著者
向居 暁
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第17回大会
巻号頁・発行日
pp.61, 2019 (Released:2019-10-28)

何度も目にしているはずの建物がなくなり,更地になっていたり別の店舗になっていたりするときに,以前どのような建物や店舗がそこにあったのか思い出せないのはなぜだろうか。本研究は,街並みにおける建物の変化に気付いたり,以前の建物を想起したりすることに影響する要因について実験的に検討することを目的とした。その結果,変化箇所には気付いたものの,変化以前の建物情報がわからない状態は,「異業種,建替え,空き地>同業種(異業種>空き地)」となった。異業種間の変化は,以前と同じ建物に異なる業種の店があるという違和感が検出率を高めたのだろう。また,変化以前の建物情報の完全な想起は,「同業種>異業種≒空き地≒建替え」となった。同業種間の変化は,変化自体には気付きにくいが,一度変化箇所に気付いてしまえば,変化以前と同じ建物と業種が建物情報を想起するうえでの強力な手がかりとなることが示唆された。
著者
高橋 暁
出版者
Architectural Institute of Japan
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.74, no.642, pp.1945-1950, 2009

This paper aims at analyzing the conceptual interactions and the integrated application of the following three UNESCO's International Conventions in culture through examples in Cambodia, Bosnia-Herzegovina, Afghanistan, and Iraq: 1. Convention for the Protection of Cultural Property in the Event of Armed Conflict and its 1<sup>st</sup> Protocol (1954) and 2<sup>nd</sup> Protocol (1999), 2. Convention on the Means of Prohibiting and Preventing the Illicit Import, Export, and Transfer of Ownership of Cultural Property (1970), 3. Convention for the Protection of the World Cultural and Natural Heritage (1972).
著者
林 祐一 西田 承平 竹腰 顕 村上 宗玄 山田 恵 木村 暁夫 鈴木 昭夫 犬塚 貴
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.244-249, 2016-07-25 (Released:2016-08-18)
参考文献数
11
被引用文献数
1 4

症例は65歳女性.40年前,双極I型障害と診断され,リチウム製剤で治療を開始された.途中,数年の中断を経て,10年以上前から炭酸リチウム600 mg/日を内服していた.精神症状のコントロールは比較的良好であった.X年12月,高血圧の診断のもと,アジルサルタン20 mg/日の内服が開始されたところ,内服3週間後から動作時の両手指のふるえが生じるようになった.症状は進行性で,手指のふるえが強まり,内服4カ月後ごろからたびたび下痢,便秘を繰り返すようになった.経過観察されていたが,翌年10月下旬ごろから食欲の低下,認知機能の低下が生じ,2週間程度で進行するため当科に入院した.神経学的には,軽度の意識障害,四肢のミオクローヌス,体幹失調を認め,立位が困難であった.リチウムの血中濃度は3.28 mEq/lと高値を認めた.リチウム中毒と診断し,炭酸リチウムを含む全ての経口薬を中止し,補液を中心とした全身管理を行ったところ神経症状の改善を認めた.炭酸リチウムは長期間,適正な投与量でコントロールされていたが,降圧薬のアジルサルタンの投与を契機として,慢性的な神経症状が出現し,次第に増悪,下痢,脱水を契機にさらに中毒となったものと推定した.リチウム製剤はさまざまな薬剤との相互作用がある薬剤で,治療域が狭いという特徴がある.双極性障害は比較的若年期に発症し,リチウム製剤を長期内服している患者も多い.このような患者が高齢となり高血圧を合併することも十分考えられる.リチウム製剤投与者に対して,降圧薬を新たに開始する場合には,相互作用の観点から薬剤の選択ならびに投与後の厳重なリチウム濃度の管理が必要となる.現行の高血圧治療ガイドラインでは特にリチウム製剤投与者への注意喚起がなされておらず,このような高齢者が今後も出現する可能性がある.また,リチウム製剤投与高齢者の高血圧の管理において重要な症例と考え報告する.
著者
劉 暁潔
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衞生學雜誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.544-551, 1999-10-15
参考文献数
28
被引用文献数
1 1

