著者
小林 政広 吉永 秀一郎 伊藤 優子 篠宮 佳樹 相澤 州平 岡本 透 釣田 竜也
出版者
森林総合研究所
雑誌
森林総合研究所研究報告 (ISSN:09164405)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.333-373, 2018

茨城県城里町に位置する桂不動谷津流域における2001年から2014年の降水および渓流水の主要溶存成分濃度および流入量についてまとめ、各年の平均値の変化傾向を解析した。降水中の非海塩性硫酸イオンおよび無機態窒素イオンの流入量はともに変動しながら減少する傾向が認められた。渓流水中の硫酸イオン濃度は2011年までほぼ一定であったが2012年および2013年の間伐施業時に上昇した。硝酸イオンは間伐前減少傾向にあったが間伐以降上昇に転じた。間伐時の濃度上昇はカリウムイオンおよびカルシウムイオンでも認められた。ケイ素濃度は年平均値の変動が小さく、緩やかに上昇する傾向が認められた。
著者
岡本 勝弘 宮本 寛樹 本間 正勝 渡邉 憲道 平柗 宗之 大谷 英雄
出版者
日本火災学会
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.9-19, 2013

本報では,ガソリンに灯油や軽油といった揮発性の低い燃料油が混合された場合の蒸発拡散挙動を予測することを目的とする。低揮発性燃料油が混合されたガソリンが蒸発した場合には,より蒸気圧の高いガソリン成分のみが蒸発すると仮定し,混合ガソリンの蒸気圧及び蒸発速度の予測モデルを提案し,その適用範囲を明らかにした。また,混合ガソリンの床面散布時における蒸気濃度分布の予測モデルを導出した。さらに,床面散布した20 mass% 軽油混合ガソリンから発生する蒸気に対する着火実験を行ったところ,実験結果は着火予測とよく一致し,提案した予測モデルにより,灯油あるいは軽油が混合したガソリンが床面に散布された場合における着火危険性を予測できることが明らかとなった。
著者
岡本 龍明
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.4_70-4_76, 2008-04-01 (Released:2011-03-01)
参考文献数
12

盗聴されてもいい通信路を使って二つの参加者が安全に鍵を交換(共有)するための方法は「鍵交換」と呼ばれ,その研究から現代暗号が誕生した.本稿では,歴史上最初に発表された「鍵交換」であるDiffie-Hellman-Merkle(DHM) 鍵交換方式がどのように発展し,現代暗号理論の最先端においてどのように研究されているかを概観する.
著者
プロハースカ ズデネク 伊藤 崇之 岡本 敏雄
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会年次大会講演予稿集 (ISSN:13431846)
巻号頁・発行日
vol.1998, pp.283-284, 1998

In this paper we present a new method for automated warping of images. Proposed method is based on variational approach, and the deformation mapping is obtained as a solution which minimizes squared sum of pixelwise differences under smoothness constraints. We applied the proposed method to real images with encouraging results.
著者
永松 牧子 海部 貴裕 浦田 幹康 岡本 賢治 鶴田 健 松田 浩
出版者
長崎大学大学院工学研究科
雑誌
長崎大学大学院工学研究科研究報告 = Reports of Graduate School of Engineering, Nagasaki University
巻号頁・発行日
vol.49, no.93, pp.44-48, 2019-08

In this study, in order to clarify the possibility of internal damage in concrete structures, loading tests and ultrasonic testing technique were conducted on concrete materials. In addition, the correlation between the internal dama ge condition of concrete and the ultrasonic signal was investigated. As a result, a correlation was obtained between the damage state inside the concrete and the sound pressure and velocity of ultrasonic waves. It was clarified that the damage condition inside concrete can be estimated by evaluating sound pressure and velocity. Furthermore, it's suggested that the ultrasonic testing technique could be used to detect the damage of the concrete before it appears on the surface.
著者
岡本 一志 藤井 流華
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.5-9, 2019-02-15 (Released:2021-02-15)
参考文献数
8
著者
岡本 義雄
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

