著者
張 海峰 高島 健太郎 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
インタラクション2019論文集
巻号頁・発行日
no.1, pp.370-374, 2019-02-27

日常生活の中では,ある願望の実行を先延ばしすることがよく行われる.これを防ぐために,願望の実行を開始するためのモチベーションを喚起することが重要である.先行研究では,すでに遂行中のタスクのモチベーションを維持させる試みが多く行われてきたが,行動する「前」のモチベーションの喚起を試みた事例は少ない.そこで本研究では,行動開始のモチベーションを高めることを目的として,SNS上で表明された願望に対し,ユーザとそのフォロワーに対して,願望に関連する情報を継続的に提供することで実行開始を促す言霊テロシステムを提案し,その有効性をユーザスタディによって検証する.
著者
張 海峰 高島 健太郎 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. GN, グループウェアとネットワークサービス (ISSN:21888744)
巻号頁・発行日
vol.2019-GN-107, no.6, pp.1-8, 2019-03-11

日常生活の中では,何度も 「あることをしたい」 と言いつつ,長い時間が経っても行動に移さないという先延ばし行為がよく行われる.これを防ぐために,願望の実行を開始するためのモチベーションを喚起することが重要である.先行研究では,すでに遂行中のタスクのモチベーションを維持させる試みが多く行われてきたが,行動する 「前」 のモチベーションの喚起を試みた事例は少ない.そこで本研究では,行動開始のモチベーションを高めることを目的として,SNS 上で表明された願望に対し,ユーザとそのフォロワーに対して,願望に関連する情報を継続的に提供することで実行開始を促す言霊テロシステムを提案し,その有効性をユーザスタディによって検証する. : In our daily life, many people often procrastinate various things although they frequently say “I want to do that.” Such procrastinations cause a decline in the quality of life. In order to prevent the procrastinations, it is important to motivate them to start practice of their desires. In the preceding studies, there have been many attempts to maintain the motivation of tasks that are already underway. However, few cases tried to evoke motivation before starting acts. In this study, we propose a support system that motivates people to start action. This system watches tweets in Twitter to find manifests of desires. If a tweet including a manifest of a desire is found, this system starts to send related pieces of information to the desire to its sender and his / her followers until he / she achieves the desire. We conducted user studies and confirmed this system is effective to let the procrastinators to start actions on their desires.
著者
舟越 光彦 田村 昭彦 垰田 和史 角銅 しおり 鍛冶 修 鮫島 健二
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.1123-1130, 2004
参考文献数
21
被引用文献数
1

米国胸部疾患学会は, 成人喘息の約15%は職業性であるとの声明を2002年に発表し, 職業喘息の対策の重要性を強調した. しかし, 我が国では一般集団を対象に気管支喘息における作業要因の人口寄与危険度を求めた疫学研究は殆どなく, 気管支喘息に占める作業関連喘息の割合は未解明である. 気管支喘息における作業要因の人口寄与危険度を求めることは効果的な予防対策をすすめるために重要な課題なので, 気管支喘息で外来通院中の患者を対象とし, 成人喘息における作業要因の人口寄与危険度をNIOSHのクライテリアを用いて求めた. また, 作業関連喘息症例の特徴について検討した. その結果, 気管支喘息における作業要因の人口寄与危険度は22.7%で欧米の報告と大差なく, 我が国でも欧米と同程度の作業関連喘息の罹患があることが示唆されると考えられた. probable OAは5名で, 害虫駆除業, 生花販売業, 美容師, ペットサロン業だった. 2名(40%)は喘息のため転職しており, 作業関連喘息が就労の継続に与える影響の大きさが示唆された. 4名(80%)が離職した後も気管支喘息が持続しており, 作業関連喘息の予防の重要性が示された.
著者
山本 博徳 阿部 孝 石黒 信吾 内田 恵一 川崎 優子 熊谷 秀規 斉田 芳久 佐野 寧 竹内 洋司 田近 正洋 中島 健 阪埜 浩司 船坂 陽子 堀 伸一郎 山口 達郎 吉田 輝彦 坂本 博次 石川 秀樹 岩間 毅夫 岡﨑 康司 斎藤 豊 松浦 成昭 武藤 倫弘 冨田 尚裕 秋山 卓士 山本 敏樹 石田 秀行 中山 佳子
出版者
一般社団法人 日本遺伝性腫瘍学会
雑誌
遺伝性腫瘍 (ISSN:24356808)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.59-78, 2020 (Released:2020-09-25)
参考文献数
88

