著者
斉藤 宗則 和辻 直 篠原 昭二
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.31-46, 2007-02-01 (Released:2008-05-23)
参考文献数
6

【目的】五更泄は寅卯時 (朝3~7時) にのみ出現する慢性の泄瀉であるが、その時間的概念や病機については諸説があり、その定義や概念は統一されていない。そこでこれらを明確にするため文献調査を行った。【方法】『中華医典』を用いて「五更泄」「五更瀉」「腎泄」「腎瀉」をキーワードとして検索し、書籍でその記述内容を確認したものを時代ごとに並べた。次に、五更や時辰という時間の概念、五更泄の病機と証候、五更泄の発症時間と病機、五更泄の名称、五更泄と痢疾、五更泄と現代医学といった視点から考察を行った。【結果】その結果、「五更泄」は31冊37件、「五更瀉」は12冊14件、「腎泄」は91冊216件、「腎瀉」は38冊74件であった。五更泄は12世紀中頃に腎の病とされた「腎泄」を源とし、その後病機が漸増し、「腎泄」の時間が子時 (23時~) まで拡大された。病機には腎陽虚、酒積、寒積、食積、肝乗脾土、少陽気虚、?血などがあった。【考察】五更泄と腎泄は共通する部分が多いが、その主たる病機の違いを述べると、五更泄は五更に肝・少陽の旺盛や火が生じることによって生じ、腎泄は子時に腎水が旺盛になることで子時から卯時に泄瀉が起きると考えられる。これらの症状の発現と時間帯との関連には疑問が残った。一方、名称については16世紀後半には五更という時間帯が強調されているが、腎泄の発症時間が亥子まで含まれたため、五更泄という名称が主とならなかった可能性がある。
著者
山岸 祐己 斉藤 和巳
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.2, pp.1-6, 2012-08-02

動画共有サービスに投稿されている楽曲動画の評価法を提案する.一般に,楽曲動画は再生数等の絶対数の推移を用いてランキングされるため,上位にランクインするのは楽曲動画集合のうちの僅かな上澄みであることが多い.これに対し,動画情報に統計的な正規化を施してランキングを行うことにより,全ての楽曲動画を平等な評価基準にかけることを試みる.さらに,動画に対して外的に与えられた情報のみで動画同士の歪み距離を計算し,類似した楽曲動画を探索する手法も提案する.提案法は,いずれも動画共有サービスの特性を上手く利用していることを示す.We propose evaluation methods for VOCALOID music videos which are posted in Nico Nico Douga. Generally, music videos are ranked by transition of the absolute numbers of playbacks and comments. However, the top rankers obtained by this conventional ranking method are limited to a part of the music videos with hot topics. In contrast, we tried to apply all the music videos to equal valuation standards by new ranking methods which uses statistical normalization. Furthermore, we also propose a new technique for searching similar music videos by calculating the distortion distance of video information given externally. We show each proposing methods can make use of the characteristics of video hosting service well.
著者
山羽 和夫 中村 久 斉藤 清隆
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
東海支部地区講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.267-268, 2002-08-24
被引用文献数
1

論文要旨 : 21世紀の超高齢化社会の到来に備えて日本福祉大学では数年前から高齢者用食事支援ロボットの研究に着手してきた。このロボットは在宅老-老介護、福祉センターからの遠隔操作によってリアルタイムで食事支援できるシステムの構築をめざしている。本研究では、このロボットのデザインする際のコンセプト・背景、および遠隔制御する場合のシステム設計について検討したのでその結果などについて述べている。
著者
出島 健司 竹中 洋 水越 文和 斉藤 憲治 河田 了 高木 伸夫 斎藤 祐子 昌子 均
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.41, no.9, pp.1405-1412, 1992
被引用文献数
21

1989年より1991年の3年間に, 京都府立医科大学耳鼻咽喉科アレルギー外来を訪れたスギ花粉症患者延べ305人を対象に, そのシーズンで初めて発症した (以下初発と略す) 日の統計を行った. 初発日は個体差があり, 約1カ月間にわたって分布するが, 患者数統計では3年とも明瞭な一峰性のピークを示した. 最も多くの患者が初発した初発ピーク日は, 1月1日からの最高気温積算が約450℃, 日最高気温が15℃を越える暖かい日で, ほとんど雨が降らず, 南からの強い風が吹く日になる傾向があると考えられた. このような初発ピーク日は, 花粉飛散開始日より約3週間後で, 本格的飛散開始となる飛散第一ピークより3, 4日前であることがわかった. また, 初発ピーク日より前1週間の間に花粉症患者の発症率が約1割から一気に半数以上まで増加し, 飛散第一ピークの頃には全体の7, 8割が発症していることが明らかとなった. 今回の結果は, 花粉予報や花粉症初期治療を行う上で有用なものとなると考察した.
著者
小林 大高 坂巻 弘之 小松 涼 飯島 伴典 飯島 康典 大津賀 博之 斉藤 克也 関 徹也 中村 英俊 山浦 知之 横林 邦明
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
pp.14-00013, (Released:2014-04-25)
参考文献数
4
被引用文献数
2

