著者
杉浦 正利 木下 徹 山下 淳子 滝沢 直宏 藤村 逸子 成田 克史 大室 剛志 大野 誠寛
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

第二言語(外国語)で、読んだり書いたりする際に、単語の連続(連語)をどのように処理しているのかを観察した。読解時の視線をミリ秒単位で記録する視線計測装置による実験で、英語では連語の頻度の差により母語話者と学習者の処理は違うという結果が得られたが、フランス語では頻度の差は影響するが母語話者と学習者で処理に差はなく、ドイツ語では頻度の差は母語話者にも学習者にも影響しないという結果が得られた。また、英文を書く際には、書く過程と書いた結果とでは必ずしも連語は一致しないという結果が得られた。
著者
加藤 駿一 井谷 修 松本 悠貴 大塚 雄一郎 兼板 佳孝 成田 岳 羽田 泰晃 根木 謙 稲葉 理 松村 穣 八坂 剛一 田口 茂正 清田 和也
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.155-159, 2023-06-01 (Released:2023-08-23)
参考文献数
22

心停止蘇生後患者の中でも,目撃の無いものについて,その予後を規定する要因について行われた先行研究は極めて少ない.そこで,目撃の無い心停止蘇生後患者の予後を規定する要因について調査した.2015 年 1 月~2019 年 5 月に入院した病院外心停止蘇生後患者のうち目撃例のない症例の生命学的・神経学的予後を規定する予測要因について,後ろ向きに調査した.解析対象例は 857 例であった.解析の結果,目撃の無い院外心停止蘇生後患者の生命学的・神経学的予後を良好にする予測因子として,年齢が若いこと,搬送中の心拍再開があること,発見者による胸骨圧迫が行われていること,初期波形ショックの適応があることであった.以上の結果を考慮し,救命率向上のための方策を検討すべきと考える.
著者
成田 紀之
出版者
一般社団法人 日本顎関節学会
雑誌
日本顎関節学会雑誌 (ISSN:09153004)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.85-92, 2014-08-20 (Released:2014-10-01)
参考文献数
18

口顎ジストニアは,顎・舌・顔面の持続的な異常筋活動を特徴として,咀嚼,嚥下,ならびに開口の障害,食いしばりを引き起こす。口顎ジストニアの病因には,遺伝子素因,中枢神経の損傷,末梢性外傷,服薬,代謝性疾患,あるいは中毒や神経変性疾患などが挙げられる。口顎ジストニア治療における第一選択肢はボツリヌス神経毒素を用いた治療であり,咬筋,側頭筋,あるいは外側翼突筋へのボツリヌス毒素の応用により,口顎ジストニアの約60%に咀嚼ならびに会話の改善がもたらされる。また,薬物治療では,抗コリン製剤,ベンゾジアゼピン製剤,抗痙攣薬などが応用されている。口顎ジストニアに認められる感覚トリックは,たとえば口唇あるいはオトガイをそっと触る,ガムを噛む,話をする,楊枝を咬むなどして,ジストニア症状が一時的に軽快することであるが,このとき,ボツリヌス毒素治療と同様にして,感覚トリックによっても,感覚運動皮質の活動性に変調が生じえる。口顎ジストニアは,うつ,不安,強迫性障害,ならびに統合失調症といった精神障害と共存しており,これら口顎ジストニアの精神心理的側面は臨床診断を難しくする。最近のわれわれのデータは,口顎ジストニア患者におけるボツリヌス毒素治療が,ジストニックな異常筋活動の軽減ばかりか痛みや精神病理の緩和に有効であることを示唆している。本論文は,包括的な理解を目的として,口顎ジストニアの治療について概説するものである。
著者
辻村 卓 日笠 志津 根岸 由紀子 奥崎 政美 竹内 周 成田 国寛
出版者
公益社団法人 日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.10, pp.497-502, 2005-10-25 (Released:2017-10-10)
参考文献数
18
被引用文献数
5

