著者
岡本 隆嗣
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.482-489, 2021-05-18 (Released:2021-07-15)
参考文献数
16

2000年に介護保険と同期して制度化された回復期リハビリテーション病棟は,安静による廃用を防ぎ,ADL能力を向上させ,住み慣れた地域への在宅復帰が目的である.病棟配属されたスタッフの「生活」を重視したチーム医療が最大の特徴である.病棟では,医療・ケア・リハビリテーション・ソーシャルワークの情報やチームの目標がすぐに共有できる環境にあり,多職種合同のカンファレンスが日々開催され,毎日高密度の集中的リハビリテーション・ケアが行われる.これらの質を高めるためには,診療報酬で求められている指標以外に,情報共有,カンファレンス,リハビリテーション時間・職種間協業,退院調整,教育など,さまざまな面での病棟システムが必要である.
著者
紙谷 博子 梅垣 宏行 岡本 和士 神田 茂 浅井 真嗣 下島 卓弥 野村 秀樹 服部 文子 木股 貴哉 鈴木 裕介 大島 浩子 葛谷 雅文
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.98-105, 2018-01-25 (Released:2018-03-05)
参考文献数
22
被引用文献数
1 2

目的:認知症患者のQOL(quality of life)について,本人による評価と介護者による代理評価との一致に関する研究はあるが,在宅療養患者のためのQOL評価票をもちいて検討したものはない.本研究の目的は,主介護者などの代理人に回答を求めるQOL評価票の作成と,本人の回答との一致性について検討することとした.方法:この研究は在宅患者の観察研究である.我々が開発した,4つの質問からなるQOL評価票であるQOL-HC(QOL for patients receiving home-based medical care)(本人用)に基づいて,QOL-HC(介護者用)を作成した.また,QOL-HC(本人用)とQOL-HC(介護者用)を用いて,患者本人と主介護者から回答を求め,それぞれの質問への回答の一致率についてクロス集計表を用いて考察した.また,合計得点についてはSpearmanの順位相関係数を求めた.結果:質問1「おだやかな気持ちで過ごしていますか.」,質問2「現在まで充実した人生だった,と感じていますか.」,質問3「話し相手になる人がいますか.」,質問4「介護に関するサービスに満足していますか.」について,本人と介護者の回答の一致率は,それぞれ52.3%,52.3%,79.5%,81.8%であった.また,QOL-HC(本人用)合計点とQOL-HC(介護者用)合計点について有意な弱い相関を認めた(Spearmanのρ=0.364*,p=0.015).結論:本人と介護者による評価とに50%以上の一致率をみとめ,合計点について有意な相関をみとめた.介護者による評価を参考にできる可能性はあるが,評価のかい離の要因およびQOL-HC(介護者用)の信頼性の検討が必要である.
著者
大久保 進 藤井 康英 岡本 緩子 大久保 滉
出版者
関西医科大学医学会
雑誌
関西医科大学雑誌 (ISSN:00228400)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.47-54, 1981-03-20 (Released:2013-02-19)
参考文献数
22

I. A 26 years old woman, complainig of general malaise and hypermenorrhea was admitted to our hospital in Feb.,1978. She had been suspected of idiopathic thrombocytopenic purpura (ITP) by her home doctor.Laboratory examin ations (Tab.1, Fig.1) revealed thrombocytopenia (26,000/cmm) and abnormal immuno-serological findings, including LE phenomenon (+), LE test (+), DNA test (×640), ANA (×160), BFP (+), RAT ( + ), Coombs test D (+) and hypergammaglobu linemia (1.84-1.36g/di). Her bone marrow picture was typical of ITP, i. e. an increased count in megakaryocytes lacking platelet production.Clinically, the patient showed slig ht fever and sometimes complained of bilateral knee joint Pain.She was diagnosed as SLE, chiefly manifesting thrombocytopenia, and was treated with corticoid (prednisolone), resulting in an improved platelet count (253,000/cmm) in three weeks.II. This case drew our attention to the relationship between ITP and SLE, which led us to investigate the autoantibodies in ten cases of ITP (Tab.2, Figs.2,3) treated at our department during the last five years.1) The positive rates o f the immuno-serological tests in our ITP cases were as follows: Anti-platelet antibody 1/7, LE phenom.0/6, LE test 0/9, DNA test 3/6, ANA 2/9, Microsome test 4/9, Thyroid test 4/9, RAT 4/8, BFP 4/8 and Coombs test 2/4 (Figs.4,5). Comparing these data with those of the SLE cases reported in the literature (Fig.4), some differences suspected to exist between the immunological failure in ITP and that in SLE.2) In all the four ITP cases responding well to corticoid therapy, the BFP was positive: in the non-responding cases, it was negative.In each case, little correlation could be seen between the number of positive tests and response to therapy.The han dling. of ITP cases necessitates a follow up in which attention is paid to the possible concomitance or succession of other auto-immune diseases.An accumulation of case studies in this direction may reveal the pathogenic correlations between ITP and SLE or other auto-immune diseases.
著者
藤本 隆弘 房前 浩二 岡本 昌規 高田 光代 藤原 宏美 岩田 昌太郎 合田 大輔
出版者
広島大学附属福山中・高等学校
雑誌
中等教育研究紀要 /広島大学附属福山中・高等学校 (ISSN:09167919)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.145-156, 2004-03-22