This study aimed to determine how much time can be saved with the use of unit-of-use packaging for prescription drugs as compared with bulk packaging in community pharmacies as well as to determine the number of errors. In a simulation, mock prescriptions were dispensed either in unit-of-use packages or by transferring medication from a bulk container, and a time study was conducted to measure the time spent on dispensing and prescription auditing by pharmacists. Pharmacists' and patients' degree of satisfaction was also surveyed. The time saved with unit-of-use packaging was 66.25 seconds per prescription. The sole dispensing error that was found in the study occurred with bulk dispensing. Among both pharmacists and patients, many were of the opinion that dispensing with unit-of-use packaging was preferable to bulk dispensing. Unit-of-use packaging shortens the time that pharmacists spend on dispensing activities and increases the efficiency of their work. Unit-of-use packaging is also thought to reduce the number of counting errors.
著者
竹熊 美貴子 大村 厚子 斉藤 貢一
出版者
Society of Indoor Environment, Japan
雑誌
室内環境学会誌 (ISSN:21864314)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.35-39, 2005
被引用文献数
4

学校施設における室内空気中化学物質濃度の低減化対策として, 換気による効果を確かめる実験を行った。すなわち, 埼玉県内の工業高校を調査対象施設として, 夏季の長期休暇期間中に, 教室内空気中化学物質濃度を換気の前後で測定する方法で行った。<BR>測定した5教室(4普通教室, 1実習室)のうち4教室(3普通教室, 1実習室)から室内濃度指針値を超えるホルムアルデヒドが検出された。その後, 10分間の自然換気を行った普通教室では, ホルムアルデヒド濃度は72%減少し, 室内濃度指針値未満となった。また, アセトアルデヒド濃度も50%減少していた。一方, 窓のない実習室においても, 扇風機を使用した機械換気を行うことでアルデヒド類を低減させることができた。<BR>揮発性有機化合物 (VOC) について, 普通教室では測定対象とした46物質中15~17物質が検出され, 実習室では21物質が検出された。しかし, 換気後, それぞれの教室内気中VOC濃度は換気前に比べて著しく減少し, 2~5物質が検出されたのみであった。この結果, 総揮発性有機化合物 (TVOC) として, 換気により約80~90%の減少であった。
著者
近藤 裕昭 有沢 雄三 鵜野 伊津志 尾形 和彦 木村 富士男 斉藤 朝夫 鈴木 基雄 高橋 俊二 中西 幹郎 中埜 幸宏 水野 建樹 安楽岡 顕 吉門 洋 劉 発華 若松 伸司
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.751-760, 1994-11-30
参考文献数
18
被引用文献数
9

気象研究所,東北大学,国立環境研究所,資源環境技術総合研究所でそれぞれ運用されている局地循環モデルの相互比較実験を,昼間の二次元の海風を対象として行った.地表面の熱的な境界条件を地表面温度で与え,午前6時をスタートとする正弦関数とした.各モデルの固有の接地境界層のモデル化から顕熱輸送量を決定するCASE1と,顕熱輸送量をC_hUΔθで統一的に与えるCASE2の二種類の計算を行ったところ,海風の発達についてCASE1では一致した結果にはならなかったのに対し,CASE2では海風循環の大きさと強さ,地上風速,海風発達後の海風前線の位置について一致した結果が得られた.これより,昼間の海風の発達には地表面からの顕熱輸送量が重要で,これが適切に与えられれば計算された海風の主要な特徴については各モデルで一致することがわかった.
著者
栃原 きみえ 斉藤 一枝 坂倉 園江 菊山 弘子 済木 敦子 戸田 光子 菊地 真理子 原 淑子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.113-127, 1967-03-01