Japan used to be an agricultural country, which traditional agricultural method has been organic farming. Health of farmers, environmental preservation and fertility existed at that time. The fact that the introduction of agrichemicals and fertilizers has rapidly expanded production output must be appreciated but many advantages of organic farming were lost. Organic farming primarily aims at environmental preservation and sustainable agriculture. In this report, lettuce (Lactuca saliva L.), KOMATSUNA (Brassica campestris L. var. komatsuna MATSUM) and spinach (Spinacia oleracea L.) were analyzed. For each vegetable, organically and conventionally grown agricultural products were obtained. We carried out the analysis of nutrient compositions and compared and examined the organically and conventionally grown agricultural products. In samples cultivated in multiple prefectures for this study, the difference caused by various cultural conditions could not be recognized in terms of moisture, ash content, minerals, vitamins and free amino acids contents. The data did not show any nutritional superiority of organically grown agricultural product.
著者
鈴木 則子 脇田 晴子 平 雅行 梅澤 ふみ子 久保田 優 武藤 武藤 三枝 暁子 成田 龍一 武田 佐知子 小林 丈広 白杉 悦雄 谷口 美樹 福田 眞人 脇田 修 濱千代 早由美 長 志珠絵 尾鍋 智子 菅谷 文則 山崎 明子 加藤 美恵子 栗山 茂久
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、日本の歴史のなかで女性の周縁化(地位の劣化)が進行していく過程を、女性の身体に対する認識の歴史的変化に着目しつつ、医学・衛生・宗教・地域・出産/月経という主として五つの側面から検討を加えた。伝統的医学と近代医学それぞれの女性身体観、近代衛生政策における女性役割の位置づけ、仏教と神道の女性認識の変遷、血穢などに対する地域社会の対応の形成等について明らかにしえた。
著者
竹内 伸直 中鉢 憲賢 成田 憲一 本間 規泰 高橋 忠利
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.116, no.6, pp.719-724, 1996-05-20 (Released:2008-12-19)
参考文献数
8
被引用文献数
3 3

To examine the possibility of electromagnetic precusor preceding an earthquake the vertical earth potential difference (EPD) has been observed continuously at an urban area. Iregularily continued pulses had been observed for several hours before and after the Off East Hokkaido earthquake. We have referred both a series of signals of the terrestrial magnetism and the lightning location (LLP) map. No significant signal is recognized on those of terrestrial magnetism, however, severe lightning flashes occured over the Japan Sea at this time. To clarify the cause of the EPD pulse signal, the LLP map and the radar echo map are shown in the case of (a) near lightning flashes (b) far lightning flashes (c) the Off East Hokkaido earthquake. The signals in the cases of (b) and (c) are similar, therefore, the pulses are detected by the far lightning electromagnetic change. The LLP map must be referred to examine electromagnetic precusors of an earthquake. The EPD signal generated by propagating seisamic wave is also recorded.
著者
早川 兼司 三星 知 須藤 晴美 忰田 亮平 成田 一衛
出版者
一般社団法人 日本腎臓病薬物療法学会
雑誌
日本腎臓病薬物療法学会誌 (ISSN:21870411)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.173-177, 2022 (Released:2022-08-13)
参考文献数
8

