著者
町田 益己 藤富 正毅 長谷川 健一 工藤 孝浩 甲斐 正信 小林 智彦 上出 貴士
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.755-756, 1999-07-15
参考文献数
5
被引用文献数
6 15

1997年に発生した渦鞭毛藻, Ceratium furcaの赤潮は, 和歌山県から茨城県にかけての太平洋沿岸において極めて広い範囲で認められ, その発生期間は3月下旬から7月下旬までの約4ヶ月間に及んだ。特に, 遠州灘から駿河湾にかけての海域に赤潮が約2ヶ月間継続し, 水産業に多大な影響を与えた。赤潮被害は伊豆半島東部の静岡県網代地区で5月23∿24日に強い低気圧の通過にともなう北東風によって本種細胞が集積し, 養殖していたブリ, マダイ, カンパチ等が斃死する事故が発生した。斃死の原因は細胞の集積とその後の死滅にともなう低酸素化現象と考えられた。本赤潮は発生範囲の規模と持続期間を考えれば, 過去に例のない大規模で特異的な現象であった。
著者
山本 克之 浜岡 隆文 川初 清典 工藤 信樹 清水 孝一
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究は,筋組織酸素濃度計測における皮下脂肪層の影響を系統的に解析し,その影響を除去し得る絶対値計測可能な近赤外分光(NIRS)組織酸素モニタを開発して,本装置の最も効果的な適用分野と考えられるスポーツ医学の分野で,その有効性を実証することを目的とした.1.時間分解法を用いたin vivo計測と多層モンテカルロシミュレーションにより,組織の不均一性を考慮して,筋および脂肪層の平均的な光学特性(吸収係数,散乱係数)を決定した.2.光拡散理論を適用し,吸光度変化と吸収係数の非直線的関係をも考慮した組織酸素濃度算出式を理論的に導出し,その具体的な係数を上記光学特性から決定した.3.脂肪層の影響で近赤外分光法の測定感度が大きく減少するので,測定感度を脂肪厚で補正することにより,均質な系を仮定した上記理論式に適用可能な補正式を決定した.また,安静時の筋酸素消費量を磁気共鳴スペクトル法と試作装置で計測・比較し,補正法の妥当性を確認した.4.NIRSの運動能力の評価法として,トップレベルの選手(ノルディック複合ナショナルチーム,13名)を対象に測定を実施し,高地トレーニングにより筋組織酸素濃度回復速度が6日後で11%,11日後で20%程度増加することを見出した.5.NIRSの筋代謝の評価法として,筋収縮・弛緩に伴う血液量変化から局所的血液酸素飽和度を,筋収縮時の酸素濃度低下率から局所的筋酸素消費量を測定する手法を考案し,1収縮ごとに酸素飽和度と酸素消費量を推定できることを検証した.6.当初の計画を進展させ,200チャネルの受光系を有する組織酸素濃度画像化システムを試作し,膝屈曲・伸展運動時の大腿部各筋の酸素化・脱酸素化ヘモグロビン量,血液量の時空間変化をイメージングすることに成功した.
著者
木村 昌弘 小林 俊三 田中 宏紀 江口 武史 工藤 淳三 杉浦 弘典 杉戸 伸好
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.33, no.9, pp.1729-1732, 2000-09-01
被引用文献数
2

症例は64歳の男性.腹痛を主訴に近医を受診し, 腹痛が増強, 嘔吐も出現したため当院緊急入院.来院時腹部は平坦, 軟であったが全体に圧痛を認めた.腹部単純X線, 小腸造影にて絞扼性イレウスを疑い開腹術を施行した.術中所見は, 回盲弁より約5cmの回腸に狭窄を認め, 狭窄した回腸の腸間膜前葉および後葉にそれぞれ索状物が存在した.索状物の切除により狭窄は解除された.病理検査で, 索状物内の脂肪織に動静脈を認め, 卵黄動静脈の遺残によるmesodiverticular bandと診断した.左右の卵黄血管の遺残によるイレウスの本邦報告例は今回検索した範囲では本症例を含めて2例のみで, 極めてまれと考えられた.
著者
阿保 七三郎 三浦 秀男 工藤 保 当眞 秀夫 池田 利史 中村 正明
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5, pp.377-381, 1980-05-01
被引用文献数
40

