著者
中浜 正利 工藤 昌弘 國沢 洋介 宮本 明輝美
出版者
社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
埼玉理学療法 (ISSN:09199241)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.18-22, 2001 (Released:2003-07-03)
参考文献数
7

近年、肩鎖関節脱臼および鎖骨遠位端骨折の手術には、フック付プレートが用いられるようになり、これによって従来の術法に比し術後早期からの肩関節可動域の獲得が可能となってきた。今回我々は、本法を用いた11症例(Wolter clavicular Plate 8例、Best社製Plate 3例)について、術後理学療法の指標として肩関節可動域を測定することにより本法の利点、問題点を検討したので報告する。肩関節外転角度は術後3週で平均85度、術後8週では平均142度であった。従来法では術後3週間の外固定を要し、6~8週間は外転を90度までに制限されるのに比べ、本法ではより早期に可動域の獲得が可能であった。なお、Wolter clavicular Plateを用いた肩鎖関節脱臼の1例で、鎖骨の過度の下方圧迫による「挟み込み」のためと思われる可動域制限を認めた。また、Best社製Plateでは全般的に可動域の改善は良好であったが、プレート固定中の水平屈曲にのみ、他方向に比べ制限が認められた。以上より、フック付プレート固定法では、術後早期の可動域の獲得により日常生活や社会への早期復帰も可能であったが、プレートの構造による問題点も存在し、これらを考慮に入れた可動域運動が必要であると思われた。
著者
工藤 英一
出版者
北海道農業改良普及協会
雑誌
農家の友
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.20-21, 2008-06
著者
瀬戸山 雄介 福田 隆一 山下 真司 中畑 敏秀 宮崎 麻理子 福田 秀文 了徳寺 孝文 工藤 貴裕 永濱 智美
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 第29回九州理学療法士・作業療法士合同学会 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
pp.166, 2007 (Released:2008-02-01)

【はじめに】 大腿骨頚部骨折術後において、浮腫が関節拘縮、感覚障害など二次的に機能障害を起こす要因となり、理学療法を進める上で問題となることが多い。そのアプローチとしてパンピングを用いる事は多いが、良好な結果を得られないことも経験する。そこで今回大腿静脈に通過障害があることを仮定し、その阻害因子と成りうる筋に対してアプローチを行い、若干の知見を得たのでここに報告する。【対象】 大腿骨頸部骨折術後3週以上経過しており明らかな心疾患、腎疾患がなく下腿に浮腫がみられるとした。大腿静脈通過障害にアプローチを行った群(以下アプローチ群)に関しては6名10脚、内訳は男性1名、女性5名、平均年齢85.6±7.8歳。 コントロール群は4名7脚、内訳は女性4名、平均年齢89.5±4.4歳であった。【方法】 アプローチ内容に関して、アプローチ群は、腸腰筋、恥骨筋、内転筋を中心に内転筋管周囲筋及び鼠径部周囲筋に対してストレッチ、マッサージ、ストレッチ、筋収縮の順に行った後、足趾及び足部パンピングを実施した。コントロール群は足趾及び足部パンピングのみ実施した。浮腫の評価は下腿周径(最大、最小)、足部周径(第一中足骨骨底と舟状骨を結ぶ周径)を測定。測定時間はアプローチ前の午前9時とアプローチ後の翌日午前9時とし、アプローチ実施時間に関しては午後2時とした。データ処理に関しては、両群における改善脚数の割合及び周径の改善率を算出した。改善率に関しては、対応のないt検定を用いてデータ処理を行った。【結果】 前日と比較して改善がみられた脚数の割合は、下腿最大周径においてアプローチ群では70%(0.5センチ~1.5センチ改善)であり、コントロール群では14%(0.5センチ~0.8センチ改善)であった。下腿最小周径において、0.5センチ以上改善した脚数の割合はアプローチ群で50%、コントロール群で0%であった。足部周径において、0.5センチ以上改善した脚数の割合は、アプローチ群で30%、コントロール群で14%であった。また下腿最大部周径におけるアプローチ群とコントロール群の改善率の比較において、有意差が認められた。(P<0.05)【考察】 アプローチを行った方が下腿浮腫は改善する傾向にあった。これは大腿静脈が内転筋管、大腿三角、血管裂孔を通過しており、周囲の筋(内転筋管周囲筋、鼠径部周囲筋)から圧迫を受け、循環障害を起こす可能性が示唆された。また内転筋管・鼠径部周囲筋に関しては、術後の外転筋不全による内転筋の代償や、長時間の臥床・座位による適応性短縮などにより機能不全を生じやすい。これに対して内転筋管・鼠径部周囲筋にアプローチを行うことで大腿静脈通過障害が改善したことが、下腿浮腫の改善につながったと考えられる。
著者
工藤 孝浩
出版者
日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.99-104, 2011 (Released:2014-03-07)
参考文献数
19
著者
工藤 暢宏 木村 康夫 新美 芳二
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.9-12, 2002-04-01
被引用文献数
2 11