本校では1982年より「生涯体育に視点をおいた授業実践」に取り組んできた。「体育の学び方を学ばせ,体育・スポーツの生活化」を目指し,「自ら学び,自ら考え」,自己を成長させていく「自己教育力」の育成をねらいとして実践してきた。今回の授業では,サッカーを通して,個やチームの課題を明らかにし,課題を解決するために意欲的に思考し,工夫する授業に取り組んだ。攻撃戦術(壁パス,オーバーラップ,スルーパス,スイッチプレー)を学習し,ゲームを楽しむために「練習(2対1)-試合(4対4)-課題練習-試合(4対4)-課題練習-試合(8対8)」というプログラムを組んだ。4対4,8対8のゲームの中で相手を意識したプレーを課題として思考し,工夫し,技能を高め,また,攻撃に対しての防御の仕方についてもグループで考え,課題をみつけ,工夫し,学ぶことができた。個・チームが課題解決のために,意欲をもって思考したり,メンバーの特長を把握したり,戦術を考えることができた授業になったと思う。
著者
岡本 浩二
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

ミトコンドリアは独自の遺伝情報(ゲノム)を有しているが、酸化ストレスによる変異を蓄積し、難治疾患であるミトコンドリア病や老化を引き起こすと考えられている。本研究では、ミトコンドリアゲノムにコードされた遺伝子を核へ移管し、発現することを目的とした。具体的には、①ミトコンドリア遺伝子を核遺伝子化するためのコドン改変、②細胞質リボソームによるタンパク質合成効率を上げるためのコドン最適化、③プレ配列付加によるミトコンドリア標的化、を目指した。
著者
岡本 紀明
出版者
流通経済大学
雑誌
流通経済大学論集 (ISSN:03850854)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.133-148, 2006-10

会計上,企業や取引の形式よりも経済的実質を優先すべしとする実質優先主義が,財務会計における根本原則であることに異論はないだろう。だが,多くの局面で主張されるにもかかわらず,反映すべき実質とはいかなるものか,これまで体系的な理論的考察が加えられることがなかった。本稿は,哲学および社会学的な視点を導入し,会計において実質がいかに反映されるのか,新たな理論的枠組みを提示しようとするものである。具体的な本稿の構成は,以下の通りである。まず第1節で本稿の問題意識を提示する。第2節は,会計における実質に関する諸説を整理する。第3節では,Searle[1995]の制度的実体の理論の会計への適用を検討する。第4節では,それを展開させ,会計における実質は2つの規範に基づく集合的容認から構成される構図を提示する。第5節では,その構図を財務会計に解釈的に適用し,考察を加える。最後に第6節で,本稿の要約と今後の課題に言及する。
著者
岡本 紀明
出版者
流通経済大学
雑誌
流通経済大学論集 (ISSN:03850854)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.331-342, 2013-03
著者
岡本 祐子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 = Journal of home economics of Japan (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.923-932, 1995-10-15
参考文献数
3
被引用文献数
1

高齢者の精神的充足感獲得の実態を調査し, それに関連する生活的・心理的要因を分析した.高齢期の精神的充足感形成に関連する要因として, (1) 高齢者をとりまく物理的・環境的状況に関する要因 : 家族構成において配偶者や孫と同居していること, 健康, 経済状態がよいことなど, (2) 自分の現状に対する高齢者自身の主観的評価に関する要因 : 他人や社会に対する貢献度, 家族との関係, 宗教・信仰などにおいて満足できていること, (3) 高齢期以前の要因 : 現役引退までの職業, (4) 人格的要因 : 主体的欲求をもっていること, の四つの側面が存在することが示唆された.高齢期の精神生活の質的向上のためには, これらの側面の状況の改善とともに, 高齢者の主体的欲求が実践できるような支援を行っていくことの必要性が考察された.
著者
岡本 有紀子 中村 康夫 工藤 正治
出版者
一般社団法人 日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.82-93, 2021-08-31 (Released:2021-09-25)
参考文献数
14

