著者
中島 一夫 樋口 陽 後藤 暁子 後藤 昌三
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.111-116, 2015 (Released:2015-03-26)
参考文献数
17
被引用文献数
1

要旨:心原性脳塞栓症発症急性期の経食道心エコー検査にて左房内血栓を認め,dabigatran etexilate(DE)投与後に血栓消失を確認した非弁膜症性心房細動5 例を呈示する.発症時年齢は平均83 歳,女性が3 例,左房内血栓の最大径は平均13 mm であった.未分画ヘパリン投与後のDE への切り換え例が3 例,発症前よりのワルファリン投与からDE への切り換え例が1 例,発症前よりワルファリンが投与され発症後に未分画ヘパリンへの変更を経てのDE への切り換え例が1 例であった.発症各3 日,5 日,5 日,7 日,18 日後からの平均18 日(6~39 日)間のDE(4 例で110 mg×2/日,1 例で150 mg×2/日)投与により全例で症候性再発を認めることなく左房内血栓消失が確認された.心原性脳塞栓症急性期に心内血栓が検出された非弁膜症性心房細動患者におけるDE 投与が,再発予防を目的とした急性期抗凝固療法の一方法になりうることが期待される.
著者
西林 仁昭 中島 一成 吉澤 一成 坂田 健
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究代表者らがこれまでに達成した知見を踏まえて、「温和な反応条件下でのアンモニア合成反応法の開発」と「温和な反応条件下でのアンモニアの分解反応の開発」に取り組んだ。前者では、トリホスフィン(PPP)型三座配位子やPCP型ピンサー配位子を持つ窒素架橋2核モリブデン錯体を設計・合成し、それらを触媒として利用した触媒的アンモニア生成反応を検討した。その結果大幅な触媒活性の向上を達成した。後者では、フェロセニルジホスフィンを配位子として有する窒素架橋2核モリブデン錯体の設計・合成に成功し、酸化還元による架橋窒素分子の窒素―窒素三重結合の開裂及び再結合を可逆的に制御できることを見出した。
著者
大島 一二
出版者
桃山学院大学
雑誌
桃山学院大学総合研究所紀要 (ISSN:1346048X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.117-126, 2017-10

In this paper, I examined sales and promotion strategies of Japanese agricultural products andfoods through those who exhibited Hong Kong Food Expo (HKTDC), one of the largest foodexhibition in East Asia. After the registration of Japanese dishes to World Heritage in 2013, aboom of Japanese foods has been observed especially in Asia. In Hong Kong, people are enjoyingvarious Japanese restaurants as well. This boom is obviously accelerating exports of Japaneseagricultural products. However, Japanese agricultural producers were mainly selling theirproducts in the domestic markets and their strategies toward the foreign markets still remain invulnerable stage. This paper aims to seek insights through the examination of the strategies usedat Hong Kong Food Expo.Hong Kong's food market has following characteristic points ;1) It is the biggest counter partner of exports of Japanese agricultural foods and products,2) There is no tariff on imports of Japanese foods and products basically, no non-tariff barrier butfor a few exceptions. It is in a favorable condition as an export partner.3) It is close to Japan and carriage procedures are simple.4) Most of Hong Kong people have visited Japan several times and are interested in Japanesefoods and culture.Thus, an analysis of Hong Kong Food Expo can provide us a good practice of strategies ofselling and promoting Japanese agricultural foods and products overseas.
著者
島 一則
出版者
東洋館
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
no.59, pp.127-143, 1996-10

The purpose of this paper is to examine whether the university decentralization policy has influenced variations in the percentage of applicants for admission to universities between prefectures and to suggest the policy implication of the reconsideration of the policy which is being argued now. In the second section I investigate the articles which were concerned with the effect of the policy of correction of the variations in application rates. In the third section I analyze the time series change of the variations in acceptance and application rates between prefectures. And in the fourth section I make a regression analysis to examine the effect of the policy of correction of the variations in application rates. To conclude, the university decentralization policy has influenced the variation in application rates. But the university decentralization and the correction of variation in application rates have not progressed or retreated since 1986 because the policy has been weakened. If the university decentralization policy is removed, it is expected that the variations in application rates will expand. So I think that the reconsideration of the university decentralization policy should be argued fully from various view points.
著者
川島 一彦 高橋 良和 葛 漢彬 呉 智深 張 建東
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A (ISSN:18806023)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.825-843, 2009 (Released:2009-09-18)
参考文献数
11
被引用文献数
3

