著者
広渕 崇宏 高野 了成 工藤 知宏
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2015-ARC-215, no.12, pp.1-6, 2015-05-19

システムソフトウェア分野において不揮発性メモリ技術に関する研究を進めるため,オペレーティングシステムのメモリアクセス傾向を把握する手法を開発した.オペレーティングシステムを改変することなく,そのメモリ読み書き速度や読み書きメモリページ番号を記録できる.ハードウェアが備えるメモリアクセス監視機能を用いて既存ハイパーバイザーを拡張することで実現した.CPU インストラクションを逐次分析する方式と比べて遙かに高速に動作する.試作を通じて提案機構の基本的な動作を確認できた.
著者
関 寿人 大崎 往夫 春日井 博志 岡 博子 工藤 正俊 大阪肝穿刺生検治療研究会
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.169-182, 2000-03-25
被引用文献数
1

近畿地区を中心に18施設の協力により, 1987年1月1日より1998年3月31日までの期間, 治療が施行された単発肝細胞癌 (単発肝癌) 3489例を対象に治療方針, 治療成績の実態を調査し以下の結果が得られた (観察最終日は1998年7月31日).<BR>(1) 臨床病期I, IIでは腫瘍径に拘らず肝切除が選択されている症例が多い.<BR>(2) 腫瘍径2cm以下, 臨床病期I, IIでは肝切除, PEIT, PMCTで累積生存に差は認められない.<BR>(3) 腫瘍径3cm以下のPEIT症例で10年生存を確認.<BR>(4) 腫瘍径3cm以上では, TAE+PEIT: 3<腫瘍径≦5cm, 臨床病期IおよびTAE: 5cm<腫瘍径, 臨床病期IIの群を除いて, 臨床病期I, IIともに肝切除の成績がもっとも良好であった.<BR>(5) 10年生存者の87%は肝切除例.<BR>(6) 腫瘍径5cm以下症例の死因の約40%は肝癌死以外.<BR>(7) 症例数が100以上, 100未満の施設間で累積生存に差が認められた.
著者
工藤 力男
出版者
成城大学
雑誌
成城文藝 (ISSN:02865718)
巻号頁・発行日
vol.192, pp.14-36, 2005-09-15

コンピューター操作の場で使われたちまち広がった「立ちあげる」に違和感を抱く人が少なくない。違和感はこの動詞の<自動詞+他動詞>構造に由来するらしいことは早く指摘されたがその原理は説明されずにきた。筆者は近年の研究に学んで複合動詞全体を検討し<他動詞+自動詞>構造の複合動詞は多いが<自動詞+他動詞>構造の複合動詞は特殊な一部に限られることを明らかにした。<他+自>構造の動詞の多くは<自+他>構造の動詞からの派生で受動態による長い語形を避けて自動詞になったのである。後項が自動詞なら主格だけをとる一価動詞で充分だが他動詞は二価動詞なので「立ちあげる」は前後項間で意味がねじれて非文になるのである。
著者
吉野 巌 篠原 宗弘 吉田 典史 高坂 康雅 工藤 敏夫
出版者
北海道教育大学
雑誌
北海道教育大学紀要. 教育科学編 (ISSN:13442554)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.13-23, 2003-09-30
被引用文献数
1

算数・数学的問題解決においては,理解・プラン段階でのメタ認知が課題解決に非常に重要であること,吹き出しなどに思ったことを書くことがメタ認知的モニタリングを促進しうること,などが示唆されている.本研究では,大学生を対象に,数学学習時に吹き出しを用いることがメタ認知的モニタリングを促進し学習に有益な効果をもたらすどうかを実験的に検討することとした.事前調査により被験者を成績上位・下位,学習内容の既習・未習で群分けした上で,吹き出しあり条件と吹き出しなし条件で行列の乗法に関するプリント学習を行わせた後,同じ内容に関するテストを行わせた.この結果,統計的に有意には至らなかったものの,成績下位群の基本問題,並びに既習群の応用問題において吹き出しの効果が認められた.
著者
工藤 浩
出版者
早稲田大学国文学会
雑誌
国文学研究 (ISSN:03898636)
巻号頁・発行日
vol.117, pp.13-24, 1995-10-15
著者
奥川 裕 工藤 恵理子
出版者
東京女子大学
雑誌
東京女子大学紀要論集 (ISSN:04934350)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.131-143, 2009-09

