4 0 0 0 OA 多精巣症の1例

著者
水流 輝彦 影山 進 成田 充弘 岡田 裕作
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.101, no.6, pp.738-741, 2010 (Released:2012-03-16)
参考文献数
11

28歳,男性.左陰嚢内無痛性小腫瘤を主訴に受診.身体所見では左精巣上体尾部に無痛性腫瘤を触知し,精巣・精管は正常であった.超音波検査にて精巣実質と等信号の内部均一な径16mmの球状の腫瘤を認めた.左精巣上体腫瘍の診断で陰嚢切開を行った.腫瘍は精巣上体尾部近傍に位置し,精巣白膜のような白い膜で覆われていた.術中迅速標本では悪性変化を認めない精巣組織であり,多精巣症と診断された.精巣上体,精管との交通がなかったため余剰精巣は摘除された. 多精巣症は比較的まれな先天奇形であり,文献的には海外も含めると100例以上の報告がある.余剰精巣の手術摘除の適応に関しては一定の見解はない.陰嚢内に余剰精巣が存在する場合は術中の生検所見で異形成を認めた際は摘除が推奨される.余剰精巣が温存された際は慎重に定期的な診察と超音波検査が必要である.しかし,陰嚢外に存在する余剰精巣は悪性化の危険性が高くなるため摘除が必要である.
著者
成田 健一 三上 岳彦 菅原 広史 本條 毅 木村 圭司 桑田 直也
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.403-420_1, 2004-05-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
31
被引用文献数
33 30

新宿御苑を対象に夜間の冷気の「にじみ出し現象」の把握を主眼とした微気象観測を夏季約7日間連続して行った.緑地の境界に多数の超音波風速温度計を配置し,気流の直接測定から「にじみ出し現象」の把握を試みた.その結果,晴天かつ静穏な夜間,全地点でほぼ同時に緑地から流出する方向への風向の変化と約1°Cの急激な気温低下が観測された.にじみ出しの平均風速は0.1~0.3 m/sで,にじみ出し出現時にはクールアイランド強度が大きくなる.このときの気温断面分布には流出した冷気の先端に明確なクリフが現れ,その位置は緑地境界から80~90 mであった.このような夜間の冷気の生成に寄与しているのは樹林地よりも芝生面で,芝生面は表面温度も樹冠より低い.芝生面の顕熱流束は夜間負となるが,にじみ出し出現夜はほぼゼロとなる.すなわち,クールアイランド強度の大小と大気を冷却する効果の大小は,別のものと考えるのが妥当である.
著者
成田 真由美 川本 思心
出版者
科学技術コミュニケーション教育研究部門 : CoSTEP
雑誌
CoSTEP Report
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, 2022-04

北海道では、過去に「研究のため」と称して大量のアイヌ遺骨を、アイヌの方々が管理する墓地から発掘・収集することを容認する社会的な環境があった。差別と偏見に抑圧されたアイヌ民族は、1970年代から一部のアイヌの方々が中心になり、自らのアイデンティティを確立しようとする「アイヌ民族活動」を展開する。しかし、現在も姿を変えて差別や偏見は残っていると言わざるを得ない。私は、CoSTEP研修科に所属し、アイヌ遺骨を巡る諸問題に関して関係者へのインタビューを通じて、過去の研究が現在にもたらした「負の側面」に、それぞれの立場で、どのように向き合っているのか伺うことにした(成田・川本2020;2021)。本稿はアイヌ遺骨問題に関する関係者インタビューの第3弾となる(成田・川本2022a;2022b)。私にできることを探す第1歩とするために。このレポートでは、北海道に居住しているアイヌ民族を主な構成員とした公益社団法人北海道アイヌ協会(以下、「北海道アイヌ協会」)の事務局長を2015年に定年退職した竹内渉氏に行ったインタビューについて報告する。竹内氏は「アイヌ民族解放運動」を牽引したアイヌ解放同盟の結城庄司代表(1938-1983)の行動を間近に見ており、その思想も理解されている。また、竹内氏は非アイヌであるが、現在もアイヌ・コミュニティの一員として生活されており、非アイヌがアイヌの抱える問題の解決にどのように協働できるか、または求められるものは何かなどもお伺いした。まず第1章でインタビューおよび公開までの概要を説明した。続く第2章では、インタビューの概要を記載した。そして第3章ではインタビューの詳細を大まかな内容ごとに節に分けて掲載した。第4章ではインタビューで触れた事例や団体の概要を補記した。
著者
成田 真由美 川本 思心
出版者
科学技術コミュニケーション教育研究部門 : CoSTEP
雑誌
CoSTEP Report
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, 2022-04

