著者
小川 数也
出版者
日本海洋学会
雑誌
日本海洋学会誌 (ISSN:00298131)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.54-60, 1974-04-30 (Released:2011-06-17)
参考文献数
34
被引用文献数
4

Some experiments were carried out to explain the in situ phenomena that the number of coliform organisms decreased rapidly from estuaries to offshore, and also at deeper layer, and that the appearance of coliform types varied.In natural seawater, experimental results did not show that Escherichia coli was extinct by self-purification or anti-biosis action of seawater, but it showed that this organism decreased mainly because of their starvation caused by lack of nourishment. Although the decreasing rate of bacterial density was delayed in enriched seawater, addition ofnutrient even at the time of bacterial extinction promoted the appearance of variated form of this bacteria with floc formation.Flocculation of bacterial cells was influenced by quality and quantity of added nutrients. Temperature was shown to have an effect on the floc formation, but appearance of variated form in flocculated cells of E. coli was not affected by temperature. Flocculated particles of coliform bacteria were adsorbed on suspended particles in seawater and precipitated rapidly. This phenomenon seems to be a cause of the rapid disappearance of coliform bacteria in coastal waters.In bottom deposits the coliform bacteria probably survive longer as physiologically variated forms when suitable nutrients were supplied.
著者
前川 明日彩 細谷 誠 片岡 ちなつ 新井 雄裕 浅野 和海 森 隆範 野口 勝 神崎 晶 小川 郁
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.150-156, 2019-04-28 (Released:2019-06-01)
参考文献数
6

要旨: 当院で人工内耳手術を施行し, 定期的な診療を続けている成人人工内耳装用者17名を65歳以上の高齢群と65歳未満の若年群に分け, 手術前後に実施した東大式エゴグラム (Tokyo University Egogram, 以下 TEG) の結果について検討を行った。 さらに, 失聴期間2年未満群と2年以上群での検討も行った。 全症例及び高齢群で, 術後「他者本位・自己抑制的・自己否定的」な傾向が低下した。 若年群では「自由・積極的・自己肯定的」な傾向に上昇する様子がみられた。人工内耳を装用して音を聴取することで, 高齢者はより自律的に, 若年者はより能動的になる傾向があると考えた。 失聴期間別の検討では, 失聴期間2年以上群で, 術後の「他者本位・自己抑制的・自己否定的」な傾向が低下した。音が聴取可能になり活気が出たため, 抑制的な自我状態が軽減したと推察した。高齢者や失聴期間の長い症例においても, 人工内耳導入により自己否定傾向を軽減させる効果があると考えられた。
著者
小川 賀代 小村 道昭 梶田 将司 小舘 香椎子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.51-59, 2007
被引用文献数
10

理系人材不足の背景をふまえて,今まで以上に「実践力」を有した人材を輩出することが急務であり,このための人材育成システムの再構築が求められている.本論文では,日本女子大学が長年にわたり蓄積してきた人的資源である卒業生の情報を活用したロールモデル型eポートフォリオ(RMP)を提案し,その構築を行った.本手法は,ポートフォリオの評価指標設定に社会で活躍する卒業生の学生時の成績を利用するため,評価指標の決定のための組織だった議論の必要がなく,導入が容易である.また,業種・職種別のロールモデルと現在の自分の実践力を比較することができ,自分の現在の能力,またどの能力が基準に達していないかなどを視覚的にとらえられる.よって,自分の目指す職業に要求される実践力の強化を効率よく行うことができる.蓄積情報は,就職時の自己PRに活用したり,教員による実践力育成支援に役立てることができる.システム構築は,eポートフォリオはオープンソースを活用し,これにRMP解析部分を独自拡張した.
著者
堀田 裕子 松崎 那奈子 萩原 孝泰 井上 康子 小川 博
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.33, pp.64, 2017