Peutz-Jeghers症候群は,食道を除く全消化管の過誤腫性ポリポーシスと皮膚・粘膜の色素斑を特徴とする希少疾患である.STK11遺伝子の生殖細胞系列の病的バリアントを原因とし,常染色体優性遺伝形式をとる.また,がん遺伝子パネル検査によって診断される可能性がある. 本症候群でみられる過誤腫性ポリープは小腸に好発し,ポリープが大きくなると出血,腸閉塞,腸重積の原因となる.初回の消化管サーベイランスは症状がなくても8歳頃を目安に行い,10〜15mm以上の小腸ポリープは内視鏡的ポリープ切除術を行う.消化管,乳房,膵,子宮,卵巣,肺,精巣などに悪性腫瘍の発生が認められ,適切なサーベイランスが必要である. 本診療ガイドラインでは,小児から成人にかけてシームレスに,正確な診断と適切な治療・サーベイランスが行われるよう, 基本的事項を解説し,4個のクリニカルクエスチョンと推奨を作成した.
著者
北 真人 銭 潮潮 此島 健男子 中安 正晃 辻本 哲郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.189-201, 2020
被引用文献数
1

<p> 令和元年東日本台風は東日本を中心に多量の降雨をもたらした.その中で,首都圏に位置する荒川下流域では氾濫危険水位付近にまで水位が上昇した.さらに大規模な降雨が発生した場合,下流での氾濫発生も懸念され,避難行動の基礎資料としてより雨量を増加させたデータが必要となる.本研究では,WRFを用いた海面水温操作による降水量の変化とその影響分析の結果と併せて,再現性の結果について報告する.その結果,ピーク時刻や雨量に差異があるものの全体的な降雨波形については再現していた.そして,海面水温の増減に対応して降水量も増減することを確認した.この理由として,気圧場の変化に伴う台風経路の変化や水蒸気フラックスの増減に加え,荒川流域上流域の地形効果が要因であることが分かった.</p>
著者
中野 明子 中島 健二 小林 恒三郎 塚原 ユキ 佐藤 睦子
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.351-357, 1982 (Released:2006-08-11)
参考文献数
18
被引用文献数
4 2

Disorders of speech and other mentalfunctions in eight patients with left thalamic hematoma were examined, both in their acute and chronic stage. The examinations in the acuts stage revealed a decrease of vigilance in 7 cases, fatiguability in 6 cases, a paucity of spontaneous speech in 6 cases and small vocal volume in 5 cases. In addition, 6 out of cases exhibited some speech disorders, inluding paraphasia, word-finding difficulties, circumlocution. The other two cases showed memory dis turbance and / or disorientation. Fluency, repetition and comprehension were well preserved in all cases. And, in the chronic stage, disor ders of speech and other mental functions almos disappeared in 7 cases out of the 8.    Those defects were not considered as being aphasia, but as a lack of activation of higher mental functions in the dominant hemisphere.
著者
あうん し し 上田 俊司 古賀 徹 五島 健太 張 華 新名主 輝男
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.217, 2009

我々は、[3<SUB>3</SUB>](1,3,5)シクロファンを始め、モノフルオロおよびヘキサフルオロ[3<SUB>3</SUB>](1,3,5)シクロファン類の光化学反応によりヘキサプリズマン誘導体を合成する研究を行っている。今回、これらのシクロファン類の無水および含水ジクロロメタン中での光反応をHPLCにより追跡し、かご型光反応生成物を単離・同定するとともに、光反応生成物間の相互関係を調べ、光化学反応機構を総合的に考察したので報告する。
著者
佐藤 公俊 中本 達也 中島 健一
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.77-83, 2018-07-15 (Released:2018-08-15)
参考文献数
10

本研究では,生鮮食品のPOS(Point Of Sales:販売時点情報管理)データを用いて最適な値引き販売の開始時刻を求め,販売収益および廃棄率への効果を明らかにする.Feng and Gallego(1994) により導かれた総期待売り上げの最大化のための値引き時刻決定アルゴリズムを適用し,在庫量に依存する時間についての閾値型で与えられる値引き戦略を視覚的に示す.さらに,最適な割引価格についても数値的に検討する.その結果,現状の販売方法と比較し,約17.4%の収益改善効果が得られた.
著者
古和 久典 中島 健二
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.514-518, 2017-10-25 (Released:2017-12-07)
参考文献数
11

