著者
坂本 光弘 松本 理器 十川 純平 端 祐一郎 武山 博文 小林 勝哉 下竹 昭寛 近藤 誉之 髙橋 良輔 池田 昭夫
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.10, pp.609-616, 2018 (Released:2018-10-24)
参考文献数
26
被引用文献数
4 2

自己免疫性てんかんが近年注目されているが,抗神経抗体以外の特異的な診断法は確立していない.今回我々は最初に病歴・臨床症候,次に検査成績と2段階で自己免疫性てんかんを診断するアルゴリズムを作成し,臨床的有用性を予備的に検討した.自己免疫性てんかんが疑われた70名に後方視的にアルゴリズムを適応した.MRI,髄液,FDG-PET検査のうち,2項目以上異常所見があれば診断に近づく可能性が示された.一方で抗体陽性13名のうち2名は,第一段階の臨床症候で自己免疫性てんかんの可能性は低いと判断された.包括的抗体検査のもと診断アルゴリズムの更なる検証,改訂が望まれる.
著者
松本 理器 菊池 隆幸 山尾 幸広 中江 卓郎 小林 勝哉 下竹 昭寛 吉田 和道 國枝 武治 池田 昭夫 宮本 享
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.316-325, 2019 (Released:2019-06-25)
参考文献数
12

適切に選択された2種類以上の抗てんかん薬で単独あるいは併用療法が行われても, 1年以上発作が抑制されないてんかんは薬剤治療抵抗性てんかんと定義される. 全てんかん患者の30~40%を占め, 外科治療適応を検討することが推奨されている. 本稿では, 最近の診断技術の進歩も踏まえて, 部分てんかんのてんかん焦点診断のためにキーとなるてんかん関連領域を概説し, 実際の症例提示から, てんかん焦点の術前診断のプロセスを紹介する. 焦点関連領域の評価にはさまざまな検査法を行うが, 単独で焦点診断に至る 「万能な」 検査はなく, 各検査の特性・限界を理解して, 各種検査間の結果の整合性を検討しながら, 包括的に術前評価を行うことが重要である.
著者
井川 房夫 日高 敏和 黒川 泰玄 米澤 潮 小林 祥泰
出版者
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
雑誌
脳卒中の外科 (ISSN:09145508)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.262-266, 2015 (Released:2015-09-29)
参考文献数
15
被引用文献数
5 4

The incidences of subarachnoid hemorrhage (SAH) in Finland and Japan are the highest in the world, with about 20-23 cases per 100,000 persons per year. Since the report of the International Subarachnoid Aneurysm Trial (ISAT) was published, the use of intravascular coil embolization (CE) for cerebral aneurysm has become more frequent worldwide. In this paper, we discuss the current situation of therapy for cerebral aneurysm in Japan according to the data of our institute, the Japan Standard Stroke Registry Study, and the Japan Neurosurgical Society.From 1999 to 2013, 543 cases of ruptured saccular cerebral aneurysms were treated in Shimane Prefectural Central Hospital. According to data, most cases occurred in men in their fifties and in women in their seventies. The mean sizes of ruptured cerebral aneurysm according to site were 7.4 ± 4.1, 7.0 ± 5.4, and 5.5 ± 2.5 mm in the internal carotid artery posterior communicating artery, middle cerebral artery, and anterior communicating artery, respectively. Aneurysms smaller than 5 mm account for 187 (34.4%) of the cases.According to the Japan Standard Stroke Registry Study, the poor outcome rates (modified Rankin scale score, 3-6) according to the ISAT criteria were 18.3% and 24.2% in the surgical clipping (SC) and CE groups, respectively. These rates were superior to the ISAT data (36.4% for SC and 25.4% for EC). According to the survey of the Japan Neurosurgical Society from 2001 to 2011, the prevalence of cerebral aneurysm cases treated with clipping decreased from 88.2% in 2001 to 71.2% in 2011. The number of ruptured cerebral aneurysms treated with clipping also decreased. However, the frequency of clipping for unruptured cerebral aneurysm was increasing.
著者
内野 權次 三好 茂樹 森山 利治 小林 正幸
出版者
筑波技術短期大学学術国際交流委員会
雑誌
筑波技術短期大学テクノレポート (ISSN:13417142)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.75-80, 2002

