著者
設樂 一碩 田中 宏季 足立 浩祥 金山 大祐 阪上 由香子 工藤 喬 中村 哲
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4F3OS25b05, 2020 (Released:2020-06-19)

認知行動療法(CBT)は,非適応的な思考や行動を修正し,抱えている問題の解決に取り組むトレーニングである.我々は音声対話エージェント(ECA)との音声対話による低コストかつ高い効力を有したCBTの自動化を目指しており,これにはセッションごとの詳細な影響分析が重要であると考える.本研究では初期段階として,CBTの技法の一つである認知再構成法に基づく7つの質問による基本対話システムを作成した.テキスト対話で提示した場合と,ECAを用いて提示した場合の2種類の対話形式を用意し,初期の抑うつ尺度,セッション前後の否定的感情の変化(トレーニングの効果),CBTの達成度,ラポール尺度を28名の大学生と大学院生から測定した.結果として,研究協力者の否定的感情において,事前事後での有意な変化を確認した(25名で改善).また,対話中の表情の特徴量抽出も行った.分析の結果,否定的感情の強度,抑うつ尺度の評点に対し,特定の表情の特徴との有意な相関関係が見られた.
著者
工藤 琢磨 鈴木 貴志
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.97, no.5, pp.225-231, 2015-10-01 (Released:2015-12-23)
参考文献数
41

猛禽類の巣の土台となりそうな太枝がない若齢針葉樹に,人工巣を設置することで中型猛禽類の営巣を誘導できるか,試みた。その結果,オオタカとトビ,それぞれ一つがいが営巣を行った。オオタカは2羽の巣立ち雛を育てることに成功した。トビは育雛期になって巣を放棄したが,原因は山菜採りによる撹乱の可能性が疑われた。オオタカは前年に自ら構築した自然巣が近くにあったにもかかわらず,人工巣を利用した。トビが利用した人工巣は,もともとトビを含む中型猛禽類の営巣がみられなかった地域に設置されたものだった。これらの結果は,若齢や間伐遅れのために太枝が発達していない針葉樹でも,人工的に中型猛禽類の営巣を誘導することが可能であることを示した。この技術を利用すれば,営巣適木がない森林を営巣適地に変えることが可能で,結果として生息地域拡大も期待できる。
著者
田場 直也 工藤 芳彰
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.56, pp.P12-P12, 2009

本研究は、八王子の山車文化継承のための教材として、小学教育用の映像コンテンツを制作した。制作にあたっては、「八王子まつり」での南町の山車巡行と、小学教育用の映像コンテンツを調査、および小学校での試写とアンケート調査をおこなった。調査の成果を踏まえ、映像コンテンツを制作した。その内容は、お面の世界から人間界へやってきた「ひょっとこ」と「きつね」が、山車まつりに関して質疑応答するというものである。質疑内容は、小学生と南町関係者の意見を踏まえたものである。今後、制作物を市内小学校に提供していきたいと考えている。
著者
三上 奈緒 角田 均 梅原 稜 北谷 優典 田中 志子 工藤 雅世 小久保 温 坂田 令 坂本 知英
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.27-28, 2019-02-28

これまでの研究でゲーミフィケーションを用いた「大学生のための行動変容を促すシステム」「発達障害児童のための生活訓練アプリケーション」の開発と実証実験を行った。今年度はFacebookのようなSNS形式のグループ向け生活習慣管理アプリケーションを開発した。RESTフレームワークによるWebアプリケーションとして実装、協力企業の全社員を対象に健康増進キャンペーンの実証実験を行い、利用状況をもとに効果とユーザビリティを検証した。
著者
工藤 与志文 白井 秀明
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.21-30, 1991-03-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
11

