著者
斉藤 いつみ 貞光 九月 浅野 久子 松尾 義博
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.297-314, 2017-03-15 (Released:2017-06-15)
参考文献数
16
被引用文献数
1

ソーシャルメディア等の崩れた日本語の解析においては,形態素解析辞書に存在しない語が多く出現するため解析誤りが新聞等のテキストに比べ増加する.辞書に存在しない未知語の中でも,既知の辞書語からの派生に関しては,正規形を考慮しながら解析するという表記正規化との同時解析の有効性が確認されている.本研究では,これまで焦点があてられていなかった,文字列の正規化パタン獲得に着目し,アノテーションデータから文字列の正規化パタンを統計的に抽出する.統計的に抽出した文字列正規化パタンと文字種正規化を用いて辞書語の候補を拡張し形態素解析を行った結果,従来法よりも再現率,精度ともに高い解析結果を得ることができた.
著者
西村 蹊二 斉藤 祥 谷岡 誠一 門脇 淳
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.86, no.6, pp.346-363, 1977-12-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
20
被引用文献数
1

Detailed and intensive investigations have been carried out on the abrupt failure of submarine slope of a small island, Shin-jima, in Kagoshima Bay, Kyushu on April 1, 1975 by the joint research group of Geographical Survey Institute of Japan, Japan Maritime Safety Agency and Geological Survey of Japan under the sponsorship of Japan Science and Technology Agency.The Shin-jima island emerged from water at the great eruption of adjacent Sakurajima Volcano in 1779 to 1780 (An-ei Eruption) as one of central corns of Aira Caldera (MATSUMOTO, 1933). The island gradually reduced its exposed area by continuous wave erosion to form truncated configuration, being surrounded by broad, shallow, flat tidal bench.Geologically the island is composed of the latest Pleistocene to the earliest Holocene thick loose pumice deposits with intercalations of silt and clay showing inner bay facies. These formations are strongly faulted by eastwest faults. The surface of the island is covered with thin shell bed dominantly composed of Ostrea and andesitic lava. The flat bench around the Shin-jima consists of recent, loose pumiceous drift sand deposits derived from the island by wave erosion.The failure of the slope now in concern occurred at the spit of the southern tip of the island, where thickness of drift sand deposits attains at most about 35 meters according to sonic prospecting and borings at the spit. It was caused by submarine landslide in the thick, loose drift sand deposits. Volume of the slide mass amounts approximately 265, 000 cubic meters.The spit had formed steep submarine slope near critical angle by abundant supply of very loose drift sand from northern part of the island before the failure occurred. Neither sensible earthquakes nor volcanic activities of the Sakurajima which might have given significant effects to submarine landslide are observed and recorded in seismometer around the crucial moment of the failure.Therefore, the cause of the landslide is considered that the increase of load resulted from the deposition of drift sand attaining about 8, 400 tons in volume atop of the slope brought about decrease of safety factor of the slope to make it slide. Wave pressure seems to have triggered the slide because safety factor decreases about 20 % when fluctuation of pressure at the bottom caused by wave agitation is taken into account.
著者
島田 信夫 河合 隆裕 斉藤 恭司 柏原 正樹 荒木 不二洋 中野 茂男
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

本研究の目的とする多様体、特に複素多様体の幾何学と関連諸問題の研究に関して、複素空間、代数的多様体等の特異点の研究、偏微分方程式の解空間の構造、またそれに対する代数解析的研究、一般コホモロジー論、特に複素コボルディズム論の研究、代数的K-理論の研究、数理物理学的研究等様々の立場からの研究分担者による探求が進められ、多くの新たな成果と進展をみた。以下にその概要を述べる。1.島田はAdamsスペクトル系列の【E_1】-項を与えるラムダ代数の概念を、複素コボルディズム論におけるNovikovスペクトル系列の場合に拡張し、やはりその【E_1】-項を与えるMU-ラムダ代数を構成した。その幾何学的応用は今後の研究課題である。島川は多重圈の概念を活用して代数的K-理論における積構造について圈論的な存在証明を与えた、またそれらの同変理論も研究中である。2.斉藤恭司は正規ウェイト系に対応する孤立特異点をもつ超曲面に対して特異点解消、コンパクト化等の操作により、多くの重要かつ興味ある代数曲面の族を構成し、それらの分類および代数幾何学的特性について詳細な研究を行った。これは斉藤の従前からの一般ウェイト系、特異点、一般Weyl群と不変式論等の研究の進展継続を示す目ざましい成果である。成木は斉藤の仕事に関連して、或種の型の特異点解消に伴う楕円曲面系を簡明に構成した。3.中野,大沢は複素多様体上の或種の増大条件を満す正則函数の拡大に関する結果を得た。また大沢はK'dhler多様体と多変数函数論の研究を進めた。4.柏原,河合はD-が群の研究を進め多くの成果を挙げ、また三輪,神保は代数解析の方法を数理物理学へ適用し成果を得た。5.荒木は2次元Ising模型に対する相関函数の解析性に関する結果を得たまた中西,小嶋は場の理論の研究で成果を得た。その他、研究分担者による微分方程式、無限次元測度の研究がある。
著者
斉藤 康秀 井上 巖 林 文夫 板垣 博
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.1035-1037, 1987-12

