著者
岩﨑 和弘 島田 透
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部研究紀要クロスロード (ISSN:1345675X)
巻号頁・発行日
no.24, pp.11-18, 2020-03

中学校理科における光の扱いは,幾何学的な規則性に基づいて理解させることをねらいとする。このため,教科書でも扱われるプリズムによる光の分散や雨上がりの空に見られる虹など,光が関係する現象をしっかりと理解させることはできない。そこで,中学校における光に関する学習の最後に,発展的学習として,光が波の一種であることを生徒に伝える授業実践を行った。本授業実践の導入で行った偏光を利用した科学マジックは,生徒の興味や関心を発展的学習に効果的に向けさせることに有効であることが分かった。授業後に回収したワークシートの記述から,光が波の一種であることや偏光について対象生徒の60%がしっかりと理解できたことを確認した。また,日常生活で目にする液晶ディスプレイなど,波としての光の性質を活用した具体例については,ほぼすべての生徒が理解できていたことを見て取ることができた。
著者
林 卓史 奈良 隆章 島田 一志
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.248_2, 2019

<p> 本研究では、大学野球リーグ戦において「特徴のある投手」とはどのような投手であるかについて検討した。また、「特徴のある投手」が複数名在籍することが、継投の選択肢に与える影響を検証した。対象は、著者が投手コーチを務めたK大学野球部であり、期間は2018年リーグ戦(春季・秋季)とした。投手を①リリース速度②回転速度③投球腕(左腕)④変化球の割合について基準を設定し、4項目の内、2項目を満たす投手を、「特徴のある投手」とした。リリース速度と回転速度については、練習での投球を、トラッキングシステムを用いて計測し、140km/h、2300rpmを基準とした(林・佐野,2019)。K大学には、2018年春季リーグ戦において、4項目の内2項目以上を満たす投手が7名存在した。同リーグ戦では継投を多用し、チーム防御率はリーグ1位となった。一方、2018年秋季リーグ戦では、2項目以上を常時満たす投手は1名であり、同リーグ戦では、1名の投手に依存し、チーム防御率はリーグ5位となった。このことから、上記の4項目の内2項目を満たす「特徴のある投手」を多く育成することが、継投の選択肢を多様にすることが示唆された。</p>
著者
山根 万由子 雨宮 護 白川 真裕 大山 智也 島田 貴仁
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.385-392, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
22

都道府県警察が公開する犯罪発生マップでは,カーネル密度地図(KD図)の活用が推奨されている.KD図においては,その配色パターンと階級区分の組み合わせで地図の印象は異なるが,適切な組み合わせは明らかになっていない.本研究では,犯罪発生マップの地図表現の実態調査と,2つの実験により,KD図の配色・分類手法(階級区分)が犯罪多発地域の位置推定と犯罪発生頻度の見積もりに与える影響を明らかにした.実験の結果,等量分類が犯罪多発地域の位置推定を不正確にし,また犯罪発生頻度を多く見積もらせることなどが明らかになった.結果に基づき,犯罪発生マップをKD図で表現する際に留意すべき事項などについて議論した.
著者
島田 剛
出版者
国際開発学会
雑誌
国際開発研究 (ISSN:13423045)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.69-84, 2018

<p>This study examines Japan's experience as a recipient of the United States'aid for productivity improvement after World War II. Three points were identified as a result of the research. First, the US assistance was extremely strategic and large-scale. The goal of the US aid was to exclude the Soviet influence over Japan's labor unions because the labor unions were considered sympathetic to the Soviet Union during the cold war. The aid was implemented on an extremely large scale, including the acceptance of 3,986 Japanese trainees into the United States over seven years. Second, prior to the aid, labor-management relations in Japan were adversarial, but while Japan was accepting aid from the US, leaders of opposition labor unions were also invited to visit the United States. The aid gradually changed labor-management relations from conflictive to constructive. In other words, while working on improving productivity, collaborative labor-management relations were developed in Japan, which suggests that <i>Kaizen</i> can be implemented in other countries. Third, it was the private sector that played a central role in receiving aid from the United States, not the Japanese government. Instead, the government provided supplemental support for the active movement of the private sector, very likely an ideal industrial policy. It is also worth noting that while half the budget (132 million yen in half a year) was borne by Japan in accepting the aid, the majority of the budget was borne by the private sector. In other words, the commitment of the private sector was very high.</p>
著者
大井 ひかる 成田 泉 島田 明子 水内 豊和
出版者
富山大学人間発達科学部附属人間発達科学研究実践総合センター
雑誌
教育実践研究 : 富山大学人間発達科学研究実践総合センター紀要 (ISSN:18815227)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.87-91, 2016-12

