著者
長濱 澄 名取 優太 岩附 直登 川島 一朔 森田 裕介 百瀬 桂子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S42026, (Released:2018-09-26)
参考文献数
9

本研究では,映像コンテンツの高速提示により生じた認知負荷に関する客観的な評価指標として,振動プローブ刺激に対するP300振幅を活用することの有用性を検討し,映像コンテンツの視聴速度と注意配分量の関連性を明らかにした.実験では,被験者21名に対して,等質性が確認された2種類の映像コンテンツをランダム順に等倍速条件と2倍速条件で提示した.また,映像コンテンツ視聴中に振動プローブ刺激を与え,標的刺激に対するキー押し課題を課し,ワイヤレス生体計測器を用いて課題中脳波を記録した.P300振幅の分析の結果,2倍速条件におけるP300振幅は,他の条件に比べて有意に小さく,映像コンテンツを2倍速で視聴する場合,等倍速で視聴する場合に比べて,注意配分量が大きくなる可能性が示唆された.
著者
加藤 勇夫 紫垣 ジェフェルソン 進一 越島 一郎
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.229-248, 2018 (Released:2018-10-09)
参考文献数
20

プログラムマネジメントは、プロジェクトが創出する価値を新規及び並行稼働するプロジェクトに継承し継続的に活用して、新価値の創造に資することが求められる。しかしながら、プロジェクトが創出する継続性価値(知識や経験など)は無形価値であるため、プロジェクトに関わる人々の頭の中にある仮想空間に集約される。筆者らは、この仮想空間を複数接続したネットワークを伊丹の「場」と捉え、プログラムにおけるプロジェクト価値継承が、場の基本要素(アジェンダ、解釈コード、情報のキャリアー、連帯欲求)で変換し、写し取ること(価値変換)に相当すると考えた。本稿では、この価値変換の構造やプロセスについて議論したので報告する。
著者
加藤 勇夫 紫垣 ジェフェルソン進一 越島 一郎
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2018 春季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.233-242, 2018 (Released:2018-04-16)
参考文献数
14

プログラムマネジメントは、プロジェクトが創出する価値を新規及び並行稼働するプロジェクトに継承し継続的に活用して、新価値の創造に資することが求められる。しかしながら、プロジェクトが創出する継続性価値(知識や経験など)は無形価値であるため、プロジェクトに関わる人々の頭の中にある仮想空間に集約される。筆者らは、この仮想空間を複数接続したネットワークを伊丹の「場」と捉え、プログラムにおけるプロジェクト価値継承が、場の基本要素(アジェンダ、解釈コード、情報のキャリアー、連帯欲求)で変換し、写し取ること(価値変換)に相当すると考えた。本稿では、この価値変換の構造やプロセスについて議論したので報告する。
著者
加藤 勇夫 紫垣 ジェフェルソン 進一 越島 一郎
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.294-313, 2018 (Released:2018-10-09)
参考文献数
20

筆者らは、既報で企業ビジョン達成のための枠組みについて議論してきた。しかしながら、プロジェクトが有する有期性に起因する課題である「獲得した知識や経験などのプロジェクト価値継承」に関して具体的に説明ができていない。今後、本研究をプログラム・エンジニアリングに発展させるために、組織における顧客視点(プロジェクト組織)と業務プロセス視点(専門部門)の関係から、プロジェクトが創出するプロジェクト価値の継承を確実にするために、プロジェクト価値継承をマネジメントする方法論について提案し議論した。また、日本のエンジニアリング企業を一例にして、提案するマネジメント方法論によって、プロジェクト価値継承に関する「プロジェクト組織」と「専門部門」の役割について議論し、説明を試みた。
著者
小川 哲治 仲川 晃生 大島 一里
出版者
The Association for Plant Protection of Kyushu
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.19-25, 2011
被引用文献数
1

鹿児島県の奄美地方でジャガイモ塊茎えそ病の発生が認められ,塊茎えそ症状を示す塊茎を採集した。本塊茎からジャガイモY ウイルス (PVY) をジャガイモ(品種 「根系59号」)を用いて分離後,全ゲノム構造を決定した。本分離株と既に全ゲノム構造が解析されている北海道,長野県,九州地方の長崎県,鹿児島県の徳之島および沖縄県から採集した塊茎えそ分離株 (PVY<SUP>NTN</SUP>分離株) を分子進化的に比較した。その結果,奄美分離株はこれまで我が国で認められた分離株とは異なるゲノム型を示し,ヨーロッパで主に発生しているPVY<SUP>NTN</SUP>分離株の組換え体型と類似していた。
著者
出島 一仁 中別府 修 中村 優斗 土屋 智洋 長坂 圭輔
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.84, no.858, pp.17-00414-17-00414, 2018 (Released:2018-02-25)
参考文献数
10
被引用文献数
4

