著者
松岡 晃弘 矢島 健司 渡部 秀憲 川上 民裕 相馬 良直
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.98-101, 2008-04-10

要約 シクロスポリン内用液含嗽療法は,扁平苔癬や天疱瘡による難治性口腔内病変に対して,その有効性が報告されている.筆者らは,78歳の女性の天疱瘡患者の,ステロイド内服治療に抵抗する口腔内病変に対し,ネオーラル®内用液含嗽療法を行い,その良好な治療効果を確認した.含嗽時に口腔内灼熱感と疼痛がみられたが,粘膜症状の改善とともに軽減した.その他の副作用はなく,シクロスポリンの血中濃度も測定感度以下であった.シクロスポリン内用液は天疱瘡に対する保険適用がなく,含嗽という投与形態も認められていないため,天疱瘡に対するシクロスポリン内用液含嗽療法は安易に行ってよい治療法ではない.しかし,適切に使用すればほとんど副作用はなく,高い効果が期待できることから,ステロイド増量や免疫抑制薬内服が困難な患者に対しては,十分なインフォームド・コンセントを得たうえで,試みてもよい治療法であると思われた.
著者
菊地 綾子 平本 秀二 堀 哲雄 吉岡 亮 長島 健悟
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.335-340, 2018 (Released:2018-12-07)
参考文献数
17

緩和ケア開始後の早期死亡に関する予測因子研究はあるが,入院時に長期の生存期間を予測するモデルや予測因子に関する報告はない.31日以上あるいは61日以上の長期入院に関連する予測因子解析を探索的に行った.また終末期症状(がん性疼痛,せん妄,悪心・嘔吐,倦怠感,呼吸困難感)と終末期治療(平均輸液量,持続的鎮静,平均オピオイド使用量)について長期入院群と非長期入院群とで比較した.31日以上長期入院群においては性別(オッズ比0.502),意識レベル(オッズ比0.258),補正カルシウム値(オッズ比0.559)が統計学的に有意であった.61日以上長期入院に対する予測因子解析では血清CRP値(オッズ比0.254)において統計学的な有意差を認めた.終末期症状・治療において31日以上長期入院の有無では倦怠感と平均輸液量が統計学的に有意に少なかった.61日以上長期入院の有無では差はみられなかった.
著者
三木 あかね 中島 健一郎
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.18, pp.91-105, 2019-03-31

本研究の一部は第11回ドリームチャレンジ賞(H29)研究費により行われました。本論文は,広島大学大学院教育学研究科心理学専攻に提出した平成29年度修士論文をもとに執筆したものである。本研究の一部は,日本社会心理学会第57回大会(2016年度)および中四国心理学会第72回大会(2016年度)で発表した。しかし,上記の学会発表では執筆者の不手際により,誤った分析結果を発表していた。再分析した結果が29年度修士論文および本論文の結果になる。
著者
宮島 健
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.4-17, 2018-12-20 (Released:2019-02-12)
参考文献数
79

本稿では,人々が「残業を肯定的に捉える他者の信念」を実際よりも過大に推測している可能性(i.e., 多元的無知の生起),そして多元的無知が行動に及ぼす影響における心理的安全の調整効果を検証した.その結果,残業に対する他者の肯定的態度を人々が実際よりも過大視していたことと,多元的無知状態の個人は,職場の心理的安全風土を高く知覚していると意見表明が促進されることが示された.
著者
市原 紀久雄 島 健二 黒田 耕平 野中 共平 垂井 清一郎
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, pp.498-504, 1973-11-30 (Released:2011-08-10)
参考文献数
21

Although diet regulation is a basal therapeutic means for diabetes, little is known about its primary effect on diabetic metabolism, including insulin secretion. The purpose of this investigation is to throw a light on this problem.Twenty-two non-ketotic diabetics were selected for study, who were newly-diagnosed or had interrupted the treatment of diabetes for long time, having no other diseases which might affect carbohydrate metabolism.In these patients, blood glucose, FFA and IRI response to oral loading of 100 g glucose were compared before and after 4 week diet regulation. The diet which was indicated to them was composed of 60% carbohydrate, 15-20% protein and 20-25% fat. The total calorie was restricted in relation to their weight and physical activity. The patients were asked to weigh their daily food. 24h intake of carbohydrate, protein and fat, and total calorie were calculated as accurately as possible. According to this calculation, dietetic intakes of seven of these twenty-two patients were found not to be significantly changed between before and after the instruction of diet regulation. Therefore, we divided all patients studied into two groups, namely control group (7 cases) and diet treatment group (15 cases).After the diet regulation in the latter group, fasting glucose was decreased from 164.1±14.6 mg% to 121.7±7.1 mg%(p<0.01), glucose tolerance was significantly improved and insulin response estimated by measuring the area under the curve was increased from 6, 807±958 μU·min/m/ to 10, 392±1, 657 μU·Eminim/(p<0.01) in spite of lowered level of blood glucose. However, the sluggishness in early insulin response to glucose was not markedly changed. Insulinogenic index was also significantly increased at 180 minutes after oral glucose loading. Plasma FFA response to oral glucose was ameliorated at 120 minutes.On the other hand, the control group did not show any significant changes in blood glucose and IRI and FFA response to glucose loading before and after 4 week observation periods.Therefore, the metabolic effects of the diet regulation should be at least in part ascribed to the increased secretion of insulin. These results support the classical concept, “Resting the Pancreas”, brought about by caloric restriction.
著者
福島 健二 原田 要之助
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.205-213, 2016-04-15