被服構成上もっとも重要な身体的因子の研究として静止時の生体測定を行った.まずスカート作製のために必要な41項目を定め,それぞれの長径,幅径,厚径,角度について測定し,それぞれの相関について検討したのでその結果を要約する.各周径の相関について1.ヒップの周径と各周径(各周径とも下半身長に対する割合)との関係については相関が認められ,ヒップ周径が大きくなるに従ってウエスト周径,腹部周径,太もも周径(両足),ひざ周径(両足),ふくらはぎ周径(両足),足首周径(両足)の割合もやや比例してふえて行く.ウエスト,ひざ,ふくらはぎ,足首はヒップより肉のつきかたが少く,腹部,太ももはヒップより肉のつきかたが多いと云う傾向がわかった.2.下半身長に対するウエスト周径,ヒップ周径とのそれぞれの相関について検討したが相関はみとめられなかった.下半身長に関係なく,ウエストやヒップの周径は大小さまざまであると云う一般的な通念をたしかめることが出来た.各幅径,厚径の相関について1.ウエスト,腹部,ヒップ,太もも(両足)(各周径とも周径に対する割合)それぞれの相関について検討したが相関はみられなかった.形態の上ではウエスト,ヒップ,腹部の順に丸い形に近くなり,太もも(両足)が一番偏平である傾向がわかった.2.下半身長と下半身長に対する各幅径,厚径の割合との相関について検討したが,相関はみられなかった.これは下半身長の大小に関係なく偏平な体型,丸い体型が存在するという一般的な通念を実証したものと云えよう.しかし,ひざ厚径は約10cm〜13cmの間に,ふくらはぎ厚径は約9.6cm〜12.5cmの間にあり,下半身長の増減に関係なく近似的な寸法である.各長径の相関について1.下半身長とヒップ丈,ふくらはぎ丈(両足),ひざ丈(両足)(各丈とも下半身長に対する割合)との相関はみとめられなかった.しかしふくらはぎ丈は下半身長の増減に関係なく約65cm〜70cmの近似的な寸法の中にある.2.身長と下半身長(身長に対する割合)との相関はわずかにみとめられた.身長が高いものほど下半身長の割合が大きくなる.つまり背の高いものほど下半身が長くて形がよいという結果が得られた.側面のウエスト・ライン傾斜角度について1.スカート作製上重要な側面のウエスト・ラインの傾斜角度については,後ウエストを基点とした前ウエストヘの傾斜角度は最少1.3°から最大17.8°で平均値は6.7゜で相当傾斜していることがわかった.脇を基点とする前への傾斜角度と後への傾斜角度を比較すれば後への傾斜角度の大きいものが多いことがわかった.2.側面のウエスト・ライン傾斜角度と下半身の各傾斜角度(骨盤傾斜角度,大腿骨傾斜角度,下肢傾斜角度,下半身側面傾斜角度)との相関はみとめられなかった.3.下半身側面傾斜角度と骨盤傾斜角度について 下肢傾斜角度との相関はみとめられなかった.しかし大腿骨傾斜角度とはわずかに相関がみとめられた.これは,下肢傾斜角度は後傾するもののみであるが大腿骨傾斜角度は前傾するものが存在するためにひざ関節で屈折している.従ってわずかながら相関の傾向がみとめられるのであろう.以上本学被験者の体型について種々検討を加えたが,このたびの測定は身体の静止時の実測長並びに角度であるから,これをもって直ちに被服構成にそのまま利用することは当を得ないことであろう.しかし被服構成のために必要な身体的因子の一部を解明する手がかりを得たことは意義あることと考える.この研究を基礎資料として更に次の段階の研究を進めることにする.終りに本研究に被験者として御協力下さった本学服飾の学生に感謝する.
著者
斉藤 博
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.96, no.6, pp.632-639, 2005-09-20
被引用文献数
2 2

(目的)ヒポクラテス(紀元前460年頃)は古代ギリシア, コスの有名な医師で, 彼の業績は, 後世『ヒポクラテス全集』に記載されている.私は『ヒポクラテス全集』の結石に関する記述を研究した.(方法)『ヒポクラテス全集』(ラーブ版, 大槻版, 今版)の尿路結石の記述を採集し, コス学派とクニドス学派とで比較した.(結果)尿路結石に関する記述は24カ所で, 発生病理に関する記述は12カ所(50%), 症状6カ所(25%), 治療4カ所(17%), その他2カ所(8%)あった.尿路結石の症状は血尿, 腹痛, 排尿痛, 排尿障害, 排石であった.膀胱結石15カ所(63%), 腎結石4カ所(17%), 2カ所(8%)は腎と膀胱結石の両方であった.7カ所(29%)は部位の記述はなかったが, 多分, 膀胱結石と推測された.尿路結石の記述のうち, コス学派, クニドス学派, 学派不明の記述は15カ所(63%), 4カ所(17%), 5カ所(21%)であった.コス学派の膀胱結石に関する記述は比較的多く, 腎結石に関する記述は少ないが, クニドス学派が多かった.尿路結石に対する治療法は, 薬, 多分, 排石を助ける薬, 痛み止め, 痛みに対する入浴, 温罨法, 患部が腫れて盛り上がったら, 腎切開をする.(結論)『ヒポクラテス全集』には尿路結石の記述があるが, コス学派による膀胱結石の記述が多い.膀胱切石術の記述はなく, "宣誓"では, 尿路結石の治療には切開術を禁じている.しかし, クニドス派の"内科疾患"には, 腎切開, 多分, 腎切石術を推測させる記述があった.
著者
門間 哲雄 斉藤 史郎 大木 隆弘 佐藤 裕之 戸矢 和仁 土器屋 卓志 村井 勝
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.91, no.10, pp.657-665, 2000-10-20
参考文献数
16
被引用文献数
3 2