カシワバアジサイの有用形質をセイヨウアジサイに導入することを目的として, 種間雑種の作出方法を検討した.1. セイヨウアジサイを種子親, カシワバアジサイを花粉親にした種間交配では, 受粉後2週間ほどで子房が緑化肥大し, さく果を形成するが, 完全な種子はできなかった.2. 交配後のさく果から胚珠を取り出し培養すると胚が発達して, 肥大した胚が出現することが確認された.しかし, 'ハルナ'を種子親にした場合では, 出現直後に胚が生育を停止し枯死した.'ブルーダイヤモンド'を種子親にした場合には, 非常に低い割合であるが, 順化可能な雑種と思われる個体が得られた.3. 順化後温室で栽培した再性個体にはカシワバアジサイ特有の鋸歯が観察され, 雑種であると判断された.しかし, 雑種個体の全体的な形態は種子親の特徴を多く受け継いでいた.培養開始から2年後に胚珠から再生した雑種6個体のうち1個体が開花したが, 花序は中心がやや山型に盛り上がったテマリ型で, 種子親の'ブルーダイヤモンド'の特徴が強く現れていた.
著者
西川 潤 宮嵜 孝子 鈴木 庸弘 板谷 優子 山脇 秀元 三原 弘 蓮本 祐史 藤浪 斗 小川 浩平 細川 歩 工藤 俊彦 杉山 敏郎
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.108, no.9, pp.1535-1539, 2011 (Released:2011-09-05)
参考文献数
24

infliximab投与により薬剤誘発性ループスを発症した潰瘍性大腸炎の1例を経験した.ステロイド依存性潰瘍性大腸炎患者に対し,寛解導入ならびに寛解維持目的でinfliximab投与を施行した.第5回目のinfliximab投与後に多関節痛,リンパ球減少,抗二本鎖DNA抗体陽性,抗核抗体陽性を呈し薬剤誘発性ループスと診断した.保存的治療とinfliximab投与中止により症状の改善が得られた.
著者
工藤 力男
雑誌
成城国文学
巻号頁・発行日
no.21, pp.86-104, 2005-03
著者
工藤 陽史 山口 茂 佐渡 旭 栗山 孝浩 深井 誠一
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.363-369, 2012
被引用文献数
1

発蕾期以降が短日期となる熊本県のトルコギキョウ冬出し栽培において,開花と花蕾のブラスチングおよび茎伸長に及ぼす電照の影響を検討した.実験1では,'ロジーナローズピンク'と'ピッコローサスノー'を供試し,白熱電球を用いた暗期中断の影響を定植直後から検討した.その結果,主茎頂花の発達が促進されるとともに,自然日長よりブラスチングの発生が減少した.実験2では,'ボレロホワイト'を供試し,2次小花と3次小花を調査対象として,白熱電球と蛍光灯を用いた明期延長(20時間日長)の影響を主茎頂花の発蕾期以降に検討した.また,2次小花の花芽形成期および花芽成熟期に,白熱電球による明期延長処理を行った.その結果,主茎頂花の発蕾期以降の白熱電球による明期延長によって,2次小花の開花時期は影響を受けなかったが,ブラスチングの発生は減少し,切り花長は長くなった.また,3次花柄長は花芽形成期の電照で短く,花芽成熟期の電照で長くなった.以上より,白熱電球を用いた明期延長でブラスチングの発生が減少し,商品花蕾数を増加できることが明らかとなった.<br>
著者
工藤 陽史 山口 茂 福田 直子 菊池 竜也 佐渡 旭 深井 誠一
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.343-349, 2012
被引用文献数
1 3

