著者
小林 忠造
出版者
社団法人 日本流体力学会
雑誌
日本流体力学会誌「ながれ」 (ISSN:02863154)
巻号頁・発行日
vol.13, no.6, pp.423-439, 1994-12-31 (Released:2011-03-07)
参考文献数
23

Stability analysis of multi-layer film flow on an inclined plane is technologically very important in the making of products such as photosensitive materials which requires multilayers of thin films. In this work, stability analysis of one layer, two layer and generally multi-layer (n layer) flow on an inclined plane is made by solving a set of Orr-Sommerfeld equations as eigenvalue problem with respect to wave speed c and wave number a.Analysis is made, not under the assumption that wavelength is long, but that it can be any value. As for numerical method, Galerkin finite element is used. In the method, all the eigenvalues can be calculated, and the shape of eigen function which corresponds to an eigenvalue can also be calculated.As for instability modes, there are three modes, namely, surface mode, interface mode and shear mode. Surface mode is the one which is related with free surface and strongly affected by surface tension. Interface mode is the one which is related with liquid-liquid interface and is the most dominant mode when interfacial tension is very small or negligible. Shear mode is the one which is caused by shear stress when Reynolds number is large.As for surface related modes, further investigation shows that there are two types. Namely, one is a mode that propagates downward and has been studied in previous works elsewhere. The other is a mode which propagates upward if wave number a is large (namely, wavelength is short). These two modes change from shallow water wave to deep water wave and finally to capillary wave, as wave number a increases.
著者
坂本 清子 綱脇 恵章 津波古 充朝 田中 和男 小林 正光
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1990, no.4, pp.363-369, 1990
被引用文献数
1

五酸化ニリンと水酸化アルミニウムとの反応によるリン酸アルミニウムの生成における3種の結晶形の異なる五酸化ニリン(H型,0型および0'型)の反応性の相違,および水酸化アルミニウム分子内のヒドロキシル基がリン酸アルミニウムの生成におよぼす効果について,粉末X線回折,示差熱分析および熱重量分析法を用いて検討した。1.生成するリソ酸アルミニウムの種類およびその生成量は,五酸化ニリソと水酸化アルミニウムの混合割合(R=P205A1(OH)3),加熱温度および加熱時間によって異なった。すなわち,R=0.5ではオルトリン酸アルミニウムAIPO4のberliniteとcristobalite型およびメタリン酸アルミニウムAl・(PO3)3のA型,R=1.5では三リン酸二水素アルミニウムAIH2P3O10.のI型およびA1(PO3)3のA型とB型,R=3ではA1(PO3)3のA型.B型およびE型が生成した。2・水酸化アルミニウムに対する五酸化ニリンの反応性は,H型五酸化ニリンが一番高く,次にO'型,0型五酸化ニリンの順であった。この傾向は五酸化ニリンの加水分解速度の順序と一致した。3.水酸化アルミニウム分子内のヒドロキシル基は五酸化ニリンの加水分解に寄与し,それは五酸化ニリソとα-アルミナとの反応においてあらかじめ添加した水分と同様に重要な役割を果した。
著者
櫻井 利康 山崎 宏 小林 勇矢 奥原 健史 三村 祐太
出版者
日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.507-514, 2016-10-15

要旨:手の浮腫・腫脹の測定法であるリングゲージ法と掌囲(中手骨頭レベルでの手の周径)法の信頼性と妥当性を明らかにした.健常成人40例80手を対象に,2人の検者がリングゲージ法,掌囲法,Figure of Eight法を2回測定した.信頼性は級内相関係数,妥当性はFigure of Eight法との相関係数を用いた.検者内信頼性のICC(1,1)はリングゲージ法が0.99,掌囲法が0.99,検者間信頼性のICC(2,1)はリングゲージ法が0.98,掌囲法が0.98〜0.99であった.Figure of Eight法との相関係数はリングゲージ法がr=0.76〜0.84,掌囲法がr=0.91〜0.94だった.リングゲージ法と掌囲法は信頼性と妥当性が高く手の周径法として使用可能な方法と考えた.
著者
小林 悦郎 植松 喜稔 須貝 稔 樋口 美起雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1981, no.8, pp.1319-1325, 1981-08-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
6