3才の雌猫が白い泡状物とともに雌のハリガネムシを1匹吐出した. 虫体は体長585mm, 最大体幅1.2mmで, 体表クチクラに環状帯, 腹中線, 背中線, アリオールがないこと, 口の開口がないことからGordius ogataiの近似種と思われたが, 著しく軟化していたために種の確定はできなかった. 猫は臨床的に正常で食欲もあり, 戸外で昆虫などを捕食していたことから, ほぼ成熟したハリガネムシ寄生昆虫の捕食により感染したと思われた.
著者
斉藤 泰雄
出版者
日本比較教育学会
雑誌
比較教育学研究 (ISSN:09166785)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.33, pp.75-95, 2006-06-23 (Released:2011-01-27)
参考文献数
24
著者
小出 明弘 斉藤 和巳 長屋 隆之 伊藤 健二
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

大規模なネットワークを粗視化することにより、情報拡散過程を可視化する手法を提案する。具体的には、Twitterのmentionネットワーク等の大規模なネットワークを、ネットワーク内の中心的なユーザに着目して粗視化し、現実の情報拡散現象を可視化する。また、ICモデルやLTモデルを利用した人口の拡散データを作成し、現実の拡散現象に見られる特徴を明らかにすると共に、本提案手法の有効性を検討する。
著者
西岡 大輔 上野 恵子 舟越 光彦 斉藤 雅茂 近藤 尚己
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.7, pp.461-470, 2020-07-15 (Released:2020-07-31)
参考文献数
43

目的 経済的困窮や社会的孤立など,生活困窮状態は健康の社会的リスクであり,医療的ケアの効果を阻害する要因でもある。近年,患者の社会的リスクに対応する医療機関の取り組みが広がりを見せつつあり,その対象者を適切にスクリーニングできる方法の確立が求められる。そこで,医療機関で活用することを想定した生活困窮評価尺度を開発しその妥当性と信頼性の一部を検証した。方法 5つの医療機関を新規に受診した成人を対象に横断研究を実施した。生活困窮に関する25の質問の回答結果を用いて探索的因子分析を行った。反復主因子法により因子数を規定し因子を抽出した。プロマックス回転を用いた。抽出された因子の妥当性と信頼性を検証した。信頼性の検証には標準化クロンバックα係数を算出した。得られた結果から因子負荷量が高い設問を選択し,簡易尺度の問診項目を選定した。結果 対象者は265人であった(回答率:75.1%)。因子分析の結果,経済的困窮と社会的孤立の2因子が抽出され,因子負荷量が0.40以上のものとして,経済的困窮尺度では8問,社会的孤立尺度では5問が主要な設問の候補として抽出された。標準化クロンバックα係数は,経済的困窮尺度で0.88,社会的孤立尺度で0.74であった。さらに,簡易尺度の問診項目を各因子の因子負荷量が高いものから2項目ずつ選定した。すなわち「この1年で,家計の支払い(税金,保険料,通信費,電気代,クレジットカードなど)に困ったことはありますか。」「この1年間に,給与や年金の支給日前に,暮らしに困ることがありましたか。」「友人・知人と連絡する機会はどのくらいありますか。」「家族や親戚と連絡する機会はどのくらいありますか。」であった。考察 医療機関で患者の生活困窮を評価することを想定した尺度を開発し,一定の妥当性・信頼性を確認した。尺度の実用化に向けては,保健・医療・介護・福祉・地域社会の十分な連携のもと,質問項目の回答に対するスコアリングと地域や医療機関の特性に応じた本尺度のカットオフ値の設定,さらなる一般化可能性の検証等が必要である。
著者
佐藤 茂太郎 斉藤 雄佑
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The Journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.151-157, 2023-03-10

割合の意味理解や活用は、児童にとって困難であることが指摘されている。そこで、第5学年の小数の乗法に焦点をあて、割合の意味理解を促すために、割合の見方を意識した指導と再測定(基準をかえて測定し直すこと)を意識した指導を行い、乗法の意味をどのように拡張させ、成長させていけばよいかを検証した。また、「ユニット化とノルム化」を分析枠組みとして、小数の乗法において児童がどのように比例的推論を働かせているかを分析することとした。本研究の結果、小数の乗法で単元を通して再測定を行うことで、基準を変えるという考えを児童が自らできるようになった。また、乗法で用いた考えを除法でも活用できることがわかった。
著者
永田 親義 今村 詮 斉藤 肇 福井 謙一
出版者
The Japanese Cancer Association
雑誌
GANN Japanese Journal of Cancer Research (ISSN:0016450X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.109-117, 1963-03-31 (Released:2008-10-23)
参考文献数
23

