著者
成田 年
出版者
星薬科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

慢性疼痛は適切な初期治療ストラテジーを見出せない場合において、長期的な遺伝子変動を伴った難治性の疾患となる。近年、様々な孤発性難治疾患の発現メカニズムとしてゲノムに書かれた遺伝情報が変更されることなく、個体発生や細胞分化の過程において遺伝子発現が制御される、いわゆる「エピジェネティクス」現象が注目されるようになってきている。本研究では、慢性疼痛におけるエピジェネティクス修飾の網羅的解析を行うことで、エピジェネティクス修飾による細胞の長期的基質変化が慢性疼痛の発現に寄与することを明らかにした。
著者
成田 和子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.89, pp.21-26, 2008-09-15

スピーカーのオーケストラで構成される電子音響音楽演奏ツール 「アクースモニウム」 の沿革と音響・音楽的効果、演奏法についてL'orchestre de haut-parleurs "Acousmonium" en tant qu'outil d'interpretation de la musique electroacoustique, son historique, ses performances acoustiques et musicales et ses methodes d'interpretation.
著者
村嶋 正幸 成田 有吾 岩崎 英一 橋爪 永子 出口 晃 西川 政勝 出口 克巳 白川 茂
出版者
The Japanese Society on Thrombosis and Hemostasis
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.3, no.6, pp.392-398, 1992-08-01 (Released:2010-08-05)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

The effect of a novel compound, 3-isobutyryl-2-isopropylpyrazolo [1, 5-a] pyridine (ibudilast, KC-404), on human platelet aggregation and its mechanism of action were investigated.In vitro, KC-404 inhibited human platelet aggregation induced by ADP, collagen, adrenalin, platelet activating factor and arachidonic acid but not by ristocetin. Together, KC-404 and agents which increased cAMP (prostaglandin I2, prostaglandin E1 (PGE1), forskolin) or cGMP (3-morpholinosydnonimine (SIN-1)) produced synergistic inhibitory effects on platelet aggregation.KC-404 inhibited human platelet cAMP phosphodiesterase (PDE) (IC50: 50μM) and cGMP-PDE (IC50: 5.2μM) activities. cAMP and cGMP concentration of human platelets were not increased by KC-404 itself. PGE1, an adenylate cyclase stimulator, increased cAMP content; KC-404 enhanced the effect of PGE1 on cAMP accumulation. SIN-1, which stimulates guanylate cyclase, increased cGMP content; KC-404 enhanced the effect of SIN-1 on cGMP accumulation.These results suggest that effects of KC-404 on accumulation of cyclic nucleotides and inhibition of platelet aggregation are mediated via inhibition of platelet cyclic nucleotide phosphodiesterase activities.
著者
齋藤 靖弘 成田 拓弥 徳留 章 早坂 敬明 松田 律史 民谷 健太郎 増井 伸高 松田 知倫 武田 清孝 瀧 健治
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.493-498, 2019-06-30 (Released:2019-06-30)
参考文献数
11

救急外来(emergency room;ER)における薬剤師の業務報告は未だ少ない。この原因には診療報酬上の加算がない以上に,ERでの薬剤師業務が明確ではないことが考えられる。 今回,札幌東徳洲会病院(以下,当院)のER専従薬剤師が行っている業務として「持参薬鑑別」を取り上げ,その迅速性・内容・時間の観点から調査・検討を行った。結果として,ER専従薬剤師の施行した持参薬鑑別は救急搬入後2時間以内にほぼ終了していた。また薬剤起因性疾患の原因となり得る薬剤を常用している患者が一定数存在した。さらにER専従薬剤師は救急医の薬歴把握にかかる業務負担を1日当たり1.9時間軽減している可能性が示唆された。 以上の結果より,ERに薬剤師を専従配置することは,迅速な持参薬鑑別をER専従薬剤師が行うことでタスクシフティングによる救急医の負担軽減のみならず,薬剤起因性疾患の早期診断支援につながる可能性がある。
著者
成田 光生
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.149-154, 2007
被引用文献数
2 6