「研究のため」に発掘・収集され、全国の大学が保管していたアイヌ遺骨が民族共生象徴空間(ウポポイ)に併設された慰霊施設に集約された。慰霊施設は、遺骨がアイヌの方々に返還されるまでの間、尊厳のある慰霊を実現し、適切な管理を行うための施設であるとされている。しかし、返還されたアイヌ遺骨はごく一部である。研究の名のもとに大量に発掘・収集され、現在も解決していないアイヌ遺骨問題は、研究が社会に及ぼした「負の側面」を扱う、科学技術コミュニケーションの重要なテーマである。私は、CoSTEP研修科に所属し、アイヌ遺骨を巡る諸問題に関して関係者へのインタビューを通じて、過去の研究が現在にもたらした「負の側面」に、それぞれの立場で、どのように向き合っているのか伺うことにした(成田・川本2020;2021)。遺骨を持ち去られたアイヌの方々の悲しみと怒りを受け止めることが必要であると考えた本稿は、アイヌ遺骨問題に関する関係者インタビューの第2弾となる(成田・川本2022a;2022b)。このレポートでは、強制労働、強制移住を受けたアイヌの子孫であり、平取アイヌ遺骨を考える会の共同代表である木村二三夫氏から、遺骨の返還を求める当事者の声を報告する。まず第1章でインタビューおよび公開までの概要を説明した。続く第2章では、2020年9月25日の本インタビューを中心に、今までの木村氏の講演やラジオ等の内容も参考にし、その主張を要約した。そして第3章ではインタビューの詳細を大まかな内容ごとに節に分けて掲載した。最後の第4章では、木村氏の主張の拠り所のひとつともなる資料『一通の嘆願書』についてまとめた。
著者
成田 健一 下仲 順子 中里 克治 河合 千恵子 佐藤 眞一 長田 由紀子
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.306-314, 1995-09-30
被引用文献数
22

The purpose of this study was to examine the reliability and validity of a self-efficacy scale (SES : Sherer et al., 1982) using a Japanese community sample. The SES comprised 23 items measuring generalized self-efficacy. The SES and other measures were administered to a total of 1524 males and females whose ages ranged from 13 to 92. Exploratory factor analyses were conducted separately for sex and age groups and the factor structures obtained from these were compared. The results revealed a clear one-factor solution for the sample as a whole. A similar one-factor structure was obtained across sex and age groups. The SES was found to have satisfactory test-retest reliability and internal consistency. The correlations of the scores on the SES with other measures, such as depression, self-esteem, masculinity, and perceived health, provided some supports of construct validity. Some evidences of the construct and factorial validity of the SES in the Japanese community sample were found.
著者
加々美智 成田浩
出版者
日本磁気共鳴医学会
雑誌
第42回日本磁気共鳴医学会大会
巻号頁・発行日
2014-09-11