ライフログの利活用は,新たな価値を生み出したり業務の効率性を高めたりする可能性を持っている.ビッグデータという名のもとに利活用の動きが進んでいるが,明らかな成功事例として公表されているものはそれほど多くはない.プライバシー面の問題により利活用業務が頓挫したり,プライバシー面を懸念するあまり,ライフログの利活用に踏み出せない企業も出てきている.本稿では,企業におけるライフログ利活用を成功させるために,ライフログ提供者側の心理面からのアプローチで考察を行った.ライフログ提供者がライフログを提供するという判断に至るためには,「データ提供の対価としての付加価値」,および「データ利活用目的」を示すことが重要であり,ライフログ収集側の企業自体が,ライフログ提供者から不信感を持たれるようなことをなくすことも,ライフログを利活用しようとする企業が,考慮すべき課題であることを明らかにした.
著者
水島 健太郎 久須美 雄矢 水池 千尋 三宅 崇史 稲葉 将史 吉川 友理 石原 康成 堀江 翔太 村岡 泰斗 水田 有樹 立原 久義 山本 昌樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0061, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】オスグッド・シュラッター病(OSD)は,大腿四頭筋の過緊張による膝蓋靭帯への牽引力が発症要因とされている。近年,大腿四頭筋の滑走に影響を与える膝関節周囲脂肪体の柔軟性低下が発症要因の一つとして重要視されている。我々は,OSDが健常者と比べて,大腿骨前脂肪体の柔軟性が低下していることを報告した。諸家の報告より,OSDの疼痛に膝蓋下脂肪体(IFP)の柔軟性低下が関与するとあるものの,その詳細は明らかになっていない。そこで本研究の目的は,OSDにおけるIFPの柔軟性について超音波エコー(US)を用いて評価し,膝屈曲ROMとの関係性を検討することとした。【方法】対象は,健常(N)群8例16膝(男性5例,女性3例,平均年齢13.9歳),OSD群8例16膝(男性4例,女性4例,平均年齢12.9歳)の2群とし,IFP治療前後におけるIFP組織弾性,膝屈曲ROMを測定した。IFP組織弾性は,US(ACUSON S3000,SIEMENS社製)のShear Wave Elastography(VTIQ)にて,膝伸展位(E)と120度屈曲位(F120)を各3回測定し,その平均値を算出した。IFP組織弾性を群間比較し,OSD群における治療前IFP組織弾性と治療前膝屈曲ROMとの相関,IFP治療前後のIFP組織弾性および膝屈曲ROMを比較した。IFPの治療は,IFP柔軟性改善操作を5分間施行した。統計処理は対応のあるt検定,マンホイットニー検定を用い,有意水準を5%未満とした。【結果】IFP組織弾性(N群:OSD群)は,Eが2.23m/s:2.30m/s,F120が1.95m/s:3.12m/sであり,OSD群がN群に比べF120においてIFP組織弾性が高値を示した(p<0.01)。OSD群におけるF120IFP治療前組織弾性と治療前屈曲ROMの相関は,-0.48(p<0.05)と負の相関が認められた。IFP治療前後(治療前:治療後)のF120におけるIFP組織弾性は,3.12m/s:2.06m/sであり,治療後に有意な低下を示した(p<0.05)。膝屈曲ROMは,143.8°:150.9°であり,治療後に有意な改善を示した(p<0.01)。【結論】今回の結果より,IFP組織弾性はN群と比べてOSD群が有意に高値を示し,治療前F120 IFP組織弾性と治療前屈曲ROMに負の相関が認められた。これは,IFP柔軟性低下に伴い膝屈曲ROMが制限されることを示唆している。また,OSD群においてIFP柔軟性改善により,膝屈曲ROM拡大が認められた。このことから,IFP柔軟性低下がOSDにおける膝屈曲ROM制限の一要因として挙げられ,IFP柔軟性改善操作がOSDの運動療法として有効であるものと考えられる。
著者
横路 誠司 高橋 克巳 三浦 信幸 島 健一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.1987-1998, 2000-07-15
参考文献数
17
被引用文献数
13

