著者
谷井 章夫 後藤 真孝 片寄 晴弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.82, pp.19-24, 2003-08-04

ミキシングにおけるエフェクタや音量,音像定位の設定情報が異なれば,同じ音素材を用いても,楽曲の印象は大きく異なるため,的確なミキシングを行うには,高度な技能と経験を要する.そのため,アマチュアがミキシングに取り組んでも意図した結果を得ることは難しい.近年,商用音楽制作において,計算機上のソフトウェアを利用してミキシングが行われることが多くなったが,基本的に,ミキシングエンジニアが旧来のハードウェアミキサーやエフェクターを用いて実施していた作業を計算機上で可能にするものであり,技能と経験の乏しいアマチュアがミキシングを行う上での支援はなかった.本研究では,経験豊富なミキシングエンジニアの持つミキシングのノウハウをテンプレート化しておき,経験の乏しいアマチュアが自分の制作過程で再利用できるシステムを提案する.If the setting information on mixing differs, even if it uses the same sound material, the impressions of a musicalpiece differ greatly. For this reason, in order to do exact mixing, high skill and experience are required. Therefore, it is difficult to obtain the result meant although amateur do mixing. In recent years, in commercial music work,mixing was performed more often using the software on a computer. The work which the mixing engineer was doing using ahardware mixer and a effector is enabled on a computer, and there was no support for amateur. In this research, know-how of mixing which a mixing engineer with abundant experience has is template-ized, and the amateur proposes a system reusable in his work process.
著者
後藤 祐一
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.163-207, 2009-06-11

本研究の目的は,NPO,政府,企業間の戦略的協働(以下「協働」と略記)がいかにして形成,実行および展開されるのかを解明することである。分析された事例は,1970年代後半から顕在化したスパイクタイヤに起因する粉塵問題の解決を目的とした協働である。分析の結果,(1)協働アクティビストがアジェンダの重要性を参加者に認識させる場合,協働が促進される,(2)組織のやる気が最も高い組織は,時間の経過とともに交替する,(3)参加者によって能動的もしくは偶然に,3種類の協働の窓がほぼ同時に開かれる場合,協働の実現可能性が高まる,等の仮説命題が支持された。
著者
後藤 英仁
出版者
愛知県がんセンター(研究所)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

Polo-like kinase 1 (Plk1)は、分裂期の様々な現象を制御するタンパク質リン酸化酵素(キナーゼ)である。本研究で、新たに、Plk1のセリン99が分裂特異的にリン酸化されること、このリン酸化修飾依存性に14-3-3ガンマが結合すること、この結合によりPlk1活性が上昇すること、この活性化経路は分裂中期から後期への円滑な移行を制御していることを明らかにした。この分裂期特異的なPlk1のセリン99のリン酸化修飾は、PI3キナーゼーAkt経路によって制御していることも示した。この新規のシグナル伝達経路の解明は、癌の病態の一端を解明するうえで示唆に富む知見といえる。
著者
坪井 伸広 茂野 隆一 首藤 久人 中川 光弘 安藤 義光 小田切 徳美 立川 雅司 後藤 淳子 澤田 守
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

本研究は農村地域活性化の方策を提示することを目的に平成12年度に開始した。本年度は、研究の最終年度で、4年間の研究を総括することを課題とした。この4年間の研究実績はつぎのとおりである(カッコ内は平成15年度実績)。カナダ春ワークショップ参加(2名)、秋研究大会参加、カナダ・フィールド共同調査(日本から4名参加)、日本・フィールド共同調査(随時実施。内カナダから1名参加)、東京ワークショップ開催・カナダ研究者招聘、日本・カナダの農村リーダーの交流(カナダから8名招聘)、4年間の研究成果のまとめRevitalizing Rural Hinterlands : Comparative studies in Japan and Canadaを執筆(13章構成の内11章の草稿を科学研究費の報告書としまとめ、印刷公表した)をした。日本側フィールド調査地は、栃木県上都賀郡粟野町、福島県相馬郡飯舘村で、カナダ側のはオンタリオ州Tweed、ケベック州St. Damaseである。この2地区の調査地を比較対象として選定し、共通の調査項日からなる家族調査を実施したことを特徴とする(報告書第4章、第6章)。農村地域の活性化について得られた知見はつぎのとおりである。日本側の農村に開発が短期間に進められたことのひずみが現れていること、両国の農村ガバナンスの構造再編が進行中であること、両国農村にボランティア組織による活性化への期待が大きいこと、日本では地域資源の活用を柱とする内発的発展を敷指向する課題に取り組まれていること、カナダでは資源依存への脱皮を課題としていること。
著者
後藤 邦夫
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.76-80, 2001-11

2000年10月18日、シドニーオリンピックメインスタジアムでは、世界123カ国から男子3015名、女子1018名合計4033名の選手が集まって、パラリンピックの開会式が繰り広げられた。日本からは151名の選手と89名の役員、総勢240名が選手団を編成し、メダルを目指して自己の限界に挑んだ。 ...
著者
安村 幹央 飯田 辰美 後藤 全宏 岡田 将直 村瀬 勝俊 水谷 知央 二村 直樹 阪本 研一
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.347-351, 2002-03-01
被引用文献数
7

