著者
高宮 彰紘 田澤 雄基 工藤 弘毅 岸本 泰士郎
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.15-23, 2019-01-01

精神科診断は主に患者の訴える症状をもとに行われており,脳画像などの生物学的な検査は診断補助ではなく器質性疾患の除外目的で行われることが多い。近年は主に機械学習といった人工知能技術を脳画像検査に応用し,精神疾患の診断や治療反応に用いるための研究が行われている。人工知能技術は,個別の症例の診断補助となり得るうえ,精神疾患の病態解明に寄与する可能性がある。
著者
工藤 実紗
雑誌
中京英文学
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.37-60, 2016-03-15
著者
林 初美 工藤 典代 笹村 佳美
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.53-58, 1997 (Released:2012-09-24)
参考文献数
5

Deaf children were tested by means of PVT (Picture Vocabulary Test) and WIPPSI or WISC-R, then the relation between speech development and hearing level was discussed. The age of 22 children at the test ranged from 4 years to 13 years. Their average hearing level ranged from 37 dB to 71 dB. Their PIQ (performed IQ) was within the normal range. Results of PVT were almost related to that of VIQ (Verbal IQ), but there was no evident relation between the results of PVT or VIQ and hearing level. Some of the children with mild hearing impairment showed poorer development of their vocabulary and verbalism than expected. We considered that the development of vocabulary and verbalism was affected by several factors besides their hearing level.
著者
工藤 真哉 対馬 伸晃 澤田 善章 斎藤 文匡 本村 文一 高島 徹 古川 利有 鈴木 唯司 黒滝 日出一 増森 二良 渡辺 耕平 稲積 秀一
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.82, no.10, pp.1594-1602, 1991-10-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
15
被引用文献数
2 2

1983年10月より1989年6月までの間に弘前大学泌尿器科で膀胱移行上皮癌と診断定れ, BCG膀胱内注入療法をうけた120症例における副作用をまとめるとともに, 重篤な合併症とBCG投与との関連性について検討を加えた. 局所的には, 頻尿, 排尿痛などの膀胱刺激症状が102例 (85.0%), 血膿尿が46例 (38.3%) だった. 全身的には, 発熱が43例 (35.8%), 血清GOT, GPT値異常が9例 (7.5%), 全身倦怠感が3例 (2.5%) だった. 重篤な合併症としては, 膀胱容量が50ml以下の高度萎縮膀胱が4例に, 難治性関節炎が2例に, 間質性肺炎が1例に認められた. 高度萎縮膀胱の4例ともに, BCG膀注前後に膀胱部分切除術を施行定れており, 3例はBCG膀注回数が10回以上であった. 低膀胱容量状態に加え, BCG膀注回数が多いことが萎縮膀胱の誘因となることが推. 定れた. また, 4例中2例は非可逆性であり, 組織学的には, 筋層の線維化がより高度であったが, 結核性変化は認めず, 可逆性か否かは線維化の程度により決まると思われた. 難治性関節炎の2例ともに, 関節穿刺液の結核菌培養は陰性で, 非特異的炎症反応だった. 重篤な間質性肺炎の1例は, 気管支鏡生検組織において, 肺胞中隔の著明な線維化とリンパ球浸潤を認めたが, 結核性変化は認めず, BCGに対する過敏性反応が病因であると考えられた.
著者
工藤 教孝 川口 大司 花薗 誠
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1547, pp.118-121, 2010-06-28

菅直人政権がスタート。国家による弱者救済の強化は、「大きな政府」へ向かうサインだ。だが、待ったなしの財政再建、一層激しくなる国際競争…。取るべき策はこれでいいのか。「気鋭の論点」に寄稿する3人の経済学者が、経済政策を語った。(司会は本誌編集長 寺山 正一) ──日本企業、日本経済は苦境に立っています。今一番必要なことは何でしょうか。
著者
毛利 孝 小原 秋穂 小西 一樹 田村 昌士 冨地 信和 石井 宗彦 工藤 国雄
出版者
社団法人 日本呼吸器学会
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.165-171, 1990