The purpose of this study was to investigate the effects of learners' existing mis -rules (ru) on area learning. It was inferred that schoolchildren had a ru that if the perimeter of a figure is longer, the area of it is larger (perimeter-ru). The relations between the presence of this ru and the existent education of area were researched. The results were: (i) More than fifty percent of the children in each grade judged areal size in terms of the ru.(ii) The percentage of the ru-response rapidly increased after area learning. These results suggested that (a) the present education of area could not reconstruct the perimeter-ru to the correct rule (ru), and (b) rather, might strengthen misjudgments caused by the perimeter-ru.
著者
加藤 元康/河合 拓郎/大桶 華子/工藤 勝/國分 正廣/新家 昇 カトウ モトヤス/カワイ タクロウ/オオケ ハナコ/クドウ マサル/コクブ マサヒロ/シンヤ ノボル KATO Motoyasu/KAWAI Takuro/OHKE Hanako/KUDO Masaru/KOKUBU Masahiro/SHINYA Noboru
雑誌
東日本歯学雑誌
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.193-199, 2000-12-30

The change to cardiovascular system of non-hypertensive (NH group) and hypertensive patients (HT group) were examined using a rate pressure product (RPP) during dental treatment of elderly patients aged a mean of 70.4 years. 1. The RPP in the NH group was significantly higher than in the HT group during local anesthesia and dental treatment. 2. The RPP in the NH group was significantly higher than that in the HT group during dental treatment without local anesthesia. 3. There were no significantly changes in RPP between the monitored and sedation groups of the HT group. The results suggested that changes in the cardiovascular system was markedly high during dental treatment for non-hypertensive patients. Therefore, local anesthesia must be carefully chosen for such patients. Intravenous sedation with diazepam is suitable for elderly patients because of safety during dental treatment. Even in elderly non-hypertensive patients, changes in RPP may occur, therefore, blood pressure, heart rate, and ECG should be monitored during dental treatment.
著者
伊藤 みちる 工藤 理恵 徳増 紀子
出版者
大妻女子大学人間生活文化研究所
雑誌
人間生活文化研究
巻号頁・発行日
vol.2018, no.28, pp.752-792, 2018

<p> 1965年の発足以来,日本政府の国際協力事業である青年海外協力隊は「日本語教師」隊員を継続的に世界の様々な国・地域に派遣してきた.2018年9月末までに累計2000人弱の派遣実績があり,公的事業として日本語教育支援を続けてきた.近年,特に隣国の政府主導の言語・文化学習施設の建設が世界中で見られるようになり,国内外の日本語教育に関する成果の数値化が盛んに行われている.本稿は,日本語教育の成果として,それら数値化された成果だけではなく,公的な日本語教育支援に関わった元学習者と元教師である当事者の立場から日本語教育の質的な成果に着目し,その成果を問い直すことを目的としている.</p><p> 本稿は,青年海外協力隊の日本語教師として2年間,それぞれブルガリア,ジャマイカ,ベトナムで活動した3名が,その個々の支援の姿に注目し,当事者の観点から,質的な成果を長期的視座に立って記録しようと試みたものである.協力隊活動を終え10年以上が経過した現在,当時の元学習者が,日本語を学習していた当時をどのように捉え,その後の歳月をどのように過ごし,現在を生きているのか.それぞれの国で日本語教育の現場における当事者であった元学習者と元教師という立場で,当時から現在までを振り返り,その成果を記録する.本研究は,長期的視座に立つというこれまでにない新たな視点で,青年海外協力隊に代表される公的な日本語教育支援の質的に示される意義を,海外における日本語教育の成果として示すことを目的とするものである.</p><p> 結論としては以下である.ブルガリアは公的支援を一定期間受けた後に,支援が終了し現在は被支援国ではなくなった.また,ジャマイカは公的支援により安定した日本語教育支援体制が整えられ,徐々に規模を広げつつある.そして,ベトナムは当時,公的支援が中心となり日本語教育を支え,現在は世界有数の日本語学習者数を誇る.このような多様な背景を持つ3カ国において,公的支援による日本語教育を長期的に実施する意義が同様に認められた.</p>
著者
河上 淳一 烏山 昌起 宮崎 優 青木 美保 進 訓央 松浦 恒明 原口 和史 藤戸 郁久 森口 晃一 宮崎 かなえ 日野 敏明 曽川 紗帆 中村 雅隆 宮薗 彩香 工藤 僚太
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Cd0841, 2012

