著者
山田 耕生
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.107-121, 2009-03-31

本稿では、浦和レッズとその本拠地であるさいたま市浦和地域(旧浦和市)を事例に、プロサッカークラブの発足に伴う「サッカーのまち」の変遷を明らかにした。浦和地域では1960年代から70年代にかけての約20年間の地元高校サッカー部による数々の全国優勝によって「サッカーのまち」としての認識が形成された。1993年に開幕したJリーグ以降は、行政、商店街などにより、サッカーのまちづくりが進められた。2000年代に入ると、浦和レッズも本格的に地域貢献活動に取り組むようになった。このように、Jリーグ開幕時からサッカーのまちづくりが着々と進展した要因は、地域住民の「サッカーのまち」としての認識やアイデンティティがあるためである。さらに、浦和レッズの地域貢献活動は本業のサッカーの強化には繋がらないが、結果として浦和レッズがさらに地域へ受け入れられるものになり、さらには浦和地域の「サッカーのまち」づくりが一層進んでいくものと考えられる。
著者
大松 慶子 石井 良和 山田 孝
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.68-80, 2015-09

我が国の作業療法士が使用する意味のある作業,価値を置く作業,重要な作業など(以下,意味のある作業と略)の内容と特性を,内容分析を用いて検討した。対象は国内で1995 年度から2010 年度に発表されたこれらの言葉を用いた26 件の事例報告論文である。結果,生成したのは《自ら意思表示した》《興味がある》《生活史の中にある》《心身機能と行動の改善を促す》《他者との関係に変化をもたらす》《希望をもたらす》《新たな自分につながる》の7 カテゴリーであった。作業療法士はこのうち《自ら意思表示した》《生活史の中にある》《新たな自分につながる》のどれかのカテゴリーを含む作業を,意味のある作業とみなす傾向があると考えられた。意味のある作業は,クライエントの自分に対する理解と人生にかかわり新たな自分を再構築する,作業療法士が援助する作業であると考えられた。
著者
槌野 正裕 荒川 広宣 山下 佳代 石井 郁江 山田 一隆 高野 正博
出版者
日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会
雑誌
日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会誌 (ISSN:18820115)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.23-28, 2015 (Released:2020-07-17)
参考文献数
16
被引用文献数
1

【目的】排便に適した姿勢に関して、排便姿勢の違いが肛門直腸角(ARA:anorectal angle)と疑似便の排出量に及ぼす影響について検討したので報告する。【対象と方法】Defecographyを行った症例の中で、前屈座位と伸展座位によるARA、仙骨の傾きを撮影された静止画像から計測し、排便困難例では疑似便の排出量を比較した。【結果】ARAは伸展座位で114.1°±21.0°、前屈座位で134.6°±16.8°、仙骨の傾きは84.9°±10.8°、92.4°±10.7°、排出量は90.1g±82.0g、140.7g±93.3gであり、有意に前屈座位の方がARAと仙骨の傾きが大きく、排出量が多かった。【考察】前屈座位は骨盤が後傾し、仙骨はうなずくため、排出時にARAが鈍化し、排出量が多くなるため、排便に適した姿勢であると考えられる。
著者
山田 杏菜 菊池 司
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.235-236, 2021

仮面ライダーとは1971年から2017年現在も続く特撮ヒーロー番組に登場する仮面をつけたヒーローの総称である.45年もの間続く番組はあまり存在しない.その魅力の1つとして変身シーンが挙げられるのではないだろうか.そのため,本研究では変身シーンのカメラワークに着目し分析,考察を行う.昭和12人,平成18人,計30人,約120シーンの抽出をし,8つの項目(カット数,アングル,画角サイズ,カメラワーク,被写体から見たカメラの位置,被写体の画面内位置,映像内容,時間)に分けて分析する.その結果を元に,ライダー毎の特徴や類似点,相違点,昭和ライダーと平成ライダーの違いなどを抽出していく.
著者
山田 耕筰[作曲]
出版者
ニッチク
巻号頁・発行日
1944-05
著者
山田 康弘
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.214, pp.285-302, 2019-03-15

本稿では博物館の展示において,ヒトの遺体,特に縄文時代の人骨(以下,縄文人骨)を展示するにあたって,それはどのような場合に「許される」と考え得るのか,そしてその場合どのような配慮が行われるべきか,考察を加えた。はじめに各地の博物館における人骨資料の展示状況を概観し,人骨展示がセンシティヴなものであることを指摘した。その後,死体を直接的に展示した『人体の不思議展』についての議論を踏まえて,考古学的資料としての人骨の取り扱い方,展示の際の原則を取り決めたヴァーミリオン協定とタマキ・マカウ・ラウ協定について概観し,縄文時代の人骨を展示するにあたって,それはどのような場合に「許される」と考え得るのか,そしてその場合どのような配慮が行われるべきか,という点について検討を行った。結論として,縄文人骨の場合,1)その直接的な血縁関係者,子孫をたどることは不可能であること。2)千年以上も昔の事例であり,すでにパーソナルメモリーやソーシャルペルソナが消失しているとみて良いこと。3)長きにわたって研究資料として利用されてきていること,などの点から,特別な事情が無い限り,これを展示資料として取り扱うことは許されると判断した。
著者
尾池 和夫 山田 聡治
出版者
独立行政法人防災科学技術研究所
雑誌
防災科学技術研究所研究資料 (ISSN:0917057X)
巻号頁・発行日
vol.166, pp.161-175, 1995-03-31