西南暖地におけるトルコギキョウの冬出し栽培では,開花の遅延回避と草丈の確保が問題となる.西南暖地の冬出し栽培では,定植後の一定期間に加温を必要としないことに着目し,高昼温管理による生育促進技術を検討した.夜温を15℃一定とし,昼温25または30℃に設定した自然光型ファイトトロンで,中早生品種'ボレロホワイト'を定植~切り花収穫まで栽培した.昼温25℃区に比べて昼温30℃区で主茎伸長が促進され,早期に発蕾して開花した.定植60日後までの茎葉の乾物重は,昼温30℃で重い傾向にあった.また,下位節の節間伸長は,定植40日後までに決定されていた.これらの効果を実際の栽培で確認するため,施設の換気温度を25と30℃に設定したガラス温室で,初期生育と発蕾日に及ぼす影響を検討した結果,30℃が25℃と比較して生育は促進したが発蕾日に差はなかった.さらに,9月22日定植と9月29日定植の2回の栽培で,定植から約40日程度の施設の換気温度を30℃に設定した高昼温管理が,収穫日と切り花品質に及ぼす影響の検討を行った結果,初期生育が促進し,9月22日定植で2月上旬,9月29日定植で2月中旬に切り花長80 cm以上,切り花重40 g以上確保された切り花が得られることが明らかとなった.<br>
著者
相馬 正之 五十嵐 健文 工藤 渉 中江 秀幸 安彦 鉄平
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.59-63, 2012 (Released:2012-11-20)
参考文献数
22
被引用文献数
7

本研究は,足指把持力トレーニングが Functional Reach Test(以下,FRT)や最大1歩幅などの平衡機能や歩行能力に与える影響について検討した。対象は,健常な若年者36名とし,トレーニング群24名とコントロール群12名に分類した。トレーニング群は,タオルギャザー,ビー玉掴み,足指歩行など1日10~20分間程度の運動を1週間に4回,3週間実施した。コントロール群には,特別な運動をしないように指示した。測定項目は,足指把持力と FRT,最大1歩幅,10?最大および10?至適歩行下の速度,歩幅,歩行率とし,トレーニング前後の2回計測した。その結果,トレーニング群は,左右合計足指把持力,最大歩行下の速度,FRT,最大1歩幅が有意に高値を示した。足指把持力トレーニングは,足指把持力の向上とともに,FRT や最大1歩幅などの平衡機能に影響を及ぼすことが示唆された。
著者
工藤 二郎 自見 庄三郎 大久保 英雄 柳瀬 敏幸 迫 良治
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.740-745, 1981-05-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
20

症例はIgA欠損症にSLEを発症したもので, SLE発症から9年間の長期にわたり,臨床経過を観察したものである. IgA欠損症に関しては, in vitroの実験系においてリンパ球の免疫グロブリン産生能を測定し,本症例にみられるIgA欠損は抑制性T細胞の機能亢進によるものであると推定した.症例は29才の女性. 20才の時,長時間日光に被曝した後,発熱,関節痛が生じ,検査所見ではRA(+),血沈亢進がみとめられたが,同時にlgA欠損も証明された.慢性関節リウマチの診断の下にステロイドの小量投与療法が行なわれたが,ステロイドの減量に伴つて,発熱,発疹,髄膜炎様の症状が出現した.これらの多彩な症状はステロイドの増量によつて消失した.その後9年間,年1回の検査を行なつて観察をつづけたが, RA (+), IgA欠損以外に異常を認めず,臨床的にも全く無症状に経過した. 29才の夏,日光に被曝後,急性増悪を来して再入院した.再入院時にはANF陽性, LE細胞の出現からSLEと診断され, 9年前の初回入院時の多彩な臨床症状も, SLEによるものであつたと推定された.寛解期にあつた時にリンパ球のlgA産生能をin vitroの系で測定したが, IgA産生障害が証明され,しかも患者のT細胞は正常人のB細胞のIgA産生を抑制するとの成績が得られた.この抑制T細胞の機能亢進はSLE発症の前から存在していたものと推定される.
著者
荒西 太士 沖本 宜音 飯塚 祐輔 工藤 康介 平野 琢也 大久保 誠
出版者
宮崎大学
雑誌
宮崎大学農学部研究報告 (ISSN:05446066)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.21-27, 2006-03-23

