著者
中島 幹夫 谷本 俊次 小川 真滋 榎本 卓朗 生駒 尚秋
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.656-659, 1993-09-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
14

脳循環障害によるめまい患者15名に対してイブジラストを経口投与し, 臨床効果を判定した.めまいの全般改善率は67%であり, 悪化した症例はなかつた. 投与後4週間で67%の改善を認めた. めまいの臨床検査の改善はRomberg検査, Mann検査で50%, 注視眼振検査, 頭位眼振検査で100%の改善が認められた. 他覚所見総合改善率は40%であつた. 副作用は認められなかつた.以上から脳循環障害によるめまいに対してイブジラストは有効で安全な薬剤と考えられる.
著者
阿部 敏明 小川 希代子
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.169-173, 1986-05-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
30

シアル酸をもつ酸性糖脂質であるガングリオシドに関する最近の進歩について記述した.ガングリオシドの分離精製の技術的な進歩により, 約60種類の構造が提出され, そのうちで神経系に含まれているのは, 約30種である.神経系の膜成分の重要な構成要素であり, 種々な生理活性をもつ事も証明されてきている.現在は, 神経系の疾患の治療にまで用いられるようになり, 多くの研究者の注目をあびている重要な生体構成成分の一つである.
著者
小田 眞由 木阪 吉保 小川 明子 横山 桂 砂金 光太郎 田鶴谷 奈友 田中 良憲
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.632-640, 2023-12-01 (Released:2023-12-11)
参考文献数
32
被引用文献数
1

症例は61歳男性.6年前から糖尿病性腎症による腎不全で血液透析を導入された.30代でC型慢性肝炎を指摘されインターフェロン療法を受けたがウイルスは消失しなかった.40代から肝細胞癌に対して穿刺局所療法や塞栓療法を繰り返し受けてきたが,多発再発が指摘された際に造影剤アレルギーが発症したため塞栓療法が施行困難となり,アテゾリズマブ(Atezo)+ベバシズマブ(Bev)併用療法を開始した.Atezo+Bev併用療法は透析患者に対する投与の報告例はなく有効性や安全性は不明である.我々の症例ではAtezo+Bev併用療法開始後に甲状腺機能低下症と脳出血を来した.しかし,レボチロキシンナトリウム水和物投与とBev投与中止することで長期間にわたり投与継続できており,有害事象の早期発見と対応を行うことで血液透析中の肝細胞癌患者にもAtezo+Bev併用療法を行うことができると考えられた.
著者
井上 泰輔 井出 達也 内田 義人 小川 浩司 井上 貴子 末次 淳 池上 正 瀬戸山 博子 井上 淳 柿崎 暁 榎本 大 立木 佐知子 遠藤 美月 永田 賢治 是永 匡紹
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.649-652, 2023-12-01 (Released:2023-12-11)
参考文献数
5

This study was conducted in 2021, wherein we investigated in-hospital measures for patients positive for hepatitis virus in 288 hospitals specializing in liver diseases in 13 Japanese prefectures. Our results showed that even at specialty hospitals, the overall countermeasure implementation rate was low (56%). The rate was higher in hospitals that had a higher bed capacity (>400), more full-time hepatologists, and more hepatitis medical care coordinators. Of these three factors, implementation rate was most influenced by coordinator enrollment, with highest involvement by clinical laboratory technologists. Therefore, clinical laboratory technologists should be trained to improve countermeasure rates for both treatment of liver disease and safety management in hospitals. Furthermore, the improvement in the implementation rate of measures for patients positive for hepatitis virus will help in providing better treatment.
著者
小川 さやか
出版者
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
雑誌
アジア・アフリカ地域研究 (ISSN:13462466)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.579-599, 2007-03-31 (Released:2018-12-05)
参考文献数
17

This paper analyzes how the unique business practices of small-scale traders dealing in second-hand clothes have changed under the recent socio-economic transformation in Tanzania. The business practices described here involve a kind of credit transaction called mali kauli, which is conducted by middlemen and micro-scale retailers. This transaction conferred many economic benefits to both kinds of merchants when I conducted research in 2001-02. However, middlemen and retailers were finding it difficult to sustain this type of transaction in 2003-05, when I conducted further research, because of dramatic socio-economic structural changes taking place in Tanzania. When their business reached this critical situation, the problems faced by both middlemen and retailers was not how they should respond to situational change by individual action or by collective action but how they should reconstruct their personal economic relations by using the logic of reciprocity. In conclusion, I argue that the business practices have changed through the manipulation of the power relationship between middleman and retailers, who are trying to be self-dependent and social at the same time.
著者
吉田 大地 細川 清人 北山 一樹 加藤 智絵里 小川 真 猪原 秀典
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.223-232, 2021 (Released:2021-08-26)
参考文献数
35
被引用文献数
2 2

