著者
安藤 温子 安藤 正規 井鷺 裕司
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.77-89, 2020 (Released:2020-05-21)
参考文献数
36

DNAメタバーコーディングは、複数の生物由来のDNAが混在するサンプルについて、特定のDNA領域の塩基配列を次世代シーケンスによって大量並列的に解読し、データベースと照合することでサンプルに含まれる分類群を同定する手法である。糞のDNAメタバーコーディングによる食性研究は、対象種の詳細な食性を非侵襲的に評価する手法として注目されており、植食性動物については哺乳類を中心に研究が蓄積されつつある。本稿では、本手法に興味を持つ研究者に実践的な技術提供を行うことを目的とし、著者らが実際に行った分析手法を紹介する。本稿では農地で採食する水鳥と森林で採食するニホンジカ、カモシカを対象とし、糞のサンプリング、DNA抽出、糞を排泄した動物種の判別、次世シーケンサーを用いた食物DNAの塩基配列解読と分類群同定、食物の候補となる植物のデータベース作成までの各工程について、詳細なプロトコルを公表する。これらのプロトコルを多くの研究者に実践していただくことで、本手法の精度が向上し、多様な研究テーマに活用されることを期待したい。

11 0 0 0 OA 国語学概説

著者
安藤正次 著
出版者
広文堂
巻号頁・発行日
1929
著者
高埜 利彦 武内 房司 安藤 正人 保阪 裕興
出版者
学習院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

中国・韓国・ベトナムのアーカイブズ制度について、相互交流を通して学んだほか、アメリカのアーカイブズ学研究・教育の特質を、テキサス大学教授を招聘して学び理解を深めた。また日本国内各地にあるアーカイブズ(文書館)の現状視察をするとともに、歴史的な史料保存機関として真宗高田派本山専修寺門跡(三重県津市)の所蔵史料調査を行い、日本のアーカイブズ制度の特徴を検討し、他国との比較を行う中でその特質を把握した。
著者
安藤 正幸
出版者
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
雑誌
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌 (ISSN:18831273)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1_2, pp.19-24, 2017-10-25 (Released:2018-03-09)
参考文献数
15

著者らは,わが国に特有な夏型過敏性肺炎(SHP)の原因が不完全菌類の一種であるTrichosporon cutaneumであることを発見したが,その発見動機となった原因抗原探究の方法論ならびにその方法を用いて得られた成績について紹介した.SHPはT. cutaneumに対するⅢ型ならびにⅣ型アレルギー反応で起こることから,T. cutaneum多糖体の構造解析を行いglucuronoxylomannanであることを明らかにするとともに交叉反応を示すCryptococcus neoformans抗原の構造との異同についても述べた.更に,T. cutaneumがなぜSHPの原因となり得るのか,その理由について述べると共に,分子生物学的手法を用いたT. cutaneum属の新たな分類,喀痰・気管支肺胞洗浄液ならびに患者発症環境の室内気からのDNA検索法に関する研究成果についても紹介した.また,SHP診断キット(トリコ・アサヒAbチェック)を開発し,保険診療収載検査法として世に出したことも紹介した.本研究を通して著者が学んだこと,すなわち『夢に生きる』,『患者に学ぶ』,『継承的創業』の大切さについて述べた.
著者
安藤 正芳
出版者
日経BP
雑誌
日経コンピュータ = Nikkei computer (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.1036, pp.48-53, 2021-02-18

老朽化したCOBOL資産をどうマイグレーションすべきか。この課題は20年以上前からあったが、一部は先送りされてきた。「費用対効果を得にくいためマイグレーションをためらうユーザー企業は多い」。
著者
安藤 正遵 千崎 一義 上野 香代子 大川 茂樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.308, pp.19-24, 2009-11-19

本稿では,歯科における咬み合わせ治療により発声が改善されることを,実際の治療事例および治療前後の音声分析の結果により示す。一般にはあまり知られていないが,咬み合わせ治療を施すことにより,肩こりなどの不定愁訴などが改善されることや,発声が明瞭になる(たとえば滑舌がよくなる)ことが歯学界では知られている。本研究では,まず,模擬患者1名の通常の咬み合わせ時および異物を下顎臼歯に配置したときの舌運動をfMRI画像として記録した。次に,実際に発声改善を望んだ複数名の患者に対して治療を施し,術前・術後の音声を録音した。患者2名の治療事例の詳細を紹介すると共に,音声の変化に関する時間的・周波数的分析の結果を示す。
著者
安藤 正人
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 = The Bulletin of The National Institure of Japanese Literature Archival Studies (ISSN:03869377)
巻号頁・発行日
no.01, pp.51-61, 2005-03-28