本論文は2008年5月12日に中国で発生した中国四川地震(汶川地震)による橋梁被害を示すものである.現地調査は2008年8月9日∼15日を基本とし,この他,複数回の個別調査も行った.本地震による主要な強震記録とその特性,中国における橋梁の耐震設計の概要と設計地震力,被害との関連も検討する.最後に,本文に示す橋梁被害から得られた四川汶川地震による橋梁被害の特徴及び原因について示す.
著者
原田 忠直 大島 一二
出版者
日本福祉大学
雑誌
日本福祉大学経済論集 (ISSN:09156011)
巻号頁・発行日
no.49, pp.75-92, 2014-09-30

マカオでは,2002年にカジノ経営権の国際入札が始まり,アメリカ・香港を中心に巨額な資本が投下されている.なかでも,カジノ産業だけではなく,宿泊施設・飲食店・ショッピングモール・劇場等のレクリエーション施設・展示場・会議場,さらにその他の観光施設等からなる複合的な「統合型リゾート」の建設が進められている.そして,この「統合型リゾート」を核として,マカオは劇的な経済成長を遂げ,雇用の確保,高福祉の実現など,多くの恩恵をマカオの地元住民に与えている.しかし,その陰で,低学歴層を中心に就業・生活面で「周辺化」されつつある人々,犯罪率の増加などの課題も存在している.
著者
真島 一郎
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.24-49, 2006

本稿では、デュルケムの中間集団論およびその受容をめぐる人類学史を概観したうえで、今日の人類学が「社会的なるもの」を再考するうえでの発見学的モデルとして、一世紀の時を経た「中間集団」概念の理論的な加工作業が試みられる。デュルケム社会学の底流には、産業資本と福祉国家生誕の時をむかえた20世紀転換期フランスの「社会」危機に対し、彼のいう二次的集団、とりわけ職業集団の再編成を軸に道徳的個入主義と有機的連帯の育成を促そうとする社会工学の意図があった。だが、その後デュルケム理論の継承を図ったイギリス社会人類学は、自社会の変革をめぐる彼の政治規範を理論から漂白する過程で、市場の対概念であるモラルの思想史的含意、ならびに「未開社会」が植民地帝国下の入工的な中間集団たる現実を忘却していった。起点からの分岐と忘却を経た入類学に社会への視線が回帰する時期とは、脱スターリン化から「1968年革命」、福祉国家危機論の台頭へと到る、社会科学全般のパラダイム転換期でもあった。社会的なるものを主題とした人類学的考察の今日における顕著な増加を、パラダイム転換第二波の徴候とみるにせよ、モラル・エコノミー論争の70年代から地続きの現象とみるにせよ、社会介入型国民国家の生誕から問い直しへと到る歴史の一サイクルが閉じつつある今、19世紀末の社会工学を参照点とする「社会」再考の試みには、相応の意義が見出せよう。
著者
浜本 哲郎 大谷 正史 松本 栄二 堀 立明 鶴原 一郎 八島 一夫 磯本 一
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.114, no.12, pp.2134-2141, 2017

<p>症例は42歳,男性.禁煙後に血便が出現し潰瘍性大腸炎と診断された.5-ASA,プレドニゾロンの投与で寛解導入したが減量にともなって再燃し,強力静注療法,白血球除去療法,抗TNF-α製剤,タクロリムスなどで加療したが,寛解導入できなかった.ところが,喫煙の再開で血便は消失し,内視鏡的にも粘膜治癒を確認した.禁煙後に発症し,喫煙の再開で寛解に至ったことから,ニコチンや一酸化炭素を介した抗炎症作用が考えられた.</p>
著者
安部 鉄也 三島 一彦 内野 晃 佐々木 惇 棚橋 紀夫 髙尾 昌樹
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.627-632, 2016 (Released:2016-09-29)
参考文献数
18
被引用文献数
3 8