The temporal variation of the number of LF and VLF noises has been compared with the occurrence of near shallow earthquakes. The results have been described by Oike et al.(1992), Oike and Murakami(1993) and Oike et al.(1993). In the case of 70 per cent of large earthquakes with magnitude larger than or equal to 6.0 anomalous increase of LF noises is observed within one day before the main shock whose epicentres are located in the land or shallow sea region. Similar phenomena are found in the case of near shallow earthquakes with magnitude larger than or equal to 5.0. Also inthe case of the largest earthquake (M7.8) during the observation a similar increase of LF and VLF noises as above mentioned was recorded. New observation system has been developed to record the wave forms of such phenomena and wave forms of co-seismic radiations from hypo-centers of large earthquakes. We have developed observation systems of electromagnetic radiations (EMR) related with the occurrence of earthquakes. Observing EMR at many and various observation points is important to detect EMR related with earthquakes. It is also important to observe them in low and wide frequency ranges for understanding the characteristics of the waves. We chose the ball antenna as a sensor which has sensitivity in low and wide frequency range (Ogawa et al., 1966). It is difficult to cover all frequency ranges by only one recorder, so we divided signals into several frequency bands and designed the most suitable filter and recording system for each band. We have developed handy observation system for EMR in the frequency range from 80Hz to 20kHz. Using this system, we can easily record EMR at any points and at any time. For example, going to the region where earthquake swarm is occurring, we can record EMR phenomena in the hypo-central region. Observation system for basic stations can record EMR in frequency range from DC to 20kHz broader than the handy system. By this system, we can get and make detailed analysis of records of EMR. By these two systems, we can expect to discuss EMR phenomena related with earthquakes. Such phenomena are possible to be caused by various mechanisms. It is also important to observe and analyze EMR from lightnings, because there is a possibility of the physical relationship between earthquakes and lightnings (Oike et al, 1993). During the observation using the developed recording systems the large earthquake of magnitude 7.8 occurred in the southwestern off Hokkaido region. Before and after the earthquake the anomalous increase of the number of LF and ELF noises were observed by the usual system and coseismic anomalous signals were recorded by the newly developed handy recording system.

4 0 0 0 OA いちご姫

著者
山田美妙 (武太郎) 著
出版者
金港堂
巻号頁・発行日
1892
著者
大橋 祐生 山田 浩之
出版者
岩手医科大学歯学会
雑誌
岩手医科大学歯学雑誌 (ISSN:03851311)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.94-108, 2018-02-09 (Released:2018-03-11)
参考文献数
32
被引用文献数
1

口腔は消化管や呼吸器の入り口であり,様々なウイルスや細菌の侵入門戸になっているため,多くの内科的疾患の発症に深く関与している.全身疾患に関連する口腔症状は多彩で鑑別が難しい.しかしながら,われわれ歯科医師は医学的な知識を十分に養いこれらの症状に対応する必要がある.超高齢化社会の日本では,65 歳以上の人口が,2025 年には30%に達すると試算されている.本稿では,今後更に重要性を増していくものと思われる全身疾患に伴う口腔症状について概説する.
著者
井川 雅子 山田 和男
出版者
日本口腔顔面痛学会
雑誌
日本口腔顔面痛学会雑誌 (ISSN:1883308X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.21-31, 2010 (Released:2011-03-14)
参考文献数
35
被引用文献数
1

非定型歯痛(AO),非定型顔面痛(AF),舌痛症,口腔内灼熱性疼痛(BMS)は,器質的原因がほとんど認められず,心理的要因と強く関連して発症する傾向が高いことから,心因性疼痛,疼痛性障害,Functional Somatic Syndromes,特発性疼痛などという用語が用いられてきた.しかしながら,近年の脳科学の研究から,特発性疼痛のメカニズムの解明が進み,侵害刺激の入力がなくても,心理的要因(情動や認知)や過去の経験などが直接脳に作用して痛覚認知を修飾し,慢性疼痛の状態に陥る可能性があることがわかってきた.また,これらが中枢性の疼痛であることから,抗うつ薬や認知行動療法が奏効する可能性が高いことも示唆されている.本論文ではこれらの概念と,著者らが行っている薬物療法を具体的に解説する.第一選択は三環系抗うつ薬のアミトリプチリンであり,平均約80mg/dayを使用する.三環系抗うつ薬単独で奏効しない場合でも,抗精神病薬や炭酸リチウム,バルプロ酸ナトリウムなどの追加による増強療法で効果が得られる場合が多い.また,これらの特発性疼痛は再発する傾向があるため,再発予防のためには,疼痛が消失した後も約6か月から1年間の維持療法を行う必要がある.著者らは,舌痛症やBMSは,AOやAFに比較して治りやすいという印象をもっている.しかし,特に高齢者の難治性の舌痛症の中には,認知力やIQが低下した患者が散見され,数年後に認知症が顕在化する症例もある.治療のゴールを設定するためにも診断時に鑑別が必要であると考えている.
著者
須山 巨基 山田 順子 瀧本 彩加
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.161-170, 2019 (Released:2019-03-26)
参考文献数
66