【背景】過去のMRI安全の報告によると、遠赤外性を謳ったインナーにおいて、火傷の報告や画像への影響が報告されている。また、衣服の装飾品や、クリーニング後のホッチキスの芯が画像に影響を及ぼす可能性は知られている。MRI検査時に検査着に着替えさせ検査を行うことが推奨されているが、インナーは身につけたままで検査を行っているケースは多い。2003年に株式会社ユニクロよりヒートテックが発売されて以来、保温インナーは世界中で広がっている。また、各衣服メーカーより類似製品が販売され始め、国内では多くの方がヒートテックや類似製品を着用している。【目的】MRI検査時に患者が着用している保温インナーが、画像や人体に及ぼす影響について基礎検討をすることを目的とした。【使用機器】(株)日立メディコ社製1.5TMRI装置ECHELON OVALを用い、本体付属ファントムとNVコイル、保温インナーや、一般的なインナーなどを用いた。【実験方法】コイル中心にファントムを配置し、SE法、およびGE法において検討を行った。ファントムには温度計を張り付け、何も巻き付けない、一般的な肌着、保温下着、スポーツインナーなど巻き付け素材を変更し、5種類の撮像を行った。また、巻き付け回数を変化させ撮像を行った。撮像開始は、ファントムの流動がなくなるように20分以上待機してから撮像を行った。検討方法は差分法を用いてSNRを測定し、t検定を行った。【結果】肌着の種類や巻き方に応じてGE法ではSNRの低下がみられ、5%以下で優位に差が生じた。【まとめ】検討によりインナーの材質、厚みによってはMRI信号に影響を及ぼし、患者の体温を上昇させる可能性が示唆された。厚生労働省のSARに関する記載では、患者の温度変化に関して、第一次水準管理操作モードで1度以上の変化がないことや、体温の最大値は規定されている。保温インナーはこれらの規格を超える恐れがあり、注意が必要である。
著者
成田 雅子 信本 聖子 竹田 博 森山 友恵 森田 美範 中岡 祐司
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.64, no.7, pp.535-539, 2011-07-20 (Released:2017-05-26)
参考文献数
13
被引用文献数
6 12

北海道帯広市のばんえい競馬場で2004年12月から翌年3月,191頭の重種馬(在厩馬の約3割)に発熱と食欲不振の症状がみられた.発症馬21頭中14頭の発症時と回復時の組血清で牛コロナウイルスに対する中和抗体価の有意な上昇が認められ,発症馬の糞便から馬コロナウイルスNC99株の遺伝子ときわめて相同性の高い遺伝子が検出された.一方発症馬の鼻汁と糞便からコロナウイルス以外の既知病原体と遺伝子は検出されず,発症馬21頭の血清学的検査で馬ヘルペスウイルス1型,馬インフルエンザウイルス,ゲタウイルス,馬ロタウイルス,馬鼻炎Aウイルス,馬アデノウイルス,馬動脈炎ウイルス,腺疫,馬パラチフスに対する有意な抗体価の上昇は認められなかった.以上のことから今回集団発生した疾病は馬コロナウイルスの感染により起こされたことが疑われた.
著者
成田 健太郎
出版者
埼玉大学教養学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教養学部 = Saitama University Review. Faculty of Liberal Arts (ISSN:1349824X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.149-176, 2020

This paper is the third and last part of an annotated English translation of the section “Calligraphy 書” of the Taiping yulan 太平御覽.
著者
成田 瑞穂
出版者
日本イスパニヤ学会
雑誌
HISPANICA / HISPÁNICA (ISSN:09107789)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.54, pp.85-101, 2010-12-25 (Released:2011-02-21)

Este artículo estudia los motivos fantásticos del cuento Aura, buscando los puntos en común con otros cuentos del mexicano. Fuentes describe en Aura otro mundo cuya idea de tiempo no es lineal enfatizando su diferencia con el mundo cotidiano. En este otro mundo Felipe experimenta la muerte simbólica a través de contacto sexual con Aura y renace al mirarse en el espejo, motivo que refleja su nueva identidad. El proceso de renacimiento está contado por el narrador desde la segunda persona gramatical con tiempo verbal futuro, lo que funciona para que la novela total tenga estructura circular. Motivos como la invasión al otro mundo, la disolución de la identidad propia con el contacto sexual y el narrador que conduce el tiempo circular son comunes en los cuentos “fantásticos” de Fuentes, en que todo está en proceso de transfiguración y nunca se acepta el final fijo.
著者
三坂 育正 成田 健一
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.32(第32回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.119-124, 2018 (Released:2018-12-07)
参考文献数
12

