著者
稲石大祐 木村 啓二 藤本 謙作 尾形 航 岡本 雅巳 笠原 博徳
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.70, pp.31-36, 1998-08-05
被引用文献数
2

従来のコンパイラによる単一プロセッサ用キャッシュ最適化は個々のループを対象としているため、プログラム全体に比べると局所的な最適化が多く、プログラム全域を対象としたキャッシュ最適化は行われていない。そこで本稿では、最早実行可能条件解析を利用した単一プロセッサ上でのFORTRANプログラムのキャッシュ最適化手法を提案する。OSCAR FORTRANマルチグレイン自動並列化コンパイラは、FORTRANプログラムをループ・サブルーチン・基本ブロックの3種のマクロタスク(MT)に分割し、各MTに最早実行可能条件解析を行いマクロタスクグラフ(MTG)を生成する。MTGは制御依存及びデータ依存に基づくMT間の実行順序制約、及びMT間で授受されるデータに関する情報を表現する。本手法ではこのMTGを用いて、先行MTによってアクセスされたデータにアクセスする後続MTが先行MTの直後に実行されるよう大域的なコード移動を行い、キャッシュヒット率を向上させる。本手法は、OSCAR FORTRANマルチグレイン自動並列化コンパイラ中に、最適化された逐次型FORTRANを出力するプリプロセッサ機能として実現されている。CG法プログラムを用いた本キャッシュ最適化手法の性能評価結果を行ったところ167MHz UltraSPARC上で最高62%の速度向上が得られた。Cache optimizations by a compiler for a single processor machine have been mainly applied to a singlenested loop. On the contrary, this paper proposes a cache optimization scheme using earliest executable condition analysis for FORTRAN programs on a single processor system. OSCAR FORTRAN multi-grain automatic parallelizing compiler decomposes a FORTRAN program into three types of macrotasks (MT), such as loops, subroutines and basic blocks, and analyzes the earliest executable condition of each MT to extract coarse grain parallelism among MTs and generates a macrotask graph (MTG). The MTG represents data dependence and extended control dependence among MTs and an information of shared data among MTs. By using this MTG, a compiler realizes global code motion to use cache effectively. The code motion technique moves a MT, which accesses data accessed by a precedent MT on MTG, immediately after the precedent MT to increase a cache hit rate. This optimization is realized using OSCAR multi-grain compiler as a preprocessor to output an optimized sequential FORTRAN code. A performance evaluation shows about 62% speed up compared with original program on 167MHz UltraSPARC.
著者
鈴木 健治 高橋 卓 岡本 英二 井家上 哲史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.95, no.514, pp.1-6, 1996-02-16
被引用文献数
5

3日5周回で回帰する準回帰軌道をとる楕円軌道の周回衛星となったETS-Uの各種回線を用いた通信実験を行うためには,時々刻々変化する距離変化率に伴うドップラーシフトを補償する必要が生じた.そこで,軌道要素から計算したドップラーシフト量の補正を加えるオープンループ制御と,パイロット信号を毎分観測して補正を加えるクローズドノレ-プ制御を併用した周回衛星好Cシステムを開発した.これにより士100Hz以内に制御でき各種通信実験が可能となった.
著者
岡 久雄 岡本 基 北脇 知己 岡本 基 北脇 知己
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では, スポーツや臨床医学で広く用いられている筋電図に代わり, 筋自身の収縮特性を反映する変位筋音図(MMG)を測定するために, 身体の不随意な動きに影響されない光反射型(フォトリフレクタ)変位MMGセンサを開発した。さらに, 運動中でも測定できるよう, 電気刺激を加えて単収縮変位MMGを計測するシステムについて検討した。さらに等尺性収縮時の筋疲労実験から, 運動単位の寄与について変位MMGを用いて考察した。
著者
鈴木 直義 松浦 博 湯瀬 裕昭 池田 哲夫 渡邉 貴之 武藤 伸明 岡本 恵理 佐藤 智子 福田 宏 柴田 義孝 橋本 浩二 青山 知靖 葛岡 英明 高橋 勇
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