(目的)本邦での密封小線源治療(小線源治療)は放射性物質の体内永久留置が法律により厳しく規制されているため,主に高線量率イリジウムを用いた一時的留置法が数施設で施行されているにすぎない.前立腺癌に対して低線量率イリジウム(LDR-Ir)を用いて小線源治療を施行している施設は当施設だけであり,本研究においてこの治療法の臨床成績について検証する.(対象と方法)1997年12月から1999年12月まで組織学的に前立腺腺癌と診断された26症例(Stage B 92%;Stage C 8%)に対して小線源治療を施行した.23例は小線源治療単独(1例はneoadjuvant療法を施行),3例については小線源治療と外照射放射線治療(ERT)の併用を行った.(結果)小線源治療単独群では2から26カ月の経過観察期間において,治療前PSA値が20ng/ml以上の9症例中8例がPSA failureとなり,20ng/ml未満では13例すべてにおいてPSA failureが見られなかった.Gleason's score7以上の11例のうち8例にPSA failureを認めたが,6以下の14例は,すべてにおいてPSA failureが見られなかった.併用療法群では4から9カ月の経過観察期間においてPSA failureを認めなかった.全症例の経過中,重篤な合併症は認められなかった.(結論)PSA値やGleason's scoreによって症例を厳密に選択することができれば,LDR-Irを用いた小線源治療は有効な治療となりうることが本研究から示された.
著者
花見 重幸 斉藤 功 花田 晃治 高野 吉郎
出版者
日本矯正歯科学会
雑誌
日本矯正歯科学会雑誌 (ISSN:0021454X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.211-222, 1996-06
参考文献数
52
被引用文献数
5

矯正力が三叉神経節カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)陽性ニューロンに対して, どのような影響を及ぼすかを明らかにすることを目的として, ラット上顎臼歯をWaldoの方法に準じて実験的に移動させ, 移動開始1, 3, 6, 12, 24時間後に屠殺して, 三叉神経節神経細胞体内CGRPの免疫活性と局在性について免疫組織化学的に検索し, 以下の結果を得た.1. 対照群において, 上顎臼歯部支配領域における全神経細胞体に占めるCGRP陽性神経細胞体の割合は約37%であり, 小型および中型の細胞体がそのほとんどを占めていた.また, 細胞体直径の小さなものほどCGRP免疫染色性が強くなる傾向にあった.2. CGRP陽性神経細胞体は, 歯の移動開始後すみやかにその数を減じ, 3時間後に最少となったが, 以後増加傾向を示し, 移動開始12時間後には対照群とほぼ同等の状態にまで回復していた.また, 全CGRP陽性神経細胞体に占めるCGRP強陽性細胞体の割合は, 歯の移動後3時間において顕著な減少を示した.以上のことから, 歯の移動により一時的に三叉神経節神経細胞体内のCGRPが減少傾向を示すことが明らかとなり, 三叉神経節内神経細胞体内に存在するCGRPが, 歯の移動に伴う疼痛の発現とともに, 歯の移動初期における歯周組織内での組織改変に深く関与している可能性が示唆された.
著者
伊藤 隆 仙田 晶子 井上 博喜 斉藤 康栄 鏡味 勝 松原 史典 青柳 晴彦
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.933-939, 2005-11-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
9
被引用文献数
6 6

