著者
山中 大学
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.189-200, 2019-07-05 (Released:2019-08-09)
参考文献数
63

インドネシア「海大陸」は真の大陸に比べ遥かに長い海岸線をもち,これに沿って日周期海陸風と共に生じる世界最強の雨雲が解放する潜熱は,日射(-日傘効果)と赤外放射(-温室効果)の差を埋めている.この地球保温機構は,同時に保水機構であり,それらと共に陸海空三重境界の不連続を回避する仕組の一つとして作られた生物圏や,その内部に派生した人類圏の生命維持機構でもある.特にスマトラ・カリマンタン両島の海岸の低湿地林とその遺骸蓄積が作る泥炭地は多量の炭素を固定しており,それらの輸出用農作物プランテーション化に伴う乾燥やエルニーニョ・ダイポールモード期に多発する火災延焼は地球温暖化の要因となっている.如何にして気候・生物・人類を共存させていくかを国際的・学際的に考えねばならない.
著者
田中 榮一 山中 寿
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.251-259, 2014-12-30 (Released:2015-02-28)
参考文献数
13
被引用文献数
1

薬剤の医療経済性評価は高騰する医療費の適正化を考える上で重要であるが,医療経済的研究は臨床データを基に構築されたモデルシミュレーションにより解析するため,我々が慣れ親しんでいる臨床研究とは異なり,日常診療での薬剤の有効性や安全性との関連性が理解しにくい.そこで本総説では日本のリウマチ患者の前向きコホート研究であるIORRAの日常診療データを用いて筆者らが実施したトシリズマブの医療経済的研究結果とこれまで得られているトシリズマブの有効性や安全性の関係から,薬剤の医療経済学的評価に影響を与える代表的因子として薬価,薬剤の投与継続率および有害事象発現リスクが低く効果発現の可能性の高い患者の選択の3点について考察を加えた.その結果,日常診療における有効性および安全性のバランスは医療経済学的評価に強い影響を及ぼす可能性が推察されることが明らかとなった,また,今回はトシリズマブを題材とした考察であったが,他の生物学的製剤でも医療経済学的検討で得られた成績を日常診療での有効性および安全性の成績と照らし合わせて裏づけることは,日常診療において医療経済学的評価に基づいた適正使用の妥当性を理解する上で非常に重要であると思われた.
著者
増田 彰則 山中 隆夫 武井 美智子 平川 忠敏 志村 正子 古賀 靖之 鄭 忠和
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.44, no.12, pp.903-909, 2004-12-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
9
被引用文献数
1

子どもからみた家族機能が, 心身症の発症, 学校での適応, 思春期の精神面や生きる喜びに与える影響について検討した. その結果, 家族機能不良群は, 心身症の発症の相対危険度が良好群に比べ2倍であった. 小学, 中学時代にいじめを受けた者は2倍, しばしば学校を休んだ者が3倍高かった. 思春期になると一入こもるようになった, 他人の視線が気になる, 自己主張ができない, 人間関係をうまくつくれないと答えた者が約2倍高かった. さらに, 人を信用できない者は約5倍, 誰も相談相手がいない者は良好群に比べ相対危険度が3倍高く, 自分が必要とされていない, 生きる喜びがないと答えた者も約4倍高かった. 家族機能は, 心身症の発症のみならず, 学校適応や思春期の精神面, 生きる喜びにも影響を及ぼしていることがわかった.
著者
村田 麻里子 パスキエ オレリアン 山中 千恵 伊藤 遊
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.57-81, 2014-10-31

This paper reports on the special exhibition of Korean comics ‘Flowers that Never Wilt’ at the 2014 Angouleme International Comics Festival. It also analyzes the ‘politics’ involved in the festival site and the exhibition display. The exhibition, which dealt with the issues of ‘comfort women’, raised disputes among the three involved countries: Korea, Japan and France. This paper tries to carefully examine the cause of these disputes, and to clarify the differences or the gaps in their perspectives towards exhibiting such political issues.本稿は、フランス・アングレーム市で毎年開催されるアングレーム国際BDフェスティバルに出展された韓国漫画の展覧会「枯れない花」展を、現場のレポートを交えて概観するとともに、そこにおいて顕在化した場と展示の〈政治性〉についての考察を行うものである。これによって、日韓仏三国には、〈政治性〉をめぐる解釈に齟齬があること、またここには日韓間の問題だけではなく、ヨーロッパからみた「オリエント」としてのアジアという問題も、影を落としていることが明らかになった。
著者
藤川 正毅 田中 真人 井元 佑介 三目 直登 浦本 武雄 山中 脩也
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.86, no.881, pp.19-00256, 2020 (Released:2020-01-25)
参考文献数
20
被引用文献数
1