脳出血によって,寝たきりや重度後遺症をきたす患者は,加齢に伴って増えていく.降圧療法の普及に伴い,脳出血危険因子としての高血圧の影響は低下しているものの,高血圧はいまだもっとも影響の強い危険因子である.新たなMRI撮像法を用いることによって,高齢者に多く,脳葉型出血を呈し,高血圧の関与が少なく,再発を繰り返す脳アミロイドアンギオパチーに関連した脳出血の臨床診断や,微小脳出血の検出が可能となり,抗血栓療法を開始する際には,その適応の検討や血圧管理に留意することが必要である.
著者
椛島 健治 成宮 周
出版者
一般社団法人 日本炎症・再生医学会
雑誌
炎症・再生 (ISSN:13468022)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.535-541, 2002-11-30 (Released:2010-04-12)
参考文献数
12

One of the major risk factors triggering or worsening human inflammatory bowel disease (IBD) is the administration of non-steroidal anti-inflammatory drugs (NSAIDs) . Since NSAIDs share inhibition of the enzyme-cyclooxygenase (COX) that catalyzes production of prostanoids, some prostanoids are formed and negatively modulate the extension of IBD. We used mice deficient in prostaglandin (PG) E2 receptor EP1, EP2, EP3, and EP4, and examined the roles of prostaglandin E2 in DSS-induced colitis model. Among the PGE2 receptor-deficient mice, only EP4-deficient mice developed severe colitis with 3% DSS treatment, which induced only marginal colitis in wild-type mice. Conversely, administration of an EP 4-selective agonist (AE 1-734) to wild type mice ameliorated severe colitis normally induced with 7% DSS, while that of an EP 4 agonist, AE 3-208, suppressed recovery from colitis and induced significant proliferation of CD 4+ T cells. In vitro AE 3-208 enhanced and AE 1-734 suppressed the proliferation and Th 1 cytokine production of lamina propria mononuclear cells from the colon. DNA microarray analysis revealed elevated expression of genes associated with immune response and reduced expression of genes with mucosal repair and remodeling in the colon of EP 4-deficient mice. We conclude that EP 4 maintains intestinal homeostasis by keeping mucosal integrity and downregulating immune response.
著者
大島 健次郎 興呂木 祐子 山田 尚史 本田 喬
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.199, 2016

<p>【目的】</p><p>脳卒中や脳外傷などによる高次脳機能障害者が社会復帰及び生活の質を向上させる為の手段として自動車の運転が出来る事の意義は大きい。しかし、運転再開に向けての支援の有無及び内容に関しては地方及び各病院で差が生じており、熊本県における高次脳機能障害者の運転再開に関する報告は少ない。当院では、運転シミュレーター(以下DS)が無い状況で運転再開に向けて介入を行っている。経過から、当院での取り組みについて紹介すると同時に4症例の運転再開者の傾向を報告する。</p><p>【方法】</p><p>1.当院の運転再開に向けての流れは(1)発症前の運転の有無及び再開の意思を確認(2)机上検査にて高次脳機能評価(TMT-A、TMT-B、BADS動物園地図、Rey複雑図形模写、Rey複雑図形3分後再生、コース立方体、HDS-R)を実施。(3)思考課題(認知神経リハビリ)を施行(4)Honda Safety&Riding九州(以下HSR九州)で実車評価を担当セラピスト同乗のもと施行(5)実車評価結果をもとに診断書作成を主治医へ依頼(6)公安委員会にて運転再開可否の判定を受ける。とした。2.事例紹介(1)対象は高次脳機能障害者4名(左半球損傷3名、前頭葉損傷1名)、年齢は20~90歳代。4名とも男性で運動麻痺は軽度であった。(2)介入時と実車評価施行時における机上評価結果より、再開・非再開者の違いの傾向を検討した。なお4名には本研究について十分な説明を行い、当院倫理委員会で同意を得た。</p><p>【結果】</p><p>4名中3名で運転再開が可能となった。再開者は20~70代で復職など明確な目標を持っていた。机上検査ではTMT-A、TMT-B、HDS-R、Rey複雑図形3分後再生で初期から最終にかけて改善を認めた。非再開者は90代と高齢であり運転再開に明確な目的が無かった。また机上検査において、TMT-A・B、ROCF3分後再生、コース立方体、HDS-Rに関して初期の点数が低く、初期から最終にかけての改善が少なかった。高次脳機能検査7項目における傾向として、先行研究のカットオフ値と一致していたのはTMT-A、TMT-B、HDS-R、Rey複雑図形3分後再生の4項目で、一致していなかったのはBADS動物園地図、Rey複雑図形模写、コース立方体の3項目であった。</p><p>【考察】</p><p>当院での取り組みと他病院との相違点は、DS使用の有無である。高桑らはDSについて、道路環境や周囲の車両の動きの設定が可能で運転シーンを繰り返す事ができ再現性に優れるなどのメリットがある反面、現実感に乏しく超高速走行等の非現実的な運転行動をする、高次脳機能に対するアプローチが行えないなどデメリットを挙げている。当院の取り組みは高次脳機能に対する直接介入いわゆるボトムアップであり、問題点に焦点をあてた思考課題を段階的に実施することで高次脳機能の改善が見られ、4名中3名で実車評価および運転再開につなげる事が出来たものと考える。運転再開可否の傾向として、年齢や明確な目的の有無が挙げられ、山田や倉板らの見解と一致していた。また今回用いた評価のうち4項目はカットオフ値と一致していたが、3項目は一致しなかった。7項目とも自動車運転に必要な注意機能・視空間機能・視覚性ワーキングメモリを評価するものとされているが、後者の3項目に関しては、難易度や読解力の差、年齢など様々な要因が影響していると考える。</p><p>【まとめ】</p><p>判断基準値に対する先行研究にも様々な見解がなされている。今後は、症例数を増やし得られた結果をもとに自動車運転再開の判断に必要な検査項目及び再開判定の基準値を検討していく必要があると考える。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究を行うにあたり,当院倫理委員会の承認を得ており,対象者へは十分に説明し書面にて同意を得た。</p>
著者
内藤 久貴 谷口 広祐 朴 真実 中島 健
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.135-141, 2020-09-30 (Released:2020-10-25)
参考文献数
12