地学教育において,中高の教室で岩石薄片観察を実際に行うことはとても意義深く,生徒へのインパクトも大きい.しかし実施に当たっては2つの困難がつきまとう.偏光顕微鏡の準備と岩石薄片の準備である.本研究ではその困難の解決の一手法をその1(観察編,自作偏光ユニットの製作),その2(製作編,岩石カッターと研磨機の製作)に分けて紹介する.本編はその1を論ずる.タイトルの2.0は,従来の手作業に頼る伝統手法を1.0とし.その改良版を意味する.なお筆者は岩石学の専門家ではないので,改良点など指摘いただきたい. 教室での薄片観察には必須の偏光顕微鏡を,簡易手法により構築する.従来から簡易型の偏光顕微鏡の提案は数多いが,市販の双眼実体顕微鏡に自作の偏光ユニットを組み合わせる方法をここでは提案する.通販サイトで売られる安価な中国製の双眼実体顕微鏡は現在1万円台で入手できる.倍率は20倍と40倍に切り替えられ,下部および,上部からのLED照明を持っているため,岩石薄片の観察には好都合である. このステージ上に載せる偏光ユニットを次の方法で製作する.1)回転台:中国通販で入手できる安価な回転テーブル(約70mm角,中央に37mmの孔,400円程度)2)偏光フィルム:国内通販で入手できるもの(80mm角が10枚入って千円程度)を1/4に切って使用 3)アクリル板: 70mm角,5mm厚に直径25mm程度の孔をホールソーで開けたもの,及び上部偏光板取付用の45×90mm,3mm厚のアクリル板で構成する.アクリル板は端材として格安に販売するサイトから入手する. 組み立ては回転台を5mm厚のアクリル板に4mmビスで締め付け,同時に下の台と回転台の間に偏光フィルム1枚を挟む.上記とは直角方向に偏光フィルムを貼り付けた上部偏光板を作る.偏光フィルムの取り付けはセロハンテープで充分である.これを薄片の上部で回転して出し入れできるように取り付け台を工夫する.パーツの接着は液体のアクリル接着剤を用いる.双眼実体顕微鏡のステージ上にセットした,偏光ユニットに薄片を挟んで観察を行う.さらにこの生徒用顕微鏡セットとは別に,安価なUSB顕微鏡(国内通販で8000円程度)と組み合わせて,教室全体に提示して観察ポイントの説明を行った.USB顕微鏡は通常下部LED光源がないので,白色LED光源の選定と製作も合わせて行った. 筆者は生徒実習用にこのユニットを10台,さらに回転台を省いた簡易型の薄片を挟むだけの構造のもの20台(薄片の回転は手動で行う),従来の専門家用鉱物顕微鏡12台の計42台(生徒1人に1台)を用意した.高校地学基礎の42名クラスで,全員にいずれかの観察装置をあてがい,薄片観察実習を行った.50分の時間で花崗岩,安山岩,玄武岩,はんれい岩の薄片観察を順に行った(薄片の製作は筆者発表のその2を参照).さらに前述のUSB顕微鏡にこの偏光ユニットを付けた装置で,薄片観察の要点を大型モニタに映すことで,次の観察の要点を適宜指導した.1)無色鉱物の見分け方;石英と長石の違い(外形,へき開の有無,双晶)2)有色鉱物の見分け方;黒雲母,角閃石,輝石,かんらん石の違い(外形,へき開,屈折率,干渉色,多色性,消光角,双晶など) この結果,生徒の反応は上々で,歓声を上げて観察してくれた.スケッチを行うもの,スマホで写真撮影を行うものと様々であった.写真をSNSの個人ページの背景に使うと意気込んでいた生徒もいた.授業後のアンケート結果もすこぶる良好であった.アンケートの詳細は講演当日に紹介する. 本装置のメリットは安価なこと.1台あたりの単価は双眼実体顕微鏡1万8000円+偏光ユニット2000円程度.これにより実体顕微鏡をのぞくと,1クラス全員分の偏光装置の準備もそれほど難しくない(回転装置をのぞいた簡易型ならもっと容易となる).また下部照明を内蔵していることから肉眼観察,写真撮影ともに外部照明なしで簡単に行えること. デメリットは自作するのに工作技術が必要なこと.回転台にはややガタがあること.これにより回転時に視野の中心がやや動くのが気になる.また当然ながら専門家用の顕微鏡で行えるコノスコープ観察や干渉板での観察などはできない.さらに,絞りがないのでベッケ線の移動が見にくいこと,岩石顕微鏡としての倍率がやや不足気味(通常で20倍と40倍の切り替え)などである.しかし授業アンケート結果などを総合的に判断して教材としての価値は高いことが分かった.岩石薄片の作成についてはその2で詳説する.
著者
三宅 典恵 岡本 百合
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.1360-1366, 2015-12-01 (Released:2017-08-01)
被引用文献数
2

