著者
松島 健
雑誌
美術研究 = The bijutsu kenkiu : the journal of art studies
巻号頁・発行日
no.341, pp.36-43, 1988-02-29

The pagoda of the Ishiyamadere, Shiga, is well known as a monument from the beginning of the Kamakura Period, but the Mahāvairocana statue, the main image in it, had not fully attracted the attention of scholars. By the examination of the author's team, the inscription including Kaikei's religious name "Annamidabutsu" was found inside its head and it became clear that the sculpture is a work made by Kaikei no later than the second year of Shōgen Era (1208). The inscription does not refer to the background of production, but a cited name which seems to read "Nun Kakunin" is perhaps one of the donors. It reminds one of a woman called the nun of Kamegayatsu, mentioned in Ishiyamdera Engi (Origin and Histrory of the Ishiyamadera) as a wet nurse of MINAMOTO no Yoritomo, the first shogun of Kamakura Shogunate. For, according to this literature, Chikayoshi NAKAHARA, a subject of the Shogunate, won a battle by the protection of Vaišravana of the Ishiyamadera and founded the Shōnan-in section of the temple around the Kenkyū Era (1190-1199) and furthermore he and his wife, "the nun of Kamegayatsu", constructed the pagoda, putting the hair of Yoritomo in the hollow of the Mahāvairocana, its main image. The fact that the platform in the pagoda bears a dated inscription of the fifth year of Kenkyū Era (1194) coincides with the description in Ishiyama dera Engi and the author considers that it could well be the case that Chikayoshi NAKAHARA and his wife were actually involved in the construction of the pagoda and the donation of its main image. It is likely that Chikayoshi NAKAHARA became acquainted with Priest Chōgen who reconstructed the Tōdaiji perhaps through his partial patronage of the producition of a new image of Ākāśagarbha in the Tōdaiji's Great Buddha Hall. He ascended Mt. Koya to invite Chōgen, who had receded to Mt. Kōya as a hermit, by the order of Yoritomo and succeeded in it. "Namuamidabutsu..." seen in the inscription may be a pseudonym of Priest Chōgen. The author imagines that Chōgen, asked by Chikayoshi, took charge of the ritual essential to the preparation or the dedicaiton of the image. The author also theorizes that Kaikei, the sculptor, too, might have been recommended by Chōgen. An inscription of the time of repairs probably in Keian Era (1648-1652) is inside the image and the over-lacquer gilding, the fine cut-leaf patterns and the base of the mandorla seem to be from the time of repairs.
著者
星野 佑輔 高島 健太郎 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. EC, エンタテインメントコンピューティング (ISSN:21888914)
巻号頁・発行日
vol.2019-EC-51, no.13, pp.1-8, 2019-02-15

人は仕事や勉強などのやらねばならない必須タスクでも,「やる気が出ない」 という理由で後回しにしてしまうことがよくある.この問題に対し,たとえばゲーミフィケーションのように,従来はタスクの実行中やタスク自体に動機づけのための要素や機能を付け加えて支援する試みが多くなされてきた.これに対して本研究では,ビデオゲームによって好ましい効果が得られるといういくつかの先行研究で得られた知見に基づき,タスクの性質や構成に手を加えるのではなく,タスクの直前にビデオゲームをプレイすることで,タスクに対するやる気を向上させることができるのではないかという仮説を立てた.この仮説が支持されるかどうかを調査するための実験を 2 つ実施した.第 1 の実験では,ビデオゲームの難易度がタスクへのモチベーションにどのように影響するかを評価した.第 2 の実験では,ビデオゲームをプレイすること自体がタスクに対するやる気向上に影響があるかどうかを調査した.結果として,ゲームをプレイすることによるモチベーションへの有意な影響は認められなかったが,ゲーム難易度の違いが影響を与える可能性が示唆された. : People often postpone even mandatory tasks such as business or study on the grounds that they do not get motivated. To solve this problem, there have been many attempts that add some elements and / or functions that evoke people's motivation to the tasks themselves and / or during execution of the tasks: gamification is a typical approach. In contrast with these conventional approaches that modifies the nature of the tasks, based on several preceding works on the positive effects of the videogames, we made a hypothesis that playing videogames just before the tasks positively affect the motivation for the tasks. To investigate whether this hypothesis is supported or not, we conducted two experiments. The first experiment was to estimate how the difference of difficulty of a videogame affects the motivation, and the second one was to investigate whether playing a videogame affects the motivation or not. As a result, it was suggested that the difference of difficulty affects the motivation, although playing the videogame does not significantly affect the motivation.
著者
富田 雄希 高島 健太郎 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. EC, エンタテインメントコンピューティング (ISSN:21888914)
巻号頁・発行日
vol.2019-EC-51, no.14, pp.1-7, 2019-02-15