筑波技術短期大学の聴覚部では通常の学内放送の代わりに、ケーブルテレビシステムを利用して開学時から文字と画像を中心とした学内広報〔1〕〔2〕や、学生に必要な様々な情報伝達を行ってきた。またこの設備は、通常のテレビ放送を受信し、再転送放送も行っており、時代の変遷に伴って用途に応じた様々な改善や機能増設を施しつつ活用されている。ここ数年間に一般のテレビ放送局においても、聴覚障害者のための情報保障として字幕放送番組が増えつつある。また、放送大学でも本学と単位互換協定を結んで、昨年から字幕入りの講義科目を開設している。一方全日本ろうあ連盟では独自の聴覚障害者専用デイジタル衛星放送「目で聴くテレビ」を平成12年度から開始した。そこで本学では、これを期に学生達が寄宿舎の個室で様々な学習情報や生活情報など、字幕放送を通じてより多くの知識が吸収出来るよう設備の改善充実を実施した。その内容について報告し、活用状況と運用上の課題および今後の検討事項などについて触れてみたいと思う。
著者
今村 易弘 小林 左東司 稲積 彦二
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.486-494, 1995-05-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
12

横型液噴射気体吸引エジェクターの気液接触装置としての性能特性に大きく関わる気液の挙動およびガスホールドアップ, εG, と主要因子との関係を実験的に検討した.スロート部内の流動様式は気泡発生および気液の混合状態により, 概ね3種類に大別できる。また, 本報で提示した流動モデルによる流動パラメーターは既往の定常的流動モデルによるそれよりも妥当であることを示し, かつこれに基づいてεGとその主要因子との相関関係を検討した.εGは液流量の増加とともに減少し, 逆に気体流量の増加とともに増大する.また, εGは気体体積流量分率, βの増加関数であり, βの値とはかなり異なることが分かった.多孔ノズルおよび単孔ノズルに関し, εGと操作因子との関係を検討した結果, 実測値を±20%の精度で推算できる相関式を得た.
著者
鈴木 弘子 高梨 潤一 永沢 佳純 小林 一彦 富田 美佳 玉井 和人 河野 陽一
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.319-322, 2001-07-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
12
被引用文献数
1

特発性頭蓋内圧亢進症 (IIH) の小児4例について臨床的, 画像的な検討を行った.全例主訴は頭痛で3例に乳頭浮腫を認めたが, 髄液圧が106cmと高値であった1例では乳頭浮腫を認めなかった.2例は反復髄液穿刺のみにて軽快した.初発時, MRIにて全例にempty sellaを認めた.また視神経に関しては,(1) 視神経の延長・蛇行,(2) 視神経周囲髄液腔の拡大,(3) 眼球後部の平坦化の2つ以上を全例に認めた.経時的に観察し得た3例中2例で, 治療による画像所見の改善を認めた.眼底検査に加え, MRIでの下垂体・視神経の評価がIIH, 特に乳頭浮腫を欠く症例における診断上重要と思われた.
著者
三澤 智則 小関 光弘 小林 宏
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2002, 2002

重機(パワーショベルなど)を操縦する際の運転者の技能の評価を数値的に評価する際の実験方法, 評価方法についての基礎的研究の発表。
著者
金田 博彰 正路 徹也 高木 秀雄 小林 祥一 加藤 泰浩
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