超高齢社会を迎えた日本において,今後,高齢者の顎口腔領域における重症感染症を経験する機会は増加する可能性がある。顎口腔領域の感染症では,咀嚼筋群や舌機能を規定する舌骨上筋群への炎症波及により,摂食・嚥下機能の低下をきたす恐れがあるが,当領域での感染症治療後に舌機能の定量的な評価を行った報告はきわめて少ない。舌圧測定は慢性的な筋力低下のある高齢者や脳血管障害,神経筋疾患患者の口腔機能評価に用いられている侵襲の少ない評価法である。そこでわれわれは,顎口腔領域の感染症治療後に舌圧測定を実施し,舌機能が摂食・嚥下機能に与える影響を定量的に評価した。 症例は,86歳女性で右側顎下部の重症感染症にて当院に救急搬送された。気道狭窄および右側口底蜂窩織炎に対し,全身麻酔下で気管切開術,口腔外切開排膿消炎術を行った。術後創部洗浄を継続し消炎確認後,舌圧測定を行ったところ16.0 kPaと低値を認めた。このため,舌圧強化目的に間接訓練を実施し,定期的な舌圧評価を行った。その結果,舌圧が次第に上昇し,食形態をペースト食から常食まで段階的に上げていくことができた。以上のことから,顎口腔領域における重症感染症の治療後は低舌圧を併発する場合があり,摂食・嚥下機能に影響する可能性が示唆された。また,その客観的評価に舌圧測定が有効であると考えられた。
著者
小島 健
出版者
立正大学
雑誌
経済学季報 (ISSN:02883457)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.1-33, 2004-09-30

本稿は、戦後ヨーロッパ統合の先駆となったベネルクス関税同盟について、おもにベルギーの側から研究したものである。第二次大戦期にロンドンにあった亡命政府によって締結されたベネルクス関税協定は、戦後構想と密接な関係を持っていた。英米とくにアメリカを中心とした戦後世界においてヨーロッパ小国が経済的に自立し政治的発言権を確保する意図がベネルクス同盟にはあった。だが、大戦が終結し亡命政府が帰国しても関税協定の発効は遅れた。その要因はオランダの経済困難、ベルギーのオランダ農業に対する恐怖感、税制の不一致など国益にかかわる重大な問題があったからである。ベネルクス諸国はこれらの問題を解決するか、先送りすることによって1948年から関税同盟を発足させた。ベネルクス同盟は、EECのモデルとなり欧州統合の実験室となった。また、小国が大国に対して結束することで人口や経済規模に比較して大きな発言力を確保できた点は今日のEUにあっても注目される。
著者
小島 健
出版者
立正大学
雑誌
経済学季報 (ISSN:02883457)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.105-129, 2005-03-20