看護師のフィジカル・アセスメントスキル学習や書道の学習など、動作を伴う学習の遠隔指導支援を目的として、(1)学習時の各種の動作に伴う圧力などの客観的フィードバック情報を学習者や指導者に効果的に提供する方法、(2)打診音を自動識別し実習者に指標を提示するeラーニングシステム構築のための検討、(3)概念モデリングを学習者自身に行わせる方法の熟練者育成へ導入、などの研究成果を得た。
著者
大竹清敬 岡本 大吾 児玉 充 増山 繁
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.37-47, 2002-03-15
被引用文献数
9

日本語の新聞記事を対象とした新聞記事要約システムYELLOW について報告する.YELLOWは,「重要な情報を洩れなく抽出する」ことに重点をおいて作成した.本システムは,二重修飾に着目した削除を中心とした文内要約と,重要度付与による文選択の2 つの部分より構成される.文内要約では,構文解析結果を積極的に利用する.ある名詞に対し,複数の修飾部がある場合,名詞を限定する働きが弱い修飾部を削除する新たな手法を提案する.また,換言処理,例示の削除などの要約手法も用いる.重要度付与では,主要語,高頻度の名詞,位置情報,見解文であるか否かなど,従来,文の重要度を決定するにあたって重要であるといわれてきた種々の情報を,複合的に用いる.情報検索と自動要約の評価のためのワークショップ,NTCIR-2 の要約タスクTSC-1 に参加した結果,YELLOW は平均値で良好な結果を得た.We propose a new automatic summarization system, YELLOW, for Japanese newspaper articles. YELLOW is designed to avoid omission of important information. The system was composed of two components, an abstract-type summarizer and an extract-type summarizer. The abstract-type summarizer summarizes sentences by deleting one of multiple modifiers for nouns and illustrations and by paraphrasing, etc. In the extract-type summarizer, features such as main terms, high frequency words, location information in a paragraph, are used to decide the weight of each sentence. We participated in tasks A-1 and A-2 of TSC-1 in NTCIR-2 and the evaluation results showed that YELLOW outperformed all other partici-pants in average precision.
著者
岡本 祥浩
出版者
中京大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1997

1998年度に入り全国的にホームレスの数が倍増した。名古屋市においても夜回り支援グループが把握している人数が500〜600人から800〜900人と1.5倍以上に増大している。ホームレスの増大要因としてバブル経済崩壊以降のいわゆる平成大不況が考えられる。第一に通常建設日雇い労働などに就いていた日雇労働者の就労率が極端に下がっていることが指摘できる。この原因は、建設不況による件数の減少、コスト削減による低労働賃金を求めることによる外国人労働者やアルバイト労働の増加、従来の日雇い建設労働者の高齢化などが考えられる。第二に従来の寄せ場を経由していた日雇い労働者以外の労働者などのホームレス化が指摘できる。この原因は、住宅ローンをはじめ多くの債務を抱えている者が、不況によって労働賃金の上昇がみられないため債務を履行できずホームレス化する場合、雇用形態が終身雇用から派遣労働など短期間の雇用に変化しているが、そうした人々が不況期の労働力の調整に充当され、就労の場を奪われる場合が考えられる。発展途上国ではホームレス状態の人々が一般化できる数を占めている。欧米ではホームレスの多くを発展途上国からの労働者が占めている。日本のホームレスは、比較的均一な集団におけるマイノリティに位置付けられ、そのことによる差別化が行われている。しかし、前述しているようにホームレスの属性は多様であり、単一視することはできない。名古屋市のホームレスに関するヒアリング調査によって地区による属性の違いが明確である。すなわち当該地域に長く居住している者と他地域から流入した者、自炊できる者と支援団体の炊き出しでしか食事を摂れない者、ホームレス歴の長い者と短い者などである。いずれにしてもホームレスは看過できない状態であることに変わりはない。
著者
岡本 学 田中 良明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.87, no.7, pp.958-966, 2004-07-01

ネットワーク上での電子投票では,二重投票や票の水増し・改ざん等が憂慮される.また集計局が悪意をもてば,集計中にその結果を漏らして利用する不正なども存在し得る.それらを防ぐ手段が提案されているが,投票者の負担が多くなりがちであったり,集計のための計算量が膨大であったりする.ここでは,投票候補に対応したカードを匿名に配布し,投票者は単に自分が投票したい候補に対応したカードを提出することで投票作業が完了し,得票計算も簡易に第三者が確認可能な方式を提案する.また公開掲示板上の無証拠性の導入も検討する.
著者
浅野 和也 青木 智一 長友 晃彦 菅原 拓 橋田 淳一 阿部 紀夫 岡本 諭 上野 悠也 七夕 雅俊 大久保 好幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CAS, 回路とシステム
巻号頁・発行日
vol.108, no.453, pp.145-146, 2009-02-23