本稿は、20世紀の戦争や植民地支配がアーカイブズに及ぼした影響についての研究の一環として、第二次世界大戦期に在外公館文書の押収等をめぐり日英両国の間に繰り広げられた確執の問題をとりあげるものである。ただし、日本側の史料については、まだほとんど見ていないので、今回はもっぱらイギリス側史料の紹介を中心とし、詳しい分析は次の機会に譲りたい。まず「はじめに」で、外交施設や外交官の記録文書をめぐる国際法について概観したあと、第一章「開戦前におけるイギリスの在外公館文書保護策」では、第二次世界大戦前、イギリス外務省が在外公館に発した指示や規程類のうち、記録文書の保存・廃棄等に触れている主要な指示や規程類を紹介する。開戦時の中心的な規程は、1939年7月31日付外務省回章「戦争指令」である。続いて、開戦前のヨーロッパならびにアジアのイギリス在外公館の状況を、各在外公館との往復文書などから明らかにする。第二章「開戦後における在外公館文書の捜索・押収をめぐる日英の確執」では、日本によるイギリス在外公館文書の捜索・押収の事実と、それをめぐって日英間に繰り広げられた確執に関する史料を中心に紹介する。事例として、在東京イギリス大使館をはじめとする日本国内ならびに日本植民地のイギリス在外公館、ついで上海などの日本軍事占領地、最後に非占領地としてバンコクのイギリス在外公館の状況をそれぞれみる(以上『史料館研究紀要』35号に掲載)。イギリスによる日本在外公館文書の捜索・押収については史料が乏しいが、ロンドン、シンガポール、インド、ベルリンなどの状況について若干の史料紹介を行う(本号)。The present essay deals with the discord issues between Japan and Britain concerning capturing or looting diplomatic and consular archives in the World War II period. Because of the short age of time for consulting Japanese sources, the present essay only introduces British sources avoiding detailed analysis accordingly. After referring the international law regarding the immunity of diplomatic and consular archives briefly, the author introduces some important instructions to the British diplomatic and consular posts a broad issued by the British Foreign Office before the World War II concerning the protection of diplomatic and consular archives at the event of armed conflicts. Then, the conditions of archives at some British diplomatic and consular posts in Europe and Asia before the outbreak of war are revealed by the Foreign Office records such as correspondences. The following chapter is devoted to introduce British sources regarding the looting of British diplomatic and consular archives by the Japanese in the main lands, colonies and occupied territories of Japan, after the outbreak of war. In the last part of the essay, the issue of capturing Japanese diplomatic and consular archives by the British authorities in such places as London, Singapore, India and Berlin, is dealt with.
著者
安藤正次 訳
出版者
世界文庫刊行会
巻号頁・発行日
vol.第3学年, 1925
著者
島村 咲衣 安藤 正規 鶴田 燃海 永田 純子 淺野 玄 大橋 正孝 鈴木 正嗣 小泉 透
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.55-65, 2020 (Released:2020-02-14)
参考文献数
47

近年,日本各地でニホンジカ(Cervus nippon)による林業被害や森林生態系への影響が報告されている.狩猟者の減少や高齢化によって捕獲努力量が伸び悩む中でも森林への被害を軽減させるために,例えば北米において考案されている,オジロジカ(Odocoileus virginianus)母系集団の強い定住性を利用したLocalized Management法のような,被害防除に効果的な個体数調整手法の適用を検討していく必要がある.しかし,ニホンジカ地域集団内の母系集団の規模がオジロジカと同様であるかは不明であり,本手法の適用の可否は不明である.さらに,既存のマイクロサテライトマーカーによってニホンジカの母系集団を検出できるか否かも明らかになっていない.そこで本研究では,ニホンジカ母系集団の検出を目指してマイクロサテライトマーカーの解析能力を検討し,空間的な遺伝構造の検出可能スケールについて検討した.国内4地域(北海道,静岡,岐阜,宮崎)で捕獲された計251個体(胎子63個体を含む)を解析に用い,マイクロサテライトマーカー17座の遺伝子型を決定した.遺伝子座ごとの対立遺伝子数(Na)は3~18となり,オジロジカの値と比較して少ない傾向にあった.個体識別能力の指標PID-siblingを算出した結果,本研究では多型性の高い上位4座を用いて個体識別が可能であった.地域集団間および地域集団内の遺伝的多様性を評価するため,全集団平均の遺伝子分化係数(G’ST),各集団のNa,対立遺伝子数の期待値およびヘテロ接合度の期待値を算出した.地域集団間および地域集団内の遺伝的多様性はどちらも低い傾向がみられた.地域集団間および地域集団内において,STRUCTUREを用いた遺伝構造解析では,北海道および宮崎の集団は明瞭にそれぞれ独立のクラスターが構成されるものの,中部(静岡・岐阜間)の遺伝構造は不明瞭になるケースが確認された.一方で,地域集団内の遺伝構造(母系集団)は検出されなかった.胎子63個体を使っておこなった母性解析では,胎子を妊娠していた真の母親を推定できた確率は約20%にとどまった.本研究では,北海道,中部および宮崎の地域集団間の遺伝構造を明瞭に検出できたが,地域集団内の母系集団は検出できなかった.そのため,サンプル数のもっとも多かった静岡集団においても,Localized Managementの適用が可能な個体群であるとは断定できなかった.それは,各マイクロサテライトマーカーの多型が少ないことが原因であり,日本国内のニホンジカが過去に経験した個体数の減少によるボトルネック効果を反映していると考えられた.
著者
村上 勝三 宮崎 隆 小泉 義之 香川 知晶 西村 哲一 安藤 正人 佐々木 周 持田 辰郎
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本研究の目的は、デカルト研究の世界的な仕事の一部を担い、その新しい質を提示するとともに、すべての哲学研究に新たな基礎を提供すべく、『省察』の「反論と答弁」について共同研究を行うことであった。このことを遂行するために、平成7年度から9年度までの三年間の研究の総纏めとして、今年度は、すべての個別研究を完成させるとともに、研究成果報告書を作成した。その概要は以下の通りである。1.「第一反論・答弁」および「第二反論・答弁」の校訂版を作成した。1641年の初版、AT版との異同を明らかにしながら1642年第二版を再現したものであり、世界的に見ても始めての試みである。これらは、TOKORO Takefumi, Les textes des 《Meditationes》, Chuo University Press, 1994に準拠している。2.『省察』「反論・答弁」をめぐる諸問題のテクスト的典拠を挙げ、諸家の伝統になっている、あるいはなりつつある解釈について論じる問題論的研究を完成させた。その目次的概要は次の通りである。(1)「順序・論証方式・叙述様式」(2)「デカルトの懐疑について」(3)「『省察』「反論・答弁」と「永遠真理創造」説」(4)「『省察』「反論と答弁」における「意志」を巡る議論」(5)「神に至るもう一つの道」(6)「デカルトにおける神学と哲学」(7)「反論と答弁」における「観念」について3.「第七反論・答弁」の翻訳を完成させた。これは本邦初訳である。夏の合宿への他領域の研究者、若手研究者の参加は、本研究の成果のいっそうの充実に寄与するところ大であった。
著者
塚正 泰之 萩原 智和 安藤 正史 牧之段 保夫 川合 哲夫
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.787-795, 853, 2003-09-15
被引用文献数
1