公職選挙法改正に伴い、選挙権が満18歳を迎えた者に対して与えられるようになった。それにともない、これまで以上に学校在学時からの充実した主権者教育が必要となる。障害者にはその特性に合った支援が提供されるべきであるにもかかわらず、これまでに知的障害者と選挙に関する研究はほとんどなされていない。本研究では、実際に選挙権のある知的障害・発達障害のある成人が選挙に直面したときにどのような課題があるのかについて把握することを目的とし、T県の発達障害児等親の会に所属する保護者を対象として質問紙調査を実施した。調査内容は、基本情報、選挙への参加の有無とその理由、候補者を選択する方法、選挙に向けた家庭での対策や練習、知的障害・発達障害者の選挙についての意見・要望である。その結果、知的障害・発達障害者の選挙において、主権者教育では、選挙の投票方法に加えて選挙の意義に関する学習や、政策を理解するための支援が必要であることが示唆された。また、基本的環境整備と合理的配慮に関する検討課題が明らかになった。
著者
島田 将喜 岡本 都紅紫
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.171-179, 2020 (Released:2020-08-04)
参考文献数
50

オニグルミ(Juglans mandshurica,クルミ科)は,ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)の幼虫により果仁を食害される.東京都西多摩郡におけるクルミパッチの林床上には健全/虫害堅果が混在するため,クルミを集中的に利用するニホンリス(Sciurus lis)は破殻・運搬行動に至る前に堅果の状態を判別できれば,採食効率を高めることが可能であると予想される.本研究は健全・虫害堅果の設置実験を行い,オニグルミ堅果を利用するリスとタヌキ(Nyctereutes procyonoides)の堅果の状態の判別方法を明らかにした.健全堅果は虫害堅果に比べ採集月にかかわらず体積・重さともに有意に大きかった.リスはタヌキと異なり接触の開始時点で健全堅果を有意に高い割合で選択し,また虫害堅果に接触した場合はタヌキより早く放棄した.リスの堅果接触時の行動推移のパタンは,堅果の状態に応じて変化した.健全堅果接触時は堅果を回転させ,咥え,その後運搬するという推移が多く生じたが,虫害堅果接触時は,においを嗅ぐとすぐに放棄するという推移のみが観察された.タヌキは堅果の状態にかかわらず,堅果のにおいを嗅ぎ,堅果を咥え運搬するという推移が多く生じた.リスは,林床上に常に高い割合で混在している虫害堅果を採食・運搬・貯食するリスクを減らし,効率的な採食行動を行っていると考えられる.一方タヌキには,堅果の状態を判別する行動は認められなかった.
著者
島田 誠
雑誌
学習院史学 (ISSN:02861658)
巻号頁・発行日
no.41, pp.182-184, 2003-03-20
著者
東 恒人 島田 恭宏 高橋 武志 佐々木 武
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.11-20, 2007-03-31
被引用文献数
1

本手法で取り扱うメッシュは、2種類の曲線で構成されている.一つは横断面の形を表す曲線であり,もう一つは上記の曲線の配置関係を表した曲線である.これらの曲線は等しい長さの線分から構成されており,各曲線の形状は隣接した線分の間の角度の分布に依存する.本論文では、このような構造のメッシュについて、その形状的な特徴を定量的に分析するために,かつ,角張った形状のメッシュを生成するために,以下のような方法が提案されている.この方法では、二種類の曲線のうちの一方の種類の曲線の角度配布に対して、ウォルシュ変換対が適用され、他方の種類の曲線の角度配布に対して、フーリエ変換対が適用され、変換成分の一部を削除することにより、二種類の曲線のうち、一方の種類の曲線の形状の滑らかさの程度と他方の種類の曲線の形状の角張りの程度が強調されたメッシュが生成されている.
著者
大橋 きょう子 島田 淳子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.132-138, 2002-05-20
被引用文献数
6 3

濃厚O/Wエマルションにおけるジアシルグリセロール(DAG)の乳化特性を明らかにするために,脂肪酸組成,表面張力などの諸特性をそろえたトリアシルグリセロール(TAG)を対照として検討し,次の結果を得た。1. DAGの色,匂い,風味,および粘っこさは,いずれもTAGのそれと同等で官能検査により識別できなかった。DAGから調製したマヨネーズ様エマルションにおいても,色,匂い,および風味は識別できず,総合的好ましさにおいても有意差が見られなかった。すなわち人が感覚的に捉えるDAGの食用油としての性質はTAGと同等であった。2. 油相体積分率0.65〜0.75で調製したDAGの平均粒子径は,TAGのそれより小さくCasson降伏値および粘性係数は大きく,流動性指数は低かった。すなわちDAGはTAGに比べ,油相界面を作りやすく,TAGより少量でマヨネーズ様の物性を形成し得ることを認めた。3. 油相体積分率は同じで,油水界面の面積が異なるDAGおよびTAGエマルションを調製し,総界面積と粘度との関係を検討した結果,DAGエマルションの粘度は同程度の界面積を有するTAGエマルションの粘度より大きかった。