法による冠詞誤りの修正性能を比較する.
著者
林 和弘 太田 暉人 小川 桂一郎
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構 一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.91-94, 2005

日本化学会は1989年から英文論文誌の電子化に着手し,試行錯誤の末,J-STAGEを効果的に利用した日本独自の電子ジャーナルを構築した.その結果,読者数の増大と,投稿数の増大につながり,出版期間の短縮と事業収支の改善にも成功した.この結果を踏まえて,2005年より電子ジャーナル有料制限を開始した.本稿では日本化学会電子ジャーナル事業の現状と,オープンアクセスへの対応,さらに,より良質のジャーナルを目指して行っている取り組みを紹介する.
著者
磯野 啓之介 森田 浩智 星野 尋志 片倉 健男 渡辺 尚美 鈴木 利昭 太田 和夫
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR ARTIFICIAL ORGANS
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.115-118, 1985

現在、CAPD療法における最も大き左問題として、腹膜炎がある。我々は灌流液バツグの交換操作ミスによる腹膜炎を減少させるため、火炎滅菌を用いたジヨイント方式(FLAMELOK®)を開発し臨床を行つてきた。第四回のISAOのシンポジウムにおける太田らの発表によれは、腹膜炎の発生率は非常に低かつた。しかし、セラミツクスジヨイントについて破損や閉塞左どの点を指摘された。そこでセラミツクスジヨイントの材質を改良し、耐久性・安全性の面から従来のものと比較検討をした。耐熱性, 強度などの物性は従来より向上し、滅菌性能については同等か、やや優る結果を示した。また灌流液に与える交換操作の影響として、ブドウ糖の熱分解生成物である5-ヒドロキシメチルフルフラールの定量を行つたが、濃度の変動はほとんどなかつた。以上のことからFLAMELOK®システムの安全性はさらに向上したものと考えられる。
著者
藤田 葵 熊倉 克元 太田 能之 石橋 晃
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.141-144, 2015-02

水の固体は氷,液体は水,気体は水蒸気,天から降る水は雨,飲用にするものを飲料水,海にある水は海水,地下にある水は地下水,用途により農業用水,工業用水,上水,下水,不純物をほとんど含まないものは純水と呼び分けられる。飲用水は井戸水,水道水,さらに特定の地下水には温泉水,鉱泉水,湧水,井戸水,水源から採水された地下水を沈殿,濾過,加熱を施した水がナチュラルウォーター,その中で,手を加えない自然の状態でミネラルが溶け込んでいる鉱水,鉱泉水をナチュラルミネラルウォーター,原水は前者と同じで,ろ過および加熱殺菌以外に複数の原水の混合,ミネラル分の調整,オゾン殺菌,紫外線殺菌を施した水をミネラルウォーター,原水は純水,蒸留水,河川の表流水,水道水を処理方法の限定なしの水をボトルドウォーターと呼び分けている。
著者
松本 隆之 北川 貴士 木村 伸吾 仙波 靖子 岡本 浩明 庄野 宏 奥原 誠 榊 純一郎 近藤 忍 太田 格 前田 訓次 新田 朗 溝口 雅彦
出版者
日本水産工学会
雑誌
水産工学 (ISSN:09167617)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.43-49, 2013-07-15

メバチThunnus obesusおよびキハダThunnus albacaresは三大洋の熱帯域を中心に温帯域にかけて広く分布し,日本をはじめとする各国により漁獲され,マグロ属魚類の中でもっとも多獲さる重要種である。大型魚,特にメバチは主としてはえなわ漁業で,小型魚はまき網,竿釣り等の漁業で漁獲される。日本沿岸においては,小型の竿釣り,曳縄等の漁業でも漁獲されており,それらの漁業にとっても重要な魚種である。しかしながら,これら2種については資源の減少もしくは低水準での推移が見られ,その動向には注視する必要があり,また,資源学的研究の強化,およびより精度の高い資源評価が望まれる。そのためには,移動,遊泳行動等の生物学的パラメーターのより詳細な解明も必要である。
著者
内布 直毅 友永 千晴 横田 光広 太田 喜元 藤井 輝也
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集 平成24年度電気関係学会九州支部連合大会(第65回連合大会)講演論文集
巻号頁・発行日
pp.427, 2012-09-14 (Released:2014-12-17)