カドミウム(Cd)土壌汚染地域である長崎県対馬厳原町樫根地区において,1981年に行われた土壌改良工事によって,住民の一日平均Cd摂取量は,工事完了前の215&mu;gから106&mu;gに低下した。本研究では,Cd曝露量減少後の住民の尿&beta;<sub>2</sub>-マイクログロブリン(&beta;<sub>2</sub>-mg)濃度および尿・頭髪・血液Cd濃度の変化とその意義について検討した。<br>1979年に尿&beta;<sub>2</sub>-mg濃度が1,000&mu;g/g creatinine (&mu;g/g cr)以上であった住民9人の幾何平均値は,1996年には約2.5倍の高値となった。一方,1979年に尿&beta;<sub>2</sub>-mg濃度が1,000&mu;g/g cr未満であった26人の幾何平均値は,18年後も変化がなかった。この事実から腎臓障害があった人は土壌改良工事完了によるCd摂取量減少後も,腎臓障害がさらに進行すると結論された。<br>尿Cd濃度の幾何平均値は,1979年では11.0&mu;g/g cr,1996年では6.3&mu;g/g crであり,有意に減少した。1979年の尿&beta;<sub>2</sub>-mg濃度が1,000&mu;g/g cr以上であった群は1,000&mu;g/g cr未満群に比して,減少率は有意に大きかった(p=0.03)。これは腎臓障害が腎皮質中Cd濃度を低下させ,その結果として尿Cd濃度を減少させることを示唆すると考えられた。<br>頭髪Cd濃度の幾何平均値は,1979年の109.1&mu;g/kgから1996年の55.1&mu;g/kgへと49%減少した。体内Cd蓄積量の指標とされる尿Cd濃度も43%減少したので,頭髪Cd濃度の減少がCd摂取量の減少に直接関係するのか,蓄積量の減少によるものか,あるいは,その双方に関係するかは,今回の研究では不明であった。体内Cd蓄積量の指標とされる尿Cd濃度と頭髪Cd濃度との間には,相関係数が0.38&sim;0.44と弱い正の相関が認められた。したがって,頭髪Cd濃度は,体内Cd蓄積量の影響を受けることが示唆された。<br>1996年の血液Cd濃度の幾何平均値は5.7&mu;g/lであった。1979年の尿&beta;<sub>2</sub>-mg濃度が1,000&mu;g/g cr以上であった人の血液Cd濃度の幾何平均値は,1,000&mu;g/g cr未満の人より有意の高値を示した。血液と尿のCd濃度の間に強い正の相関(r=0.70,p<0.01)が認められた。したがって,Cd曝露が軽減して長期間経過した後では,血液Cd濃度は尿Cd濃度と同様に,体内Cd蓄積量に影響を受ける可能性が示唆された。
著者
濤岡 暁子 野坂 久美子
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.821-831, 2000-09-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
29

本研究では,各歯列期における齲蝕感受性の程度が,齲蝕の新生とリコールの間隔の間に,どれ程関連しているかについて調査を行った。対象は,昭和60年から平成6年までの10年間に本学小児歯科外来に新患として来院した患児2,797名のうち,リコールを1年間以上継続して行った1,329名である。まず,患児を齲蝕と修復物の数と部位から,齲蝕感受性の高い群と低い群に分けた。さらに,それぞれの群を初診時年齢から4つに分類し,リコール間隔の一定していた群と不規則な群に再分した。その結果,初診時年齢0~3歳未満で齲蝕感受性の高い群は,1か月間隔に比べ2か月間隔のリコールでは,齲蝕発生歯数が著しく増加していた。また,初診時が0~3歳未満,3~6歳未満群の時,齲蝕感受性の高い群,低い群ともに,乳歯列から,混合歯列,永久歯列へと移行するに従い,齲蝕の発生は,減少していった。しかし,6~8歳未満,8~10歳未満群では,混合歯列から,永久歯列へ移行した時,齲蝕発生歯数は多くなっていた。また,リコール間隔が一定と不規則の場合を比較すると,各歯列期に移行した時の齲蝕の発生は,減少した場合は一定の方が齲蝕の減少歯数が大きく,増加した場合は不規則の方がより大きい齲蝕増加歯数であった。以上の結果から,リコールは,低年齢時から規則性をもって始めるほど有効性があり,また,齲蝕の程度や永久歯萌出開始時期を考慮した間隔が必要と考えられた。Key words:齲蝕感受性,齲蝕の発生,リコール間隔
著者
梅 暁棠
出版者
奈良教育大学
巻号頁・発行日
2013-03-25

奈良教育大学修士学位論文, 学位の種類: 修士(教育学), 学位授与年月日: 平成25年3月25日

2 0 0 0 OA 横川法語講話

著者
暁烏敏 著
出版者
香草舎
巻号頁・発行日
1931
著者
菊地 暁
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.165, pp.141-172, 2011-03