<p>スマトラオランウータンはIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストで絶滅危惧ⅠA類に指定される希少動物である。また,国内個体数が少ないことから,種の保存のために動物園で計画的に飼育下繁殖を進めていくことは重要である。そのために園間同士での個体の移動は必要なことである。一方で,動物の輸送には身体的および精神的ストレスが伴う。動物はストレス因子が極度の場合生理学的機能が激しく損なわれ死亡することがある。コルチゾールはストレスの指標となりうるホルモンであることから,尿を用いて非侵襲的にそれを測定した。昨年スマトラオランウータンの園内での新獣舎への移動,および園間またいでの移動が行われた。この際のストレスについて検証すべく,スマトラオランウータン雌1頭雄1頭を対象として,尿中コルチゾール濃度をEIA法を用いて測定し,その動態を追った。またそれと同時に行動観察を行い,行動と生理の面からそのストレスについて調べた。雌雄また園内と園間それぞれ,コルチゾール濃度および行動に変化がみられた。その結果からストレス要因およびストレス軽減要因について考察し報告する。</p>
著者
高橋 優宏 岩崎 聡 西尾 信哉 鬼頭 良輔 新田 清一 神崎 晶 小川 郁 宇佐美 真一
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.270-276, 2018-08-30 (Released:2018-09-27)
参考文献数
19
被引用文献数
1

要旨: 一側聾は生活面の QOL の低下とハンディキャップを有しているため,医学的介入が試みられている。CROS (Contralateral Routing Of Signals) 型補聴器や埋め込み型骨導補聴器が施行されているが, 装用感や音源定位に関して不良の報告が多い。ヨーロッパではすでに一側聾に耳鳴りを伴った症例に対し人工内耳埋め込み術が施行され, CE (Communauté Européenne)-mark を取得している。そこで国内4施設において共同臨床研究「同側に耳鳴を伴う一側高度または重度感音難聴に対する, 人工内耳の装用効果に関する研究」を施行し, 当院にて1症例を経験した。術後4年経過した現在においても, 雑音下の語音聴取と方向感, 耳鳴りの改善が持続して認められており, 自覚的評価も良好である。一側聾症例における両耳聴効果をさらに実現するため, 今後一側聾に対する人工内耳埋め込み術の導入が期待される。
著者
高中 健一郎 山縣 瑞恵 安藤 元一 小川 博 TAKANAKA Kenichiro Mizue YAMAGATA Motokazu ANDO Hiroshi OGAWA
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.111-117, 2011-09

側溝に落下して死亡する小型哺乳類が多いことから,本研究では側溝の深さと側溝内の水位が小型哺乳類の脱出成功率にどのように影響するかを調べると共に,保全対策として脱出用スロープの形状を検討した.脱出できなくなる道路側溝の深さは,モグラ類(ヒミズ,アズマモグラおよびコウベモグラ)では15cm,ジネズミでは24cm,スミスネズミおよびハタネズミは30cmであった.アカネズミおよびヒメネズミは深さ30cmの溝からは概ね脱出可能であり,静かな環境では深さ45cmからも一部の個体が脱出できた.脱出に際して地上性のアカネズミはよじ登りよりもジャンプを用いる傾向が強く,半樹上性のヒメネズミはよじ登りを多用した.側溝内に止水がある場合,ネズミ類は小さな側溝からは水位にかかわらず脱出できたが,大きな側溝ではスミスネズミやハタネズミは水位1cm以上で,アカヤズミとヒメネズミは水位5cm以上で脱出できない個体が現れた.ネズミ類の保護対策としては側溝の深さをできるだけ浅くすることが望ましく,モグラ類についてはスロープ付き側溝を用いることが望ましい.スロープには1.5~4.5cm間隔で段差を付け,傾斜角度を45°以下にするとともに,スロープを側壁で挟んで通路幅を5cm程度にとどめることが望ましい.
著者
小川 渉
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.89, no.8, pp.1512-1517, 2000-08-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5