マイコプラズマ感染症診断における血清IgM抗体検出法 (イムノカードマイコプラズマ抗体, 以下IC, Meridian-テイエフビー) の有用性と限界につき検討した.小児マイコプラズマ肺炎70例の検討において, 微粒子凝集 (PA) 法あるいはELISA法 (<I>Mycoplasma pneumoniae</I>-ELISA medac, medac Diagnostika, 今後保険収載予定) にても感染を確定できない時点でIC法が陽性であった場合が4例有り, IgM抗体検出法としての感度は実用に耐えると考えられた. 一方, 経時的に抗体価の変動を追跡し得た例においては感染後最長527日目でPA法あるいはELISA法では非感染と判断される時点においてもIC法は陽性を持続している場合が有った. また健常成人血清124検体中PA法では320倍が最高値で3例 (2.4%) のみ存在したのに対し, IC法では検索した25例中9例 (36.0%) が陽性であり, そのうちELISA法にては少なくとも6例が急性感染は否定的であった. IC法はあくまでも定性法であり, その陽性結果はIgM抗体の存在を意味するものではあるがそれが急性感染の存在を確定するものではないことを念頭に置いて, 他の検査所見とも合わせて総合的に判断する必要が有る. 近年の感染症動向調査ではマイコプラズマ肺炎の増加が問題となっているが, このような場合こそ診断法の精度に留意すべきである.
著者
藤井 健太郎 秋光 信佳 藤井 紳一郎 加藤 大 月本 光俊 成田 あゆみ 横谷 明徳 丹羽 修 小島 周二
出版者
独立行政法人日本原子力研究開発機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

リボ核酸の一種であるアデノシン三リン酸(ATP)は、生体エネルギー供与物質として様々な生化学反応へエネルギーを供与している。また同時に、遺伝情報の仲介物質であるメッセンジャーRNAを合成するための基質として、さらには細胞間情報伝達物質としても働く。本研究では、放射光軟X線により、ATPに生じた放射線障害が、ATPの持つ生物学作用にどのように関わっているかに注目して、その生物学的効果への寄与を解析することを試みた。そして、ATP分子の構造変化はガン細胞の放射線感受性に変化を生じさせている可能性を示唆する結果を得た。
著者
成田 大起
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.1_141-1_162, 2016

<p>本稿の目的は, 社会統合における動機づけ問題に対して 「認知的アクセス」 という新たな視点を導入し, それによってA. ホネットの承認関係を媒介とした社会統合がJ. ハーバーマスの法を媒介とした統合に比べ, 普遍的な規範を支えにしながらも社会成員たちを統合の規範的目標へと動機づけることのできる社会統合のあり方として優れていることを示すことにある。規範を実現し不正義を改善するという目標に社会成員がどのように動機づけられるかを説明するという問題は, 現実の社会に焦点を当てる政治理論にとって喫緊の課題である。近年の政治理論は, この問題を専ら社会統合の構想がどの程度文化的な特殊性を取り込むべきかという観点から考察しており, 普遍性/特殊性という問題含みの二文法に陥っている。本稿はドイツの批判理論がイデオロギー批判という文脈で扱ってきた認知をめぐる議論を動機づけ問題に導入した。ハーバーマスの社会統合とホネットの社会統合を比べ, 後者の優位性を示すことを通じて, 本稿は普遍的な規範であっても社会成員がどのようにそれを実現する必要性に認知的にアクセスし, 規範の実現に向けて動機づけられるのかを説明する道筋を示した。</p>
著者
水内 豊和 成田 泉
出版者
富山大学人間発達科学部附属人間発達科学研究実践総合センター
雑誌
教育実践研究 : 富山大学人間発達科学研究実践総合センター紀要 (ISSN:18815227)
巻号頁・発行日
no.10, pp.91-95, 2015-12

広汎性発達障害者のもつ他者心情理解の弱さ等に起因する対人トラブルについて,その事案への事後指導はもちろんであるが,日常の生活の中で機会をとらえて指導していくことも必要である。本論では,異性へのつきまとい行為で職場から相談のあった広汎性発達障害成人Aに対し,自然な生活文脈の中で他者視点取得の機会を作り,全6回の相談支援をおこなった。その結果,家族へのクリスマスのプレゼントを考えるという身近なライフイベントの中で,Aにとって「社会的に望ましい気持ちの伝え方」を知り,また「相手にうれしいと思うことをすることは自分もうれしい」というように,さらなる向社会的行動につながる気持ちの深まりがみられた。
著者
成田 敦史 矢部 淳 松本 みどり 植村 和彦
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.123, no.3, pp.131-145, 2017-03-15 (Released:2017-06-15)
参考文献数
35
被引用文献数
2