呼吸困難, 発熱の症状を示し, 胸部X線像, CT像ではびまん性粒状影を示したハト飼病の一例を報告した. ハト血清とハト排泄物に対する沈降抗体が検出され, 肺生検の病理所見では間質性肺炎の所見が得られた. ハト血清の吸入誘発試験では発熱, 白血球の増加, 肺活量の低下, P<sub>O<sub>2</sub></sub>の低下, CRPの陽性化の所見が得られハト飼病と診断した. BALでは回収細胞数の増加, リンパ球比率の増加が見られ, リンパ球サブセットでは, OKT8陽性細胞, HLA-DR陽性細胞が増加していた. 二重染色によるリンパ球表面マーカーの検索ではHLA-DR陽性細胞のほとんどはOKT8陽性であった. in vitro での末梢血単核球のハト血清添加による幼若化反応は陰性であったがステロイド治療の影響と考えられた. ガリウムシンチグラムでは肺野への集積は認められなかった.
著者
杉山 智美 斉藤 真理子 市川 智美 内山 けい子 熊谷 美智世 松葉佐 智子 工藤 裕子 小西 雅子 稲垣 順一 伊藤 隆 渋川 祥子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成24年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.155, 2012 (Released:2012-09-24)

【目的】近年、土鍋に対する関心が高まっている。その一方で、炊飯や冬期における鍋物のみといった限定的な活用をする消費者も少なくない。土鍋と一般的に使用されている金属鍋では材質や形状が異なり、土鍋独自の特性を有することが予測される。そこで、土鍋のさらなる活用を目的とし、煮物・蒸し物調理における土鍋の加熱調理特性について検討を行った。 【方法】市販されている一般的な土鍋と金属鍋を用い、加熱条件(火力および加熱時間)を同じとし、煮物・蒸し物調理における加熱過程および調理物の仕上がりの比較を行なった。加熱過程は、耐熱内視鏡カメラによる鍋内の煮汁等の観察、サーマルカメラによる遠赤外線量の測定および鍋内部・食材中心部の温度計測を行なった。調理物の仕上がりについては、テクスチャー(煮くずれ、硬さ)および味(調味液の浸透度合い、グルタミン酸量)を機器測定するとともに、官能評価を実施した。 【結果】加熱過程において、金属鍋では煮汁中に不規則に大きな泡が発生したが、土鍋では鍋表面の突起等が沸騰のきっかけとなる規則正しい細かい泡が観察された。加熱時の遠赤外線量は、土鍋のほうが多く、本体および蓋からの放出が見られた。食材の中心部温度は、土鍋では金属鍋に比べ温度上昇が遅く、酵素活性が高い温度帯をゆっくり通過した。金属鍋では消火直後から鍋内部温度が低下したが、土鍋では一定時間温度上昇が継続し高温を維持した。その後の温度低下も緩やかだった。調理物の仕上がりについては、土鍋では煮くずれが少なく、硬さは軟らかい傾向が見られた。また、調味液の浸透度合いが高く、グルタミン酸量も多かった。以上の結果から、煮物・蒸し物調理における土鍋の優位性が示唆された。
著者
工藤 年博
出版者
笹川平和財団
雑誌
SPFオンデマンドレポート集 Voices from the World
巻号頁・発行日
2006-09

2003年7月、米国はミャンマー製品の全面的な輸入禁止という、厳しい経済制裁を発動した。この制裁の最大の被害者は、ミャンマー縫製産業であった。制裁発動前、ミャンマーの対米輸出の8割以上は衣料品だったからである。多くの企業が倒産し、多くの労働者が職を失った。しかし、これまでその影響を包括的かつ正確に評価した調査・研究は皆無であった。本論文は現地での詳細なフィールド・ワークに基づき、経済制裁がミャンマー縫製産業に与えた影響を分析する。経済制裁で苦しむのは誰か。そして、経済制裁は所期の効果を上げているのか。これらの疑問に答える。
著者
久保田 早苗 工藤 綾子 岩渕 和久
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.87-96, 2020-05-25 (Released:2020-11-25)
参考文献数
17