日本における食道癌と他臓器との重複癌症例に関する集計報告はこれ迄なされていなかったので, 第23回食道疾患研究会 (1977.10) のさい加入全国施設の御協力をえてその実態を調査した. 報告を戴いた63施設の全食道癌患者数は11,732例でこの中食道の同時性重複癌は251例 (2.1%), 異時性重複癌は136例 (1.5%) を占め圧倒的に男性に多かった. 年齢は50∿60歳代に多く食道との重複癌臓器としては胃が絶対的に多くこの中早期胃癌が約 20% を占めていた. しかし遠隔成績では食道癌治療の困難性に加え, 他臓器癌が重複する関係上その予後は不良で, 特に同時性食道重複癌では1年以内に 72% が死亡していた. 異時性重複癌では初癌が食道癌であったものが約 25% にすぎず他臓器癌先行例が多かったため, 初癌からの予後は同時性重複癌に比べるとやや良好であったが, 食道癌治療時からの予後はやはり不良であった. なお多重複癌症例についても調査した.
著者
加藤 崇雄 小村 国大 沼 健博 宮 恒男 菊池 元宏 那須 大介 金子 貴広 堀江 憲夫 工藤 逸郎 下山 哲夫
出版者
JAPANESE SOCIETY OF PEDIATRIC ORAL AND MAXILLOFACIAL SURGERY
雑誌
小児口腔外科 (ISSN:09175261)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.116-121, 2009
被引用文献数
1

<b>Objective:</b> To elucidate the details of impalement injuries of the oral soft tissue in children, we present a clinico-statistical study of those encountered in a single institution. <br>  <b>Patients and Methods:</b> Children below 13 years old, who visited our oral surgery clinic with the complaint of an impalement injury of oral soft tissue from December of 2001 to February 2009, were included. <br>  <b>Results:</b> Among 248 impalement injuries of the oral soft tissue, the one-year-olds were most affected and the frequency in boys and girls was 146 (59%) cases and 102 (41%) cases, respectively (boy to girl ratio 1.4:1). Toothbrush (81 cases, 33%) was the most frequent object responsible, followed by a stick-like object (59 cases, 24%). The most frequent direct cause of the injury was fall with the object in the mouth (203 cases, 82%). Soft palate (96 cases, 39%) was the most frequent site, followed by hard palate (31 cases, 13%). Most injuries occurred between 18:00 and 21:00 (105 cases, 42%) followed by 21:00 to 24:00 (66 cases, 27%). 162 cases (65%) had a laceration that was smaller than 10 mm. In cases with a laceration that was larger than 10 mm (68 cases, 27%). 148 cases (60%) was treated with antibiotics, 70 cases (28%) without treatment and 30 cases (12%) with suture and antibiotics.
著者
工藤 芳彰 宮内 [サトシ]
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.46, pp.198-199, 1999-10-15

This paper investigates a viewpoint of The Studio about Japanese fine art and craft on exhibit in the Japan-British Exhibition(191O)as foundation work of a study on relationship Western design movements and Japan until the end of the 19c to the beginnig of the 20c. There were 6 articles about painting, ceramic art, textiles and embroidery, wood and ivory carving, metal work, and cloisonne ware. There were various levels from antique to craft for export in Japanese exhibits of the Japan-British Exhibition. Above all, The Studio payed attention to the modification in Japanese contemporary fine art and arts and crafts for the influence of West and the Japanese attitude on the modification.
著者
工藤 高裕 高橋 康弘 高松 巌 涌井 伸二
出版者
公益社団法人日本磁気学会
雑誌
日本応用磁気学会誌 (ISSN:18804004)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.413-417, 2006-05-01

This paper describes a robust design for a capacitance-drive-type linear electromagnetic solenoid (LES) using a quality engineering method and an exclusive dynamic analysis simulator. Reducing the variation in the performance significant by restrains the rise time of the current in the electromagnetic coil. In addition, the current should be kept above a specified level for a certain period. For this purpose, it is important to increase the inductance of the electromagnetic coil. In other words, it is necessary to increase the winding diameter and reduce the number of turns in order to reduce the variation in the performance. The validity of this robust design has been verified by experiments with actual solenoids. Consequently, it provides a high yield ratio.
著者
山田 寛康 工藤 拓 松本 裕治
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.44-53, 2002-01-15

本稿では,機械学習アルゴリズムSupport Vector Machine(SVM)を用いて日本語固有表現抽出を学習する手法を提案し,抽出実験によりその有効性を検証する.固有表現抽出規則の学習には,単語自身,品詞,文字種などを素性として使用するため,その素性空間は非常に高次元となる.SVMは汎化誤差が素性空間の次元数に依存しないため,固有表現抽出規則の学習においても過学習を起こすことなく汎化性能の高い学習が実現できる.また多項式Kernel関数を適用することで複数の素性の組合せを考慮した学習が計算量を変えることなく実現できる.CRL固有表現データを用いてIREX固有表現抽出タスクに対して実験を行った結果,語彙,品詞,文字種,およびそれら任意の2つの組合せを考慮した場合,交差検定によりF値で約83という高精度の結果が得られた.