【はじめに、目的】 腱板断裂術後は再断裂が問題である。近年の再断裂率を下げる要因の報告では、リハビリテーション開始の遅延や装具装着期間延長が推進されている。当院での腱板断裂術後は、装具装着は昼夜問わず3~8週装着、退院は3~4週としており、リハビリテーション開始・装具装着期間延長を検討している。装具装着延長になると、安全性確保の半面で退院後の自宅生活に制限をきたす。特に入浴は、更衣・移動・洗体・洗髪の動作を通常装具なしで行う必要がある。入院時の入浴は、三角巾・ペットボトルなどを利用した簡易装具にて対応をしていた。しかし、自宅での介助なし入浴には、三角巾で被覆される面積が大きいために洗体が困難、三角巾の衛生面が問題になると看護師により指摘を受けた。さらに、症例からも簡単かつ安全に入浴できるようにしたいとの要望があった。入浴用装具購入も検討したが、一般に販売されているものは散見されなかった。そのため、I安全性の向上、II衛生面の向上、III安価の3項目を充たすことで、自宅でも安全に入浴可能な入浴用装具開発を目的にて本検討を実施した。【方法】 試作品(以下:1号)を作成し、使用方法を看護師に説明し腱板断裂術後症例の入浴時に使用させた。その中で、看護師・症例よりあがった問題点を随時改良していった。1号は、EVA樹脂素材のスイムヘルパー(以下:スイムヘルパー)とポリ塩化ビニル(以下:塩ビ)のパイプと紐2mを使用した。スイムヘルパーは、直径15cm・高さ10cmの円柱を3個、塩ビパイプは直線タイプの長さ40cm・直径17mm、紐2mを使用した。スイムヘルパー3個の中央に塩ビパイプを通し、塩ビパイプの中に紐を通すことで、通常装具のように肩から吊るすようにした。部品代は約1800円だった。【説明と同意】 本装具作成にあたって、ヘルシンキ宣言に基づき同意を得た。【結果】 結果として、1号から改良を加えて6号の装具までを作成した。作成の中でI安全性の問題となった点は、A前腕の下方制動性がないB手指・手関節周囲の支えがないC着脱に患肢を動かす必要がある D塩ビパイプが抜け落ちる点だった。II衛生面の問題となった点は、E塩ビの中を通した紐が乾かない点だった。III安価の問題点は、特になかった。【考察】 結果から得られたA~Eの問題点は、6号作成の過程で解決させた。Aは、腱板断裂術後の症例では一般に内転・内旋方向で腱板縫合部の伸張が加わり、下方・内転方向を自身で制御すると腱板に収縮が起こり、再断裂の可能性を高め問題となる。そこで、スイムヘルパーを通す直線の塩ビパイプを前・中・後の3本に分けた。中と後の塩ビパイプ間には、塩ビの三又継手を取り付けし、その継手外側には10cmのパイプを取り付けた。この工程で前腕を支持する部分を作成した。さらに、塩ビパイプに直接前腕を乗せると、圧を一点で受けるので、発泡ポリエチレン性カバーを装着した。Bは、A同様の問題に加えて、通常装具のように手関節を安定させる部品が付いていなかったので、不安感を感じる症例が多かった。そこで、直線の塩ビパイプ先端には、塩ビの直角ジョイント4個と10cmの塩ビパイプ3本で手指・手関節を支える部分を作った。これらの部品は、ジョイント部が可動することで体格に合わせた位置で手関節部を固定できるようにもなった。Cは、紐をかぶるように着脱するので、患肢を動かす必要があった。そこで、直線パイプ前方後方にドリルにて穴を開け、リング状の部品をつけた。紐は両先端にカラビナをつけた。これで、患肢を台に固定した状態でも紐が簡単にまわせるようになった。D塩ビパイプが抜け落ちるのは、Bで可動できる部品を使用した為に、パイプが抜け落ちる可能性が出現し問題点となった。そこで、塩ビパイプの中に結束バンドを通しパイプが抜け落ちないように工夫した。Eは、塩ビパイプの中に通した紐が乾きにくいことが問題となった。この点は、Cの問題点改善で同時に解決した。以上のA~Eの5点を中心に改善することで、I・IIの目的を達成できた。また、IIIに関しては、当初より問題となっていなかったが、部品を見直すことで1400円程度になった。この入浴用装具を利用することで、早期退院かつ装具延長になっても自宅で安全で安心して入浴できるようになると考えている。しかし、現在の入浴用装具は、解剖学・運動学的観点と看護師・症例・理学療法士の主観的意見で作成した。そこで、今後は入浴用装具の違いがどのように腱板に負荷となるかを確かめ、更に改良していきたい。【理学療法学研究としての意義】 本作成過程の意義は、理学療法士が他職種との関わりの中で、新たな職域を拡大するための一助となると考える。
著者
藤原雄太 工藤恭介 後藤裕介 南野謙一 渡邊慶和
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.743-745, 2014-03-11