A numerical calculation scheme for stress and its consistent tangent moduli with hyper-dual numbers(HDN) for Ogden-type hyperelastic material model was proposed. The main advantage of this scheme is that once the framework is coded, any Ogden-type hyperelastic material model can be implemented by only re-coding the strain energy density function. In this scheme, the new differentiation method for eigenvalue and eigenvector of the symmetric matrices with HDN were proposed. The proposed method can calculate the eigenvalue and eigenvector in non-real part analytically by using the eigenvalue and eigenvector in real part, in case that all eigenvalues in real part are not multiple root. We implemented the Neo-Hookean model and the Ogden model with the proposed scheme, to confirm the effectiveness and robustness of this method, and applied it to some examples. As the results, it was confirmed that the numerical results of the proposed method showed good agreement with analytical ones.
著者
山中 敏彰 和田 佳郎
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

姿勢や歩行機能の障害が存続する難治化した慢性平衡障害者に対して前庭覚代行装(Vestibular Substitution Tongue Device: VSTD)を用いるリハビリテーション治療を試みて、長期効果を検討した。期間延長の理由により、2018年度は症例確保が進まず、1例のみの追加で合計11例に対して中期の評価を行なった。頭位の傾きを感知する加速度計からの情報を電気信号に変換して舌に設置したインタフェースに伝達する、VSTDのシステムを使用して、バランストレーニングを8週間行った。評価項目として、重心動揺検査から得られる30秒間の動揺軌跡長と歩行条件から点数化した歩行機能視標(30点満点)を用いた。重心動揺総軌長は237.5 ± 22.4 cm/30 s から 85.4 ± 15.4 cm/30 s に、歩行機能スコアは、13.5 ± 1.5から23.5± 1.6にそれぞれ変化し 両者ともに治療直後より著明な改善を示した。VSTDを取り外した後の効果を追跡観察したところ、12か月以上の時点で、重心動揺総軌長88.6± 18.9、歩行機能スコアは23.8±3.0となり、改善は、最短12か月でほぼ変動なく、効果は維持された。現在は、短期間ではあるがトレーニング効果は持ち越され維持できる傾向が示されている。
著者
山中 至
出版者
法制史研究
雑誌
法制史研究 (ISSN:04412508)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.41, pp.1-44,en2, 1991