地域活性化の施策として,多くのご当地アイドルが各地で活動している.ご当地アイドルが円滑な活動を続けるためには,新規ファンの獲得が必要不可欠である.しかし,既存ファンコミュニティによる熱狂的応援や独特のルールなどが,潜在ファンの参入障壁を形成してしまう.本研究ではこの障壁を軽減するため,役割体験学習論に基づき,古参ファンの体験を追体験するノベルゲームを構築し,その効果を他者理解と愛着の増加の観点で検討する.モデルケースとして,石川県西金沢の商店街を拠点に活動する西金沢少女団の既存ファンコミュニティから実体験を収集し,その実体験を織り込んだノベルゲーム BNO-Story を潜在ファンに楽しんでもらう.このゲームにより,古参ファンがなぜ熱狂的応援をするのかを理解できるか,アイドルへの愛着が増加するかを評価する. : Recently, many local idols play an active part in vitalizing local regions. In these activities, continuous acquirement of new fans is important. However, enthusiastic cheering and unique rules of the existing fan community form a barrier that prevents potential new fans from joining the fan community. In this research, in order to alleviate this barrier, we create a novel-game based on the role action learning methodology, which allows the potential new fans to vicariously experience the old fans' experiences, and examine whether it can effectively increase understanding and affection to the local idols as well as their old fans. As a model case, we collected actual experiences from the existing fan community of the Nishi-Kanazawa Shoujo-dan, which is a local idol group based in the shopping district of Nishi-Kanazawa, Ishikawa Prefecture. We implemented a novel-game named BNO-Story to which the collected episodes are incorporated. We conducted experiments in which we asked some subjects to play this game to evaluate whether the game is effective.
著者
磯部 隆史 堤 聡 瀬戸 康一郎 青島 健次 苅谷 和俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.448, pp.549-554, 2010-02-25
参考文献数
6

TLS/SSL暗号通信の全機能をFPGA・ASICにワンチップ化して搭載するアーキテクチャを開発し、省電力(23W)な10Gbps TLS/SSLアクセラレータを65nm FPGAを用いて実現した。FPGA・ASICを用いることで、並列化・パイプライン化・演算単位最適化による演算効率向上が可能となり、省電力化が実現される。ワンチップ化することで、機能ブロック間の接続にスイッチを用いることが可能となり、データ交換時の輻輳が無くなり、高スループット化が実現される。本研究では、回路量を削減してワンチップ化を容易にするために、送受信回路の一部共通化、複数データで1回路を共有する並列演算、等の演算方式の高効率化を行った。加えて、スイッチの配線量を削減して動作周波数を向上させるために、スイッチの入出力を共通化することでスイッチを小型化した。これらにより、TLS/SSL暗号通信の全機能の回路量を、本開発で使用した65nm FPGA1つ分に抑え、10Gbpsスループットの実現に必要な166MHz動作(64ビット幅パイプライン処理時)を得た。試作ボードを用いた実験評価では、23Wの消費電力による10Gbpsの暗号化スループットを達成した。
著者
池田 裕二 中島 健
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.229-238, 1993-09-20 (Released:2011-03-04)
参考文献数
38
著者
水島 健太郎 久須美 雄矢 水池 千尋 立原 久義
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.H2-152_2, 2019 (Released:2019-08-20)