平成23年導入の新学習指導要領では自分の考えや思いを相手に説明する力を伸ばすことに重きを置いており、算数科においても同様である。一方で小学校5年生程度から理性が働くようになり、正答や友人の回答と自分の考えが異なることを恐れ、授業中の自発的発言に対する頻度が減るという傾向がみられ、協力校では児童が自分の答えに自信がないため自発的発言が減少していることがわかった。そこで、本研究では児童個人がタブレットPCを用いて学習する算数科授業において段階的にヒントを提示するコンテンツを作成し、児童の理解度を高め、自分の考えに自信を持たせることで授業中の自発的発言意欲向上を支援するシステムを開発する。
著者
工藤 秀康
出版者
東邦大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

近年開発され、臨床的に利用されているflip angle可変型3D FSEは、比吸収率(SAR)を抑制することを実現した非常に画期的な撮像シークエンスである。2Dシークエンスと異なり、1mm以下の薄いスライス厚での評価が可能で、3次元的な任意の断面での観察することも可能である。ここでは薄層3次元再構成MRIと呼ぶ。こうした臨床利用は撮像パラメーターの調整が難しい面もあり、臨床利用が進んでいなかった。そこで我々は、膝関節を標的とし、3T MRIを用い、flip angle可変型3D FSEの利用を考え、撮像条件の検討を行った。撮像シークエンスは3D FSE SPACEで、1mm以下のスライス厚を考え、0.6mm程度が膝関節MRIにおいて最適なスライス厚との結果を得た。撮像パラメーターを調整し、6分台まで撮像時間を短縮できた。本研究では外側半月板後方支持組織という関節内微細構造の評価が目的であるため、関節内構造を対象に脂肪抑制プロトン密度強調画像とした。膝関節MRIで3D FSEを撮像し、外側半月板自体に異常が確認されなかった症例を対象として外側半月板後方支持組織について3D FSE、それをもとに再構成された再構成像で観察した。外側半月板後方支持組織としてmeniscofemoral ligaments、popliteomeniscal fasciclesを観察した。従来の2D FSEでの描出率よりも3D FSEでのほうがいずれの構造についても描出率は高かった。3D FSEでの観察は屍体膝を用いた過去の報告と一致していた。生体での評価方法としては、従来の2Dシークエンスによる評価方法に比べ、はるかに良い結果となった。さらに外側半月板後角の逸脱した症例ではpopliteomeniscal fasciclesの破綻があることが推測される結果となった。我々が考案した3D FSEを用いた薄層3次元再構成MRIは外側半月板後方支持組織の観察に有用で、外側半月板後角逸脱では外側半月板後方支持組織の破綻が推測される結果となった。
著者
工藤 純夫 和智 明彦 佐藤 潔
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.370-375, 1995-07-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
20
被引用文献数
1 3

