著者
成田 悠輔
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

交付申請書に記載した研究計画にほぼ沿った研究が進行している。この研究計画は「人々はそれぞれ異なった時点に生まれ死ぬため、社会的意思決定のための投票が行われる各時点で人々が持つ利害の規模は人それぞれに異なる。そのような状況を明示的に考慮した場合に動学的に望ましい投票制度は何か?」という問いを、世代重複モデル上の動学的投票制度の下で人々がプレイするゲームとして定式化・分析しようとするものである。今年度は人々のインセンティブや戦略的行動を捨象した場合に望ましいと考えられる投票制度を見つけるという予備的理論分析を予定している。この予備的理論分析はすでに終えつつあり、当初の研究計画通りの進捗であると考えている。また、当初の研究計画には含まれていなかった公立学校選択制の制度設計に関する新しい研究に着手し、論文"Promoting School Competition Through School Choice:A Market Design Approach"(小島武仁氏(Stanford大学助教授)、John William Hatfield氏(Stanford大学助教授)との共同研究)をまとめた。この研究は、公立学校選択制の制度選択が公立学校の自己改善インセンティブにもたらす影響を分析し、公立学校に自己改善による競争を促すような公立学校選択制の制度を提案するものである。この論文についてはすでに共著者の小島武仁氏が東京大学経済学部および公正取引委員会で招待講演を行っており、今年度中に英文国際学術誌に投稿する予定である。
著者
仁科 有美子 土屋 貴彦 青木 正紀 山上 賢治 早川 純子 金子 菜穂 西成田 進
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.169-173, 2009-06-30 (Released:2016-03-31)
参考文献数
11

We report a case of 79-year-old woman with an inflammatory aneurysm occurred in a thoracic aorta. The patient was admitted to our medical center because of continuous pyrexia of unknown origin. A marked elevation of serum C-reactive protein level was observed. Infections, collagen vascular diseases and neoplastic disease including malignant lymphoma were found to be unlikely by hematologic, serologic and radiographic examinations. Autoantibodies including antineutrophil antibodies were undetectable. Only enhanced-computed tomography revealed an abnormal finding, so-called mantle core sign, in thoracic aorta, which is specific for inflammatory aortic aneurysm. In general, the disease occurs in abdominal aorta, and the involvement of thoracic aorta like this case is rare. Usually, an aortic aneurysm occurs based on atherosclerotic change of blood vessels, and the aspects of an inflammation of large vessels have been focused recently at the pathological findings, the cytokine profiles and the immunological abnormalities. Thus, the differential diagnosis of the disease from Takayasu arteritis, a prototype of a large vessel vasculitis, is often difficult. The diagnostic procedure to differentiate from the other large vessel vasculitis, Takayasu arteritis and atherosclerotic diseases in abdominal aorta, is discussed. The patient was given oral prednisolone which lead to favorable outcome.
著者
安孫子 忠彦 飯島 英則 小山 明夫 上林 憲行 成田 徳雄
雑誌
情報処理学会研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.87(2003-EIP-020), pp.55-60, 2003-08-28

参与観察手法による入院患者の生活の一日観察を通して入院患者は時間を持て余している事,その家族は忙しい中毎日面会に来ている事などの調査結果を得ることができた.そこで入院患者の生活の質(QOL: Quality Of Life)の向上を目的としたサービスとして,ネットワークとマルチメディアを用いた遠隔コミュニケーションサービスを提案する.PCをベースとし,カメラ,マイク,スピーカ,音声チャットソフトなどを用いてシステムを構築し,利用者誰もが使えるような操作簡略化の工夫を凝らした上で,この遠隔コミュニケーションサービスが実社会の入院患者に対してどれだけ有効であるかを実際のフィールドで実験を行い検証した.