Previous studies have shown that people tend to overestimate the extent to which others can discern their internal states, such that liars tend to overestimate the detectability of their lies (e.g., Gilovich, Savitsky, & Medvec, 1998). In this study, we examined the effect of regulatory focus on the tendency to overestimate the detectability of lies. According to the regulatory focus theory (e.g., Higgins, 1998), prevention-focused people try to avoid failure. We hypothesized that the magnitude of the overestimation of detectability by liars increases when they are prevention-focused rather than promotion-focused. In the experiment, participants were randomly assigned to be an actor (liar) or an observer. Liars overestimated the detectability of their lies by observers and this tendency was more pronounced when liars were prevention-focused.先行研究では、人は自分の内的状態を他者が見透かす程度を過大視する傾向があることが示されてきている。たとえば、嘘をついたときに、嘘をついた人は他者にその嘘を見抜かれる程度を過大視する傾向がある(e.g., Gilovich, Savitsky, & Medvec, 1998)。本研究では、嘘がばれる可能性を過大視する傾向に、制御焦点が与える効果を検討した。制御焦点理論(e.g., Higgins, 1998)によると、防衛焦点にある人は失敗を避けるよう動機づけられる。促進焦点よりも防衛焦点の状態にある人において、嘘をついた人が嘘を見抜かれる可能性を過大視する傾向が大きいと予測し、実験を行った。実験では、参加者は行為者役(嘘をつく役)か観察者役にランダムに割り当てられた。嘘をつく役は観察者役が嘘を見抜く可能性を過大視し、この傾向は防衛焦点にある参加者においてより大きかった。
著者
福澤 太一 西 功太郎 和田 基 佐々木 英之 風間 理郎 田中 拡 工藤 博典 安藤 亮 山木 聡史 石田 和之 仁尾 正記
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.854-859, 2012

呼吸困難を呈した巨大後縦隔成熟奇形腫の1例を経験した.症例は生後4か月,女児.周産期,新生児期に異常は指摘されていなかった.4か月時,発熱と不機嫌を主訴に近医を受診したが,翌朝から哺乳不良,傾眠となり,画像上,右巨大縦隔腫瘍を認め精査加療目的に当科に紹介された.入院時,頻呼吸および陥没呼吸を認め,白血球数30,400/μl, CRP 9.7mg/dlと高度の炎症所見を認めた.胸部CTで右胸腔を占め縦隔を左方へ圧排する最大径9cmの内部に粗大な石灰化を伴う巨大充実性腫瘍を認めた.呼吸循環が保たれていたことから炎症のコントロール目的に待機手術の方針とし,入院から5日目に右開胸縦隔腫瘍切除術を施行した.腫瘍は後縦隔原発と思われ,周囲との癒着は軽度で全摘しえた.摘出標本は9×6.5×6cmで病理組織学的に成熟奇形腫と診断された.術後創感染を合併したが,呼吸循環に関しては合併症なく経過し,23病日に退院した.術後2年再発無く外来経過観察中である.
著者
平岩 裕康 竹内 義則 松本 哲也 工藤 博章 劉 詠梅 大西 昇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.710, pp.195-202, 2002-03-07
参考文献数
14

本報告では,ノートPCとCCDカメラを利用して,視覚障害者が周囲環境を理解するのを支援するシステムを提案する.視覚障害者が周囲環境を理解する上で必要な情報として,本研究では文字情報を扱うこととした.本手法は,ノートPCに取り付けたカメラから静止画像を撮影し,文字および文字列の有する一般的特徴を利用することにより,文字領域を画像内から抽出する.次に,抽出した画像をOCRに入力することによって音声化し,視覚障害者に画像内にある文字情報を伝える.実環境で撮影した400枚の画像に対して実験を行ったところ,全文字列の67.9%が完全に抽出された.また,25.7%の文字列は一部欠けていたが,文字認識されたときに,人間の知識で補うことができる程度の欠落であった.さらに,地下鉄の駅構内においてフィールド実験を行い,有効な情報が提供できることを確認した.
著者
山下 直美 葛岡 英明 平田 圭二 工藤 喬
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.1706-1715, 2014-07-15

本論文の目的はうつ病患者の家族看護者が直面する困難を明らかにし,家族看護者が生活の質を維持するために必要なICT支援について提案を行うことである.そのため我々は,家族のうつ病患者を看護した経験がある成人15名に対面インタビューを行い,分析を行った.その結果,家族看護者が抱える矛盾や葛藤,家族看護者が自身のストレス軽減のために取っている方策,そして情報技術が彼らの日常生活に果たしている機能が明らかになった.この調査結果に基づき,うつ病患者の家族看護者に対するICT支援方法を検討した.In this paper, we aim to uncover the challenges faced by family caregivers caring for a depressed sufferer and consider ways to support their well-being with the use of technology. To understand the burden of caregivers and how they handle their stress, we conducted in-depth interviews with 15 individuals who have cared for a depressed family member. Through the interviews, we describe the multifaceted dilemma they faced. Based on our findings, we suggest design implications for technologies to improve the wellness of caregivers who are looking after depressed family members.
著者
工藤 雄一郎 小林 謙一 山本 直人 吉田 淳 中村 俊夫
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.19, pp.79-84, 2008-03