CKD患者に対する腎排泄型薬剤の処方は過量投与による副作用リスクが高く、処方監査時には特に注意を要する。病院と診療所では腎機能に対して過量投与が疑われる薬剤の種類が異なる可能性があり、その特徴について調査した。2018年4月から5月に入院した1,630名の中から、除外基準に該当しなかった1,049名の持参薬について、改定45版腎機能別薬剤投与方法一覧に基づき、推奨される投与量よりも過量だった場合に過量投与疑いありと定義した。過量投与疑いがあった患者は66名(6.3%)、過量投与疑いのあった薬剤数は75剤であった。過量投与疑いあり群はCKDステージ2–3群では病院が34薬剤(58%)、CKDステージ4–5群では診療所が10薬剤(63%)を占め、CKDの進行に伴い診療所での過量投与が増加する傾向を認めた。薬効別ではH2遮断薬が11件、糖尿病治療薬が8件、抗アレルギー薬が8件、高尿酸血症治療薬が8件、抗菌薬が7件と過量投与疑いの件数が多かった。糖尿病治療薬の過量投与疑いは病院が有意に多く(P = 0.03)、抗精神病薬の過量投与疑いは診療所が有意に多かった(P = 0.03)。抗菌薬の過量投与疑いはCKDステージ2–3群において診療所が多い傾向を認めた(P = 0.17)。この結果は処方元医療機関の違いにより、腎機能低下時に注意すべき薬剤が異なる可能性を示した。これらを把握することで病院における持参薬の鑑別や保険薬局における処方監査の質を向上させると考えられる。また、過量投与疑いのあった薬剤は、日常的に処方されるものが多かったことから、処方監査時は薬剤の種類を限定せず腎機能を把握しておく必要がある。CKDシールや、院外処方箋への検査値印字、病院と保険薬局の情報共有による薬薬連携により、腎機能の指標となるデータを処方元医療機関もしくは患者本人から確認し調剤を行うことが、薬剤師業務の質を向上させCKD患者における安全な薬物療法を向上できる可能性がある。

3 0 0 0 成田市史

著者
成田市史編さん委員会編
出版者
成田市
巻号頁・発行日
1972
著者
福住 仁 池田 孝則 成田 裕久 田窪 孝年 松田 卓磨 谷口 忠明
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.127, no.6, pp.495-502, 2006 (Released:2006-08-01)
参考文献数
29

フィナステリドは5α-還元酵素II型(5αR2)の阻害薬で,頭皮や前立腺などの標的組織において,テストステロン(T)から,ジヒドロテストステロン(DHT)への変換を選択的に阻害する.フィナステリドの5αR2阻害作用の選択性は高く,ヒト由来5α-還元酵素I型(5αR1)とヒト由来5αR2で比較した場合,約120~600倍であった.DHTは男性型脱毛症(Androgenetic Alopecia:AGA)の主な原因として知られており,したがって,DHTの生成を阻害することでAGAを改善できると考えられた.また,フィナステリドはアンドロゲン,エストロゲン,プロゲステロン,グルココルチコイドおよびミネラルコルチコイド受容体に対するin vitroにおける親和性を示さず,また,in vivoにおける直接的なエストロゲン様作用,抗エストロゲン作用,ゴナドトロピン分泌抑制作用,アンドロゲン様作用,プロゲスチン様作用および抗プロゲスチン作用を示さなかった.AGAモデル動物であるベニガオザルにフィナステリド(1 mg/kg/day)を6ヵ月間経口投与したところ,毛髪重量と毛包の長さは増加し,ヘアサイクルにおける成長期の毛包が増加した.AGAの男性を対象とした48週間の本邦臨床試験で,投与前後の写真評価および患者自己評価により有効性を評価した結果,フィナステリド1日1回0.2 mgおよび1 mg群の有効性はプラセボ群に比べて有意に優れ,忍容性は良好であった.外国臨床試験において,頭頂部の脱毛症に対する5年間にわたるフィナステリド1 mg投与はおおむね良好な忍容性を示し,頭髪を改善した.また,フィナステリド1 mgは前頭部の脱毛症においても頭髪を改善し,別の外国臨床試験では,ヘアサイクルを改善した.フィナステリド(0.2 mgおよび1 mg)は5αR2の選択的阻害という作用機序に基づいて明らかな有効性を示し,長期投与時の安全性も高いことから,男性における男性型脱毛症用薬として有用な薬剤になると考えられる.
著者
野崎 淳夫 成田 泰章 二科 妃里 一條 佑介 山下 祐希
出版者
一般社団法人 室内環境学会
雑誌
室内環境 (ISSN:18820395)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.33-44, 2015 (Released:2015-06-01)
参考文献数
21
被引用文献数
4