1993年の憲法改正によってベルギーは連邦国家に移行した。ベルギーの連邦化は第二次大戦後の国内における地域対立の激化と地方自治要求の高まり、ヨーロッパ統合の進展など国内外の環境変化に対応したものであった。本稿はベルギー建国以来、劣位におかれてきた北部フランデレンの発言力向上、2度の世界大戦による影響に留意しながら、1970年の戦後最初の憲法改正以来、4度の憲法改正によって徐々に形成されたベルギー連邦制の歴史的意味を考察することを目的とする。また、本稿では、ベルギー連邦制がヨーロッパ統合の進展と同時進行的であったことに注目して、ヨーロッパ統合の議論における連邦制につながる地方自治の要求の高まりについても考察する。この点については、まずヨーロッパ審議会で採用され、ついでまーすとりひとじょうやくにもとりいれられた「補完性原理」受容の過程に即して検討する。
著者
野村 哲志 井上 雄一 中島 健二
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.987-990, 2014 (Released:2014-12-18)
参考文献数
10
被引用文献数
1

パーキンソン病(Parkinson’s disease; PD)患者は,睡眠障害を生じることが多い.原因としては運動症状,夜間諸問題や精神症状だけでなく,その他の睡眠障害である日中の眠気(Excessive daytime sleepiness; EDS),レム期睡眠行動異常症(REM sleep behavior disorder; RBD),下肢静止不能症候群(Restless legs syndrome; RLS),睡眠時無呼吸症候群(Sleep apnea syndrome; SAS)などが挙げられる.とくに,RBDはPDの病前症状として注目されている.PDの1/3にRBD症状をみとめる報告があり,運動機能障害,自律神経機能,認知機能の増悪因子であるという報告もある.PDの睡眠障害の原因は多様なので,詳細を充分検討した上で対処する必要がある.しかし,PDでのそれぞれの睡眠障害の対応についてはエビデンスが不足しており,データーの蓄積が必要である.
著者
趙 暁婷 高島 健太郎 西本 一志
出版者
Information Processing Society of Japan
雑誌
情報処理学会研究報告. GN, グループウェアとネットワークサービス (ISSN:21888744)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.1-6, 2018-03-12

アイデア生成の上流過程である発散的思考活動では,幅広い視点から様々な知識や関連情報を収集することが求められる.特に新奇性が高いアイデアを産み出すためには,一見飛躍しているように思える意外な関連性のある知識や情報を得る必要がある.しかしながら,特になんらかの専門的な知識を有する者にとっては,その知識の枠を超えて発想を飛躍させることは容易ではない.この問題を解決するために,本研究では「子供の発想」に注目する.子供はしばしば,大人が思いつかないようなアイデアを思いつく.しかしながら,ほとんどの場合,子供のアイデアは非現実的なものであり,そのままでは役にたたない.そこで,同じ課題に対する子供のアイデアを,専門知識を有する大人に提供し,これを参照しながら実用的なアイデア生成を行う手法を提案する.被験者実験により,提案手法の有効性を検証する. : In the divergent thinking process, an upstream process of idea generation, it is required to collect various knowledge and related information from a wide viewpoint. In particular, in order to produce ideas with high novelty, it is necessary to obtain unexpectedly relevant knowledge and information which seems to be leaping at first glance. However, it is not easy for a person with some specialized knowledge to leap the idea beyond the boundary of that knowledge. In order to solve this problem, we focus on "children's ideas" in this research. Children often come up with ideas that adults cannot think of. However, in most cases, the ideas of children are not feasible and it is not useful as they are. Therefore, we propose a novel divergent thinking method where children's ideas are referred to. We conducted user studies and verified the effectiveness of the proposed method.
著者
織田 慎一郎 高島 健太郎 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
インタラクション2019論文集
巻号頁・発行日
vol.3P-72, pp.954-957, 2019-02-27

多様な人材間でのコラボレーションを促すため,マッチング,交流イベントの開催やコワーキングスペースなどの場所作りが積極的に行われている.しかし,初対面の者同士でコミュニケーションを開始,継続することは容易ではなく,効果的な自己開示が求められる.本研究では,これまで検討がされていなかった,嫌いなものや苦手なものといったネガティブな情報に着目し,その共有によるコミュニケーションの触発効果について調査する.予備実験の結果,シングルケースではあるが,ネガティブ情報の提示により,コミュニケーションが開始されることが確認された.また,ポジティブ情報と比べ,ネガティブ情報では好き/嫌いの程度と理由の個人差を意識せず済むという意見が得られた.