インターネット上に分散するWWW文書を位置指向に検索するシステムを開発した.本システムでは,任意の地理的領域に属するWWW文書を検索することが可能である.本検索システムの実現のために,3つの手法を開発した.まず,位置指向検索に必要なWWW文書を選択的に収集する手法,次に,WWW文書から住所を抽出し,抽出住所を緯度経度と対応づけることによる構造化手法,そして,構造化された文書の緯度経度を用いた,地理的検索手法である.選択的収集手法は,WWW文書の内容を予測し,位置に関連した情報を高い割合で収集することができる.構造化手法では,住所辞書を持った形態素解析と,住所表記の正規化を用いて,WWW文書からの住所抽出を行った.その結果,正しい住所の抽出を保証したうえで,出現住所文字列の92%の抽出を丁目レベルで実現した.地理的検索手法では,構造化で付与された緯度経度情報と検索領域の重なりに存在するWWW文書の情報を提示する.この手法の評価実験を行った結果,提案手法は,検索領域として住所文字列を使用する従来のキーワード検索で少なくとも約25%存在していた検索もれを解消することができた."We developed a location-oriented search system for WWW documents on the Internet.This system can search WWW documents related to any geographical area.The system has three modules.(1) ``Location oriented selective information collecting robot''that collects documents from the Internet,(2) ``Location oriented structuring parser''that extracts address strings from the WWW documents andputs longitude-latitude information to the original document,(3) ``Location oriented structured search'' that performs geographical search.Our ``robot'' collects documents related to the location selectivelyby estimating the target document has the location information or not.Our ``parser'' extracts address strings using the morphological analysis andnormalization of address variants.It extracts 92% of detailed address strings while guaranteeingthe precision of the extraction.And our ``location oriented search'' method searches the documents whichits longitude-latitude overlaps to the polygon of the search request.This method can search all documentsthat conventional keyword search overlooks at least 25% of documents.

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著者
川島 健治郎
出版者
Japanese Society of Tropical Medicine
雑誌
熱帯 (ISSN:2186179X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.12, pp.8-14, 1969
著者
川島 健司 伊豫 彰 荻野 拓
出版者
公益社団法人 低温工学・超電導学会 (旧 社団法人 低温工学協会)
雑誌
低温工学 (ISSN:03892441)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.389-396, 2017-11-20 (Released:2017-12-08)
参考文献数
46

We report discoveries and properties of new 112-type (Ca,Ln)FeAs2 (Ln = La ~ Gd) and 1144-type AeAFe4As4(Ae = Ca, Sr, Ba, Eu, A = K, Rb, Cs) Fe-based superconductor structures. (Ca,Ln)FeAs2 has a monoclinic system with a space group P21/m composed of two Ca(Pr) planes, Fe2As2 layers, and As2 zigzag chain layers. (Ca,Ln)FeAs2 shows superconductivity with a transition temperature (Tc) at 20 ~ 40 K. Although (Ca,Ln)FeAs2 has thick blocking layers, it has relatively high critical current density over 106 A/cm2 at 5 K (self-field). AeAFe4As4 has a tetragonal system with a space group, P4/mmm, Ae and A layers are inserted alternately between the Fe2As2 layers in the c-axis direction. AeAFe4As4 is a stoichiometric compound having Tc = 31 ~ 36 K, depending only on the combination of Ae and A. Both new superconductors are promising materials for application due to their characteristic properties.
著者
副島 健治
出版者
富山大学国際交流センター
雑誌
富山大学国際交流センター紀要 = Journal of Center for International Education and Research, University of Toyama (ISSN:21891192)
巻号頁・発行日
no.4, pp.21-29, 2017-12

近年の日本人学生は「内向き志向」であると言われる。本報は,日本人学生が改めて自文化である日本語・日本文化を学ぶことを,グローバルマインドを身につける1つのアプローチとして位置づけ,その学びにより自らのアイデンティティーを確認し誇りを持って外へ目を向けるようになる契機となるのではないかという「グローバル人材育成」の試みとして実践した報告である。関わった学生たちは,日ごろ気に留めていなかった「日本語」をあらためて学び,「発見」することを経験した。その新鮮な経験によって,教養としての知識を身につけるということだけにとどまらず,気おくれすることなく外国(語)へ目を向けることのできる日本人としての自負も生まれ,留学することを考え始める学生もでた。「グローバル人材育成」という観点から,自己の文化を見つめ直すことが重要であることが明らかとなった。