This paper analyzes the legal effect of Geishogi-contract in the early Meiji period, before the enforcement of Old Civil Law, with some unknown decisions of lower courts in Tokyo and Osaka.<BR>It contains, First, as for Geishogi-contract, dualistic opinions, labor contract as Geishogi was void against public policy but advance contract was valid, had been dominant during the Old Supreme Court era. In 1955, Supreme Court invalidated the long supported precedent with a unitary opinion and reversed it. This paper clarified, for the first time, that dualistic opinions (e. g., the decision of Tokyo court of appeals in 1878, the decision of Tokyo district court in 1879) had existed before the appearance of the decision of Old Supreme Court and that had been the main stream in lower courts.<BR>Second, while there had been the decision of Old Supreme Court in 1896 for Geishogi's freedom of retirement, similarly, we found that it had been admitted in lower courts (Tokyo and Osaka) before it. Furth-ermore, there were interesting decisions that had prohibited a master from forcing Geishogi to work and from taking back the returned. In the case of human traffic as an employment contract, lower courts had remedies for Geishogi's freedom of retirement with dualistic opinions.<BR>Third, we found, however, a progressive decision which made an advance contract void for the proclamation 295 in 1872. Finally, we should regard the decision, the substance of an adoption for Geigi was a masked Geishogi-contract and void for the proclamation 295, as the progressive one which was treated as a problem of public policy.
著者
赤澤 直紀 原田 和宏 大川 直美 岡 泰星 中谷 聖史 山中 理恵子 西川 勝矢 田村 公之 北裏 真己 松井 有史
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48100299, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】マッサージは筋機能回復の促進,遅発性筋痛の軽減には効果があると報告されているが関節可動域に与える効果については十分に検証されていない.Hopper(2005)は健常者のハムストリングス筋腹に5分間の揉捏法を施行したマッサージ群とコントロール群のHip Flexion Angle(膝関節伸展位股関節屈曲角度:HFA)変化量に有意差は認めなかったと報告している.一方,Huang(2010)は,健常者のハムストリングス筋腱移行部に対する30秒強擦期のHFA変化量はコントロール期より有意に高値であったと報告している.これら先行研究の結果の違いについては筋腹,筋腱移行部といったマッサージ部位の違いが影響していると推察されるが,関節可動域にマッサージ部位の違いが与える効果を検証した報告は見当たらない.本研究の目的は,健常成人のHFAにハムストリングス筋腹,筋腱移行部といったマッサージ部位の違いが及ぼす効果を検証することである. 【方法】対象は両側他動HFA60°以上の健常成人男性32名(32肢)とし,この対象者を筋腱移行部マッサージ(筋腱移行部)群,筋腹マッサージ(筋腹)群,コントロール群へ無作為に割り付けた.介入マッサージ手技はGoldberg(1992)によって脊髄運動神経興奮抑制の効果が確認されている圧迫を採用した. Goldberg(1992)の報告を参考に圧迫内容はgrasping・lifting・releasing,圧迫周期は0.5Hz,施行時間は3分,圧迫圧は18.7mmHgと設定した.筋腱移行部群のマッサージ部位は大腿骨内・外側上顆から4横指近位の範囲とし,筋腹群のマッサージ部位はさらに4横指近位の範囲とした.コントロール群のマッサージ部位はアウトカム測定下肢の対側ハムストリングス筋腹とした.介入時の対象者肢位は有孔ベッド上腹臥位とした.アウトカムは盲検化された評価者によって測定された介入前後のHFA,HFA60°受動的トルクとした.HFAはデジタルカメラで撮影した画像を基に画像解析ソフトImage Jを用いて0.01°単位で解析した.なお,介入後HFA測定時受動圧は介入前HFA最終域受動圧に一致させた.HFA受動圧測定には徒手保持型筋力測定器を使用し,対象者の踵骨隆起部で測定した.統計解析は各群の介入前後のHFA変化量の比較に介入前HFAを共変量とした共分散分析,事後検定として多重比較法を実施した.またHFA,HFA60°受動的トルクについて各群内の介入前後比較に対応のあるt検定を実施した.本研究における統計学的有意水準は5%未満とした.【倫理的配慮、説明と同意】対象者には研究の趣旨と手順を書面と口頭により説明し,研究の目的,危険性等について理解を得た上で,文書で同意を得た.本研究は吉備国際大学倫理審査委員会の承認を得て実施した.【結果】無作為割り付けの結果,筋腹群11名,筋腱移行部群11名,コントロール群10名となり各測定項目ベースラインで3群間に有意差は認められなかった.共分散分析の結果,主効果を認め多重比較法により筋腱移行部群HFA変化量(4.1±1.4°)はコントロール群(-1.5±1.4°)より有意に高値を示した.筋腹群HFA変化量(0.89±1.4°)と筋腱移行部群,コントロール群HFA変化量には有意差は認めなかった.HFAは筋腱移行部群で介入前と比較し介入後に有意に高値を示した(69.9±3.0°→74.7±4.6°).HFA60°受動的トルクは筋腱移行部群で介入前と比較し介入後に有意に低値を示した(42.5±12.8Nm→36.3±15.4Nm).HFA,HFA60°受動的トルクについて他2群では有意差は認められなかった.【考察】筋腱移行部へのマッサージはHFAを拡大させ得る可能性がある一方,筋腹へのマッサージはHFA拡大に効果が少ない可能性が示唆された.また,筋腱複合体の柔軟性を反映する受動的トルクに関しては筋腱移行部群で介入直後に低下する傾向を示した.近年,関節可動域の拡大においては筋腱複合体の柔軟性向上とstretch toleranceの増大が大きく影響すると報告されている.本研究においては,介入前後のHFA測定時の受動圧を対象者内で統一したためstretch toleranceがHFAに影響を与えたとは考えにくい.従って筋腱移行部群の介入後でのHFA拡大にはハムストリングス筋腱複合体の柔軟性向上が寄与したのではと推察された.【理学療法学研究としての意義】ハムストリングス筋腹,筋腱移行部といったマッサージ部位の違いがHFAに与える効果の差異を明らかにした点で理学療法研究としての意義があると考える.
著者
山中 努 土方 嘉徳 西田 正吾
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.22, pp.1-8, 2009-11-13