市販かまぼこの部位による物性の違いを破断試験で測定した。直径0.3cmのプランジャーを用いて0.7cm間隔で測定した場合,周りの測定痕が物性値にほとんど影響しないことを確認した。かまぼこの部位による物性の違いを7種類の市販かまぼこで測定した結果,全てのかまぼこでスライス面の上下方向で,多くの物性値に有意差が認められ,左右方向,スライス片間では,数種のかまぼこに特徴的な差が認められた。かまぼこ間の物性の違いを主成分分析で比較した結果,第1主成分は破断時の物性,第2主成分は噛み始めの物性を示した。
著者
保坂 裕興 高埜 利彦 安藤 正人 入澤 寿美 森本 祥子 小風 秀雅 針谷 武志 水谷 長志 君塚 仁彦 水嶋 英治
出版者
学習院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究による組織構成及び各種機能を含んだ規程等の提案を受け、2011 年 4 月、学習院アーカイブズが学校アーカイブズとして開設された。それにあたり世界16 言語と web リンクをもつ関係用語集を作成するとともに、公開研究会を開催してその役割・機能を論じ、さらに教職員を対象とする講習会を実施して記録/アーカイブズ管理の理解向上をはかり、その運営に理解を求めた。また、主たる所蔵資料である戦前期宮内省学習院公文書の基本構造を明らかにし、その鍵となる史料をアーキビスト教育の授業教材として用いた。以上を科研報告書にまとめ刊行した。
著者
塚正 泰之 福田 隆志 安藤 正史
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.88, no.6, pp.503-514, 2022-11-15 (Released:2022-12-02)
参考文献数
28
被引用文献数
1

マダイの熟成(0℃)が呈味性に及ぼす影響を,塩締めおよび脱水シートの有無,熟成期間の違いによって調べた。また,熟成によるエキス成分の抽出性の変化も調べた。脱水シートはエキス成分の抽出性を低下させ,塩化ナトリウムはドリップ量を増大させ,うま味成分の抽出性を低下させた。イノシン酸(IMP)は熟成3日以降低下するのに対して,グルタミン酸(Glu)は熟成14日まで増加した。IMPとGluの濃度から算出されるうま味強度は,熟成1日がピークとはならず,少なくとも熟成5日まで高い値を維持することが確認された。
著者
安藤正次纂譯
出版者
世界文庫刊行會
巻号頁・発行日
1923
著者
安藤 正規 安藤 温子 井鷺 裕司 高柳 敦
出版者
岐阜大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

日本国内に生息する大型の草食動物であるニホンジカ(以下、シカ)とカモシカとの生息域や餌資源を巡る種間競争について、 (1)自動撮影装置を用いた両種の土地利用傾向調査、(2)次世代シーケンサーを用いたDNAバーコーディングによる両種の餌植物構成調査、を実施した。(1)の結果より、森林内の利用傾向は両種間で季節的、空間的に異なることが明らかとなった。また(2)の結果より、特定の餌植物種は種間で出現頻度に偏りが見られたものの、餌植物の種構成自体はほぼ差がないため、シカによる下層植生の衰退は両種の餌資源の競合をより強める可能性があることが示唆された。