著者
北田 悠一郎 藤原 大樹 小野 秀高 馬場 裕之 阿部 哲夫 杉田 光隆
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.1753-1757, 2018 (Released:2019-02-28)
参考文献数
11

症例は87歳,女性.肝細胞癌に対して計2回の肝動脈化学塞栓術(transcatheter hepatic arterial chemo embolization: 以下TACE)を施行し経過良好であった.しかし,3回目のTACEにてリピオドール(一般名: ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステル)を用いて動脈塞栓を施行したところ,胆嚢へのリピオドール沈着が疑われ,直後に心窩部痛を認めた.翌日施行した腹部単純CTにて,胆嚢壁へのリピオドール残存を示唆する高吸収域,胆嚢周囲脂肪織濃度上昇,腹水を認めた.リピオドールによる胆嚢動脈塞栓に伴う急性胆嚢炎と判断し,開腹胆嚢摘出術を施行した.病理所見にて全層性の壊死を認め,壊疽性胆嚢炎と診断した.術後経過良好で術後12日目に退院した.リピオドール使用後の壊疽性胆嚢炎の報告は少なく,若干の文献的考察を加えて報告する.
著者
深谷拓吾 小野進 水口実 中島青哉 林真彩子 安藤広志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.7-9, 2011-03-02

電子機器等のマニュアル作成業務において,文章やイラエストの校正作業は必須のフローである.従来,紙上での校正が一般的だったが,電子メディア上での校正もマニュアル作成現場で浸透しつつある.しかし,依然,現場では紙ベースでの校正への支持は根強く,そのために費やされる紙は膨大な量にのぼる.省資源化の立場から,本研究では紙上での校正作業と液晶ディスプレイ上での校正作業について,効率と精度の面から検証を行った.紙と液晶ディスプレイ上でそれぞれ,英語文章と多言語文章を照応する比較校正実験をマニュアル作成業務従事者を対象に行った結果,紙上でのパフォーマンスが効率,精度とも液晶ディスプレイ上での作業を上回っていた.校正作業ログの分析することで,液晶ディスプレイ上での校正で発生しやすい認知的ミスを同定し,ディスプレイ上での校正率向上へ向けての指針を提案する.
著者
梅澤 雅和 小野田 淳人 武田 健
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.137, no.1, pp.73-78, 2017-01-01 (Released:2017-01-01)
参考文献数
58
被引用文献数
7 10

The toxicity of nanoparticles (nanotoxicology) is being investigated to understand both the health impacts of atmospheric ultrafine particles—the size of which is a fraction (<0.1 μm aerodynamic diameter) of that of PM2.5 (<2.5 μm diameter)—and the safer use of engineered nanomaterials. Developmental toxicity of nanoparticles has been studied since their transfer from pregnant body to fetal circulation and offspring body was first reported. Here we reviewed the developmental toxicity of nanoparticles on the brain, one of the most important organs in maintenance of mental health and high quality of life. Recently the dose- and size-dependency of transplacental nanoparticle transfer to the fetus was reported. It is important to understand both the mechanism of direct effect of nanoparticles transferred to the fetus and offspring and the indirect effect mediated by induction of oxidative stress and inflammation in the pregnant body. Locomotor activity, learning and memory, motor coordination, and social behavior were reported as potential neurobehavioral targets of maternal nanoparticle exposure. Histopathologically, brain perivascular cells, including perivascular macrophages and surrounding astrocytes, have an important role in waste clearance from the brain parenchyma. They are potentially the most sensitive target of maternal exposure to low-dose nanoparticles. Further investigations will show the detailed mechanism of developmental toxicity of nanoparticles and preventive strategies against intended and unintended nanoparticle exposure. This knowledge will contribute to the safer design of nanoparticles through the development of sensitive and quantitative endpoints for prediction of their developmental toxicity.