酸化チタン(IV)-水和物(メタチタン酸)と活性炭から複合体を調製し,このもののリン酸イオン,メチレンブルー,ヨウ素,有機物質などの吸着特性を研究した。メタチタン酸の原料には酸化チタン(N)製造における中間体としてのTiOSO4の硫酸溶液(TiO2250g,H2SO41044g/l)を用いた。吸着剤としての複合体はつぎのようにして調製した。適量のTiOSO4の硫酸溶液と粒状活性炭とをまぜあわせ,混合物を180℃ に加熱して過剰の硫酸を除き,活性炭に添着した酸化硫酸チタン(IV)を水洗してメタチタン酸に加水分解したのち,生成物を乾燥した。適当な調製条件(5mlTiOSO,溶液/10g活性炭)で得た複合体は市販メタチタン酸と同程度のリン酸イオンを吸着(Freundlich式;q=kc1/nのk値は17~19mg-PO43-/g-吸着剤)し,複合体中に含まれたメタチタン酸の質量あたりに換算したリン酸イオンの吸着量は市販メタチタン酸のそれの約10倍の値を示した。複合体はまた縮合リン酸イオンを吸着した。吸着等温線の傾きFreundlich式の1/nは,オルトリン酸イオンではO.116,三リン酸イオンでは0.261であった。複合体は担体としての活性炭の特性を活かし,メチレンブルー,ヨウ素,有機物質(フェノール)などを吸着した。それらのものに対する吸着能は複合体の調製条件におけるTiOSO,溶液(ml)と活性炭(g)との比の増大によって減少した。カラム試験では複合体中に吸着されたリン酸イオンは,2N水酸化ナトリウム溶液と水で溶離され,のち吸着剤は酸で再生した。
著者
Crichton Michael 小林 収
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1066, pp.68-72, 2000-11-13

問 クライトンさんの最新作『タイムライン』はいわゆる時間旅行(タイムトラベル)物ですが、「量子テレポーテーション」という最新のテクノロジーを使って、現代の若者たちが14世紀のフランスに行くという設定がとても斬新でした。ただ、疑問も感じたんです。もっとエキサイティングな時代と場所があるはずなのに、なぜ14世紀のフランス、つまり中世の西欧を選んだんでしょう。
著者
関川 修司 長尾 泰孝 辰巳 菜津子 大西 直樹 小林 紀明 原田 義規 前田 利郎 丸山 恭平 岡上 武
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.100, no.5, pp.583-586, 2003 (Released:2008-02-26)
参考文献数
24
被引用文献数
1

症例は, 17歳, 女性. 黄疸と全身倦怠感を主訴に受診した. 肝胆道系酵素の著明な上昇を認めたが, 各種肝炎ウイルスマーカー, 抗核抗体などはすべて陰性であった. 梅毒血清反応強陽性で, 扁桃梅毒, 足底にバラ疹を認め, 二期梅毒と診断した. 早期梅毒性肝炎を疑い, amoxicillin(AMPC)内服を開始後, 肝機能検査値, 黄疸, 梅毒症状は速やかに改善した. 肝生検所見も早期梅毒性肝炎に矛盾しないものであった. 早期梅毒性肝炎で黄疸の出現する例は少なく, 若干の考察を加え報告する.
著者
小林 茂之
出版者
聖学院大学
雑誌
聖学院大学論叢 (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.237-248, 2009

古代日本語における主要部内在型関係節は,Kuroda(1974)や近藤(1981)によって統語論的観点から研究されてきた。黒田は,「の」が先頭位置を占めることに着目し,制約(the Pivot Initial Constraint) を提案した。これは,Kayne(1994)などの線状性に関する理論にとって興味深い問題であり,竹沢・Whitman(1998)は,Kayne の仮説に従って,日本語のDP 構造を分析している。当研究も,通時統語論的観点からこの仮説を検討する。近藤は,黒田より広い範囲の主要部内在型関係節を3タイプに分類した。本稿は,これらの一つから他の発達を構造の再分析を通した文法化として分析する。音韻的縮約は文法化を示す(Roberts and Roussou 2003)。本稿は,「の」の変化に伴うアクセントの縮約を指摘し,これが「の」の再分析を支持することを論じる。
著者
小林 睦生 二瓶 直子 栗原 毅
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.20, 2003

2001年の東北地方でのヒトスジシマカの分布調査では,横手,水沢,気仙沼,新庄で新たに分布が確認され,1998-2000年の調査における同蚊の分布北限は,内陸部の数都市を除き明らかに北側へ移動した.今年の調査では,盛岡,水沢江刺,花巻,北上,宮古,釜石,八戸,弘前,青森等で調査を行ったが,ヒトスジシマカの分布は確認されなかった.なお,上記の未確認の都市の内,宮古は1997年以降明らかに年平均気温が上昇しており,今後,定着の可能性が高い.山形市では2000年に初めてヒトスジシマカの分布が確認されたが,今年一般市民から刺咬被害の苦情があったことから再調査を行った.その結果,市内全域にヒトスジシマカの分布が確認された.なお,2000年に同市に優先して分布していたヤマトヤブカは少数しか確認されなかった.
著者
大竹 真紀子 荒井 朋子 武田 弘 唐牛 譲 佐伯 和人 諸田 智克 小林 進悟 大槻 真嗣 國井 康晴
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会誌遊星人 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.217-223, 2012
参考文献数
16