本研究の目的は,理学療法士の訓練時における感染予防意識と行動について明らかにすることである.感染管理認定看護師が所属する施設に勤務する理学療法士,5施設計18名を対象に半構造化面接を行い,感染予防意識と行動に関する語りをコード化,類似するコードをカテゴリー化し,質的帰納的に分析した.理学療法士の感染予防意識は432生成され,98サブカテゴリー,28カテゴリーに分類され,5コアカテゴリーが抽出された.コード数の多いコアカテゴリーとして,【職種間の感染予防策の認識の差と危機管理意識】【感染症患者の増加によるリハビリ調整の困難さと超高齢社会への危機感】などが生成された.理学療法士の感染予防行動は684生成され,93サブカテゴリー,25カテゴリーに分類され,7コアカテゴリーが抽出された.コード数の多いコアカテゴリーとして,【感染症や指示による手順通りの防護服の着脱と定期的な白衣・リネンの交換】【感染症情報の確認・連絡による日常や汚染時の清掃徹底】などが生成された.患者との接触が多い理学療法士が行う標準予防策は感染症の有無や健康状態によって予防策を決めていくことではないことを理解し,実践していくことが求められる.また,感染事例に応じて自らが判断し根拠をもった知識の習得を目指す必要がある.
著者
大高 明史 神山 智行 長尾 文孝 工藤 貴史 小笠原 嵩輝 井上 栄壮
出版者
日本陸水學會
雑誌
陸水學雜誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.113-127, 2010-08-25
参考文献数
49
被引用文献数
1 4

湧水で涵養される湖列である津軽十二湖湖沼群・越口の池湖群(北緯40°)で,湖水循環のパターンと底生動物の深度分布を調べた。秋から春までの連続観測により,越口の池湖群には,通年成層しない湖沼(青池,沸壺の池),冬季一回循環湖(落口の池),二回の完全循環が起こる湖沼(越口の池),春の循環が部分循環で終わる湖沼(王池)という,複数の循環型の湖沼が混在していることが示唆された。これには,水温が一定の多量の湧水の流入や,冬期間の結氷の厚さや持続期間,有機物の分解に伴う底層での塩類の蓄積が関連していると推測された.落口の池と王池の底生動物群集の構成や現存量は,溶存酸素濃度に応じて深度とともに明瞭に変化した。酸素が欠乏する深底部上部にまで見られる種類は,イトミミズとユリミミズの2種の貧毛類とユスリカ属の一種など4分類群のユスリカ類で,他の山間の富栄養湖と共通していた。源頭に位置する青池と沸壺の池のふたつを除く7湖沼は,循環型が異なるにもかかわらず,いずれも成層期には深水層で溶存酸素が欠乏し,深底部下部に底生動物は見られなかった。自生的,他生的な有機物の負荷が高いため,成層期に湖底で速やかな酸素消費が起こるためと推測される。
著者
大塚 公彦 工藤 照三 滝口 俊男 大熊 浩
出版者
Japanese Society for Mastication Science and Health Promotion
雑誌
日本咀嚼学会雑誌 (ISSN:09178090)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.11-16, 1997 (Released:2010-07-21)
被引用文献数
5

本研究はガム咀嚼のリラックス効果の研究の一環として, その効果が予想される成分と香料を含んだガム (特性リラックスガムII) を試作し, そのガムの有効性をみるため市販されているガム (リラックスガムI: 商品名リラックス,(株) ロッテ製) を対照として実験調査を行い評価したものである.実験の内容についてはリラックス状態を2つの方法により捉えた.第1は大脳におけるα波の出現量, 第2は計算作業量である.被験者は健常な19~21歳の男女各6名, 計12名を用いた.測定項目は通常時の脳波と計算作業をコントロールとしてガム咀嚼後の脳波と計算作業およびガム咀嚼後の脳波と計算作業とした.実験結果, α 波の出現量はコントロールを基準としガム咀嚼後は平均5.1%の増加, ガム咀嚼後は12.1%の増加が認められた.また, 作業量についてはコントロールを基準としガム咀嚼後は6.4%の増加, ガム咀嚼後は16.9%の増加が認められた.これらの結果からリラックスガムの咀嚼行動は大脳におけるα波の出現量を増加させることや作業量の増加に効果があることが認められた.このことはガムの咀嚼行動がヒトに対するリラックス効果やそれによる集中力の向上に影響を与えたことであり, とりわけその傾向はリラックスガムに顕著にみられた.
著者
工藤 秀明
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.90, no.2, pp.101-103, 1995