11 0 0 0 OA りんごののぞみ

著者
小野政方 著
出版者
研究社
巻号頁・発行日
1928
著者
小野 雅史 小池 俊雄 柴崎 亮介
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.514-525, 2016-11-01 (Released:2016-11-01)
参考文献数
14
被引用文献数
1

研究データの共有に向けた研究コミュニティーの合意形成ならびにポリシー設計を,国家の枠組みを超えて包括的に実施しようとする活動が国際的に進行しているが,実際にはオープンデータ先進国の欧米豪においても,立場の違いからさまざまな言説が存在する。特に政策と実践とのギャップについては慎重に議論されており,研究現場の実態を把握するためにさまざまな調査が行われている。国内でも,急速に変化する国際動向に対応すべく,オープンサイエンスに関する議論が始まるようになったが,現在のところ,国内の研究現場の実態調査はまだほとんど行われていない。こうした背景から,本稿では地球環境情報分野の研究者の協力の下,研究データ共有に関する意識調査を実施した。本調査から,自身のデータの提供を前向きに考えている研究者であっても,さまざまな事情から完全な実現には至っていない実情等が明らかとなった。
著者
小野寺 裕美 川瀬 豊 川端 博子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 59回大会(2007年)
巻号頁・発行日
pp.26, 2007 (Released:2008-02-26)

(目的)日本女性への普及率がほぼ100%であるブラジャーは、多くの小パーツから構成される繊細なものであるが、一般にどのように取り扱われているのかは明らかにされていない。また、手入れの違いがブラジャーにどのように作用するかの研究もごくわずかである。本研究では、若年女性を対象にブラジャーの使用実態を把握し、理想的な取り扱い方を提示することを目的とする。 (方法)若年女子のブラジャーの使用状況のアンケート結果をもとに、5の銘柄・4段階の洗濯方法を用い、未使用を含む25枚のサンプルを作成し、性能比較(寸法変化・引っ張り伸長特性・表面状態観察)と外観官能検査を行った。顕著な違いの認められた2段階のサンプル10枚については着用官能検査を行った。 (結果)性能比較の結果、ネットの有無に関わらず洗濯機普通コースのサンプルでは、ワイヤー及びカップに形状変化が見られた。手洗いコースのサンプルは外観において未使用サンプルとの差が認められなかった。外観官能検査において、7割の被験者が手洗いコースまでは使うと判断していたことからも、ブラジャーはワイヤー及びカップの形状が使用の可否を決める判断基準となっており、形状を保つためには手洗いが必須であると言える。また、安価な銘柄ほど洗濯による影響が顕著に見られ、デザイン重視で購入しがちな安価なブラジャーにこそ入念な手入れが必要である。着用官能検査では、手洗いのものが全般的に普通コースで調整したサンプルよりも高評価となり、シルエットに関する項目では有意差が認められた。
著者
小野 啓子 安藤 徹哉
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.72, no.612, pp.177-184, 2007
被引用文献数
1 2

日本統治下ミクロネシア(旧南洋群島)の経済を牽引し、大量の移民とプランテーションタウンの形成を促したのは糖業であったが、その原点は日本が初めて植民地として領有した台湾にある。本論文は、ミクロネシアにおける日本型糖業プランテーションタウンの原型を台湾に求め、その成立過程や特性を文献、聞き取り調査、航空写真からの地図再現などによって解明している。強力な官民パートナーシップのもと、初めて台湾に進出した日本資本の製糖会社は台湾製糖株式会社である。その最初の製糖工場が高雄の北側・橋仔頭に設置されたのは1902年のことで、当初は治安不安定のため、工場の周辺に事務所や宿舎を集中して配置していた。1905年、山本悌二郎所長以下3名の技術者がハワイ視察に出向く。その際、現地で見たハワイ糖業の効率性や規模に感銘を受け、帰国後直ちに狭軌鉄道の導入やハワイ式工場の導入を進める。さらに二つ目の後壁林工場(1907年設立)の開設にあたっては、ハワイ視察に参加した技術者の1人で工場長となった草鹿砥祐吉(1875-1961)が農場や工場だけでなく、労働者のための宿舎区の計画もハワイを範として計画した。テニスコートのあるオープンスペースや社員クラブを中心に置き、職階に従って戸建て、二戸一、長屋建ての住宅などを周辺に配置している。こうした「社宅街」は続く屏東工場(1910年設立)ではさらに拡大された。1910年代に入ると多数の日本資本が台湾に進出し、30以上の製糖工場が建設されたが、並木のあるグリッド状街区に整然と建物が並び、購買部からレクリエーション設備まで備えた社宅街は台湾における糖業プランテーションに欠かせない象徴的な景観となった。やがて台湾における製糖業の成長の限界が認識され、新高製糖の専務であった松江春次が1920年代に南洋群島への進出を目論んだ際には、こうした台湾での経験を生かし、短期間で事業を成功に導くことができたのである。
著者
三村 均 木村 仁宣 秋葉 健一 小野寺 嘉郎
出版者
東北大学
雑誌
東北大学素材工学研究所彙報 (ISSN:09194827)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.1-8, 1998
被引用文献数
1