集団力学研究とは,実験・調査・モデリングを通じて,個体が集合的に作り出す複雑な社会現象を定量的に検証する研究群の総称である。社会心理学における集団力学研究は,1940年代から隆盛するも徐々に研究の主流から外れていった。一方,生物学では,近年の新しいデータ収集法や分析方法の発達により集団力学研究が盛んに行われるようになり,再び集団力学研究が脚光を浴び始めている。本稿ではまず,社会心理学と生物学のそれぞれにおける集団力学研究の歴史を概観する。続いて,社会心理学において高い関心が寄せられてきた同調と文化拡散に注目し,これらのトピックに関して生物学が新たな集団力学的な手法を用いてどのような知見を見出したのか紹介する。最後に,生物学における集団力学研究の社会心理学への援用可能性とその便益性を示し,社会心理学と生物学の融合による集団力学研究の展望を論じる。
著者
山田 俊治
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.2-11, 2012-11-10 (Released:2018-01-12)
被引用文献数
1

言文一致小説の成立は、同時代の表現が受容されて新たな文体を生成するという問題にとって欠かすことのできない課題である。口語体による書記言語の書物を実現した三遊亭円朝の速記本を受容することで、坪内逍遙以下によって通俗的な読み物を美術小説に転ずる努力がなされた。逍遙の傍観的な語り手の試みから、二葉亭四迷の同化表現による語り手の消去、山田美妙による修辞的な物語叙述などが試みられ、言文一致体小説は美術小説としての卓越性を獲得していった。そして、円朝速記本はその起源と見なされるようになるのである。
著者
生嶋 健司 山田 尚人
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.72, no.8, pp.576-581, 2017-08-05 (Released:2018-07-25)
参考文献数
14

音波物性の基礎は,1960年~1980年代に電波計測の発展に伴い,米国を中心に大きく発展した.溶液から金属・半導体にわたる音波の吸収機構,および強磁性体における音波とスピン系との結合とその共鳴現象など,様々な物質における音波との相互作用が調べられてきた.この音波物性の知見は,表面弾性波素子,磁歪アクチュエータ,音響光学素子など他の先端分野と融合する形で今も様々な場面で活用されている.一方,エコー法に代表される超音波計測は医療・工業分野において広く利用されているため,超音波に関する学会は学術分野の域をはるかに超え,医療,鉄鋼,土木など,各分野の学会・協会に分散し,特定のターゲットに対する計測技術の改良が日々推進されている.これほどまでに広範囲の分野に利用されている理由は,1)光が透過しない多くの対象物に対して非侵襲評価が可能である,2)RF(Radio Frequency)帯電波計測であるため,汎用な装置を用いて実時間波形の取得やスペクトル解析が容易である,ことによるだろう.ただし,通常の超音波計測は,音の反射・透過係数や音速を測定して力学的物理量(質量密度や弾性率)を取得しているため,その多くの利用は欠陥・異物や幾何学的構造の計測に留まっている―すなわち,電気的,あるいは磁気的な“物性”をプローブしない.近年,我々は超音波によって電気・磁気物性を画像化する手法(音響誘起電磁法:ASEM法)を提案した.一般に弾性波である音波は電磁波のように直接,電気・磁気分極と結合しない.しかしながら,弾性変調は,固体の格子歪みや液体の密度変化を通してしばしば対象物の電荷密度や電気・磁気モーメントに時間変調を加えることができる.このことは,弾性変調により,超音波と同一周波数の電磁場(通常RF帯)が対象物から発生し得ることを意味する.したがって,超音波によって励起された微弱なRF信号を検出することができれば,非接触・非破壊に電気・磁気物性を評価する新たな計測ツールになることが期待される.著者らは,ありそうでなかったこの新しい計測手法に着目し,超音波による磁気測定について研究した.非接触・非破壊に磁気イメージングや磁気ヒステリシス曲線が取得可能であることは,広い産業分野において重要であるため,やや応用を視野に入れた実演を行っている.一方で,音響励起されるスピン系の微視的ダイナミクスについてはまだ十分理解できたとは言えない.たとえば,結晶粒界や磁壁における音響励起スピンダイナミクスや一般化された複素圧磁係数に含まれるスピン系の緩和時間の物理的意味,などである.また,磁性薄膜やスピン系デバイスにおいて,音波によるスピン制御や音波による磁気共鳴といった新たな物性制御の可能性も秘めているため,本稿を通して基礎物性に関わる研究者にも関心をもってもらえれば幸いである.