中国の地質区は、ほぼ東西の境界線で北より、シベリアプレート(Siberia Plate)、タリム〜北中国プレート(Tarim-North China Plate)、中央オロジェニックベルト(Central Orogenic Belt)、南中国プレート(South China Plate)、チベット〜雲南プレート(Tibet-Yunnan Plate)、インドプレート(Indian Plate)に分けることができる。現在、日本を始め世界の先進国においては新たな資源の発見・開発はほとんど無いといってよい。特に、日本は資源品国の代表である。これに対して、開発途上国の代表である中国は、今でも全土から数多くの新たな鉱物鉱床の発見がみられる。中国において、1993年以降発見、開発が進められてきた鉱床および鉱化地帯は70箇所におよぶ。これらの鉱床のほとんどは、本研究での調査地域の中国中部〜南部域に分布する。すなわち、上述の中央オロジェニックベルト、南中国プレート、チベット〜雲南プレートに分布する。各鉱床が産出する主要鉱種は、銅、鉛、亜鉛、金、銀、錫、タングステンなどである。また、数は少ないもののマンガン、鉄、ウランなどもある。鉱床によっては、希土類元素、ニッケル、モリブデン、金・銀、アンチモンなどの副産物を随伴する。銅鉱床規模を、Super large (Cu総埋蔵量:100万t以上)、Large(100万t〜50万t)、Medium(50万t〜5万t)、Small(5万t以下)に4区分すると、Super LargeとLarge規模のほとんどの鉱床は本研究の調査地域に分布する。予測される銅(Cu)埋蔵量は、Super Large=100万t以上、Large=281万t以上、Medium=55万t以上、Small=1.2万t以上と見積もられる。また、鉛・亜鉛鉱床は6地域と銅に比べ少なく、全てSouth China Plateに分布する。6鉱床中5つがLarge規模(Pb+Zn=100万t〜500万t)である。予測される資源量は、166万t以上である。金銀鉱床は、ここ10年間で30箇所発見・開発されている。ほとんどの鉱床は、South China PlateとCentral Orogenic Beltから発見されている。これらから予測される埋蔵量は、金=305t以上、銀=6300t以上と見積もられる。錫・タングステンは中国を代表する資源である。これらはSouth China Plateより新たに4鉱床発見された。予想埋蔵は、90万tと見積もられる。以上、近年中国で新たに発見・開発されている鉱物鉱床は、そのほとんどが本研究調査・研究地域に分布する。
著者
大野 豪 村山 盛敏 宮里 進 東嘉弥真 勇人 小林 亜古 大濱 俊三 米本 仁巳
出版者
沖縄県農業研究センター
雑誌
沖縄県農業研究センター研究報告 (ISSN:18829481)
巻号頁・発行日
no.8, pp.35-39, 2014-03

石垣島のアテモヤにおいて,花弁が顕著に変形した奇形花の発生を認め,その頻度の経時的変化を明らかにした。着花を促すための剪定・摘葉の時期(7月または8月)にかかわらず,奇形花の発生は開花期間の初期に集中することがわかった。次に,奇形花が人工受粉に適する花なのかどうかを確かめるため,受粉後の受精成功や果実の形状・サイズを奇形花・正常花の間で比較した。その結果,奇形果率と正常果の横径については,いずれの剪定・摘葉時期においても,奇形花と正常花の間に有意な差は認められなかった。一方,結果率については,7月剪定・摘葉樹(人工受粉期間: 8月中旬~下旬)では正常花・奇形花間に有意差はなかったものの,8月剪定・摘葉樹(同: 9月中旬~下旬)においては,奇形花の結果率が正常花のそれよりも有意に低かった。このように,受粉を行う時期によっては奇形花の結果率が劣る場合があることを考慮すると,十分な花数が確保できる場合には,奇形花を人工受粉に用いないほうが得策だと考えられる。8月剪定・摘葉樹でのみ奇形花の結果率が劣った原因のひとつとして,9月の受粉期間のほうが8月の場合よりも相対湿度が低かったため,開花前から花弁どうしの癒合が不十分な奇形花では秋季においてより柱頭が乾燥しやすくなり,受精機能を失いやすいという可能性を考えることができる。