Acoustic Voice Quality Index(AVQI)は持続母音と文章音読の両者の録音音声を用いた音響分析手法であり,日本語においても高い診断性能が報告されている.しかしながら,文章音読の課題文が異なれば診断性能が損なわれる可能性がある.そこで当研究では,課題文の変更による診断性能への影響を調査した.全311録音について,「北風と太陽」の第2文までの計58音節を既報で使用された前半30音節と検証用の後半28音節に分割しそれぞれのAVQI値を求めた.聴覚心理的評価との相関係数はそれぞれ0.850および0.842,受信者操作特性曲線の曲線下面積はそれぞれ0.897および0.892であり,ともに良好な診断性能が確認された.また,両者の値の差はわずかであった.当検討における課題文の変更はAVQI値の変動に大きな影響を与えず,AVQIは課題文変更をある程度許容できる可能性が示唆された.

1 0 0 0 OA 木船の改良

著者
小川 良平
出版者
社団法人 日本船舶海洋工学会
雑誌
造船協會會報 (ISSN:18842054)
巻号頁・発行日
vol.1922, no.31, pp.34-144, 1922-02-28 (Released:2009-09-04)
被引用文献数
1
著者
小川 緑 綾部 早穂
出版者
公益社団法人におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.292-295, 2019-07-25 (Released:2021-11-14)
参考文献数
4

本研究では実験参加者自身の吸気に合わせて,同一のニオイを40回提示し,知覚強度変化を検討した.先行研究において,快(不快)とされたニオイ各1種類ずつを選定し,快不快の影響も合わせて検討したが,知覚強度変化の報告頻度に違いはみられなかった.また,内観報告に基づくと,多くの実験参加者が快,不快なニオイともに提示終了までニオイを感じており,知覚強度変化の様相もニオイ間で大きな違いはみられなかった.
著者
辻中 猛 三宅 久美子 橋本 啓子 小川 真 猪原 秀典
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.55, no.Suppl.2, pp.S185-S192, 2009 (Released:2010-12-01)
参考文献数
13

この研究の目的は、指示従命スコアの信頼性および妥当性を検証することである。当院介護病床入院症例 138 名 (男性 35 名、女性 103 名、平均年齢 82.4 ± 9.7) を対象に、上気道運動の 1 )発声、2 )咳払い、3 )舌運動、4 )空嚥下、さらに 5 )開閉眼、6 )掌握の指示への応答をそれぞれ 0 - 3 点で評価し、上気道に関する運動のスコア 1 ) - 4 )、その他の運動のスコア 5)、6 )のそれぞれの和を求めた。信頼性に関しては、内部一貫性について上気道運動に関するスコアの和と他の運動のスコアの和の間の相関性およびクロンバックの α 係数を用いて評価し、評価者間および評価者内信頼性については kappa 値を算出して評価した。妥当性については、病床勤務の看護師による主観的印象による評価と指示従命スコアとの相関性、または指示が入ることを予測するスコアの cut-off 値を求めた。結果として、( 1 )上気道運動に関するスコアの和と他の運動のスコアの和との間に高い相関性が得られた (r = 0.86、p < 0.0001)。また、クロンバックの α 係数は 0.94 と高い値を示した。( 2 )評価者間一致率の kappa 値は空嚥下を除き 0.8 以上と良好であった。( 3 )評価者内一致率の kappa 値は評価者間のものよりも低い値であった。( 4 )「指示が入る」と主観的に判断された症例と「指示が入らない」と判断された症例との間に明確なスコアの差が認められた。 ( 5 ) 「指示が入る」ことを予測するためのスコアの cut-off 値を 1 あるいは 2 にしたときに、感度と特異度の最良のバランスが得られた。以上のことから、指示従命スコアの高い内部一貫性、評価者間信頼性および妥当性が示された。また、当スコアの評価者は単独でも十分であるが、評価時については患者の状態が良好な時間を選ぶべきであることが示唆された。
著者
小川 利久 辻 英一 林原 紀明 丹羽 隆善 多田 敬一郎
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.76, no.12, pp.2869-2873, 2015 (Released:2016-06-30)
参考文献数
15
被引用文献数
2 4