セルラー移動通信において静止環境や歩行程度の低速移動環境下での通信が急増している。このような環境下では自ら走行する場合とは異なり、周囲の環境変化によって伝搬変動を受ける。屋内環境下で端末が静止している場合に周囲の環境変化を与えるパラメータ(人)を直接考慮できる新たな伝搬モデルが提案されている。提案モデルでは、運動体である人を直径の2次元円盤(円柱)とし、端末に到来する電波を完全に遮断し、すべてを吸収する「完全吸収体モデル」を仮定している。 本報告では、人物が存在する場合の電波減衰特性についての実験結果と数値計算との比較と検討を行う。
著者
太田 有 大田 英輔 田島 清〓
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.54, no.500, pp.890-899, 1988-04-25
被引用文献数
5

Fan noise data are categorized into source characteristic terms and a frequency response term expressing attenuation in the propagation passage. These terms are determined by sweeping the fan speed from 1000 to 4500 rpm. The fan specific speed and the impeller diameter are 42 and 460 mm. The blade number is 12. By setting the exponent in a power law relationship of sound pressure level versus frequency as 3, two factors describing the source level are determined with simple relationships to the scroll cut-off location. By selecting the distance, the noise level is possibly reduced by more than 10 dB without influencing fan performance. The frequency response if satisfactorily presented by introducing a one-dimensional linear wave model, where the key passage is blade passages selectively determined by the noise wavelength. By choosing the blade number or the inlet duct length so that a frequency of the maximum attenuation is achieved, a noise reduction of 10 dB is again expected.
著者
加藤 千佳 太田 昇一
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.3-8, 2007 (Released:2010-08-25)
参考文献数
11

葛飾北斎は, 国際的にも有名な日本を代表する絵師の1人である.北斎の代表作である浮世絵風景版画シリーズ「冨嶽三十六景」中の作品「神奈川沖浪裏」は芸術性の高い作品として知られている.本研究において, その作品の芸術性を高めている重要な要因の1つが北斎独特の構図に因ることを幾何学的な見地から検証する.はじめに北斎が考案し, 絵手本の中で紹介した「三ツワリ法」を用いて, 題材が共通していることから原型となった作品であると推察されている「おしおくりはとうつうせんのづ」との相関性について比較考究する.さらに北斎独特の構図に潜む比の果たしている役割について考察を行い, 本研究の主要な成果である『構図の要となる黄金矩形が存在する』ことを幾何学的に立証する.
著者
竹内 政保 川村 三郎 菅原 正義 鈴木 陽子 蔀 花雄 尾形 ひろ美 太田 冨貴雄 綾野 雄幸
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.165-171, 1987-08-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
13
被引用文献数
2 1

トウモロコシ外皮から調製したDF素材 (RCB) をラットに投与し, 食物残渣の腸内通過時間に及ぼす影響, ならびにRCBを添加したビスケットを女子大生 (221人) に摂食させ, 排便状況をアンケート調査により調べた。1) 飼料中に, RCBをNDF含量5%レベルで添加して成熟ラットに投与し, 食物残渣の腸内通過時間を測定した。糞が出終わるまでの時間は, DF無添加群50.8±1.2時間に比して, RCB群32.5±1.2時間と有意に短縮された。また, 糞の水分含量もDF無添加群40.6±1.6%に比べて, RCB群46.0±0.3%と有意に高い値を示した。RCBは比較として用いたWBとほとんど同じ結果を示した。2) 女子大生 (18~19歳) を被験者とし, 1日当たり5.5gのDFを強化したRCB添加ビスケットを2週間継続して摂食させ, 排便状況について調べた。その結果, 毎日排便のある人が37.6%から60.2%に増加した。被験者のうち, 便秘症とみなされる人は25.8%含まれていたが, 1週間のビスケットの摂取により, その59.6%の人に便秘改善効果が認められた。
著者
門間 義之 入江 一成 太田 紀久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.98, no.212, pp.1-6, 1998-07-24