To develop a heat flux sensor for internal combustion engines, two metal substrate thin film resistance sensors have been developed as prototypes by using MEMS (Micro-Electro-Mechanical Systems) technologies. In our previous study, a thin film heat flux sensor on a Si chip was developed for combustion fields. To apply the thin film sensor to the engine, a metal substrate sensor technology has to be developed. To begin with, a flat plate shape sensor with a SUS substrate was made in order to confirm the fabrication process and the performance of the metal substrate MEMS sensor. Heat fluxes were successfully measured in laminar premixed combustion fields, and it was confirmed that the SUS substrate flat plate shape sensor has sufficient performance in temporal resolution, measurement noise and temperature durability against requirements. Secondly, a plug shape sensor using an AC8A substrate was produced to be introduced to an engine. The heat from the sensor sidewall has to be taken into account due to the small size of the plug shape sensor, the analytical model for the heat flux calculation was extended to a two dimensional cylindrical system. Heat flux measurement tests under high load conditions with the plug shape sensor were conducted in a rapid compression and expansion machine. As a result, the sensor endured the harsh environment with the maximum pressure of 9.1 MPa and the heat flux load of 8.9 MW/m2. Furthermore, the measurement noise was estimated to 11.0 kW/m2, which was a quite low level compared with a commercially available heat flux sensor. Although the issue in the fabrication process remains, the prospects for introducing the MEMS heat flux sensor in internal combustion engine were obtained.
著者
加藤 勇夫 越島 一郎
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.70-86, 2017 (Released:2017-10-30)
参考文献数
14

筆者らは、既報で企業ビジョン達成のための戦略フレームワークとしてマルチ・プログラム・プラットフォームを提案し、オーケストレーションおよび戦略の動的アライメントと、これらを円滑に機能させるための意思決定プロトコルについて説明した。企業の永続的発展のためには、企業ビジョンの継続的革新が必要であるため、本稿では、スーパー・プログラム構造のオーケストレーションが、単に、顧客視点と内部プロセス視点間で相互の戦略同期をはかるばかりでなく、視点間の円滑な意思疎通と動的な戦略整合を促進するために意思決定プロトコルを含意すること、スーパー・プログラムが、企業ビジョン革新のドライバとして機能することについて述べる。
著者
大島 一二
出版者
桃山学院大学
雑誌
桃山学院大学経済経営論集 (ISSN:02869721)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.119-143, 2014-03-28

This paper reports the current situation of the advance of Chinese national farms in Russia. According to the material, this movement is regarded as the result of the surplus labor in Chinese rural area. It can also be attributed to the result of Chinese securing foods. The advance into the Republic of Kazakhstan is reported as well. Roles of the government, national farms and the family business are regarded as follows; Family business actors are the agents of the advance and management. They have at least over 33.3ha farms, some have about thousands Mu. They usually have as large as 10-100 times of those in domestic farms. National farms act as the association of the advance and the contractor of land lease. Government sector negotiates and seals agreements with the counter countries for the advance. The material also illustrated the following problems; Russian side has problems such as 1) collapsed agricultural infrastructure after the end of Soviet Union, 2) strict policy of the custom and immigrant office and difficulties in obtaining the visa, 3) difficulties in seeking productive tools, 4) Russian's hostile attitude that regarding China as "threat," 5) difficulties in sales in the far east of Russia and so on. Chinese side has problems such as 1) individual farms' financial shortage of development funds, 2) jumps of importing costs (cheaper cost of producing in Russia loses its merit because of the high tariff,) and so on. To solve these problems, the material insisted the steps such as government's positive action, non-profitable insurance, and advantageous tariff for imported agricultural products from Russia, low interest funds for the family business farms and their workers.
著者
加藤 勇夫 越島 一郎
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2017 春季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.85-98, 2017 (Released:2017-05-12)
参考文献数
14

筆者らは、既報で企業ビジョン達成のための戦略フレームワークとしてマルチ・プログラム・プラットフォームを提案し、オーケストレーションおよび戦略の動的アライメントと、これらを円滑に機能させるための意思決定プロトコルについて説明した。企業の永続的発展のためには、企業ビジョンの継続的革新が必要であるため、本稿では、スーパー・プログラム構造のオーケストレーションが、単に、顧客視点と内部プロセス視点間で相互の戦略同期を図るばかりでなく、視点間の円滑な意思疎通と動的な戦略整合を促進するために意思決定プロトコルを含意するこ と、スーパー・プログラムが、企業ビジョン革新のドライバとして機能することについて述べる。
著者
青山 美子 植田 康志 栗田 源彦 大橋 秀法 鳥潟 親雄 前島 一淑
出版者
公益社団法人 日本実験動物学会
雑誌
Experimental Animals
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.421-435, 1992