Potassium nickel hexacyanoferrate (II) (KNiFC)-loaded silica gels were prepared by successive impregnation of macro pores with Ni(NO_3)_2 and K_4Fe(CN)_6 solutions. The loading precentage of KNiFC increased with impregnation cycles, and the KNiFC precipitates uniformly dispersed in macro pores of the matrix. The uptake of Cs^+ on KNiFC-loaded silica gels attained equilibrium within 7d at batch factor of 700(cm)^3/g, and relatively large distribution coefficients of Cs^+, K_<d.Cs>, above (10)^4(cm)^3/g, were obtained even in the presence of 5M NaNO_3. The KNiFC particles were thermally decomposed above 300℃, resulting in lowering of uptake ability for Cs^+. This exchanger proved to be effective for the selective removal of radioactive cesium from waste solutions containing highly concentrated NaNO_3.insoluble ferrocyanidespotassium nickel hexacyanoferrate (II)loadingsilica gelimpregnationmacro poreuptakeadsorptioncesiumdistribution coefficient
著者
山崎 竜司 小野 健太郎 根木 郁弥 田中 聡 小松原 悟史
出版者
一般社団法人 日本スポーツ理学療法学会
雑誌
スポーツ理学療法学 (ISSN:27584356)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.1-6, 2024 (Released:2023-09-30)
参考文献数
20

【目的】高校野球選手におけるゼロポジション近似肢位での上肢筋力と僧帽筋下部筋厚の関係を調査することである。【方法】高校野球選手を対象とし,ゼロポジション近似肢位での肩外旋筋力(Zero外旋筋力)と肘伸展筋力(Zeroリリース筋力),僧帽筋下部(LT)筋力,安静時及び収縮時LT筋厚を投球側で測定した。Zero外旋及びリリース筋力とLT筋厚との関係をPearsonの相関係数とSpearmanの順位相関係数を用いて検討した(有意水準は危険率5 %未満)。【結果】 Zero リリース筋力と安静時LT筋厚との間に有意な正の相関(r=0.52, p=0.01)を,Zero外旋筋力と安静時LT筋厚との間には,弱い正の相関(r=0.4, p=0.05)を認めた。【結論】ゼロポジション近似肢位での肩関節外旋及び肘関節伸展筋力発揮には,LT筋厚が関係していることが示唆された。
著者
小野 紀明
出版者
神戸大学法学部
雑誌
神戸法學雜誌 / Kobe law journal (ISSN:04522400)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.825-903, 1991-03 (Released:2013-03-12)
著者
上村 俊一 佐藤 邦忠 小野 斉 三宅 勝
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖学雑誌 (ISSN:03859932)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.85-92, 1977-09-30 (Released:2008-05-15)
参考文献数
38