1 0 0 0 純理經濟學

著者
小林丑三郎講述
出版者
明治大学出版部
巻号頁・発行日
0000
著者
小林 大輔
出版者
富山大学総合情報基盤センター
雑誌
富山大学総合情報基盤センター広報 (ISSN:21883181)
巻号頁・発行日
no.16, pp.18-19, 2019-06

本学の情報システムは,平成31年3月1日から新しいシステムに更新された。ここでは,Webメール(Active!mail)について紹介する。
著者
大谷 弘樹 岡田 真典 小林 成行 久保 雅俊 宇高 徹総 白川 和豊
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.843-846, 2010-09-30 (Released:2010-11-09)
参考文献数
13

症例は,75歳,女性。約30年前に胆石症にて開腹手術を施行。約20年前より腹壁瘢痕ヘルニアがみられていたが放置しており,徐々に巨大化していった。数年前頃から食後に嘔吐をくりかえしていたが,今回は症状の改善がみられずイレウスと診断され当院紹介入院となった。来院時,BMI 37.3kg/m2と高度肥満であり,腹部には巨大な腹壁ヘルニアを認めた。腹部CT検査では,12×12cm大のヘルニア門がみられ,拡張した胃や小腸の大半がヘルニア嚢内に脱出していた。保存的治療にてイレウスが改善した後,Composix Kugel Patch XLを用いて腹壁瘢痕ヘルニア根治術を施行した。術後は集中治療を行い腹部コンパートメント症候群による呼吸機能障害や循環器障害などを発症することなく良好に経過した。
著者
堤 竹蔵 今井 俊吾 山田 勝久 山田 武宏 笠師 久美子 小林 正紀 井関 健
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.139, no.7, pp.1055-1061, 2019-07-01 (Released:2019-07-01)
参考文献数
20
被引用文献数
2

Linezolid (LZD), an antimicrobial agent against methicillin-resistant Staphylococcus aureus, demonstrates good bone and joint penetration, and is used for prosthetic bone and joint infections. Recently, we observed vomiting in several patients administered LZD. However, there are few reports on the incidence rate of, and risk factors for, LZD-induced nausea and vomiting. In this study, we aimed to verify the relationship between LZD administration and vomiting. Patients administered LZD at the Department of Orthopedic Surgery of Hokkaido University Hospital between November 2008 and December 2017 were enrolled in the study. The primary endpoint was the comparison of the vomiting rate between patients administered LZD (LZD group) and those administered other antibiotics (non-LZD group). For the secondary endpoint, to verify the risk factors of vomiting, a univariate logistic regression analysis was performed. In total, 130 patients were included in this study; 77 patients in the LZD group, and 53 in the non-LZD group. Vomiting occurred in 18 patients in the LZD group and 4 patients in the non-LZD group (23.4% and 7.5%, respectively); this was significantly higher in the LZD group. In the univariate logistic regression analysis, LZD administration, gender (female), age ≥65 years, renal impairment (creatinine clearance <60 mL/min) and concomitant use of rifampicin were extracted as potential risk factors of vomiting. The results of this study reveal a possible relationship between LZD administration and vomiting.
著者
小林 弘憲
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.111, no.6, pp.381-387, 2016 (Released:2018-07-13)
参考文献数
33

ワインの香りは,その品質を決定する重要な要素である。ワインの香りは,ブドウに由来する香り,酵母による発酵香,MLFによる香り,熟成で生じる香りが渾然一体となったものであるが,なかでもブドウの品種に特徴的な香りがよく表れていることが重視される。一方,未熟な香りなど,ブドウに起因する好ましくない香りも知られている。本稿では,甲州,マスカット・ベーリーA,シラーと各品種に特徴的な香りの研究に取り組んでいる著者に,ブドウに由来するポジティブな香,ネガティブな香について,わかりやすく解説していただいた。