高周波電磁界の生体に及ぼす影響を検索することを目的として, 高周波電磁界の発生装置をウサギ耳介に装着し, 赤外線サーモグラフィによる皮膚表面温度, レーザードップラー血流計による皮膚血流量, ビデオマクロスコープによる細動静脈血管径の変化を測定した。周波数9MHzの高周波電磁界15分間照射によって, 局所の細動脈血管の拡張は認められなかったが, 明らかな皮膚表面温度の持続的な上昇, ならびに, 細静脈血管の拡張と血流量の増加傾向が観察され, 微小循環の亢進が確認された。又, モルモットに対する高周波電磁界の有害作用 (周波数9MHz, 1日8時間×30日間照射) は, 一般行動, 飼料摂取量, 体重, 臓器重量, 血液生化学値, 剖検所見, 組織学的所見では認められなかった。
著者
口野 直隆 大島 一二
出版者
桃山学院大学
雑誌
桃山学院大学経済経営論集 = ST.ANDREW'S UNIVERSITY ECONOMIC AND BUSINESS REVIEW (ISSN:02869721)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.1-16, 2016-10-03

In this paper, strategies of Japanese food service industry into overseas markets are discussed. Most of Japanese food service companies those challenged promotions into overseas markets have not completed their plans successful. Many of them experienced withdraw or shrinkage of sales because of the poor business performance. This paper aimed to examine its' causes and countermeasures based on the case of Ootoya; who established unique FC transforming strategy through close corporation with partners in Thailand and Taiwan, and have led to successful business there. Based on these successes, recently they are implementing the promotion into Chinese market with Taiwanese partner. The case indicates the significance of tight relationship with the partners in overseas markets, and is supposed to be worthy of attention.
著者
加藤 智之 西田 絢子 越島 一郎 徳丸 宜穂 梅田 富雄
出版者
一般社団法人国際P2M学会
雑誌
研究発表大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.20-29, 2013-04-20

既報では、3S(スキーム・システム・サービス)標準プロジェクトモデルに基づく価値創出モデルのための進化型イノベーションを課題とし、製品イノベーションを意図的に起こす手法論を進化ゲーム理論を援用し展開してきた。本論では、プログラムとしてプロジェクトサイクルを回す際、その引き金(ドライバー)となる要因(ヒト、モノ、カネ、情報)とイベントを進化ゲーム理論における戦略(現時点、将来、環境)に置き換えることによって事業ライフサイクルにおける3Sモデル間の接続をマネジメントする方法について説明する。更に、進化ゲーム理論による製品イノベーション・サイクルについて、進むべき方向性を決定する指標と共に提示し、マネジメントする方法を提案する。
著者
加藤 智之 西田 絢子 越島 一郎 徳丸 宜穂 梅田 富雄
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.21-33, 2013

既報では、3S(スキーム・システム・サービス)標準プロジェクトモデルに基づく価値創出モデルのための進化型イノベーションを課題とし、製品イノベーションを意図的に起こす手法論について進化ゲーム理論を援用し展開してきた。本論では、プログラムとしてプロジェクトサイクルを回す際、その引き金(ドライバー)となる要因(ヒト、モノ、カネ、情報)とイベントを進化ゲーム理論における戦略(現時点、将来、環境)に置き換えることによって事業ライフサイクルにおける3Sモデル間の接続をマネジメントする方法について説明する。更に、進化ゲーム理論による製品イノベーション・サイクルについて、進むべき方向性を決定する指標と共に提示し、マネジメントする方法を提案する。
著者
影島 一己 武井 尊也 杉谷 嘉則
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.237-243, 2006-04-05
参考文献数
18

高周波分光法を用いてエマルションの安定性評価を試みた.油/水(O/W)型エマルションに対する測定結果から,かくはん速度や保存温度が共振周波数の経時的な変化に影響を与えることが分かった.また共振周波数の高周波側へのシフトの挙動は,光学顕微鏡を用いた粒子径観察の結果とよい相関を示し,本法がエマルションの分離進行によって生じるクリーミングを鋭敏に検出していることが明らかになった.一方,W/O型エマルションや市販のエマルション製品に対する測定においても経時にともなう共振周波数の変化が観測された.このことから本法はO/W型エマルションだけではなく,W/O型エマルションや多成分系エマルションの安定性評価においても適用可能であることが明らかになった.
著者
吉松 俊紀 福島 一雅 元島 清香 斎藤 明義 龍 順之助 吉松 俊一
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.387-390, 2003-08-20 (Released:2012-11-20)
参考文献数
7
被引用文献数
1