カキ類(二枚貝綱翼形亜綱ウグイスガイ目イタボガキ科)は、極圏を除く世界中に分布する重要な二枚貝食糧資源である。100種以上と言われているカキ類の現生種のなかでも、Crassosrea属は、食用を目的とした養殖生産量が世界で最も多い水棲動物である。現在、食用目的で漁獲や養殖生産されているCrassosrea属9種のうち、7種は東アジアが原産であるのに対し、欧州と北米には各1種しか分布せず、Crassosrea属のユニークな地理的拡散と種分化の関係については不明な点が多い。本研究では、ミトコンドリアDNAのチトクロームc酸化還元酵素サブユニットI遺伝子を対象として、これらCrassosrea属9種の種分化を分子進化学的に検討した。当該遺伝子の塩基配列を多重整列して得られた遺伝距離および最小進化法(Minimum Evoluion Mehod)による分子系統樹の解析から、北米に分布しているC.virginicaと東アジアに分布しているCrassosrea属7種の異所的種分化が明らかとなった。さらに、中国最南部の雷州半島付近におけるC.hongkongensisとC.belcheriの側所的種分化も示唆された。本結果から、Crassisrea属の進化は、化石祖先種からは多地域起源説に従うが、東アジアにおける現生種の種分化は単一起源説に従うことが推察された。
著者
工藤 雄一郎
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.187, pp.73-93, 2014-07

縄文時代の開始期の植物利用については,これまで土器の出現と関連づけて様々な議論が行われてきた。出現当初の縄文時代草創期の土器は「なにをどのように煮炊きするための道具だったのか」という点をより具体化し,列島内での土器利用の地域差などを検討していくことは極めて重要な研究課題である。2012年に発掘された宮崎県王子山遺跡からは,縄文時代草創期の炭化植物遺体(コナラ属子葉,ネギ属鱗茎)が出土した。筆者らは,これらの試料の炭素・窒素安定同位体分析を行い,また,王子山遺跡および鹿児島県三角山Ⅰ遺跡から出土した隆帯文土器の内面付着炭化物の炭素・窒素安定同位体分析を実施し,土器で煮炊きされた内容物について検討した。この結果,王子山遺跡では動物質食料と植物質の食料が煮炊きされていた可能性が高いことがわかった。王子山遺跡から出土した炭化ドングリ類は,土器による煮沸の行程を経てアク抜きをした後に食料として利用されていたというよりも,動物質の食料,特に肉や脂と一緒に煮炊きすることで,アク抜くのではなく,渋みを軽減して食料として利用していた可能性を提示した。一方,三角山Ⅰ遺跡では,隆帯文土器で海産資源が煮炊きされた可能性があることを指摘した。これらの土器の用途は,「堅果類を含む植物質食料のアク抜き」に関連づけるよりも,「堅果類を含む植物質食料および動物質食料の調理」と関連づけたほうが,縄文時代草創期の植物利用と土器利用の関係の実態により近いと推定した。Thus far, plant use during the Incipient Jomon period has been discussed in relation to the beginning of pottery use. This is because initial pottery-making is thought to have enabled the use of a number of vegetable foods found in cool to temperate, deciduous broadleaf forests, such as nuts and acorns that require boiling to remove toxins before consumption. However, clarifying "what kind of foods were actually processed or cooked in Incipient Jomon potteries" is one of the most important research topics.In 2012, charred acorns (Quercus subgen. Lepidobalanus) and bulbs of wild onion (Allium sp.) from the Incipient Jomon period were excavated from the Ojiyama Site, and directly dated to 13,400 cal BP. These discoveries indicate that people in the southern part of Kyushu Island already utilized these types of plant foods.In addition, in order to examine actual usage of the Ryutaimon pottery and to estimate its relationship with plant foods, carbon and nitrogen stable isotope values and C/N ratios of these plant remains and charred materials attached to the inside of Ryutaimon pottery from the Ojiyama Site (southern Kyushu Island) and Sankakuyama Site (Tanega-shima Island) were analyzed.Stable isotope values seem to show that Ryutaimon pottery from the Ojiyama Sites was used not only for boiling plants (especially acorns), but also for boiling remains of terrestrial mammals. The charred materials on potteries might be residue of a mixed "stew" of plant and animal foods. In the case of the Sankakuyama Site, stable isotope values were related more closely to marine products. It is likely that Ryutaimon pottery on southern Kyushu Island was used as a cooking tool for boiling a wide variety of foodstuffs.