北海道北部の下川町上名寄に分布する中部~上部中新統パンケ層から33分類群より構成される大型植物化石群(上名寄植物群)を得た.パンケ層の堆積相解析と植物化石の組成,産状を基に上名寄植物群の示す古植生を復元した.上名寄植物群の示す古植生は,カツラ属やAcer subcarpinifolium(カエデ属),トウヒ属が優占する河畔植生,トクサ属やタケ亜科単子葉類,トウヒ属,ヤナギ属が優占する後背湿地植生,カツラ属やヤナギ属,フジキ属が優占する湖岸植生,湖周辺ではあるがブナ属優占の山地斜面のブナ林が強調された植生の4タイプの植生を認めた.上名寄植物群の組成的特徴は後期中新世~鮮新世前期の三徳型植物群と言える.堆積相と化石の産状から,上名寄植物群の主要構成種は,それらの近似現生種と同じ生育環境と考えられる.したがって,生態的に現在の植生に対比可能な群集が少なくとも北海道においては,中期中新世後期~後期中新世に成立していたことを示している.
著者
成田 英吉
出版者
The Society of Resource Geology
雑誌
鉱山地質 (ISSN:00265209)
巻号頁・発行日
vol.9, no.35, pp.167-178, 1959-06-30 (Released:2009-12-14)
参考文献数
15

The Kamioka Mine, working the largest lead-zinc deposits in Japan, lies in the eastern corner of the Hida gneiss complex. Around the mine, lenticular crystalline limestone beds are often intercalated among biotite-hornblende gneiss which is generally disposed in a NE direction and has NE fold axes which pitch 45°SW.The ore deposits are closely related to the crystalline limestone beds by pyrometasomatic replacement which attacked some minor folding crests to form typical skarn ores of the so-called "Mokuji ore body". The "Shiroji ore body" is a peculiar type of deposit intimately related to the skarn Mokuji ore body. It carries the distinct features of a hydrothermal deposit and is localized in narrow spaces controlled by fissure intersections which are quite different from those of the Mokuji ore body.The Shiroji ore body includes sphalerite, galena, chalcopyrite, pyrite, hematite, arsenopyrite, and silver minerals as ore, and quartz, chlorite, sericite, and carbonate as gangue. The ore is enclosed in a zone of silicification consisting of quartz-(adularia)-sericite-carbonate. All surrounding rocks have been strongly altered by silicification, sericitization, chloritization, feldspathization and argillization.The fracture system controlling the Shiroji ore body is disposed regularly in three directions, namely, NE, NS and EW. The intersections of the fractures trend NE and pitch 45°SW, and offer excellent room for ore deposition.Based on the field occurrence, the mineral assemblages and the nature of the wall rock alteration, the writer concludes that Shiroji ore bodies were produced under hydrothermal(mesothermal) conditions which followed deposition of the pyrometasomatic Mokuji ore bodies.
著者
成田 凌
出版者
首都大学東京・都立大学社会学研究会
雑誌
社会学論考
巻号頁・発行日
no.38, pp.1-27, 2017-11