2 0 0 0 OA IV.AKIと薬剤

著者
小林 大介 成田 一衛
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.110, no.5, pp.922-927, 2021-05-10 (Released:2022-05-10)
参考文献数
10

薬剤性腎障害(drug-induced kidney injury:DKI)とは,「薬剤の投与により,新たに発症した腎障害,あるいは既存の腎障害のさらなる悪化を認める場合」と定義される.臨床現場では,治療目的で投与した薬剤がしばしば腎障害を引き起こす.薬剤により,障害のメカニズムや発症様式にある程度のパターンがあり,そのパターンを把握することは有益である.
著者
一條 佑介 小林 光 野﨑 淳夫 成田 泰章 吉野 博
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.25, no.60, pp.777-781, 2019-06-20 (Released:2019-06-20)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2

This study explored the changes of space radiation dose rate both indoor and outdoor associated with a decontamination operation for a wooden house in a low dose area. As a result, the maximum space radiation dose rate measured at 1 m height from the floor inside the house before the decontamination operation was 0.19 µSv/h. The maximum space radiation dose rate after the decontamination operation was 0.12µSv/h. Furthermore, the results of a comparison of the space radiation dose rate between pre- and post-decontamination operation indicate a decrease in the rate at most measurement points, and the average reduction rate of the space radiation dose rate in the post-decontamination operation condition was around 20%.
著者
成田 一
出版者
日本特許情報機構
雑誌
Japio year book
巻号頁・発行日
pp.274-279, 2018
著者
小澤 一仁 佐藤 侑人 成田 冴理
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.124, no.8, pp.575-592, 2018-08-15 (Released:2018-10-10)
参考文献数
177
被引用文献数
1

アルカリ玄武含に普遍的に含まれるスピネルカンラン岩捕獲岩の圧力推定についてレビューを行い,それがどのような理由でいかに困難であるかを共通認識として持てるように,これまで提案されてきた圧力推定方法の問題点をそれぞれの方法について指摘した.さらに,それらの問題をどのようにして解決し,充分な精度を持ったスピネルカンラン岩相の圧力推定方法を確立できるのかについての指針を示した.さらに,その推定値を検証するための方法として,マントル物質がマグマに取り込まれてから急冷するまでの時間スケールと上昇速度を組み合わせた方法を提案し,マグマの上昇に関するこれまでの研究をレビューし,有望な反応過程について考察した.
著者
宮本 仁美 中村 雅道 成田 修 横田 歩 森永 裕幸
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.477-533, 1999-11

この報告は, 第37次南極地域観測隊気象部門が, 1996年2月1日から1997年1月31日まで昭和基地において, 1996年1月23日から1997年1月24日までドームふじ観測拠点において行った気象観測の結果をまとめたものである。観測方法, 測器, 統計等は第36次観測隊とほぼ同様である。越冬期間中に特記される気象現象としては, 次のものがあげられる。1) 昭和基地においては7月から10月にかけて気温が平年より高めに経過し, 特に9月は月平均気温が平年値に比べ6.1℃も高かった。月平均気温は9月と10月に歴代1位の高温を記録した。2) 5月26日から28日にかけて発達した低気圧(ブリザード)に昭和基地が襲われ, 27日には最大風速44.3m/s(歴代3位), 最大瞬間風速61.2m/s(歴代1位)の強風を記録した。3) 昭和基地において, 8年連続で大規模なオゾンホールを観測し, オゾンホールが顕著だった10月, 11月のオゾン全量の月平均値は過去最低を記録した。特に10月の156m atm-cmは, これまで観測された月平均値の中で最小であった。4) 37次では36次に引き続きドームふじ観測拠点において越冬観測を行った。ドームふじ観測拠点における1996年の年平均気温は-54.4℃, 最低気温は5月14日に観測した-79.7℃であった。
著者
成田 徹男 榊原 浩之
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.41-55, 2004-01-10

現代日本語の表記原則では、およそ次の3つの規則がある。規則1:漢語は「漢字」で書け。規則2:和語は「漢字」または「ひらがな」または「両者の交ぜ書き」で書け。規則3:外来語は「カタカナ」で書け。つまり、当該語の、語種の認定が前提となっているのである。 しかし、最近ではこの規則に合致しない、和語や漢語のカタカナ表記例が多くなっている。それをインターネット上の新聞・雑誌などのサイトに見られる実例について調査して、延べで2119語、異なりで855語の例を得た。そのような表記がさかんになされる背景には、語種以外の、語の分類を、表記文字の使い分けの基準とするような意識があると考えられる。そこで、上記のような規則とは別に、次のような表記戦略を仮説として提示する。語種を基準にしてカタカナを使うのは明らかな外来語についてだけ。それ以外については、たとえば動物名かどうか、などの語の分類が基準として優先される。日本語の、文字の使い分けの習慣は、この方向へ変化しつつあると思われる。