第20回名古屋大学年代測定総合研究センターシンポジウム平成19(2007)年度報告<第2部> Proceedings of the 20th symposiumon on Chronological Studies at the Nagoya University Center for Chronological Researchin 2007 日時:平成20 (2008)年1月10日(木)~11日(金) 会場:名古屋大学野依記念学術交流館 Date:January10th-11th, 2008 Venue:Nagoya Uhiversity Noyori Conference Hall
著者
山本 英樹 工藤 哲三 水谷 政美 高山 清子 柏田 雅徳
出版者
宮崎県工業技術センター
雑誌
研究報告 (ISSN:13455974)
巻号頁・発行日
no.50, pp.113-116, 2005
被引用文献数
1

焼酎もろみから分離収集し当センターに保存している200株余りの野生酵母より,フラスコスケールの全麹発酵試験において,アルコール生産性が高く,もろみの香気成分が良好な酵母を選抜した。このうち7種類の選抜酵母を使用して甘藷焼酎の小仕込試験を行った。対照として宮崎酵母(MK021)を使用した。選抜酵母を使用したもろみは,アルコール分および純アルコール収得量がMK021よりも高く,実用性の高い酵母であることが示唆された。甘藷焼酎の香気成分については,選抜酵母がMK021に比較してn-プロピルアルコール生成量が少なく,i-ブチルアルコール生成量がやや多いなどの違いがあることが分かった。また選抜酵母の焼酎の酒質は,芋らしさや甘みが強い,まろやか,キレがある,香りが華やかであるなどの特徴があることが分かった。これらの選抜酵母は,焼酎製造における新たな実用菌株として期待されている。
著者
鈴木 堅二 中村 隆一 山田 嘉明 工藤 浩一 宮 秀哉 半田 健壽 若山 由香利
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.339-345, 1994-05-18
被引用文献数
20

脳卒中発症後6ヵ月以内の男性脳卒中片麻痺患者54例(年齢:28〜81歳)を対象として,8週間以上のCAGTプログラムによる歩行訓練を行い,毎週1回最大歩行速度を測定した.対象者を訓練開始時の最大歩行速度により,遅い群(18例,9.9±2.8m/min),中間群(18例,37.3±12.9m/min),速い群(18例,78.4±15.2m/min)に分けた.各群の訓練開始時と8週後の最大歩行速度,両足圧中心移動距離,前後および左右方向への随意的重心移動距離,患側および非患側の等運動性膝伸展筋力を比較し,これらの変数間の関連を検討した.逐次重回帰分析により歩行訓練開始時および8週問後における最大歩行速度の決定因を求めると,開始時に遅い群では年齢,中問群では前後方向重心移動距離比(対足長)であり,速い群では有意な変数はなかった.8週後には決定因は3群とも患側膝伸展筋力だけとなった.脳卒中片麻痺患者の最大歩行速度はこれらの生体力学的要因だけでなく,訓練期間や日常生活における歩行経験の有無によっても影響されることが示唆された.
著者
工藤 健慈 佐藤 季花 関根 優年
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.1, pp.101-109, 2008-01-01
被引用文献数
3

ロボット用画像認識システムを容易に実現するために,ハードウェアオブジェクト(hwObject)モデルを用いたhw/sw複合体システムを提案する.hwObjectモデルでは,FPGAにロードされる仮想回路(hwNet)が既存のソフトウェア開発環境にライブラリとして組み込まれる.本研究では,カラー画像によるステレオマッチング及び追跡動作をするアプリケーションの実装を行った.汎用PCx1, hwModuleボードx1 (200kゲート規模のFPGA x3,ローカルメモリ1MByte x3を実装したPCIボード)の実機テストにて,15[frame/s]の画像処理結果が得られた.複数の仮想回路による並列分散処理で浮いたプロセッサリソースを更に高度で複雑な処理に振り向けることが可能である.
著者
工藤 瑞香 大塚 裕子 打浪(古賀) 文子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.268, pp.41-46, 2012-10-20

本研究は,知的障がい者と健常者のコミュニケーションが成立するような環境づくりのために必要な情報支援の在り方に関する知見を得ることを目的とする.そこで,知的障がい者のコミュニケーションに関する2つの基礎的な分析を行なった.1つは,知的障がい者と健常者が実際に接触する場面のやりとりに関する談話分析で,もう1つは知的障がい者向けの新聞を対象とした「わかりやすい」文章構造や言語表現の分析と考察である.