低消費電力で1Gbpsフルワイヤ処理が可能な1Gbps IPsecアクセラレータの開発について前回報告したが,今回は同じLSIにルーティング機能(NAPT,PPPoE等)を追加した実装について報告する.結果として,NAPT+IPsec(トンネルモード/3DES/SHA1)を700Mbpsで処理可能であることが確認でき、高速かつ低消費電力のブロードバンドルータ実現に有効なソリューションとなることが実証できた.
著者
岡本 半次郎
出版者
社団法人日本動物学会
雑誌
動物学雑誌 (ISSN:00445118)
巻号頁・発行日
vol.38, no.453, pp.173-181, 1926-07-15
被引用文献数
1

名勝地として其名高き朝鮮の金剛山は孤立したる一の山でなく、所謂萬二千衆峯より成る。金剛山は、馬山蔚山の間に起り東海岸に偏して縱走し、元山の西を走り鮮滿國境の白頭山に達する、朝鮮半島の脊梁の中央部江原道と咸鏡南道の道界に在る一群の峻峰の様である。此附近の山脈は三連の併走せる連峰より成り、中央及東方連峰は直に日本海に沒し、西方連峰のみ獨り遠く北方に連亘す。金剛衆峰の區域は江原道高城、金化、淮陽郡及咸鏡南道通川郡の四郡に跨り、其廣袤大約十餘方里、通俗に之を區分して中央連峰の西側を内金剛、中央連峰と東方連峰との間を外金剛、更に東方連峰の海に沒する高城附近を海金剛と稱ふ。毘盧峰は中央連峰の最高峰にして高距1786米あり、之より北方に温井嶺(815)、萬物相(1240)、南に内霧在嶺(1303)、望軍臺(1529)、白馬峰(1497)及外霧在嶺(1385)等の峻峰がある。大正十三年七月下旬より八月中旬に亘り、二十餘日を費して予は友人栗末只雄、越智昌雄兩氏と此處に昆蟲採集旅行を試みた、其道順の大略は、元山より海路長箭に至り直に温井里(數泊、其間に九龍淵往復、萬物相往復)温井里より開殘嶺を登りて揄岾寺(數泊)、揄岾寺を出で隱仙臺を上下し、内霧在嶺を越へ摩訶衍(數泊)、摩訶衍より船庵、表訓寺、正陽寺等を經て長安寺泊(數泊、此間望軍臺往復)、更に長安寺より温井嶺を越へ温井里に歸つた、以上でざつと内外兩金剛を一週したことになる(海金剛にも行きしが昆蟲の採集ではない)。
著者
増子 治信 小林 達治 梅原 俊彦 田村 恒 岡本 謙一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.95, no.435, pp.17-24, 1995-12-15

シャトル映像レーダC/Xバンド合成開口レーダ(SIR-C/X-SAR)は米国、ドイツ及びイタリアが共同で1994年に実施した初めての宇宙機搭載用多周波(L,C,Xバンド) ・多偏波(ポラリメトリック)合成開口レーダである。通信総合研究所は日本から唯一参加を認められ、システムの較正実験及び日本周辺海域で海洋油汚染観測を中心とする海洋観測実験を実施した。本報告では、疑似油汚染観測を中心にレーダ映像の周波数依存性及び偏波特性について述べる。
著者
岡本 洋 坪下 幸寛 園田 隆志
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.24, 2010

文書の重要度とは、それが参照されるトピック・文脈に応じて変化するものととらえられるべきであろう。引用関係に基づき、個々の文書の重要度をトピック依存的に定める方法を提案する。この方法は、脳が長期記憶から短期記憶を状況依存的に読み出す仕組みを模したアルゴリズムに立脚する。状況への依存度を表すパラメータをゼロと置くと、このアルゴリズムはPageRankアルゴリズムに一致する。