症例は81歳の男性.発熱,腹痛を主訴に来院した.腹部CTで腹腔内のほぼ全域で腸管壁内と思われる嚢胞状ガスを認めた.また,腹腔内遊離ガス,右腎尾側に5×5cm大の充実性腫瘤像を認めた.結腸腫瘍による腸管閉塞,消化管穿孔性腹膜炎と診断し,緊急開腹術を施行した.上行結腸に腫瘍を認め,右半結腸切除を施行した.Treitz靭帯の肛門側120cmから回盲部の口側40cmまでの回腸,左側結腸の漿膜下および腫瘍近傍の腸間膜に嚢腫様気腫性変化を認めた.腫瘍は粘液癌で,se,ly3,v0,n0,ow(-),aw(-),ew(-),stage IIであった.腸間膜の嚢腫様気腫内にも癌細胞が認められた.大腸癌を合併した腸管嚢腫様気腫症(pneumatosis cystoides intestinalis:以下,PCIと略す)の報告は少ない.PCIの成因には大腸癌による腸閉塞状態が関与したと思われた.
著者
後藤田 章人 山口 泰彦 岡田 和樹 松樹 隆光
出版者
日本顎口腔機能学会
雑誌
日本顎口腔機能学会雑誌 (ISSN:13409085)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.93-102, 2007-02-28
被引用文献数
2

本研究の目的は,咀嚼筋活動や顎位など管楽器演奏時の顎機能の特徴を明らかにし,管楽器演奏により顎関節や咀嚼筋へかかる負荷を検討することである.被験者として金管楽器奏者18名,木管楽器奏者12名を対象に管楽器演奏時の咬筋,側頭筋,口輪筋,顎二腹筋の筋電図測定,および下顎切歯点の移動距離の測定を行い,以下の結果を得た.1.口輪筋,顎二腹筋の筋活動量は比較的大きかったが,咬筋,側頭筋の活動量は最大咬みしめ時に比較すると極めて小さかった.2.音量の大小で各筋の活動量に明らかな変化はなかった.3.金管群と木管群の楽器群間では咬筋,側頭筋,顎二腹筋の筋活動量に明らかな差はなかったが,金管群の方が咬筋活動量の個人間のばらつきが大きかった.4.下顎切歯点については,木管群の方が下方への移動量が大きかったが,移動方向の個人間のばらつきは金管群の方が大きかった.以上より,一般的な楽器演奏では閉口筋の緊張は僅かであり,顎関節への圧縮方向の力の負荷は少ない可能性が示唆されたが,個人差の影響についての今後の検討が必要と考えられた.
著者
後藤 真孝 根山亮 村岡 洋一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.1335-1345, 1999-03-15
被引用文献数
22

本論文では シンボル化された音楽情報をネットワークを介して共有するための通信プロトコルRMCPについて述べる. 本研究は 音楽情報処理システムを分散実装したり ネットワークを利用したアプリケーションを実現する際に有効な 音楽情報処理のためのネットワークプロトコルを設計することを目的とする. そのような目的では 音楽情報の効率の良い共有が望ましいが 従来の音楽情報用の関連プロトコルの多くは1対1通信を基本としたコネクション型であり 複数プロセス間での効率的な情報共有は十分考慮されていなかった. RMCPはコネクションレス型であり 全通信をブロードキャストで行うため 各プロセスへ個別に送信するオーバヘッドがなく情報共有の効率が良い. さらにRMCPは リアルタイム音楽情報処理のために タイムスタンプを用いた時間管理の機能を提供し 遠隔地間の合奏のために 信頼性を確保しながら遠隔地間で双方向にパケットを中継する機能も提供している. 本論文では これらの機能を活用することで実現できる 遅延を考慮した新たな形態の遠隔地間の合奏も提案する. RMCPはすでに様々な音楽情報処理システムを実現するために運用されてきた. その経験から RMCPの通信遅延時間が十分小さいことが確認されただけでなく RMCPを用いることで必要な機能が再利用できて実装が容易になり 拡張性が高くなることも確認された.This paper describes a communication protocol, called RMCP (Remote Music Control Protocol), which is designed for sharing symbolic musical information through computer networks. The purpose of this research is to design a network protocol which is suitable for musical information processing and facilitates distributed implementation of music-related applications. Although efficient musical information sharing is desirable for such a purpose, most previous music-related protocols were connection-oriented and did not emphasize efficient information sharing among multiple processes. Since the RMCP is a connection-less protocol, it supports broadcast-based efficient information sharing without the overhead of multiple transmission. It also supports time scheduling using time stamps for real-time musical information processing and reliable bidirectional packet relay for remote sessions. This paper also proposes an innovative remote session over the Internet that has a long delay. RMCP has been utilized in various applications and we found that the communication delay of RMCP was enough small and RMCP facilitated system implementation and expansion because of good reusability.
著者
後藤 正司 張 性洙 石川 真也 黄 政龍 横見瀬 裕保
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.98-101, 2007
参考文献数
7