The changes of π-electron distribution in atoms in purine bases participating in the hydrogen-bond formation in Watson-Crick model of deoxyribonucleic acid are calculated by the simple linear combination of atomic orbital-molecular orbital (LC-AO-MO) method assuming that the alkylating agents attack the guanine at its 7-N position and adenine at its 7-N and 3-N positions. The changes in electron density are believed to make an alteration of the hydrogen bond with respect to the mode of pairing. It is assumed that the tautomeric change of guanine-cytosine pair results and weakens the hydrogen bond strength of adenine-thymine pair. These changes are discussed in relation to the biological effect of alkylating agents such as mutagenic, carcinogenic, and carcinostatic activities.
著者
喜多河 信介 斉藤 誠一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.341-352, 1992-06-05 (Released:2010-06-15)
参考文献数
14

上武国道 (国道17号) は、東京と北陸を結ぶ重要な幹線道路であり、東京日本橋を起点として、新潟市を終点とする日本の交通動脈である。この南半分の平地部道路のほとんどが徳川幕府時代の旧中山道に当たるが旧中山道の成立から上武国道、現在の国道17号バイパスが整備されるまでを、振り返るとともに、東京都内から大宮市吉野町地先間の新大宮バイパスの整備に伴って沿道及び周辺地域に与えた効果・影響を考察する。
著者
斉藤 昌之
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.23-29, 2012-01-01 (Released:2013-01-01)
参考文献数
33

褐色脂肪は代謝的熱産生を行なう特異的な脂肪組織であり,寒冷環境下での体温維持やエネルギー消費の自律的調節に関わっている.褐色脂肪に関する従来の知見の大部分は冬眠動物や実験動物から得られたものであったが,最近成人にも褐色脂肪が存在し実際に機能していることが明らかにされ,肥満やメタボリックシンドロームとの関係で注目を集めている.ここでは,マウスなどでの知見をまとめてから,ヒト褐色脂肪研究の現状について食品成分による活性化の可能性を含めて紹介する.
著者
澤木 優治 山本 裕泰 本村 和也 山本 正彦 古川 研治 斉藤 修
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001706, (Released:2022-08-26)
参考文献数
27

左頭頂葉白質を中心とした脳梗塞により第一言語である日本語と第二言語である英語の混同および音韻性錯語を呈した左利きバイリンガル症例について報告した.症例は日本語および英語のバイリンガルである46歳の左利き女性であった.本症例では発症急性期より理解面は聴覚・視覚のいずれの経路も良好に保たれた一方で,表出面においては日本語発話時に日本語と英語の混同を認めた.拡散テンソル画像の分析から,本例の言語症状の出現には左下頭頂小葉直下の白質線維である上縦束や弓状束の関与が示唆された.
著者
永田 親義 今村 詮 福井 謙一 斉藤 肇
出版者
The Japanese Cancer Association
雑誌
GANN Japanese Journal of Cancer Research (ISSN:0016450X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.401-414, 1963-12-31 (Released:2008-10-23)
参考文献数
23

Results of the quantum biological study of an interaction of potent carcinogens such as 4-nitroquinoline 1-oxides and aromatic hydrocarbons with tissue components, especially with deoxyribonucleic acid (DNA), are presented and chemical carcinogenesis is discussed in connection with charge transfer phenomenon. An equation is derived to obtain the charge transfer quantity between two constituent molecules in the charge transfer complex, and distinct parallelism is found between the quantity of charge transfer and carcinogenic activity. From this result, it is suggested that the quantity of charge transfer is more important in the genesis of tumor than the charge transfer force. Summation of an alteration of base paring in Watson-Crick stereo-model of DNA resulting from the charge transfer between DNA and the carcinogens is deemed to be the cause of tumor.
著者
斉藤 英俊
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.87-93, 2018
被引用文献数
5

<p> 新たな輸入防疫制度の申請対象となったテナガエビ類の流通状況を,2016-2017年に神奈川県,愛知県,大阪府,広島県の釣具店で調査した。新制度施行前は,中国から輸入された外来種チュウゴクスジエビが購入個体数の83-93%を占めた。2016年7月の施行後は,国内産地から供給された在来種スジエビが83-100%を占めた。しかし,広島県や愛知県では施行後もチュウゴクスジエビが5-11%含まれ,国内産地の一つである岡山県で採集されたことから,国内に定着した本種が釣り餌として流通していることが判明した。</p>