ワイン市場は, ボジョレーヌーヴォーの異常なまでの騒ぎが下火になると共に大きなトンネルに入ったまま抜け出せない状態が続いており, 抜本的な対策が望まれている。その方策の1つが, ワイン消費層の拡大を目指したローコストオペレーションの徹底による低価格ワインの市場投入であった。筆者にその決定までのいきさつ, オープンプライス出現の背景, その反響等について紹介していただいた。
著者
工藤 寿郎
出版者
鹿児島大學農學部
雑誌
鹿児島大学農学部学術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
no.41, pp.p113-118, 1991-03

イタリアにおける水稲の栽培は15世紀の後半にはじまり, 以来米の需要増加にともなって栽培面積が年々拡大してきたが, その94%がポー河の中流域に集中している.その理由は古くから本地域内で農業灌漑用の運河や水路が数多く造られ, セシア河東西両水利組合がこれらを統轄管理して, 豊富な用水を安定供給できる体制が確立されているからである.従来, 農家は労働配分と通水の時期などの関係から, 水稲栽培面積の40%を移植, 60%を直播によっていたが, 1960年代地域内のミラノとトリノにおける商工業の著しい発達にともなって大量の農業労働力がこれらに流出したため, 農家は田植や稲刈作業に雇入れていた農業労働者を確保することができなくなり, 省力な直播様式に全面的に移行した訳である.湛水直播による水稲の栽培様式は, トラクター・ブロードキャスター・コンバインという大型機械体系を中核としていることが明らかとなった.これにもとづく主要な栽培作業は, 4月上, 中旬に大型トラクター・4連プラウで20〜25cmの深さに耕起, ブロードキャスターで施肥, ロータベーターで砕土均平, 湛水して中型トラクター・レーベラーで代かき, ブロードキャスターで除草剤散布, 1晩水に浸した種籾を下旬にブロードキャスターで散播, 病虫害防除のための薬剤散布と追肥は通常おこなわない, 9月上旬落水, 9月中旬から10月上旬にコンバインで刈取り, テンパリング乾燥機にかけて籾の水分を13%に引下げ貯蔵するものである.トラクターの大型化, ブロードキャスターとコンパインの普及によって, ha当り稲作所要労働時間が1960年の移植742時間から1980年の直播50時間に, また1988年の35時間に大きく減少された.しかし, 1972年までの過渡期にあっては, 直播専用品種の開発や新しい栽培方法の普及が遅れていたため収量が10%程度低下し, その変動が大きくなっていた.その後次第に機械化に対応した技術が基盤整備の推進と相まって普及し, 収量が6.00t水準に上昇安定して直播栽培様式が定着した.この間に機械の導入をめぐって稲作農家間で激しい階層分化が起こり, 20ha以下の小規模農家の大半が離農した結果, 農家戸数は半減して1988年に7,761戸となり, 1戸当り栽培規模は25.66haに拡大した.そして, 残る小規模兼業農家は収穫作業をコンバインの賃作業に依存しているのである.本地域は相対的に地価が高く, 農地の売買は極めて少ないので, 規模拡大は通常賃貸借によっている.ミラノ近郊のロザーテでは普通小作期間は10年, 小作料はha当り225千リラと比較的安い.最近は短粒種よりも中, 長粒種の方が需要が大きく, 価格も高いので, 農家はこれに即応して後者の栽培面積を拡げている.この結果, 1986年〜88年には年1,113千tの米生産量のうち, 短粒種の比重は15%に縮小した.そして, この20年間に米の輸出量が約2倍に増え, そのうち56%をヨーロッパ経済共同体向けに出荷しているが, これらはすべて中, 長粒種である.米の最低保証価格は100kg当り52,847リラであるが, 時期により市場相場が変動するので, 上昇時に大規模農家は米を籾すり加工業者に販売しようとする.業者は米穀協会を通して玄米で輸出し, また国内では精白米で市販している.イタリア国内における米の消費量は年約400千tで, 国民1人当り6kgといわれるが, 稲作農家では1人13kg程度と見込まれる.したがって, 生産米のほとんど大部分は商品として販売されており, 自家用飯米を生産目標とするものではない.それゆえ, 米に対する生産意欲が極めて旺盛で, これが直播栽培様式の定着化を早めたということができる.
著者
永瀬 茂 小林 郁 工藤 貴子
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 : 化学と工業化学 = Journal of the Chemical Society of Japan : chemistry and industrial chemistry (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.3, pp.177-184, 1994-03-10
参考文献数
40