近年 Web 上で使用できる地図アプリケーションや GPS 機能が付いた携帯電話が普及しつつある.また twitter や場 log のように GPS 情報を付加して周囲の状況をテキストで送ることができるサービスが登場しつつある.これらにより時空間情報を伴うテキストデータが増加しつつある.この大量の情報をうまく活用できればイベント会場の管理者や災害時における自治体のオペレータのように,ある特定の地域の状況を把握する事が必要となる業務において,より迅速で正確な状況把握を実現する事ができると思われる.そこで本研究では時空間情報を伴う大量のテキストデータを業務上必要な観点から要約し,その情報を地図上で可視化するシステムを設計する.Map applications on the web or mobile phones with GPS capabilities have become widely used. Furthermore, users can send surrounding circumstances via email with GPS information by using twitter. So text-data with temporalspacial infomation is increasing. In business that they have to understand local conditions like venue administrator or operators of local governments in disaster, they can use this information for understanding circumstances faster and more accurately. In this study, we extract important information for this business from large amounts of text data with temporal-spatial information and design a system that visualizes the information on the map.
著者
三浦 拓也 山中 正紀 武田 直樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101189, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】体幹の安定性は従来,腹直筋や脊柱起立筋群などの体幹表層筋群の同時収縮により提供されると考えられてきた.しかしながら近年,これらの筋群の過剰な同時収縮はまた腰椎にかかる圧迫力を増加させ,腰痛発症のリスクとなり得るということも報告されており,体幹表層筋への依存は腰椎の安定性に対して負の影響をもたらす可能性が示唆されている.対して,腹横筋や腰部多裂筋を含む体幹深層筋群は直接的に,もしくは筋膜を介して間接的に腰椎に付着するため,その活動性を高めることで腰椎安定性を増加させることが可能であると言われている.しかしながら,増加した体幹深層筋群の活動性が表層筋群の活動性にどのような影響を与えるかについて同一研究内で報告したものは見当たらない.本研究の目的は,体幹深層筋群の活性化が表層筋群の活動性に与える影響について筋電図学的に調査することである.【方法】対象は,体幹や下肢に整形外科学的または神経学的既往歴の無い健常者6名(22.4 ± 1.1歳,166.9 ± 2.0 cm,60.5 ± 3.6 kg)とした.筋活動の記録にはワイヤレス表面筋電計(日本光電社製)を周波数1000 Hzで使用し,対象とする筋は右側の三角筋前部線維,腹直筋,外腹斜筋,内腹斜筋-腹横筋,脊柱起立筋,腰部多裂筋とした.実験プロトコルに関して,立位姿勢にて重量物(2,6 kg)を挙上させる課題を異なる条件にて実施した.条件は特に指示を出さずに行う通常挙上と,腹部引きこみ運動(Abdominal drawing-in maneuvers;ADIM)を行った状態での挙上の2つである.各条件において測定は計5回ずつ行い,得られた筋電データはband-pass filter(15-500 Hz)を実施した後にroot-mean-square(RMS)にて整流化した.全課題を終えた後に各筋における5秒間の最大等尺性収縮(MVIC)を取得し,これを用いて筋電データの標準化を行った.重量物挙上のonsetを加速度計にて決定し,その前後200 ms間の筋電データを解析に使用した.統計解析は各課題(2-N;2 kg-通常挙上,2-A;2 kg-ADIM挙上,6-N;6 kg-通常挙上,6-A;6 kg-ADIM挙上)の比較に一元配置分散分析(SPSS Advanced Statistics 17,IBM 社製)を使用し,post-hocにはFisher’s LSDを用いた.有意水準は5%未満とした.【倫理的配慮、説明と同意】本研究の被験者には事前に書面と口頭により研究の目的,実験内容,考えられる危険性,データの取り扱い方法等を説明し,理解と同意を得られた者のみ同意書に署名し,実験に参加した.本研究は本学保健科学研究院の倫理委員会の承認を得て行った.【結果】外腹斜筋は6-A挙上時,6-N挙上と比較して有意に活動量が減少し(p<0.05), 2-N挙上と比較して6-N挙上では有意に活動量が増加した(p<0.05).内腹斜筋-腹横筋では2,6 kgのそれぞれでADIM挙上時,通常挙上と比較して有意に活動量が増加した(p<0.05).脊柱起立筋では6-A挙上時,6-N挙上と比較して有意に活動量が減少し(p<0.05), 2-N挙上と比較して6-N挙上では有意に活動量が増加した(p<0.05).腹直筋および腰部多裂筋においては有意差は認められなかった.【考察】ADIMを行った状態での挙上課題において,外腹斜筋および脊柱起立筋では筋活動量の減少が認められた.このことは重量物挙上による体幹動揺に抗するための体幹表層筋群への努力要求量が減少したことを示唆するかもしれない.この努力要求量の減少は,ADIMにより体幹深層筋群が活性化され,これに伴う体幹安定性の増加がもたらしたものと推察される.実際に内腹斜筋-腹横筋ではADIM挙上時に有意にその活動量が増加している.腹直筋や腰部多裂筋において有意な差が認められなかったことについては,主に体幹伸展モーメントを必要とする本研究の課題特性が影響したものと考えられる.体幹深層筋群の筋活動計測に対してはこれまでワイヤー筋電計などの手法が用いられてきたが,本研究結果はそれら先行研究と同様の結果が得られたため表面筋電においても体幹深層筋群の活動性を捉えることが可能であると示唆された.また,体幹表層筋群の同時収縮は腰椎に対して力学的負荷増加といったリスクを伴う可能性があるため,その活動性を減少させる体幹深層筋群の活性化は腰椎の安定性に対して重要な働きを持つものと考えられる.この体幹深層筋群の活性化による腰椎安定性増加は,将来的な腰痛発症を予防するという観点から臨床家が取り組むべき課題であると思われる.【理学療法学研究としての意義】本研究により,体幹深層筋群の活性化が体幹表層筋群の活動性を減少させることが示唆された.本所見は将来的な腰痛発症を防ぐためにも重要な知見であり,腰痛に対するリハビリテーションの一助となるものと考える.
著者
山中 一郎
出版者
Japanese Society of Animal Breeding and Genetics
雑誌
動物遺伝育種研究 (ISSN:13459961)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.57-66, 2004-05-20 (Released:2010-03-18)
参考文献数
58
被引用文献数
1
著者
山中 浩司
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.150-165, 2012-06-30 (Released:2013-11-22)
参考文献数
61
被引用文献数
2
著者
山中 海瑠
出版者
名古屋大学高等研究教育センター
巻号頁・発行日
2019