大学生は思春期の自己同一性の問題が出現する時期であり,メンタルヘルス問題を生じやすい.特に新入生は,入学後の環境変化も大きいことから,新生活への悩みを抱え,不安やうつ傾向の高さが指摘されている.メンタルヘルス問題を抱えると,学生生活への影響も大きく,不登校やひきこもりのリスク要因となるため,早期発見や治療が重要である.そうした中で,大学内の保健管理センターを利用する学生も増加の一途である.メンタルヘルス相談に訪れた学生の精神科診断ではうつ病や不安症が多く,摂食障害や発達障害の相談も増加している.本稿では,大学生に多くみられる精神疾患,その早期発見や治療,支援に向けての取り組みについて述べる.
著者
岡本 ゆかり
出版者
日経BP
雑誌
日経パソコン = Nikkei personal computing (ISSN:02879506)
巻号頁・発行日
no.833, pp.30-33, 2020-01-13

家に眠る古い写真。1万〜2万円台のスキャナーを使えばデジタル化できる。スマホに入れたりフォトブックに仕立てたり。自分で見る、人に見せる楽しみが膨らむ。 押し入れに何冊も古いアルバムが段ボール箱に入った状態で眠っていないだろうか。昔の写真は、自分が写っているもの以外にも、両親や祖父母の写真などがあり、家族の歴史ともいえる大事な「資産」だ。古い写真をデジタル化すれば、パソコンやスマホで手軽に閲覧できる。
著者
岡本 太郎 武重 千冬
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.1-9, 1989

視覚は生後発生する感覚であることは視覚領における視覚ニューロン活動の生後の発達が閉眼の影響をうける事から知られている.視覚の発達には視覚領のみならず, これを認識する過程の発達を無視することは出来ない.視覚の誘発電位を指標とすると, 視覚領における第1次の誘発電位と, これを認識する過程に関係する第2次の誘発電位から, 両者の発達の過程を別々に経日的に検索することが可能である.本研究は誘発電位から視覚発達の過程を検討した.視覚誘発電位 (visual evoked potential, VEP) は生後間もない仔ネコを用いて, ヒトの脳波誘導の10/20法の, Pz (頭頂極) およびInion (後頭極) に相当する部位から双極性に誘導し, 無麻酔, 無拘束の状態で、暗箱の上孔から閃光刺激を与えて誘起した.VEPは, 潜時100ms以下のものを第1次誘発電位, 潜時100ms以上のものを第2次誘発電位とした.第1次誘発電位は, 光刺激による特殊投射系を経た視覚領の誘発電位であるので, 視覚そのものの発達の指標となり, 第2次誘発電位は非特殊投射系を経た誘発電位であるので, 視覚の認識の発達に関する過程の指標となると考えられる.視覚の発達に決定的な影響を与える時期は, 視覚ニューロンの検索では生後4週の始めの数日にあると報じられているので, 生後3週の終わりを基準にして3種の閉眼を行った.すなわち, 生後1) 2-4週の問, 2) 4週以降から, 7週から11週までの間, 3) は1) と2) にまたがる2-6週までの間とした.第1次誘発電位は生後2.5週で初めて出現し, その後振幅を増し, 5週にはほぼ一定の振幅で出現して安定に維持された.これに反し, 第2次誘発電位は不安定で出現の有無も振幅も一定せず, この傾向は生後何れの時期においてもみられた.第1次誘発電位は, どの期間の閉眼によっても, 一時的に減少はしたが, 開眼後は徐々に回復し, 最終的には正常と同程度の振幅に復帰した.これに反して, 第2次誘発電位は閉眼と同時に出現しなくなったが, 1) と2) の閉眼では開眼すると徐々に回復し, やがては閉眼しなかった時と同じように出現するようになった.しかし, 3) の2-6週の閉眼では閉眼中はもとより, 開眼後も実験の期間中の開眼18週後まで全く出現しなかった.以上の結果から, 閉眼の効果は第1次誘発電位よりも第2次誘発電位の方に決定的な影響が現われ, かつ3) の閉眼が第2次誘発電位の発現の阻止に必須であることが明らかとなった.したがって仔ネコでは視覚認識の過程が視覚発達上極めて重要であることが示唆された.
著者
堀 洋元 上瀬 由美子 下村 英雄 今野 裕之 岡本 浩一
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
no.1, pp.248-257, 2003
被引用文献数
1