MRIを用いて髄液の拍動速度を測定することで,脊髄くも膜下腔内をゆっくり移動する髄液を捉える方法を開発した.本方法により髄液循環における拍動とは異なった髄液のゆっくりした移動が測定可能と考えられた.各年齢層の正常例において,頸髄周囲4箇所の髄液拍動と移動の測定を試みたところ,髄液のゆっくりした移動は脊髄腹側が背側,側面のものに比較して有意に遠かった.また脊髄腹側の髄液移動と髄液拍動速良には正の相関がみられた.髄液のゆっくりした移動速度の年齢分布は乳児期から加齢とともに増加する傾向を有し,10歳前後で100〜200mm/minとpeakに達した.また,頭蓋骨縫合の癒合を認めない新生児,乳児では,1心拍間の髄液移動距離は少ないものの心拍数は多く,1分間の移動距離(速度)は成人に匹敵するかそれを上まわる特徴があった.
著者
石田 もえこ 石川 麻夕子 工藤 幹彦 草間 かおる
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.211-219, 2021 (Released:2021-04-01)
参考文献数
20

本研究の目的は、初めて糖尿病と診断された患者に対する初回栄養食事指導記録から把握した食生活習慣と料理・食品群別摂取量の問題点(以下、アセスメント)および改善すべき点(以下、プラン)のキーワードを明らかにすることである。方法は、アセスメントおよびプランの文章から、キーワードを抽出した後、その出現頻度について検討した。さらに、1年後の血糖コントロール状況に着目した解析では、HbA1c 7.0 %未満達成群(84人)と未達成群(21人)におけるキーワードの出現頻度について比較した。出現頻度が高かったキーワードは、アセスメントにおいて「飲酒および嗜好飲料の過剰」、プランにおいて「飲酒の減少」および「主食計量」であった。注目すべき点としては、未達成群のアセスメントでは、「外食過剰」の出現頻度が達成群に比較して高かった(p=0.041)。これにより、初回栄養食事指導において把握したアセスメントおよびプランのキーワードが明らかとなった。
著者
西山 保弘 工藤 義弘 矢守 とも子 中園 貴志
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.A1O2003, 2009