症例は84歳女性.緩徐進行性の認知機能障害の経過中に失行が出現した.神経学的所見は認知機能障害,失行に加え左上下肢の筋力低下を認めた.頭部magnetic resonance imaging(MRI)で右側頭頭頂葉の髄膜のfluid attenuated inversion recovery(FLAIR),diffusion weighted Imaging(DWI)高信号を認め造影効果を有し,血液検査で抗cyclic citrullinated peptides(CCP)抗体が高値であった.脳生検ではくも膜下腔を中心とした炎症細胞浸潤を認めた.ステロイドで加療し臨床症候,検査所見ともに改善した.全経過を通じて関節症状は認めていない.本例は慢性髄膜炎の診断治療を考える上で貴重な症例である.発症時に関節症状のないリウマチ性髄膜炎の報告は稀で,本例では特に抗CCP抗体が高値であり,リウマチ性髄膜炎の発症機序を考える上でも稀有な症例である.

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著者
中島 研吾 牧島 一夫 本原 顕太郎 駒宮 幸男 神山 忍 青木 秀夫 広報誌編集委員会 平賀 勇吉 藤原 晴彦 相原 博昭 岡 良隆
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学理学系研究科・理学部ニュース
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.3-9, 2006-01

「多圏地球システムの進化と変動の予測可能性」国際シンポジウム/物理・天文の21 世紀COE 若手交流シンポジウム報告/第8回公開講演会報告/「楽しむ科学コンクール」の創設/理学部1号館で消防訓練/小形正男先生の日本IBM科学賞受賞をお祝いして/理学部チームがソフトボールでベスト4/ホームカミングデイ/石川統先生ご逝去 : あまりにも早い別れ/藤井忠男先生のご逝去を悼む/最後まで全力投球のまま急逝された川島誠一郎先生
著者
松本 有史 金子 仁彦 高橋 利幸 中島 一郎 久永 欣哉 永野 功
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.729-732, 2017 (Released:2017-11-25)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

症例は発症時65歳の男性.右肩・上腕の感覚障害が一過性に出現し,MRIにて頸髄C2/3右背側に1椎体程度の小病変を認めた.約1年3か月後に右頬・後頸部・後頭部に電撃痛が出現し,MRIにて頸髄C1右背側に後索と三叉神経脊髄路核に及ぶ卵円形の病変を認めた.視神経や中枢神経の他の部位には病変を認めなかった.血清の抗aquaporin 4抗体が陰性,抗myelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG)抗体が陽性であった.ステロイドの投与で症状は改善した.視神経脊髄炎spectrum disordersの診断基準は満たさず,抗MOG抗体陽性の再発性脊髄炎として貴重な症例と考えた.
著者
鹿島 一紀
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.68(2000-CSEC-010), pp.121-127, 2000-07-25

IDとパスワードに代わる本人認証システムとしては、指紋などを利用するバイオメトリックス認証の実用化が進んでいる。これは個体特有の特徴をシステムで認証することで、別人がなりすますことをほぼ完全に防御できるという期待感からと考えられる。しかしバイオメトリックス認証には、普及しづらい本質的な5つの課題がある。そこで従来のIDとパスワードの課題を再考し、これらの課題にも対応できるソリューションが必要と考え、画像の位置情報を利用した新しい本人認証方式を開発した。本稿は、その開発背景、認証方式、およびその有用性についで報告するものである。
著者
牧島 一夫 大塚 茂巳 安東 正樹 蓑輪 眞 岩上 直幹
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学理学系研究科・理学部ニュース
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.14-17, 2013-11

《はじめに》理学部旧1号館の記憶/《証言1》試作室の流浪10年/《証言2》「はじまりの場所」/《証言3》理学部旧1号館三階の迷宮/《証言4》旧1ペントハウス
著者
加藤 勇夫 越島 一郎
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2018 秋季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.65-84, 2018 (Released:2018-10-16)
参考文献数
34

日本社会が現在の生活の質を維持し、今後、深刻化する少子高齢化社会に対応するためには、既存社会システムの破壊と再生(革新)による労働生産性の向上と、この革新を支えるイノベーターの育成が急務である。また、イノベーターの育成には、プログラムを機敏にマネジメント(機敏に意思決定)するための基盤となるマネジメント方法論として、リーン&アジャイルプログラムマネジメントの開発と実施が必要であると考えている。本稿では、このリーン&アジャイルプログラムマネジメントを実現するために、これまでのイノベーションプロセスを再考し、イノベーターが革新を完遂するためのマネジメントフレームワークを提案する。