2018年度名古屋大学学生論文コンテスト優秀賞受賞
著者
増田 知之 小関 美咲 邵 宇晨 加藤 隼平 山中 敏正
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. EC, エンタテインメントコンピューティング = IPSJ SIG technical reports (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.9, pp.1-5, 2018-03

近年,スマートフォンの普及により,誰もが手軽に自撮りできるようになり,その自撮りした写真をアプリで加工し ( 「盛り」 と呼ぶ),ソーシャル ・ ネットワーキング ・ サービスにアップすることが流行している.「盛り」 の要素の 1 つである 「色味」 には性差が存在することが報告されたが,他の要素については不明である.そこで本研究では,盛りの要素の中で最も代表的な要素である 「目」 に着目した.20 代平均顔の目に対して盛りを段階的に施し,20代の男女55名を対象に,その盛る量 (加工量) と魅力度の関係を調べた.その結果,目に盛る量と魅力度評価には,性別や生活環境 ・ 地域の違いで有意な差がみられなかった.以上の結果より,目に盛る量に関しては,性別・ 生活環境を問わず日本の若者に共通した感性が存在することが示唆された.
著者
星文彦 山中 雅智 高橋 光彦 高橋 正明 福田 修 和田 龍彦
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.43-48, 1992
被引用文献数
16

椅子からの立ち上がり動作の運動学的解析を行い, 各筋群の機能的役割を考察した。計測方法:ビデオ, 床反力計, 表面筋電図, 及び殿部の離床を記録するためのマットスイッチ(自作)を用いて椅子からの立ち上がり動作を記録した。またビデオ, 床反力計, 表面筋電図は自作のトリガー発信器を用い同期記録した。分析結果:床反力は, 動作開始直後下降, その後急上昇し, 姿勢及び重心位置の変化を忠実に反映していると思われた。またその時の筋活動から立ち上がり動作開始時に体幹を前傾させることと重心位置を前下方へ移動させる原動力となっている筋群として縫工筋, 大腿直筋さらに前脛骨筋が重要な役割を果たしていると考えられた。