Objective: The guidance on “what to do when patients missed a dose” is an important item of medication instructions; however, only a small number of prescription drugs contain it. The “Drug Guide for Patients” and “Kusuri-no-Shiori” are documents designed to facilitate medication instructions for patients, having a section on “what to do when patients missed a dose.” Specific descriptions under it differ among medication instruction documents for some drugs, including those containing the same active pharmaceutical ingredients; however, the actual status of such discrepancies has not been clarified. In this study, we conducted a fact-finding survey to clarify such discrepancies using two medication instruction documents for drugs containing the same active pharmaceutical ingredients.Methods: The medication instructions of “Drug Guides for Patients” and “Kusuri-no-Shiori” for 532 active pharmaceutical ingredients used in oral drugs were included in the survey. After reading the descriptions under the “what to do when patients missed a dose” section, we divided them into six groups and determined whether the descriptions for the same ingredient in the documents fell in the same group.Results: For 186 ingredients (35.0%), we identified discrepancies between the documents. Among these, the instructions for 61 ingredients (11.5%) contained contradicting descriptions, such as “take the missed dose as soon as you remember” in one document and “always let go of the missed dose” in another document.Conclusions: A substantial number of discrepancies in descriptions about “what to do when patients missed a dose” were found between the two documents, raising concerns of confusion in medication instructions when the documents used were different. Therefore, the descriptions should be improved to resolve the discrepancies among medication instruction documents. Moreover, it is important for pharmacists or other healthcare professionals to review the descriptions thoroughly before using the document to provide appropriate medication instructions without confusion.
著者
ペルトネン 純子 鳥田 稔弘 岡本 隆志 大熊 敏之 三船 温尚
出版者
富山大学芸術文化学部
雑誌
GEIBUN : 富山大学芸術文化学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Art and Design University of Toyama (ISSN:18816649)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.90-108, 2006-12

明治期の彫金師、海野勝珉が制作した宮内庁三の丸尚蔵館が収蔵する「蘭陵王置物」と「太平楽置物」を平成17年8月11日、三の丸尚蔵館において次のような研究者が調査を行った。鳥田宗吾は、象嵌技法を中心とした制作研究によって伝統工芸士と高岡市伝統工芸産業技術保持者という称号を持つ彫金技術者である。ペルトネン純子は、彫金・鍛金技法に関わる制作・技法・論文研究を行っている。三船温尚は、古代鋳造技法など鋳金技法に関わる制作・技法・論文研究を行っている。大熊敏之は、近代造型史、日本近代美術批評史などの論文研究を行っている。岡本隆志は、日本の美術・工芸に関する論文研究などを行っている。本稿は、調査時に録音したテープを起こし、編集を加えて、調査内容を掲載するものである。最終的な報告書には記載されない結論を導くための観察・考察経緯、観察手順、観察の着眼点などを記録した本稿が、今後の海野勝_彫金作品の研究だけでなく明治の金属工芸品調査や研究に僅かながらでも寄与できることを目的としている。
著者
神谷 忠宏 寺崎 正起 岡本 好史 鈴村 潔 加藤 健宏 田島 将吾
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.74, no.8, pp.2234-2238, 2013-08-25
参考文献数
19

症例は48歳,女性.血便を主訴に近医を受診し,下部消化管内視鏡検査でS状結腸に2型腫瘍を認めた.生検で高分化型腺癌と診断され,当院に紹介受診となった.腹部CT検査で,肝S4に径3cmの腫瘤を認め,同時性肝転移と診断した.手術はS状結腸切除術および肝左葉切除術を施行した.病理組織学的所見でS状結腸癌の浸潤部にinvasive micropapillary carcinoma(IMPC)成分を認めた.IMPCはSiraunkgulらが1993年に提唱した浸潤性乳癌の新しい組織型であり,近年,他臓器での報告も認められるようになってきた.IMPC成分を有する大腸癌の報告は比較的稀であり,文献的考察を加え報告する.
著者
山下 祐輝 子田 陸 片山 一哉 岡本 吉史
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.141, no.9, pp.729-737, 2021-09-01 (Released:2021-09-01)
参考文献数
20
被引用文献数
2

Because the interior permanent magnet synchronous motor (IPMSM) is one of the most efficient motors, it is applied to many industrial machines. The electromagnetic characteristic of IPMSM is dependent on many design parameters such as the position and shape of flux barrier, the magnetization angle of permanent magnet, the current phase angle and so on. The topology optimization (TO), which is an attractive method due to the wide design range with high degree of freedom, has been applied to the rotor design of IPMSM. In this paper, two stage TO method is proposed. Firstly, to widely search the rotor structure, the density method (DM) which handling gray scale is carried out. Next, the obtained structure is set to the initial structure of level-set method (LSM), the local search is carried out. The performance of proposed TO method composed of DM and LSM is compared with the single TO method (DM or LSM) in the design problem in which the object is the determination of the rotor structure composed of permanent magnet, rotor core and flux barrier to improve the torque characteristics and the magnet demagnetization.