本研究では,24時間換気装置が設置された一般住宅において,1)開放型石油暖房器具(石油ファンヒーター)使用時の室内汚染物質濃度を実測調査により明らかにし,次に2)大型チャンバーを用いて,実測調査で使用した石油ファンヒーターの汚染物質発生量を求めた。結果として,1)実測調査から器具使用時にはヘプタン,トルエン,オクタン,ノナン,デカン,ノナナール,ウンデカン,デカナール,ドデカン,トリデカン,テトラデカンなどの室内濃度が上昇し,特にデカン類の室内濃度が上昇した。また,NO2濃度は器具使用50分後に395 ppbに達し,大気汚染防止法による大気環境基準の6.6倍の値が測定された。2)実測調査で器具使用時に確認されたエタノール,アセトン,トルエン,ヘプタンは,建材や日用品などに由来する。3)チャンバー実験により,テストした石油ファンヒーターからはオクタン,m, p-キシレン,o-キシレン,ノナン,1,2,4-トリメチルベンゼン,デカン,ウンデカン,ドデカン,トリデカン,テトラデカン,ペンタデカンの発生があり,また器具非使用時においても,オクタン,m, p-キシレン,ノナン,デカン,ウンデカン,ドデカントリデカンなどが発生していた。4)石油ファンヒーターの燃料消費量率は,器具使用開始から10分間が最も大きく,他の時間帯の2.15~2.87倍を示した。5)燃料単位重量当たりの石油ファンヒーターのTVOC発生量は0-10分値と10-20分値で,それぞれ90,317と858,204 μg/kgであった。
著者
山本 浩史 成田 卓也 山浦 玄武 石橋 和幸 山本 文雄 山本 浩史 千田 佳史 向井田 昌之
出版者
秋田大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

平成19年度の研究計画として(1)血流量と電磁誘導効果によって発電された電流量の研究(2)電磁誘導コイルの作製(3)電磁誘導コイルの挿入手技の開発とした。しかし進行の遅れと変更が生じた。誘導起電力が極めて小さく、蓄電およびペースメーカー電源としては不充分な電力しか得られないことが根本的な問題であった。また高冠動脈圧での大動脈圧の加速度的変動が起電力の源となるが、かなり高い大動脈圧では、冠動脈の圧力により心筋コンプライアンス(主として拡張機能)が大きく影響を受けることがわかってきた(coronary turgor effect)。さらに開心術中に心筋が受ける虚血再灌流傷害は、冠動脈内圧力が心筋に与える影響を増強するらしいこともわかってきた。そこで日常、遭遇する肥大心筋の場合はどうような影響を受けるかを調べることにした。これは高い圧力(高血圧)が加速度的に生じる場合の起電力評価の前に、心機能に与える影響を評価することを意味している。ラットの肥大心モデルを作成し、ランゲンドルフ摘出灌流とし、逆行性冠灌流の圧力を変化させた。左室内に留置したバルーンを用いて左室拡張末期圧(心筋コンプライアンスとしての指標)を虚血再灌流の前後で測定した。冠動脈内圧が100mcmH_2Oと150cmH_2Oおよび冠動脈遮断(0cmH_2O)下の左室拡張末期圧を測定した。冠動脈圧の変化は肥大心筋でより大きな影響を受けるが、特に虚血再灌流後ではその影響が著しく大きいことがわかった。電磁誘導を利用した起電力を得るための血圧の加速度的変化は高血圧下では心機能に悪影響を与える可能性が出てきた。
著者
望月 明見 小池 純子 成田 伸 田村 敦子 橋爪 祐美
出版者
自治医科大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