筆者等は、地域の一般家庭あるいは中小ビジネスユーザに利便性の高いコンピュータ通信サービスを経済的に提供することを目的として、地域情報ネットワークシステムの開発を進めている。登録ユーザ間でPCを利用したコネクションレス通信を行えるグループ通信サービスを提案し、これまでに、大規模ユーザを効率的に収容可能とするための多重化ブルータ、宅内にLANと同じイーサネットインタフェースを提供するためのローエンドカード、並びにグループ管理サーバを開発し、実験システムによる基本特性確認を行った。今回、本システムを実際に地域に展開する場合を想定し、複数のセンタ(収容局)あるいは多重化ブルータを結ぶ加入者収容形態について検討を行った。実際の実験システムにより多重化ブルータを跨る場合のスループット特性を明らかにする。また、他地域との接続サービスについても述べる。
著者
入江 一成 首藤 晃一 太田 紀久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TM, テレコミュニケーションマネジメント
巻号頁・発行日
vol.98, no.543, pp.1-6, 1999-01-21

筆者等は、ホームユーザあるいは中小ビジネスユーザを対象に、登録メンバ間で自由にPC通信が可能なグループ通信サービスを提供できる地域情報ネットワークシステムの開発を行ってきた。これまでSTM-PDSアクセスシステム用として、ユーザ宅に設置され10Base-Tインタフェースを提供するローエンドカード、センタ側に設置され多数のユーザを収容する多重化ブルータおよびグループ管理サーバからなる実験システムを開発した。今回、STM-PDS帯域共用方式やケーブルモデム等のアクセス系システムにも適用できる汎用的なシステム構成について検討を行ったので報告する。ユーザ端末からのイーサネットパケットをエッジ装置でIPパケットにカプセル化し、ユーザ端末のMACアドレスに基づいてフィルタリングを行うMAC-over-IPによるグループ通信方式およびARP制御による処理量低減方式を提案する。
著者
太田 奈穂樹 岩本 良二 相場 伸 村川 雄大 棟方 栄治 川口 龍一
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本鑑識科学技術学会誌 (ISSN:13428713)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.95-102, 2004 (Released:2007-11-07)
参考文献数
8
被引用文献数
1

In a recent murder case, many feathers were left at the crime scene and collected for analysis. It seemed they were likely left from the suspect's torn jacket. Goose and duck downs are commonly used for clothes and bedclothes, especially in high quality goods where goose feathers are used most often. Unfortunately, at the time of the murder there were few studies in Japan about down identification. This paper presents how to identify goose and duck downs by microscopy.   Ten downs were removed at random from each stuffed bird from sixty-one species at the prefectural museum. Ten downs were removed at random from ten geese and ten ducks, respectively, at the prefectural farm. Therefore, the authentic sample set (family or species known) included ten downs each from eighty-one birds, representing sixty-three species. In addition, two hundred goose downs and two hundred duck downs were obtained from samples supplied by the Japan Spinners Inspecting Foundation in Tokyo.   These down samples were examined microscopically with respect to eight morphological characteristics: full length, color, node shape, maximum node width, maximum node interval, node distribution, node density (number of nodes per mm) and pigment distribution. Morphological data from geese were compared with ducks and analyzed statistically using F-test.   Duck and goose downs are identified primarily by their triangular nodes. In birds of the sixty-three species other than those from the duck and geese species, triangular nodes were found only in the Anatidae, Columbidae and Psittacidae families. Fortunately, it was quite simple to distinguish the families by the node distribution along the shaft of the barbules. For example, the Anatidae family has triangular nodes only toward the tip of the barbule, the Columbidae family has them mainly toward the base of the barbule, and the Psittacidae family has them uniformly distributed along the shaft of the barbule. Based on feather nodes, both goose and duck can be placed in the Anatidae family. Nevertheless, they can be distinguished. Goose has wider maximum node intervals than the duck, usually more than fifty-five micrometers. On the other hand, duck has higher node density than the goose, more than sixteen per mm. Statistical analysis using the F-test showed that the maximum node interval and node density were useful characteristics for distinguishing a goose from a duck down.