屋外空間を利用する際に適した温熱環境条件を抽出する手法を確立することを目的として,温熱環境と人の生理・心理指標,作業効率に関する実験を行った。暑熱環境対策により、温熱快適性の向上や人体生理・心理反応への効果を検証することができたが、作業効率の向上については確認できなかった。また、作業時は着座時に比べて作業に集中することが想定され,温熱環境や人体生理に変化が生じた状態でも感度が低下する傾向が推測された。実験結果より,屋外空間で推奨される温熱環境は,空間の利用目的によって異なる可能性があることが推察された。
著者
三成 美保 姫岡 とし子 小浜 正子 井野瀬 久美恵 久留島 典子 桜井 万里子 小川 眞里子 香川 檀 羽場 久美子 荻野 美穂 富永 智津子 桃木 至朗 成田 龍一
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の主な成果は、以下の3つである。①三成・姫岡・小浜編『歴史を読み替えるージェンダーから見た世界史』2014年と長野・久留島・長編『歴史を読み替えるージェンダーから見た日本史』2015年の刊行。②前者(『読み替える(世界史編)』)の合評会を兼ねた公開シンポジウムの開催(2014年7月)。③科研費共同研究会(比較ジェンダー史研究会)独自のウェブサイト(http://ch-gender.jp/wp/)の開設。このウェブサイトは、『読み替える』の情報を補足すること及びジェンダー史WEB事典として活用されることをめざしている。また、高校教科書の書き換え案も提示している。
著者
大道 雅英 鴻池 紗耶 山田 祐司 髙橋 陽 成田 昌広 青沼 架佐賜 宗像 康博 山本 直樹 杉本 典夫
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.140-148, 2017 (Released:2017-03-24)
参考文献数
22
被引用文献数
6

【目的】進行がん患者の生物学的予後スコアBiological Prognostic Score(BPS)2版,3版を開発し,予測精度を確かめた.【方法】がん治療を終了または差し控えた進行がん患者で血液検査値,performance status(PS),臨床症状,年齢,性別,がん種を変数とするパラメトリック生存時間解析を行い,BPS2,BPS3を開発した.次に,前向きにBPS2,BPS3とPalliative Prognostic Index(PPI)の精度を比較検証した.【結果】開発群589例よりBPS2,BPS3を開発した.前者はコリンエステラーゼ,血中尿素窒素,白血球数から算出し,後者はBPS2,ECOG PS,浮腫から算出した. 検証群206例で3週,6週生存予測の全体正診率は,BPS2,BPS3がPPIより有意に優れていた.【結論】BPS2,BPS3の有用性が示唆された.
著者
成田 麻衣子
出版者
昭和女子大学
雑誌
昭和女子大学大学院日本語教育研究紀要
巻号頁・発行日
vol.2, pp.83-89, 2004-04-30

本稿では、「ケド」に含まれる話し手の気持ち・「ケド」で終わることによる機能・「ケド」が表れた後の聞き手の反応について明らかにしたいという目的で分析を行った。本稿は、日本語母語話者の「ケド」で終わる文の談話分析の結果を踏まえて、話し手の「ケド」で終わる発話が談話の中でどのような働きをしているのか、話し手のどのような思いからこのような「ケド」で終わる発話がなされるのか、また、「ケド」で談話を終わらせることが聞き手にどのような影響を与えるのかについて考察したものである。自然な発話に近い談話をデータとして使うため、生放送のトーク番組・ドラマでの談話をデータとして使用した。その結果、130ヶ所に「ケド」で終わる文が観察された。「ケド」で終わることによる機能・「ケド」に含まれる話し手の気持ちとしてそれぞれ6種類に、「ケド」が表れた後の聞き手の反応として7種類に分類されることが分かった。今後、本稿での分析結果を少しでも日本語教育の現場で役立てることができるよう、さらに研究を進めていきたい。
著者
本間 雄一 原田 大 日浦 政明 成田 竜一 阿部 慎太郎 田原 章成
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.615-619, 2010-11-25
被引用文献数
1

症例は45歳,男性.2008年12月下旬より両側下肢から始まる皮疹が出現し,全身へ拡大した.肝機能障害を認め,HBs抗原120.4 S/Nで,IgM-HBc抗体は1.4 indexと軽度上昇,HBe抗原202.3 S/CO,HBe抗体0.0%,IgG-HBc抗体は原液96.0%,200倍希釈16.4%でありB型急性肝炎と診断した.また経過から皮疹はB型急性肝炎に伴うGianotti-Crosti症候群と診断した.入院にて,肝炎の改善とともに皮疹の消退を認めた.Gianotti-Crosti症候群は小児に多く,成人では比較的稀と認識されているが,成人での報告もある.近年,本邦では稀であった成人のB型急性肝炎からの慢性化が増加しており,B型急性肝炎を適切に診断することは重要である.肝炎の症状が軽微な症例もあるため,Gianotti-Crosti症候群のように特徴的な症状をみた場合は注意が必要である.<br>