ゲルマニウムを骨格にもつ芳香族化合物,多面体化合物,ラジカルカチオンの特性をab initio分子軌道計算を用いて理論的に研究した.具体的には,(1)ベンゼンと多環式芳香族化合物のナフタレン,アントラセン,ナフタセンおよびペンタセンの骨格炭素をすべてゲルマニウムで置換したときの構造と電子的特性,(2)ゲルマニウムを骨格にもつテトラヘドラン,[n]プリズマン(n=3-10),ドデカヘドランなどの多面体化合物の歪みエネルギー(3)シクロトリゲルマン,ビシクロ[1.1.0]テトラゲルマン,ペンタゲルマ[1.1.1]プロペランおよびヘテロ原子置換体のイオン化による興味深い構造変化を明らかにした.ゲルマニウム骨格の特性を系統的に明らかにするために,対応する炭素,ケイ素,スズおよび鉛化合物とそのラジカルカチオンの同様な計算結果とも比較した.これらより,ゲルマニウムに特有な興味深い物性と新規な構造をいくつか予測した.
著者
谷 友和 工藤 岳
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.141, 2004

落葉樹林の林床は、上層木の葉群動態を反映して光環境が季節を通じて大きく変化する。夏緑性高茎草本植物は冷温帯林にふつうにみられ、生産性が高く、時として地上高が2m以上に達する。本研究では北海道道央域の2カ所の落葉樹林下において、6種の高茎草本(チシマアザミ、ヨブスマソウ、バイケイソウ、エゾイラクサ、ハンゴンソウ、オニシモツケ)を材料に、高茎草本が光環境の季節変動に対し、どのような生産活動を行っているのかを明らかにし、林冠下で高くなるための成長戦略について考察する。<br>サイズの異なる個体の地上部を採取し、乾燥重量を測定したところ、どの種でも同化-非同化器官重の比は高さによらず一定であり、単位重量当たりの葉を支持する茎への投資は高さに関わらず一定であると考えられた。同一個体の複数の葉で最大光合成速度(Pmax)と呼吸速度の季節変化を調べたところ、どの高さの葉でも、林冠閉鎖による光量低下に伴って、Pmaxと暗呼吸速度が低下した。個体内では上の葉から下の葉に向かってPmaxと暗呼吸速度の勾配が生じた。葉の老化による光合成低下と共に、弱光環境への光順化が起こったと考えられた。光合成速度、葉面積の季節変化と林床層の光環境の季節変化を組合せ、伸長成長が終了するまでの期間の個体ベースの日同化量を推定した。順次展葉種では、林冠閉鎖の進行途中に純同化量が最大となった。光量の低下と共に光合成と呼吸速度を低く抑え、かつ伸長成長と共に葉を蓄積し、同化面積を増やすことで個葉レベルの光合成低下を補っていたと考えられた。このような成長様式は、林床の光変動環境下で個葉レベルの同化量を維持するための戦略であると考えられた。一方、一斉展葉型のバイケイソウでは、林冠閉鎖の進行と共に純同化量は減少を続けたため、短期間に同化活動を集中させる春植物的な戦略を取っていると考えられた。