本研究では,職場における違反と個人特性との関連について明らかにすることを目的としている.サンプリングによって抽出された501名の有職者男女の回答を分析した結果,1)職場において3割から5割の人が個人的違反を経験しており,不正かばいあい経験は1割前後,不正の非難・回避経験は2割前後存在することが明らかになった.2)職場における違反と個人特性との関連を検討した結果,違反に対する抵抗感には自尊感情や関心の狭さが,違反経験には公的自意識や認知的複雑性が影響を与える個人特性として特定された.個人特性は本来変容しにくいものとしてとらえられているが,変容可能なソーシャルスキルとして置き換えることによって,職場における違反抑止のための心理学的装置として応用可能である.
著者
野﨑 秀正 川瀬 隆千 立元 真 後藤 大士 岩切 祥子 坂邉 夕子 岡本 憲和 Hidemasa NOSAKI Takayuki KAWASE Sin TATSUMOTO Hiroshi GOTO Shoko IWAKIRI Yuko SAKABE Norikazu OKAMOTO 宮崎公立大学人文学部 宮崎公立大学人文学部 宮崎大学 都城新生病院 いわきりこころのクリニック 細見クリニック カリタスの園 Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities Miyazaki University Miyakonojo Shinsei Hospital Iwakiri Mental Care Clinic Hosomi Clinic
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.105-120, 2021-03-10

本研究では、子育て支援サービスを提供する公的相談機関に対する母親の援助要請に焦点を当て、母親の育児に対する感情(育児感情)と信念(母性愛信奉)が、援助要請態度を媒介して援助要請意図に影響を及ぼす一連のプロセスを示した仮説モデルを検証することを目的とした。宮崎市内及びその近郊にて就学前の幼児(3 歳以上)の育児に携わる母親1000名に調査協力を依頼した。質問紙が返送され、かつ回答に不備のなかった470 名の回答を分析対象とした。仮説モデルに従い共分散構造分析を行った結果、育児感情及び母性愛信奉から3 つの援助要請態度を媒介して援助要請意図に影響を及ぼすいくつかのプロセスが明らかになった。このうち、利益とコストの態度を媒介したプロセスについては、いずれも子どもにとっての利益とコストを媒介したパスが有意であり、母親自身にとっての利益とコストの態度を媒介したパスはいずれも有意ではなかった。これらの結果より、子育ての悩みに関する母親の公的相談機関に対する援助要請については、母親の精神状態の解決に動機づけられているというよりも、その原因となっている子どもの問題を解決させることに動機づけられていることが明らかになった。こうした結果は、公的相談機関に対する母親の援助要請促進を促すには、援助要請が子どもにもたらすポジティブな影響を強調することや子どもと担当職員間の良好な関係づくりなど、子どもに焦点を当てたアプローチが有効になることを示唆した。
著者
岡本 裕司 中野 公彦 大堀 真敬 多加谷 敦 須田 義大 堀 重之
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.267-270, 2010-05-01 (Released:2010-09-22)
参考文献数
5
被引用文献数
3

本研究では,自動車運転時の乗員の筋電位を自動車の運動性能の評価指標として用いる可能性を調べるために,乗員の筋電位と車両の横加速度との相関を調べている.筋電位は,頭部を支える役割を持つ頚部左右の胸鎖乳突筋に対して計測を行った.実験では,被験者を後部座席に乗車させ,市販車とその剛性を改良した改造車でスラロームコースの走行を行った.結果は,加速度が生じる方向とは逆側の筋肉の筋電位が大きくなることが分かった.加えて,車両内部に生じる横加速度の小さい改造車に乗車した時の方が,筋電位のRMS値が小さくなる傾向がみられた.
著者
藤城 宏昭 益満 ゆかり 鈴木 政義 岡本 伸江 河合 初代 榊原 由美子 鈴木 宏 宮下 智子 天野 博子 渡邉 純子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.378, 2006