外来を受診した肥満患者127例に―律に防風通聖散 (Bo) を投与し, 6ヵ月以上服薬できた33例についてエキス剤の体重減量効果を検討した。対象例の腹力は5段階で (4) 以上の強が多かったが, これは腹痛下痢などの副作用で長期投与ができなかった9例で中間 (3) が多かったのに比較して, 腹力の強さの点で有意に高かった。服薬後の食欲低下は16例に認められた。食欲低下例と食欲不変例の投与前の体重はそれぞれ67.1±2.5kg, 75.9±2.4kgであり, 推計学的有意差を認めた。食欲低下例の体重の変化は-4.8±1.0kgで, 食欲不変例の-1.4±0.7kgに比較して明らかな差がみられた。血中中性脂肪値はBo投与後有意に低下した。作用機序として麻黄, 荊芥, 大黄, 連翹, 甘草による Adrenalin β3 receptor の活性化だけでなく, 大黄と山梔子による向精神作用が推測された。近年本薬に関する重篤な副作用報告がなされている。本剤の投与対象は腹力が強 (4) 以上が望ましく, 長期投与は食欲低下が認められる例によいと思われた。
著者
守安 貴子 斉藤 和夫 中里 光男 石川 ふさ子 藤沼 賢司 二島 太一郎 田村 行弘
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.59-63_1, 1996-02-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
11
被引用文献数
3 3

市販食品中のカフェイン (CF), テオブロミン (TB), テオフィリン (TP) の含有量調査を行った. 市販清涼飲料水中のCF及びTBの含有量は, コーヒー豆や茶葉を通常飲用する条件で抽出した場合より, 低いものが多かった. また, 菓子やアイスクリームなどから検出されたCF及びTBは特に高濃度のものはなく, その含有量から, 製品中に含まれるコーヒー, ココア及び抹茶に由来すると考えられる. また, 菓子類の中で, 眠気防止効果が表示されたあめやガムからは, CFが高濃度に検出された. 一方, 健康志向飲料の中には, CF添加の表示があるにもかかわらず, 10μg/g未満のものがあった.
著者
石川 一稀 中村 祥吾 宇田 朗子 斉藤 勇璃 根本 さくら 長野 恭介 山内 拓真 白石 智誠 太田 和宏 稲垣 武 村井 源 平田 圭二 迎山 和司 田柳 恵美子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.256-262, 2020-05-23 (Released:2020-06-26)
参考文献数
10
被引用文献数
2 1

本研究はコンピュータゲームの中でRole Playing Gameと呼ばれるジャンル(以降、RPG)の物語構造を分析した.対象としては「ドラゴンクエスト」シリーズ,「ファイナルファンタジー」シリーズの二作品を選出した.頻出が想定される物語の要素に基づいてタグを作成し,対象作品を分析した.その結果,基本的なRPGのシナリオはクエストと呼ばれる物語の単位の連続・入れ子構造で成り立っており,そのクエスト自体は「発生」「経過」「結末」の三つの要素で書き表せることが明らかになった.
著者
強矢 治 鶴岡 学 久保田 真理 中西 真紀子 田川 雅代 森 千秋 斉藤 久美子
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3,4, pp.99-103, 2004 (Released:2007-11-07)
参考文献数
14

ウサギの臼歯不正咬合の発生要因を検討するため,発症群137例,対照群345例について疫学的に調査するとともに,食餌内容に関するアンケート調査を行い,発症群34例,対照群58例より回答を得た。発症群の平均体重は対照群よりも有意に低く,体格の小さなウサギほど臼歯不正咬合を発症しやすい可能性があるものと思われた。臼歯不正咬合の罹患率は雑種で高く,ロップイヤー系品種で低い傾向にあった。雄は雌に比べて罹患率が有意に高かった。発症群の平均乾草摂取量は対照群と比較して有意に少なく,過去の記述と一致して,乾草摂取量が少ないことは臼歯不正咬合発症の危険因子となりうることが推察された。食餌指導により乾草の摂取量を十分確保させること,さらに雑種や雄,そして体格の小さな個体には,より厳密な食餌指導を行うことが,臼歯不正咬合の発症予防となり,または発症後の進行防止に役立つものと思われた。
著者
伊藤 雅典 斉藤 文彦
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.377-384, 2011-03-25 (Released:2011-08-25)
参考文献数
12

近年における情報化社会の発展により,個人認証の機会および必要性が増加しつつある.特に,パスワードや鍵のように盗用や忘失の恐れがなく偽造が困難といった点から,身体的特徴を用いたバイオメトリクス認証が注目されている.そこで,本稿では身体的特徴として唇から得られる唇画像を利用した個人認証システムを提案する.従来の研究では,口の動きなどの行動的特徴を使用する認証が研究されているが,本研究では静止した自然状態の唇画像を用いることにより,より利便性,簡易性のある認証を提案する.また,本システムではカメラからの画像入力を行うため,非接触なセンシング方法で心理的な抵抗感が少ないという利点がある.本研究の目的としては,カメラによって撮影された唇画像が個人認証に耐えうる身体的特徴を有しているか否かを調査し,個人認証システムとして試作することによって本研究の有効性を示す.