従来の「民俗学史」が抱えてきた「柳田中心史観」「東京中心史観」「純粋民俗学中心史観」ともいうべき一連の偏向を打開すべく、筆者は「方法としての京都」を提唱している。その一環として本稿では国民的辞書『広辞苑』の編者・新村出(一八七六―一九六七)を取り上げる。新村は柳田国男と終生親交を結び続けたが、その学史的意義が正面から問われたことはこれまでなかった。その理由の一端は、両者の交流を跡づける資料が見つからなかったことによるが、筆者は、新村出記念財団重山文庫ならびに大阪市立大学新村文庫の資料調査から、柳田が新村に宛てた五〇通あまりの書簡を確認した。これらは便宜的に、a)研究上の応答、b)資料の便宜、c)運動としての民俗学、d)運動としての方言学、e)交友録、に区分できる。これらの書簡からは、明治末年から晩年に至るまで、語彙研究を中心とした意見交換がなされていること、柳田の内閣書記官記録課長時代に新村が資料閲覧の便宜を得ていること、逆に柳田が京大附属図書館長の新村に資料購入の打診をしていたこと、柳田が「山村調査」(一九三四―一九三六)の助成金獲得にあたり、新村に京大関係者への周旋を依頼していること、一九四〇年創立の日本方言学会の運営にあたって、研究会開催、学会誌発行、会長選考、資金繰りなど、さまざまな相談していること、等々が確認される。こうした柳田と新村の関係は、一高以来の「くされ縁」と称するのが最も妥当なように思われるが、その前提として、「生ける言語」への強い意志、飽くなき資料収集、言語の進歩への楽観、といった言語認識の基本的一致があることを忘れてはならない。さらには、二人の関係が媒介となって、京大周辺の研究者と柳田民俗学との交流が促進されたことも注目される。This article proposes "Kyoto as a method" in order to challenge a series of biased views such as "Yanagitacentric historical view," "Tokyo-centric historical view," and "pure folklore-centric historical view" that exist in conventional "history of folklore studies." This article examines Izuru Shinmura (1876 - 1967), who was an editor of the national dictionary "Koujien." Shinmura continued to be a friend of Kunio Yanagita for life, but the meaning of this friendship in the history of studies has not been fully discussed. One of the reasons for this is that no materials that evidence the exchanges between them had been found. However, the author of this article found more than fifty letters from Yanagita to Shinmura during research on materials in Chozan-bunko Collection of Shinmura Izuru Foundation and Shinmura-bunko Collection of Osaka City University. For convenience, the letters may be classified into a) responses for research, b) favors for materials, c) folklore studies as a movement, d) dialectology as a movement, and e) records of friendship. From these letters, the following facts have been confirmed: they exchanged opinions mainly on vocabulary studies from the late Meiji period to their last years; Shinmura obtained permission of reading materials by favor when Yanagita was the chief of the record section of the Secretary to the Cabinet; Yanagita consulted Shinmura who was the director of Kyoto University Library about the purchase of materials; Yanagita asked Shinmura to introduce him to persons concerned of Kyoto University for the grant for "Survey on Mountain Village" (1934 - 1936); for the management of the Society of Japanese Dialects founded in 1940, Yanagita consulted about various things such as study meetings, publication of the journal of the Society, selection of chairman, financing, etc. Such relationship between Yanagita and Shinmura may be considered an "inescapable relationship" since the time at Daiichi High School. However, we should remember that their relationship was based on their basic agreement on language recognition such as strong will toward "living language," insatiable collecting of materials, and optimism for progress of language. Furthermore, it is noteworthy that their relationship promoted exchange between researchers around Kyoto University and the folklore studies of Yanagita.
著者
神前 暁 八木 啓介 池田 克夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第58回, no.人工知能と認知科学, pp.41-42, 1999-03-09
著者
津田 智史 井上 史雄 高丸 圭一 中西 太郎 山下 暁美 林 青樺 梁 敏鎬 椎名 渉子 斎藤 敬太
出版者
宮城教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

災害時および防災時にいかなる語彙が必要になるのかの調査を、自治体の防災パンフレットや自治体ホームページ、また「平成28年熊本地震」後の地元新聞紙を対象として実施した。そこから、災害時に必要になる語彙およそ110語を選定した。当初、研究期間内でのデータベース構築を目標としていたが、地震以外の災害語彙についての収集もおこなったこともあり、現在もデータベース構築・公開のための作業を継続中である。
著者
菊地 克子 五十嵐 敦之 加藤 則人 生駒 晃彦 金久保 暁 照井 正
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.129, no.13, pp.2763-2770, 2019-12-20 (Released:2019-12-20)
参考文献数
50

皮脂欠乏症は乾皮症と同義であり,加齢により生じる老人性乾皮症や皮膚機能が未成熟である乳幼児に生じるもののほか,アトピー性皮膚炎や魚鱗癬あるいは糖尿病や慢性腎臓病などの疾患に併発すると共に,一部の抗がん剤や放射線治療などに伴っても生じる.皮膚乾燥はしばしば瘙痒を伴い,搔破によって湿疹などの状態になることから,セルフメディケーション製品を含めた保湿剤による治療を疾患や病態に合わせて行う必要があるものの,明確な治療基準は存在しない.そのため,治療に関する指針が定められることが望まれる.