2型糖尿病のインスリン抵抗性には,遺伝的に規定された原発性インスリン抵抗性と,可逆的な二次性インスリン抵抗性がある.原発性インスリン抵抗性として,骨格筋の糖取り込み障害が重要視されており,その原因遺伝子の検索が行われている.二次性インスリン抵抗性を惹起する因子として,グルコサミン過剰産生,高遊離脂肪酸血症, TNFαなどの関与が示唆されており,持続する高インスリン血症もインスリン感受性の低下を誘導する.
著者
小川 直記
出版者
日本半翅類学会
雑誌
Rostria : Transactions of the Hemipterological Society of Japan (ISSN:09106839)
巻号頁・発行日
no.61, pp.1-8, 2017-06-21

This paper reports biological notes of three coleorrhynchan species, Xenophyes rhachilophus BURCKHARDT, 2011, Oiophysa distincta WOODWARD, 1952 and O. ablusa DRAKE &amp; SALMON, 1950, in New Zealand, and introduces an easier collecting method for the insects with a beating tray.
著者
小川 直希 石脇 滉己 荒川 達也
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.40-45, 2015-10-30

本研究では, 将棋大盤解説における聞き手エージェントの開発に向けて, 聞き手から解説者への質問文の生成を目標とする. 大盤解説 の聞き手の主要な役割は, 盤面や解説に対して観客が感じる疑問をくみ取って, 解説者へ質問することである. 本研究ではそのために, 初心 者の着手を予想するための評価関数である「ナイーブ評価値」を用いる方法を提案する. 提案手法の有効性を検討するため, 特に詰将棋の大 盤解説を想定し, 正解詰め手順に対する質問文を生成するシステムを試作した. 実行結果を将棋経験者に見ていただいたところ, 概ね肯定的 な意見が寄せられた.
著者
上原 秀一郎 田附 裕子 山中 宏晃 上野 豪久 有光 潤介 小川 恵子 奥山 宏臣
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.960-963, 2017 (Released:2017-06-20)
参考文献数
7

腸管不全症例において不安定な経口摂取や経腸栄養管理に漢方薬が有効であった自験例を報告し、漢方薬の臨床栄養への貢献を考察する。人参湯は腸管不全7例に、また五苓散は難治性下痢2例に投与した。人参湯の効果について、投与前と3ヶ月継続服用後の腹部症状についてVisual analogue scale(VAS)や症状の変化で評価したところ、7例中6例で腹部膨満と腹痛の改善が認められた。また下痢についても同様であった。人参湯の投与中、経腸栄養の中断はなく、腹部レントゲン像で腸管拡張の改善が認められた。また吸収不良による水様性下痢の症例に対しては、五苓散投与により2例中2例で便性の改善が得られ、血清アルブミン値も改善した。在宅静脈・経腸栄養を必要とする腸管不全症例について、西洋医学のみで管理することが困難な栄養管理上の問題に対して漢方薬が有効なこともあり、Quality of Lifeの上昇に寄与するものと考えられた。
著者
安川 憲 小川 光一 津田 有梨香 松原 秀樹
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.57-63, 2012 (Released:2012-04-06)
参考文献数
13
被引用文献数
1

目的:メタボリックシンドロームを予防するサプリメントを評価するために,糖の吸収や脂肪細胞の脂肪の取り込みやアディポネクチンの放出の定量試験を行った. 方法:腸管の糖分解酵素である α-グルコシダーゼ阻害試験,マウスの糖吸収試験および脂肪細胞の脂質吸収量やアディポネクチンの放出量を定量した. 結果・考察:20 種のサプリメントの中で,桑葉,白僵蚕は,アカルボースより強い α-グルコシダーゼ阻害活性を示し,マウスの糖吸収を抑制した.その他,6 種に酵素阻害活性が認められた.脂肪細胞では,強く脂肪蓄積を抑制した蘭草,マテおよびイチイを含む 6 種に抑制効果を,アディポネクチン放出量では茵陳蒿と連銭草が増加効果を示した.桑葉,白僵蚕,茵陳蒿,蘭草,マテ,イチイおよび連銭草は,メタボリックシンドロームの予防に期待がもたれる効果を示した.
著者
藤枝 俊輔 石原 知洋 下見 淳一郎 小川 剛史 中村 誠
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.75-82, 2011-11-24