This report showed that the analysis of the isokinetic strength test for throwing shoulder injuries could be used to determine the appropriate time for the patient to return to pitching. During the last six years, among two hundred sixtyfive players studied, one hundred fifty high school baseball players were found to be uninjured while one hundred fifteen players were found to be suffering from throwing shoulder injuries. The tests were carried out using a CybexR II Multi-Joint Dynamometer. The patients were seated with their shoulders abducted at 90 degrees and their elbows flexed at 90degrees. The shoulders were tested for their rotational strength. We observed an imbalance of isokinetic strength of the shoulder by noticing a difference between the internal and external rotational strengths. In addition, we examined the data of concentric isokinetic endurance strength that had not been reported previously. Returning to pitching was found to be highly possible when the patients corrected the imbalance of internal and external rotational strengths and their concentric isokinetic endurance strength was above 70% measured by the concentric endurance strength test. Correction of the imbalance of internal and external rotational strengths and the improvement of endurance strength were considered to be necessary to judge the appropriate time for returning to pitching.
著者
中島 一格
出版者
低温生物工学会
雑誌
低温生物工学会誌 (ISSN:13407902)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.1-6, 1999-08-31 (Released:2017-06-19)
参考文献数
3
被引用文献数
1

Blood products for transfusion in Japan are regulated by the pharmaceutical affairs law enacted by the Ministry of Health and Welfare. The quality system of GMP regulation for pharmaceutical products was introduced in 1976 and was applied for blood centers and blood products. GMP consists of the regulation for facilities and equipment (GMP hard), and quality management (GMP soft). The aims of GMP are prevention of human errors, prevention of contamination and quality defect of drugs, and constitution of quality system for manufacturing high quality pharmaceutical products. GMP contains GMP system, standard documents, management of manufacture, quality control, calibration, validation, management for complaints and recall, internal audit, and educational training. Blood centers in Japan have just started to use GMP and they look to be behind to other pharmaceutical companies particularly in the respect of GMP Soft. Therefore, we have to promote activities for carrying out GMP especially in quality management.
著者
横田 耕介 上原 崇敬 澤田 克彦 伊加 聖 今村 伸太朗 木宮 隆 鈴木 道子 平岡 芳信 金庭 正樹 大島 達樹 伏島 一平
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.593-599, 2011 (Released:2011-09-08)
参考文献数
11
被引用文献数
2

遠洋まぐろ延縄で漁獲されたメバチの産地市場における販売価格に及ぼす潜在要因(魚艙保冷温度・保冷期間,生物・製品情報)の影響を検討した。魚艙保冷温度を一般的な−50℃ 以下と−40~−45℃ の 2 つの温度帯に設定した延縄船で漁獲されたメバチの漁獲時の情報及び販売結果等を用いて,モデル解析を行った。魚艙保冷温度の違いと保冷期間による販売価格への影響は認められず,市場は,異なる保冷温度のメバチを同等に評価したといえる。一方,脂の乗り具合,漁獲時の生死,製品重量,雌雄と販売価格の関連がモデルで示された。
著者
金村 誠哲 橋本 典夫 藤原 和子 原武 麻里 岩井 真里絵 小島 一晃 岸本 寛史
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.317-320, 2017 (Released:2017-12-14)
参考文献数
14
被引用文献数
1

鎮静は症状緩和の方法として広く行われているが,一般病棟での鎮静の実態を多職種による話し合いの施行率を含め包括的に調査した報告は少ない.本研究の目的は当院一般病棟で緩和ケアチーム(palliative care team: PCT)が介入した患者の鎮静の実態を後方視的に調査することである.2012年8月〜2015年10月まで当院においてPCTが介入を開始した一般病棟入院中の終末期がん患者938例のうち2015年11月末時点で,246名が一般病棟で死亡し終末期に鎮静が行われたのは28名(11.4%)で,鎮静開始から死亡までの期間は4.1±3.1日,原疾患は肺がん,対象となった症状は呼吸困難が最も多く,用いられた薬剤は全例ミダゾラムであった.平日はPCTが毎日患者を回診し,多職種による鎮静の話し合いも全例行い鎮静を行うことができていた.