【はじめに】足関節外果骨折の術後は,創部周囲の腫脹・癒着により足関節の背屈制限が生じやすい.近年,超音波エコー(US)の普及により,運動時の軟部組織の動態を確認できるようになってきた.しかし,足関節外果骨折術後の足部周囲の軟部組織がどれくらい硬くなるのかは十分報告されていない.そこで今回,足関節外果骨折術後の足部周囲の軟部組織の柔軟性をUSを用いて測定したので報告する.【方法】対象は,足関節外果骨折術後9例(男性4例,女性5例,平均年齢60.9歳)とし,健側と患側の足部周囲軟部組織の組織弾性を,US(AIXPLORER,コニカミノルタ社製)のShear Wave Elastography用いて評価した.腹臥位足関節中間位で,Kager’s fat pad(KFP),長母趾屈筋(FHL),ヒラメ筋(SU),短腓骨筋(PB)の各筋を10回測定し,その平均値を算出した.また,ゴニオメーターを用いて足関節背屈ROMを測定した.検討項目は,各筋の組織弾性を健側と患側で比較検討した.また,各筋の組織弾性と足関節背屈ROMの相関を求めた.なお検査測定は,十分練習を行った同一者が施行した.統計処理は対応のあるt検定,ウィルコクソン検定,ピアソン相関係数を用い,有意水準を5%未満とした.【結果】KFP組織弾性(健側:患側)は,2.01 m/s :2.83 m/s,FHL組織弾性は,2.92 m/s:3.42 m/s,SU組織弾性は,2.89 m/s:4.02 m/s,PB組織弾性は,3.08 m/s:4.33 m/sであり,全ての筋において,患側が健側に比べ有意に高値を示した(p<0.05).また,足関節背屈ROMとの相関は,KFP組織弾性と-0.61(p<0.01),FHL組織弾性と-0.56(p<0.05), SU組織弾性と-0.53(p<0.05)の負の相関が認められた.【結論】今回の結果より,足部周囲の軟部組織弾性は,健側と比べて患側が有意に高値を示し,KFP,FHL,SU組織弾性と足関節背屈ROMに負の相関があることが明らかとなった.これは,これらの筋の柔軟性低下に伴い背屈ROMが制限されることを示唆している.今後は,各筋の柔軟性改善操作にて背屈ROM が改善するかを調査し運動療法として確立していきたい.【倫理的配慮,説明と同意】大久保病院倫理委員会の承認を得て,ヘルシンキ宣言をもとに,保護・権利の優先,参加・中止の自由,研究内容,身体への影響などを説明し,同意を得ることができた場合のみ対象として計測を行った.
著者
横山 俊樹 津島 健司 山本 洋 久保 惠嗣
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.220-225, 2011-12-28 (Released:2016-07-05)
参考文献数
10

近年,日本から間質性肺炎についてNIVの有効性を示唆する複数の報告が示されている.自施設でも最近6年間に36例の間質性肺炎急性増悪患者(うちIPF急性増悪15例)に対してNIVを施行し,1ヵ月生存率68.6%,生存退院率51.4%と過去の報告と比べて良好であり,特に早期導入症例において予後が良好であった.また,一部に挿管症例でも生存例を認めており,さらなる検討が必要と考えられる.
著者
山本 圭吾 園田 忠臣 高山 鐵朗 市川 信夫 大倉 敬宏 吉川 慎 井上 寛之 松島 健 内田 和也 中元 真美
出版者
The Volcanological Society of Japan
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.137-151, 2013-03-29 (Released:2017-03-20)
参考文献数
14

桜島火山の活動に伴う最近の桜島および姶良カルデラ周辺域における地盤上下変動が,2007年10月-12月,2009年11月,2010年4月および11月と行われた精密水準測量の繰返し観測によって明らかとなった.姶良カルデラ周辺の地盤は,1996年から2010年までの期間において,それ以前の1991年から1996年までの期間に得られていた結果と同様に,カルデラ内部を中心として隆起したことが確認された.球状圧力源(茂木)モデルに基づく解析を行った結果,1996年-2010年の期間において,姶良カルデラ中央部地下の深さ8.8km-10.8kmに増圧源の存在が推定された.この期間,姶良カルデラ地下に推定されるマグマ溜りにおいてマグマの貯留が進行したものと考えられる.2007年-2009年の期間においては,桜島北部地下の深さ4.3kmに増圧源の存在が推定された.このことは,姶良カルデラの深さ10kmから桜島の浅部方向へのマグマの移動が生じた可能性を示唆するが,そのマグマの移動量は小さい.姶良カルデラ地下におけるマグマの貯留は,桜島火山の山頂噴火活動が静穏化した1991年頃から継続している.2009年以降,昭和火口における噴火活動が活発化する傾向にあるが,観測された地盤隆起の継続は,噴火活動が活発化しつつある2010年11月の時点においても姶良カルデラ地下においてマグマの供給量が放出量を上まっていることを示唆している.計算された増圧源において見積もられた容積増加量および観測降下火山灰量に基づき見積もられたマグマの放出量を考慮すると,1991年から2010年までの期間において姶良カルデラの地下に約1.2×108m3のマグマが新たに蓄積されたことが推定される.また,マグマの蓄積に伴う桜島北部付近の2010年11月の時点における地盤隆起量は,1970年代および1980年代の活発な山頂噴火活動が開始した1973年頃の状態を回復し更に隆起が継続した状態となっている.これらの結果は,桜島火山の次の大規模噴火活動についての潜在的なポテンシャルを示唆するものと考えられる.
著者
村上 尚 島 健二
出版者
一般社団法人 日本臨床化学会
雑誌
臨床化学 (ISSN:03705633)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.155-160, 1999-12-31 (Released:2012-11-27)
参考文献数
15
著者
飯島 健志 馬場 修 河田 哲典 上野 順士 田所 忠弘 前川 昭男
出版者
公益社団法人 日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.497-502, 1989-10-25 (Released:2018-03-16)
被引用文献数
1