本学では,キャンパスネットワークを学内の部局が分割運用している。このため、ネットワークサービスが部局内に閉じており,学内者のユーザ情報は複数のデータベースに分散管理されている.このような環境で全学共通の無線 LAN サービスを実現するため,多様な無線 LAN システムと複数のユーザデータベースを連携させる運用方式を検討し,実験サービス ”utroam” として学内に広く実験展開している.本稿では,本方式の仕組みと利用動向に関する評価を述べる.
著者
堤 裕昭 岡村 絵美子 小川 満代 高橋 徹 山口 一岩 門谷 茂 小橋 乃子 安達 貴浩 小松 利光
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.291-305, 2003-05-05
参考文献数
33
被引用文献数
27

九州西岸の有明海奥部海域において,近年夏季に発生する底層水の貧酸素化現象および頻発する赤潮の発生メカニズムを解明するため,2001年8月より2002年2月まで毎月1回,水質調査を行った。本調査期間中,8月上旬に底層で貧酸素水塊が,11月に珪藻赤潮がいずれも大雨の後に発生し,その発生過程を次のようにまとめた。1.夏季の貧酸素水塊 梅雨期の大雨→河川からの大量の淡水の流入→表層の塩分低下による成層構造の発達・夏季の気温上昇に伴う水温の成層構造の発達→底層水の貧酸素化 2.秋季の珪藻赤潮 秋季の大雨→河川からの大量の淡水の流入・大量の栄養塩の供給→低塩分・高栄養塩濃度の表層水の形成→赤潮の発生 1998年以降,秋季の赤潮は大規模化する傾向が認められる。有明海奥部海域では,塩分や水温による成層構造が発達した時に,海水交換に大きな変化が生じ,海水が滞留しがちになることで赤潮が発生している可能性が指摘される。
著者
中村 友宣 小川 剛史 清川 清 竹村 治雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.554, pp.49-54, 2008-03-15
被引用文献数
4

本稿では,移動中の連続した学習を支援するウェアラブル学習システムにおける鉄道車内混雑度推定を用いた利用者コンテキストの認識手法にっいて述べる.本研究では,利用者の動作(「座位」,「立位」,「歩く」,「走る」,「自転車」),立位時の場所(「電車の中」,「駅のホーム」,「遮断機・信号機の前」),及び電車内の混雑度(「空いている」,「混んでいる」)を認識するために,両足大腿部の加速度,天井までの距離及び大気中の二酸化炭素濃度を計測する.前処理として加速度データのパワースペクトル及び距離データの中央値を算出後,識別器としてサポートベクターマシンを用いて各動作・場所・混雑度の確率を推定する.更に次状態への遷移確率に遷移の平易度を考慮してロバストな認識を実現する.実験にて通学行程全体の認識率を85.8%の精度で認識できており,「回答できない設問が出題される」という学習に支障をきたす誤認識は0.6%と極めて低いことを確認した.
著者
増田 知子 角田 篤泰 中村 誠 佐野 智也 小川 泰弘
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は「昭和天皇実録」を用い、情報の抽出・加工を行うことで、天皇を頂点とする権威的秩序と明治期から戦後まで続いた寡頭政の変遷を分析することを目的とする。(a)宮内庁から入手したデータからテキストデータを作成し、拝謁者等の氏名・肩書の抽出を行った。結果、44322種類の肩書と人名のセットを抽出できた。出現回数の多い肩書を見ると、親王、内大臣、宮内大臣が上位に来ることがわかった。また、1941-44年について、人物ごとに月ごとの拝謁回数をグラフ化したところ、歴史的事件との相関関係が見いだせる可能性が高いとわかった。(b)(a)に関連し、『法律新聞』のデータ整備を行い検索データベースを完成させた。