本稿の目的は,貨幣経済の地域社会への浸透が子どもたちの活動に与えた影響について,青森県旧上北町で1960年代頃まで行われていたという,農家の子どもたちの「物々交換」の過程,および「物々交換からおこづかい制への移行を事例に検討することである.聞き取り調査の結果,次の点が明らかになった.「物々交換」と「換金」は1930年代後半から1960年代半ば過ぎまでおこなわれており,「現金購入」みられるのは1950年代後半以降だった.また農家の子どもたちは自分の家からコメやタマゴを「盗み」,子どもでも買取してくれる集落内の商店や精米所に持ち込んで「物々交換」や換金をおこなっていた.このような本稿の事例から,次の点が示唆される.貨幣経済が地域社会および「子ども(社会)」まで浸透したことで,子どもたちもより大きな社会経済システムに組み込まれていった.その結果,これまで「自由」に入手できたお菓子が,親からお金をもらわなくては買えなくなってしまった.つまり,おこづかい制への移行とは,実は家や地域社会の中で認められていた農家の子どもたちが「自由」を失っていく過程だったのではないだろうか.This paper aims to examine the impact of the influence of the spread of the monetary economy on farm children in a local community. The specific case of the practice of bartering and the transition to giving children pocket money in 1960s in Kamikita town, Aomori prefecture, will be presented. From the late 1930s to the mid-1960s, it was a common practice for farmers' children to steal produce such as eggs and rice from their family's farm to barter them for cheap confectionary, and, from the late 1950s, to sell such goods for pocket money. The children took the stolen produce to local shops to sell or barter, and sometimes to the community rice-cleaning mill. A series of changes in the practice of bartering meant that these children truly lost a measure of their freedom. Before the spread of the monetary economy to small communities, farmers' children were able to buy or barter an egg or some rice for cheap confectionary or cash before the change, but afterwards they could not; after the mid-1960s they had to get money their parents.
著者
成田 亮子 島村 綾 名倉 秀子 峯木 眞知子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成28年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.25, 2016 (Released:2016-08-28)

(目的) 琉球王朝菓子ちんすこうは、豚脂(ラード)を使用し、西洋の焼菓子とは異なった食感と風味に特徴があり、保存性にもすぐれている。ラードの代わりに多種の油脂を用いて調製し、テクスチャーに与える影響を調べた。(方法) ちんすこうはラード(油脂)、薄力小麦粉(日清フーズ㈱)、砂糖(三井製糖㈱)で調製する。油脂は8種(ラード、バター、アボガドオイル、オリーブオイル、キャノーラ油、ココナッツオイル、胡麻油、米油)で、基本配合は予備実験より、小麦粉120g、砂糖90g、油脂58gとした。油脂を60℃に温め、砂糖を加え、みぞれ状態になったら、小麦粉を加えた。それを、Ø3.5㎝の大きさ(各15g)に形成後、150℃で28分焼成した。焼成後の試料は、重量、体積、比体積、水分含有率、表面の焼き色、破断特性を測定し、官能評価を行った。焼成後の伸びを示すスプレッド値は、直径(㎜)/厚さ(㎜)で算出した。製品の水分含有率は赤外線水分計(㈱ケット)で110℃、80分の条件下で測定した。破断特性はレオナーRE2-3305 B-1(山電(株))で測定した。(結果) 8種の油脂を用いた試料では、ラードを用いた試料より、破断応力および破断歪が低く、もろい製品であった。アボガドオイル試料、オリーブオイル試料では、もろさおよびもろさ歪がかなり低かった。キャノーラ油試料ではスプレッド値、比体積、水分含有率がラードに近い値を示した。ココナツオイル試料では、スプレッド値が6.0と最も高く、水分含有率は3.6%で最も高い値を示した。胡麻油試料ではもろさおよびもろさ歪が高く、水分含有率が2.6%で最も低かった。油の種類により、食感の異なるちんすこう製品ができた。
著者
佐藤 好恵 成田 伸 中野 隆
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.1_45-1_52, 2005-04-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
19

殿部筋肉内注射実施時の安全性について検討するため,代表的な殿部筋肉内注射部位である「四分三分法の点」および「クラークの点」において,実習用遺体18体33側の皮脂厚および筋の構造,各点と上殿神経との解剖学的位置関係について調べた。また,健康な成人女性32名(20~55歳)64側の殿部について皮脂厚を計測した。「四分三分法の点」では「クラークの点」よりも皮脂厚が有意に厚く(p<0.001),そして12側に皮脂の直下に大殿筋が分布していた。中殿筋の厚みは「クラークの点」(2.1±0.8㎝)の方が「四分三分法の点」(1.7±0.7㎝)より厚かった(p<0.01)。また「四分三分法の点」では,注射針を直角に小殿筋表層まで刺入した時,上殿神経への刺入が10側(30.3%)あった。このことから,「クラークの点」の方が,「四分三分法の点」よりも中殿筋に安全に注射針を刺入できると考えられた。