【目的】<BR> 本研究では温浴と冷浴との温度の落差が自律神経活動や体温に与える影響を検討したので報告する.<BR>【方法】<BR> 文書同意を得た健常男性5名(平均年齢23.8±4.91歳)に温浴41&deg;Cと冷浴15&deg;Cならびにその両方を交互に行う交代浴の3つの部分浴を実施した.交代浴の方法は水関らの温浴4分,冷浴1分を4回繰り返し最後は温浴4分で終わる方法に準じた.温浴のみは計20分、冷浴のみは計10分浸漬した.安静馴化時から部分浴終了後120分間の自律神経機能、舌下温度、血圧、心拍数、動脈血酸素飽和度、手足の表面皮膚温を検出した.測定間隔は安静馴化後、施行直後、以下15分毎に120分までの計7回測定した.表面皮膚温度は、日本サーモロジー学会の測定基準に準じサーモグラフィTH3100(NEC三栄株式会社製)を使用した.自律神経機能検査は、心電計機能を有するActivetracer (GMS社製 AC301)を用いて被検者の心拍変動よりスペクトル解析(MemCalc法)を行いLF成分、HF成分を5分毎に平均値で計測した.統計処理は分散分析(one way ANOVA testと多重比較法)を用いた.<BR>【結果】<BR> 副交感神経活動指標であるHF成分は、交代浴終了後60分以降より有意差をみとめた(P<0.05).温浴と冷浴は終了後60分で変化が一定化し有意差は認めなかった.交感神経活動指標とされる各部分浴のLF/HF比は、温浴と冷浴は変化が少なく交代浴は終了後60分から低下をみたが有意差は認めなかった.舌下温度は、交代浴と温浴(P<0.01)、交代浴と冷浴(P<0.01)、温浴と冷浴(N.S.)と交代浴に体温上昇を有意に認めた.表面皮膚温にこの同様の傾向をみた.最高血圧は、交代浴と温浴(P<0.01)、交代浴と冷浴(P<0.01)、温浴と冷浴(P<0.01)で相互に有意差を認め交代浴が高値を示した.<BR>【考察】<BR> 交代浴と温浴および交代浴と冷浴の相異はイオンチャンネル(温度受容体)の相異である.温浴は43&deg;C以下のTRPA4、冷浴は18&deg;C以下のTRPA1と8&deg;Cから28&deg;CのTRPM8、交代浴はこのすべてに活動電位が起こる.もう一つは温度幅である.温水41&deg;Cと冷水15&deg;Cではその差は26&deg;C、体温を36&deg;Cとすれば温水温度とは5&deg;C、冷水温度とは21&deg;Cの温度差がある.この温度幅が交代浴の効果発現に寄与する.単温の温浴や冷浴より感覚神経の刺激性に優れる理由は,温浴の41&deg;Cと冷浴の15&deg;Cへの21&deg;Cの急激な非侵害性の温度差が自律神経を刺激しHF成分変化を引き起こす.また交代浴の体温上昇からは、温度差は視床下部の内因性発熱物質(IL1)を有意に発現させたことなる.<BR>【まとめ】<BR> 温度落差が自律神経活動に及ぼす影響は、単浴に比べ体温を上昇させること、副交感神経活動を一旦低下を惹起し、その後促通するという生理的作用に優れることがわかった.
著者
宮内 昭 工藤 工 都島 由希子 宮 章博 小林 薫 伊藤 康弘 高村 勇貴 木原 実 東山 卓也 福島 光浩 藪田 智範 舛岡 裕雄 進藤 久和 山田 理 中山 彩子
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.13-17, 2013 (Released:2013-05-31)
参考文献数
10
被引用文献数
1

現在,甲状腺乳頭癌に対しては,腫瘍径,Ex,N,Mの評価に基づいて手術術式が選択され,術後は病理学的所見や術後の血清サイログロブリン(Tg)値に基づき,術後療法が選択されている。本論文では,Tg抗体(TgAb)陰性の乳頭癌においては甲状腺全摘後のTSH抑制下のTg値の変動から求めたTgダブリングタイム(TgDT)が多変量解析において最強の予後因子であることを紹介する。Tg値の変動が重要である。しかし,TgAb陽性患者においてはTg値の信頼性は低い。そこで,TgAb陽性の乳頭癌225症例の甲状腺全摘後のTgAb値の変動と予後との関係を調べると,術後2年以内に50%以上低下した症例は非低下症例より有意に良好であり,多変量解析において優れた予後因子であることが判明した。今後は,旧来のTNM,病理学的分化度による予後予測の時代から,血清Tg,TgAb値の経時的変動分析に基づく動的予後予測の時代へとパラダイムシフトが起こるものと予想される。
著者
工藤 充明 柴田 高
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.139-142, 2016

世界の半導体産業の成長とは裏腹に、かつて市場を席巻した日本の半導体企業は衰退を続け、2010年代の初めには日本最後のDRAMメーカであったエルピーダも倒産し、その時の負債額は4500億円弱で最大規模であった。一方、韓国企業は圧倒的な競争優位性を獲得しグローバル企業となっている。また、後発参入企業の三星が世界の頂点に君臨している事実は、戦略によるものであるとされる。この三星とエルピーダの違いを、経営戦略の視点から比較分析し、その背景にあるものを明らかにする。結果として、伝統的日本企業はプレミア化志向が高く、グローバリゼーションとの不適合をもたらすため、競争優位性の構築に困難が伴うことを示す。