頸部手術の際,胸管損傷により発生する乳糜瘻の頻度は1.0-2.5%と報告されており,低頻度ではあるが起こりうる.しかし,本邦における報告は極めて限られていて,詳細は不明である.われわれが行った380例の甲状腺癌手術,頸部リンパ節手術症例を対象に検討した.頸部郭清を伴う甲状腺乳頭癌手術症例は314例で,うち5例(1.6%)に,また頸部リンパ節生検や摘出術は66例あり,うち2例(3%)に術後乳糜瘻が発生した.いずれも左側の頸部郭清やリンパ節生検であった.乳糜胸水を認め胸腔ドレナージを要した症例は2症例であった.治療は,軽度な症例は脂肪食制限のみで治癒したが,一方で再開創・胸管結紮を行い治癒した症例は5例あった.近年,オクトレオタイドによる全身治療で治癒した2症例を経験した.オクトレオタイドは安全で有効な治療法と思われた.
著者
小川 大智 羽藤 英二
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.1678-1684, 2023-10-25 (Released:2023-10-25)
参考文献数
17

近年、都市部におけるウォーカビリティの重要性が見直され、様々な歩行者行動モデルが提案されている。しかし、その多くは、マルチモーダルな状況を扱っていない。通常、道路上の歩行者と車両は互いに認識しあっており、一方の行動が他方に影響を与える。この影響を再帰的ロジットモデルで定式化すると、推定に非常に高価な反復計算が必要となる。そこで、本研究では、敵対的逆強化学習に基づく新たな手法を提案した。このモデルでは、1回の学習で各モードのリンク価値関数を学習するため、計算コストが大幅に削減される。松山の事例では、RLと同レベルの推定をより少ない時間で行うことができた。
著者
長谷川 拓男 小川 匡市 市原 恒平 青木 寛明 又井 一雄 吉田 和彦 矢永 勝彦
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.648-653, 2017 (Released:2018-08-30)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

症例は57歳男性.下痢,発熱,腹痛を主訴に入院となった.急性腸炎の診断で保存的治療を行ったが,第5病日に腹膜炎症状が出現し緊急開腹手術を行った.開腹所見では盲腸から横行結腸まで浮腫状で著明に拡張し腸管壁は脆弱化しており,結腸亜全摘術+回腸人工肛門造設術を行った.術後は敗血症性ショックによる急性循環不全,呼吸不全に陥り人工呼吸器に装着し集中治療室で治療を行った.術後3日目に糞便の顕微鏡検査でアメーバ性大腸炎と診断され,メトロニダゾールの投与を開始した.その後,全身状態は急激に改善し,術後49日目に軽快退院した.アメーバ性腸炎は近年日本においても増加傾向である.診断に難渋する下痢,腹痛症例に対し本疾患を念頭におき診療を行うことが重要であると考えられた.
著者
廣田 健一 井上 貴子 小川 浩司 荒生 祥尚 遠藤 美月 池上 正 戸島 洋貴 末次 淳 柿崎 暁 瀬戸山 博子 榎本 大 是永 匡紹
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.587-589, 2023-11-01 (Released:2023-11-10)
参考文献数
3

In eight regional core centers for liver disease management, we evaluated the status of HBs antigen (HBsAg) and anti-hepatitis C virus antibody (anti-HCV) testing from 2016 to 2020. Among nonhepatology departments, ophthalmology had the highest number of HBsAg and anti-HCV tests, followed by obstetrics and gynecology, and orthopedics. The highest positive rates of HBsAg were in orthopedics (1.27%), gastroenterological surgery (1.23%), and ophthalmology (1.04%), and those of anti-HCV were in gastroenterological surgery (2.71%), orthopedics (2.57%), and ophthalmology (2.51%). Thus, ophthalmology and orthopedics obtained the highest number of tests and positive rates, with no rate decrease over time. While the Japan Ophthalmologists Association has already commercialized measures against hepatitis, similar measures are needed urgently in orthopedics.