<b><はじめに></b> 現在当院には、平成14年6月に設置されたStar Office(NEC製)と呼ばれるグループソフトウエアがある。しかし、現在に至っても多くの職員が使用方法を知らず、その機能も認知されていない。メールや掲示板、ファイル保存機能等を使いこなせば日常業務や情報伝達に非常に役立つツールである。そこでStar Office機能を全職員に周知し活用促進していく為にいくつかの検討をした。以下にその取り組みと考察を述べる。<BR><b><方法></b> 全職員を対象に取り組んでいくのは難しい為、今回はまず事務職員を対象に活用促進を徹底していくこととした。現状把握の為、事務職員にStar Officeの基本機能15項目についてアンケートを実施した。その操作が「できる」なら1点とし、全機能操作ができれば15点満点とした。5点までを初級、10点までを中級、11点以上を上級者として集計したところ54%と半数以上の事務職員が初級・中級者であった。また、過去のメールの送受信状況を調査したところメールを毎日確認し、受信したメールをその日に開封した事務職員は全体の41%と半数以下であった。<BR> 以上のことを踏まえ、上級者を100%にすると言う目標値をたて、アンケートに書かれたコメントを参考に重要要因を3点にしぼった。(1)「使い方を調べる分かりやすいマニュアルが無い」、(2)「機械に対する苦手意識がある」、(3)「機能や便利さが周知されていない。また身近に質問できる人もいない」これらの問題点についてそれぞれ対応策を考え実施した。(1)については、自分達で必要最小限の機能に限定したマニュアルを作成した。初心者が見ても分かりやすいようにワンステップごとに実際の操作画面を取り込み、コメントを添えた。これをカラー印刷し各部署に一冊配布した。またStar Officeの掲示板に保存し、必要時に誰でも見られるようにした。(2)_についてはゲーム感覚で機械に慣れ親しんでもらう為、メール機能を利用した伝言ゲームと言う形で実施した。事務職員をいくつかのグループに分け、提示した「お題」を基に一人が1行のあいうえお作文を作り、次の職員にメールを転送してもらった。苦手意識も薄れ楽しく操作してもらう事ができた。(3)については、作成したマニュアルを基にメンバーが講師となり勉強会を開催した。あわせて啓蒙活動も行った。特に初級レベルの職員は、非常によく理解できたと好評であった。<BR><b><結果></b> (1)から(3)の取り組みが一通り終了した後に再度15項目のアンケートを実施したところ、上級者は46%から71%と25%も上昇した。結果、目標値の上級者を100%にすることはできなかったものの、初級・中級者のStar Officeに対する機能操作の理解が得られた。またメールを毎日確認し、受信したメールをその日に開封している事務職員の数は41%から70%と約30%も上昇した。このことから情報の伝達手段としてメールを活用することが定着してきた。<BR><b><考察とまとめ></b> 3つの取り組みがそれぞれ効果的に働き、目標である「Star Officeの機能を周知し活用促進していく」事の第一歩を踏み出すことができた。この成功を踏まえ、今後は医師も含め全職員へ徹底周知していくと言う目標へ向けて継続的に活動をして行きたい。また定期的にマニュアルの更新、勉強会の開催もおこなって行きたいと考えている。
著者
堀 拳輔 董 居忠 岡本 啓公 関 将志 村石 浩 齊藤 典生 Thet Thet LWIN 原 秀剛 渡辺 宝 橋本 雄幸 王 波 武田 徹
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.16-21, 2018-02-10 (Released:2018-06-15)
参考文献数
12

Lung cancer is one of the most important diseases to overcome, and chest radiography and low-dose computed tomography (CT) have been used for lung cancer screening. In chest radiographs, nodules overlying the ribs and mediastinum are occasionally difficult to detect. Therefore, CT is used as the gold standard modality to diagnose lung cancer, despite the high radiation exposure it entails. Recently, tomosynthesis has been used to detect pulmonary nodules, but mechanical scanning and a long data acquisition time (approximately 10 seconds) are required to obtain the image. Under this circumstance, tomosynthesis using a small number of projections has been anticipated to allow omission of the mechanical system and shortening of the exposure time. A chest phantom with artificial pulmonary nodules of various sizes was imaged in rotating 360-degree projections. Tomosynthesis images were reconstructed using back projection (BP) from ±32-degrees projection data, and the projection numbers were set at 4, 6, 8, 16, 32 and 64. The images were evaluated visually and quantitatively by measuring the contrast noise ratio (CNR) and artifact spread function (ASF). Tomosynthesis images reconstructed from 4 projection images allowed visualization of an artificial nodule 10mm in diameter without overlapping the ribs or the mediastinum. The CNR of a 4-projection image normalized to that of a 64-projection image was approximately 0.34, and the ASF obtained indicated that fewer number of projections was associated with greater z-axis resolution. Thus, 4-projection tomosynthesis allows visualization of pulmonary nodules 10mm or larger in diameter, and image quality appears to be useful.