従来,月の地殻組成は月採取帰還試料や月隕石の分析値を基に推定されてきたが,最近になって,月周回衛星"かぐや"データを用いた研究などにより,既存の月採取帰還試料とは異なる組成の,より早い分化段階で形成した始原的な地殻物質が,月裏側に存在する事が指摘されている.これら未採取の月裏側地殻物質を入手し,詳細な化学組成等の情報を得る事は,月高地地殻の組成,月マグマオーシャンの固化過程や熱履歴を知ることに加え,月・地球系の形成過程を考える上でも重要な課題である.本提案では,来る10年の惑星探査計画として,月裏側の高地地域から未採取地殻物質の採取帰還を行い,詳細な組成分析,同位体分析,組織分析,既存のリモートセンシングデータと比較するための分光測定,風化度測定など,さまざまな分析を行うことにより,これら科学目標達成を目指すミッションを提案する.
著者
田村 伸行 菊池 健人 守屋 雅隆 小林 忠行 島田 宏 水柿 義直
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SDM, シリコン材料・デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.423, pp.47-52, 2010-02-15
参考文献数
10

我々は,強磁性体(FM)のリード電極を持つ単一電子トランジスタ(SET)の磁気抵抗比(MRR)に関する報告を行う.常伝導体(NC)の島電極を持つ強磁性単一電子トランジスタ(FM/NC/FM-SET)と超伝導体(SC)の島電極を持つ強磁性単一電子トランジスタ(FN/SC/FM-SET)をそれぞれ作製し,測定した4状態のIV特性からMRRを算出した.4状態とは,SETのIV特性のしきい値電圧が最小(SET-ON状態)または最大(SET-OFF状態)と,リード電極間の磁化方向が平行状態または反平行状態とを組み合わせた,SET-ON状態・平行状態,SET-ON状態・反平行状態,SET-OFF状態・平行状態,SET-OFF状態・反平行状態である.FM/NC/FM-SETのMRRは強磁性体の偏極率から計算される理論値の範囲内だったのに対し,FM/SC/FM-SETのMRRは理論値を超える値となった.また,これらのSETでは,島電極の材料によらず,SET-OFF状態のMRRが,SET-ON状態のそれよりも増大する,磁気抵抗比増大効果が確認された.磁気抵抗比増大の発生メカニズムとして提案されているコトンネリングによるモデル計算を行ったところ,実験結果をおおよそ再現した.
著者
田中 耕作三世 小林 健一 古源 寛
出版者
公益社団法人 有機合成化学協会
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.77, no.7, pp.673-683, 2019-07-01 (Released:2019-07-08)
参考文献数
34
被引用文献数
3

(−)-L-755,807, which was isolated from an endophytic fungus, Microsphaeropsis sp., consists of a characteristic epoxy-γ-lactam ring and a tetraene-containing side chain, and exhibits bradykinin B2 receptor antagonist activity. The first total synthesis of (−)-L-755,807 was accomplished through a convergent approach, employing a late-stage coupling between the ring and side-chain segments. The ring segment was efficiently synthesized by a novel syn-selective Darzens reaction between di-tert-butyl bromomalonate and α-alkoxy aldehyde, and the side-chain segment was prepared by a highly stereoselective Horner-Wadsworth-Emmons reaction as a key step to construct the tetraene part. This synthesis enabled us to assign the relative and absolute configurations of (−)-L-755,807. Furthermore, we discovered an additional biological activity of this compound, namely, potent amyloid β aggregation inhibitory activity, which could be useful in the treatment of Alzheimer’s disease. The epoxy-γ-lactam moiety was identified as a likely pharmacophore for this activity. In this article, we describe the total synthesis, stereochemical assignment, and biological evaluation of (−)-L-755,807.
著者
伊藤 真二 山口 仁志 小林 剛 長谷川 良佑
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.529-536, 1996-06-05
参考文献数
12
被引用文献数
14 10

グロー放電質量分析法(GD-MS)により,ニッケル基耐熱合金中の合金元素(Al, Si, Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Cu, Y, Nb, Mo, Ta及びW)並びに微量元素(B, C, Mg, P, S, Zn, Ga, As, Zr,Cd, Sn, Sb, Te, Pb及びBi)の定量法を検討した.スペクトル干渉などについて詳細に調べた結果, Se, Agを除いてその影響がないことを確認した.JAERI CRM, NIST SRM, Bs CRMs, BCS CRMs及び自家製Ni合金標準試料の16種を測定し,表示値とGD-MS測定値から得られた相対感度係数(RSF)を評価した.RSF値による補正を行ったGD-MS定量値の正確さ(σ<SUB>d</SUB>)をファンダメンタル・パラメータ法-蛍光X線分析法(FP-XRF)による値と比較した結果, Cr, Feではやや劣るものの,そのほかの合金元素はFP-XRFによる定量値の正確さとほぼ同等であった.繰り返し分析精度は, P, Sを除いて相対標準偏差(RSD)で2.5%以内と良好な値であった.実用ODS合金MA 6000の合金成分の定量値は,FP-XRF定量値とよく一致した.又,有害微量不純物元素などの定量結果は,黒鉛炉原子吸光法による値あるいは化学分析値と一致し,本法がNi基耐熱合金の合金成分から微量成分元素定量に適用できることを確認した.