1.54例のホルスタイン種乳牛と1例の短角牛の計55例に,副腎皮質ホルモンによる流産ならびに分娩誘発を試みたところ,妊娠日数60~135日の6例中3例が無効だったほかは,いずれもデキサメサゾン,ベタメサゾン10~20mg,1~3回注射で流産あるいは分娩誘発に成功したが,67.3%に胎盤停滞が発生した。2.妊娠日数250~275日の3例,277~338日の6例ならびに自然分娩牛(対照)8例の計17例について,分娩前後の血中性ステロイドホルモンをRIA法で測定した結果,奇形児妊娠(長期在胎)牛の分娩前血中エストロジェン値の低いことが注目された。3.分娩予定日の7~10日前に分娩させた6例のウシの1乳期の乳量を,試験前及び試験後の産次の乳量と比較したところ,試験時産次の乳量は試験前産次の乳量より平均600kg近い減乳であったが,試験後産次の乳量との比較ではほとんど増減はなかった。4.分娩誘発が次回受胎率に及ぼす影響を自然分娩牛の場合と比較してみたが,差はみられなかった。
著者
小島 拓 芳澤 享子 小野 由起子 倉部 華奈 加納 浩之 齊藤 力 小林 正治
出版者
特定非営利活動法人 日本顎変形症学会
雑誌
日本顎変形症学会雑誌 (ISSN:09167048)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.234-240, 2015-08-15 (Released:2015-09-12)
参考文献数
21
被引用文献数
3

We present three cases in whom mental disorders appeared after orthognathic surgery.The first case was a 35-year-old female who had a history of depression. After the operation, a manic state appeared and she was diagnosed with bipolar disorder. Her medicine was changed from an antidepressant to a mood stabilizer, after which her mental condition stabilized.The second case was a 34-year-old male. He could not accept the appearance of his postoperative face, and it took about three months for him to finally accept his new appearance.The final case was a 37-year-old female. She could not accept the appearance of her postoperative face because it was not what she had expected. She began to complain about her face and became depressive, and was finally diagnosed with major depressive disorder. After administration of an antidepressant, her mental condition gradually improved.We must take into consideration the possibility that patients will develop mental disorders after orthognathic surgery, and adequate explanation and patient assessment before the operation are therefore important.
著者
小野田 滋
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
日本土木史研究発表会論文集 (ISSN:09134107)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.115-122, 1986-06-25 (Released:2010-06-15)
参考文献数
21

First derrick car called SO-1 type was designed for bridge erection by Japanese Government Railways, and 6 units of them had been built from 1920 to 1927. This derrick car was capable of erecting up to 70ft span and 28ton weight class plate girder bridge. Though based on the past similer idea, the car was an original one for railway use, and it contributed very much to construction of railway network at that time. This erection method was characterized in that it made the bridge erection safer, faster and more economical than the former staging erection. But it retired about 1960', because a new bridge erection has been developed thereafter, and a new derrick car SO-200 type appeared in 1960. This paper discribes a history of the first derrick car for bridge erection.
著者
佐藤 真理子 松井 有子 小野 花織 西村 愛 高木 美希 光畑 由佳
出版者
人間‐生活環境系学会
雑誌
人間‐生活環境系シンポジウム報告集 第42回人間-生活環境系シンポジウム報告集 (ISSN:24348007)
巻号頁・発行日
pp.65-66, 2018 (Released:2021-04-23)
参考文献数
2

頭部被覆時の衣環境として,ムスリム女性の衣服,授乳ケープ,ベビーカーカバーに着目し,被験者実験 により,衣服内温湿度・CO2濃度・唾液アミラーゼ活性の計測を行った.ムスリム女性の衣服 4 種(ブルカ,ヒマ ール・ニカーブ,ヒジャブ・ヒジャブキャップ,ドゥパタ)の比較では,頭部近傍の湿度上昇が,ヒマール・ニ カーブで大,ドゥパタで小であり,唾液アミラーゼ活性値も同様の傾向であった.頭部近傍の湿度が快不快に影 響している可能性が示された.授乳ケープとベビーカーカバーでは,衣服内温湿度,CO2濃度共に,ケープ内,ベ ビーカー内で高い値を示し,特にレインカバー内の CO2濃度が顕かに高く,注意を要する実態が示された.