背景.高齢者やperformance status(PS)不良の肺癌は治療法の選択が難しい.今回,Cisplatin(CDDP)とDocetaxel(DTX)による気管支動脈内抗癌剤注入療法(bronchial arterial infusion, BAI)が著効した,高齢でPS不良の肺扁平上皮癌の症例を経験したので報告する.症例.80歳の男性が,咳嗽,全身倦怠感,食欲低下を訴え受診した.胸部CTでは右肺門に塊状陰影が認められ,気管支鏡検査では右主気管支に腫瘍が認められた.生検で扁平上皮癌と診断されたが,高齢でPSが不良(PS4),呼吸不全も伴っており,CDDP(60mg)とDTX(40mg)によるBAIを施行した.治療により腫瘍は完全に消失し,呼吸状態及びPSも改善し(PS1),BAI後放射線治療の施行が可能となった.結論.CDDP及びDTXによるBAIは,PS不良の肺癌に対して有用な治療の一つと思われた.
著者
宇田 靖 吉田 昭市 後藤 勝利 江頭 宏昌
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.559-562, 2007-12-15
被引用文献数
2

山形県在来のアブラナ科野菜である藤沢カブ(鶴岡市藤沢地区)と雪菜(米沢市上長井地区)およびそれらの漬物製品について特有成分であるグルコシノレート分解生成物をGC-MS分析した.<BR>生鮮藤沢カブでは,主なイソチオシアナート(ITC)は2-フェニルエチル-ITCであり,比較的少量の3-ブテニル-ITCおよび4-ペンテニル-ITCが存在した.しかし,揮発成分の大部分はこれらITCではなく,1-シアノエピチオアルカン類であった.<BR>一方,生鮮雪菜では3-ブテニル-ITCが主なイソチオシアナートであり,これに,比較的少量の4-ペンテニル-ITCと2-フェニルエチル-ITC, 4-メチルチオブチル-ITC, および5-メチルチオペンチル-ITCが検出されたが,生鮮雪菜の場合も藤沢カブと同様にニトリル類が高い割合で検出された.<BR>これに対して,両野菜の漬物では,いずれも生鮮物で多量副生した1-シアノエピチオアルカンの生成がほとんど見られず,ITCが主たる揮発成分となることが示された.したがって,両野菜の漬物はニトリルの生成が劇的に抑制された食物となっている.この点大変興味深い事象であり,このようなニトリル抑制機構については今後なお検討する必要がある.
著者
伊藤 和彦 後藤 真 水沢 彰郎 宮尾 浩美 張 高明 荒川 正昭
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.81-87, 1992-02-20

症例は54才の女性.胸痛・対麻痺のため,1989年7月14日,当科入院.左S6原発肺腺癌,T4N2M1,stageIV,PS4と診断し,CDDP+VDS+IFXによる全身化学療法を行った.悪化の判定で,胸水由来の腫瘍細胞とリンパ球を用いたin vitro sensitized(IVS)細胞による養子免疫療法を行った.その後,化学療法の直後に養子免疫療法を併用し,約半年間quality of life(QOL)を保ちつつ,病態の安定が続いた.養子免疫療法の併用は,重篤な副作用もなく,肺癌の集学的治療の一手法としての発展が期待される.
著者
松本 金矢 森脇 健夫 根津 知佳子 後藤 太一郎 滝口 圭子 中西 良文 磯部 由香
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

教育実践現場やその隣接関連領域の現場で、教材開発研究とその実践を組み合わせた、教員養成のための新たなPBL教育カリキュラムの開発を模索した。開発したPBL教育モデルは、先行研究や実践活動で実績のある拠点校(5校区)を中心に、現場との協働において教育実践に活用された。さらに、海外の教育現場での学びを実現する海外実地研究型PBL教育を導入した。得られた成果は、学会発表(45件)・論文発表(29件)として公開され、関係研究者の評価を得た。
著者
後藤 敏行
出版者
科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.74-86, 2007-05
被引用文献数
2

保存メタデータはデジタル保存の過程を支援,記録する情報である。その種類には,ファイルフォーマットに関する情報,重要属性に関する情報,利用環境に関する情報,固定性に関する情報,技術特性に関する情報,来歴に関する情報,等がある。研究開発の現時点での到達点はPREMISの最終報告書であり,保存メタデータ要素のコアセットを詳細に定義,記述している。相互運用性確保のために,メタデータのエンコードと通信の標準であるMETSでそれらを実装することが望ましい。効率的・効果的な保存メタデータ付与の課題として,保存メタデータの自動生成ツールの開発,リポジトリ間での保存メタデータ共有,デジタル情報作成者側の協力,がある。