初年度より2018年までで「受刑経験のある母親と子どもとの関係性再構築と女性の社会復帰後の体験」の調査に取り組み、質的分析に時間を要した。2019年は、「受刑経験のある母親と子どもとの関係性再構築と女性の社会復帰後の体験」研究の質的研究の分析から【受刑経験のある女性の社会復帰における子どもとの関係の問題】を明らかにした。その問題とは、①経済的な問題で自立して養育が困難②子どもと分離したことによる絆(つながり)の減少・複雑化③人への不信感からの社会的孤立:社会に助けを求めない④パートナーとの関係を重視するため社会復帰に影響する⑤(薬物依存者の場合)薬物との関係性のあるつながりを切ることが難しい、ということを明らかにした。また、この結果と先行研究との知見を合わせ、【受刑経験のある女性の養育に関する問題点】について、更に検討を重ねた。その結果、1.親子分離、親子分離継続による母子間の絆・愛着の希薄、2.親準備性の問題(知識と体験の欠如)、3.世代間伝達(モデルの欠如)、4.母親である者の心身の状況(精神疾患や依存症の回復)、5.孤立した養育環境(資源へのアクセス困難)、6.経済的自立(養育環境の準備)の困難、7.子ども側の問題、8.受刑中に子どもを養育していた者との感情的問題、9.新しいパートナーを得た場合の問題、があることを導き出した。これらの知見は、第60回日本母性衛生学会学術集会や、第75回助産師学会で発表を行った。さらに、これらの受刑経験のある女性の養育に関する問題をふまえて、「子どもを持つ女子受刑者の子どもとの関係性の実態とその支援ニーズに関する研究」で使用する自作の質問紙作成を行い、次年度の調査のための準備を行った。
著者
秦 俊貴 清野 諭 遠峰 結衣 横山 友里 西 真理子 成田 美紀 日田 安寿美 新開 省二 北村 明彦
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.477-492, 2021-07-15 (Released:2021-07-20)
参考文献数
58

目的 本研究の目的は,食品摂取の多様性を向上させるための10食品群の摂取チェック表(以下,食べポチェック表)について,使用した効果を明らかにする。方法 東京都大田区において実施した2016年と2018年の郵送調査に応答した65-84歳の8,635人を対象とした。2017年7月より大田区において,協力の得られたスーパーマーケットなどの機関に設置する等の方法で普及させた食べポチェック表について,2018年にチェック経験を尋ね,「習慣的にチェックしている」,「チェックしたことがある」と回答した者をチェック経験あり群に分類した。2016年の人口統計学的変数,社会経済的変数,身体的変数,医学的変数,生活習慣関連変数および食品摂取多様性スコア(DVS)の計37の共変量から傾向スコアを算出し,チェック経験あり群となし群の比を1:1としてマッチングし,2年間のDVSの変化をチェック経験あり群となし群各876人について二元配置分散分析を用いて比較した。また,2018年のDVS 3点以下および7点以上を従属変数として,チェック経験なし群に対するあり群の多変量調整済みオッズ比(OR)を多変量調整ロジスティック回帰分析にて算出した。結果 2018年に食べポチェック表のチェック経験があると回答した者の割合は11.9%であった。マッチング後のチェック経験あり群となし群のDVSの平均値±標準偏差は,2016年ではそれぞれ3.9±2.2点,3.9±2.3点,2018年ではそれぞれ4.5±2.4点,4.1±2.4点であり,チェック経験と時間による有意な交互作用が認められた(P<0.001)。2018年でのチェック経験あり群となし群のDVS 3点以下割合は,それぞれ35.2%,43.8%であり,DVS 7点以上割合は,それぞれ21.7%,16.8%であった。チェック経験なし群に対するあり群の2018年のDVS 3点以下のOR(95%信頼区間)は0.68(0.56-0.83)であり,2018年のDVS 7点以上のOR(95%CI)は1.40(1.10-1.78)であった。結論 食べポチェック表の普及とその活用により,高齢者の食品摂取の多様性が向上した可能性が示された。ただし,チェック表を使用した場合でも,欠食や社会的孤立,社会参加がないこと,およびフレイル傾向がある場合は食品摂取の多様性は向上しにくいことが示唆された。