DNPH法,DP法及びHPLC法を用いて20種類の食品中の総AsA含量を測定し,測定法による値の相違について検討した.その結果,トマトジュース,ジャガイモ,アルファルファモヤシ,ダイズモヤシ及び調製粉乳では,いずれの測定法によってもほぼ一致した値が得られた.しかしブラックマッペモヤシではHPLC法,紅茶及びシイタケではDP法が,それぞれ他の測定法に比べ高値を示したので,DNPH-HPLC法を用いてさらに検討した.その結果,ブラックマッペモヤシではDP法,DNPH法とほぼ同値となったが,紅茶ではDNPH法よりも低値を示し,シイタケでは検出されなかった.これより紅茶及びシイタケのAsA測定法については,さらに検討の余地があることが判った.
著者
中島 健一郎 寺尾 日出男 野口 伸
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.49-58, 1997-01-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
18

本研究は, 地磁気方位センサ (以下, GDSという) を中核とした農用自律走行システムを構築して, GDSを航法センサとして使用した場合の有効な利用法の確立を目的としている。 GDSの方位情報のみを用いたPI制御によって, 平坦な路面を自律直進させた場合, 60mの行程長に対して約20cm程度の横方向偏差で直進走行させることが可能である。しかしながら, GDSを用いて傾斜地や任意経路を自律走行させる場合には, 磁性体である車体の影響による磁気環境の歪みや車体傾斜による方位誤差をさらに高精度に補正することが課題となる。本研究は, ニューラルネットワークを適用した傾斜・磁気環境補正法を考案して, ほ場走行試験によって方位補正効果を確認し, その有効性を明らかにした。
著者
中舘 和彦 本島 健人 鎌田 純人 吉田 哲朗 疋田 真彬 若松 永憲
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.134, no.7, pp.829-838, 2014-07-01 (Released:2014-07-01)
参考文献数
24
被引用文献数
3 7

Type 2 diabetes caused by chronic obesity is a major lifestyle-related disease. The present study aimed to determine the pathological changes in hepatocytes in chronic obesity. To develop our type 2 diabetes mouse model, we induced chronic obesity to mice by monosodium glutamate. By overeating, the mice significantly increased their body weight compared with age-matched healthy animals. To analyze the pathological changes in hepatocytes of chronic obesity before preclinical stage of type 2 diabetes, the mice were analyzed by hematoxylin-eosin staining of tissue sections at 15 w of age. In these mice, we observed eosin-negative accumulations of hepatocytes around central veins in the hepatic lobule. By Oil-Red O staining, the eosin-negative granules were identified in the lipid droplets. We then ascertained whether these lipid droplets of hepatocytes in the obese mice could be modified by diet. After 24 h of diet restriction, the lipid droplets of hepatocytes in the obese mice were swollen. Furthermore, after 48 h of the diet restriction, the lipid droplets continued swelling and the autophagy-like structures that were found in the healthy mice under the same condition in the obese mice were not observed. These results suggest that the obese mice might have delayed energy metabolism, which might have influenced the mechanisms of hepatocytes. These findings provide new insight into the functional changes in chronic obesity-induced type 2 diabetes and it is possible that the pathological feature make a contribution to promise the target of pharmacological therapy.