著者
山崎 康 小澤 壯治 數野 暁人 小熊 潤也 志村 信一郎
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.21-25, 2015 (Released:2015-07-31)
参考文献数
22

症例は58歳の女性.2012年7月中旬に腹痛,嘔吐を認め近医を受診した.血液検査所見では炎症反応の上昇を認め,上部消化管内視鏡検査では食道に壁外性の圧排による内腔狭窄を認めた.CT検査では下行大動脈からの後縦隔血腫と診断され,精査加療目的に当院転院搬送となった.当院での精査の結果,胸部仮性大動脈瘤破裂の診断となり,緊急手術を施行した.術中所見では下行大動脈に8mm大の穿孔部を認めた.穿孔部を切除すると食道との間に血栓および膿瘍を認め,食道への穿孔部を視認できた.感染性大動脈瘤破裂・食道穿孔の術中診断となり,下行大動脈人工血管置換,食道縫縮術を施行した.術後第9病日に食道縫縮部位の縫合不全と診断し胸部食道切除,頸部食道瘻・胃瘻造設術を施行した.再手術後,胸腔内の持続洗浄を施行し,第51病日に退院となった.初回手術から11カ月後に胸壁前経路頸部食道胃管吻合術を施行し,現在外来通院中である.
著者
土井 信幸 秋山 滋男 矢野 健太郎 高橋 恵美利 小見 暁子 井戸田 陽子 荻原 琢男
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.9, pp.651-658, 2016-09-10 (Released:2017-09-10)
参考文献数
17
被引用文献数
2

Many generic products of latanoprost ophthalmic solution are commercially available. For pharmacists' guidance, patients often ask questions, such as the total number of drops to be used per bottle. However, materials, including package inserts, that can be obtained from pharmaceutical companies do not provide such information, such as the total number of drops, the volume of a drop, or sense of use regarding each preparation. In this study, we compared the total number of drops, the weight of a drop, squeezing force, and sense of use using brand-name and generic products of latanoprost ophthalmic solution to establish selection criteria.The weight of a drop exceeded 25 mg in all products, but there were significant differences among the products. In generic products, the total number of drops per bottle was lower than in the brand-name product (112.6 ± 0.9 drops), showing significant differences (10 to 20 drops). The squeezing force required for dripping differed among the products (1.5 to 5-fold). The sense-of-use score regarding the rigidity of an eye drop container reduced with the increase in the squeezing force, showing a negative correlation. The utilization of this information may improve glaucoma patients' adherence and/or reduce costs, providing beneficial information for adopting pharmaceutical preparations in medical institutions.

2 0 0 0 OA 光アレルギー

著者
川田 暁
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.8-12, 2011 (Released:2011-03-01)
参考文献数
19
被引用文献数
1 2

皮膚科領域のアレルギーの中に「光アレルギー」という概念がある.これは日光が関与するアレルギーで,内因性と外因性に分類される.内因性疾患として日光蕁麻疹,多形日光疹,慢性光線過敏性皮膚炎などが,外因性疾患として薬剤性光線過敏症,光接触皮膚炎などがある.特に薬剤性光線過敏症と光接触皮膚炎は,皮膚科医以外の医師も日常診療でしばしば遭遇する疾患である.したがってこれらの2つの疾患の概念・原因薬剤・臨床症状・治療と予防について理解しておく必要がある.薬剤性光線過敏症の原因薬剤としては,ニューキノロン系抗菌剤,ピロキシカムとそのプロドラッグであるアンピロキシカムが圧倒的に多い.最近塩酸チリソロール,シンバスタチン,ダカルバジンなどが増加傾向にある.光接触皮膚炎の原因薬剤としては,ケトプロフェン(ゲル剤,テープ剤,貼付剤)の頻度が増加傾向にある.
著者
鄭 暁静 大竹 美登利
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.95-104, 2018

<p>  Currently, in Japan and Korea, family characteristics and values are undergoing diversification. This is thought to affect students' attitudes toward family and home life. Accordingly, it is necessary to incorporate this situation into the teaching of home economics, in which students study the family and home life. </p><p>  Therefore, in this study, we conducted a questionnaire survey of high school students in Japan and Korea to clarify the structure of learning about gender equality in home economics education and how gender roles are influenced. </p><p>  It was discovered that, the greater the effect of learning about gender equality in home economics education, the more the students are faithful to school life, the more they emphasize the stability of life and work in the future, and the more they highlight the relationship between married couples in both countries. Furthermore, it became apparent that this consciousness has an influence on Japanese male students in that they take a positive stance about women's social participation.</p>
著者
鄭 暁静
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.61, 2018

【目的】<br>日本と韓国は、少子高齢化や家族形態の多様化、男女共同参画の推進等、家族をめぐる社会的な変化が激しく、その傾向が類似している。家族・家庭生活の学習を中心的に扱っているのは両国とも家庭科であり、相互の学習内容を学びあうことは、今後の両国の家族・家庭生活学習のあり方を検討する際に参考になるものと考える。そこで本研究では、日本と韓国の小学校家庭科における家族・家庭生活領域の学習内容を、教育課程及び教科書を用いて質的に比較分析し、類似点と相違点を明らかにすることを目的とした。<br>【方法】<br>日本と韓国の家庭科教育課程及び教科書の記述内容を質的に比較分析した。教育課程は、現在学校で使用されている教科書に基づき、日本は2008年告示の小学校学習指導要領、韓国は2009年告示の実科(技術・家政)教育課程を対象とした。教科書は、日本は2014年検定済みの小学校5、6年生用の家庭科の教科書2冊(開隆堂、東京書籍)、韓国は2014年検定済みの実科の教科書(5年生)4冊(Chunjae Education、Dong-a Publishing、Kyohaksa、Mirae-N)を対象とした。<br>【結果】<br>(1)教育課程において、日本の小学校学習指導要領解説家庭編では、「少子高齢化や家庭の機能が充分に果たされていない状況に対応し、家族と家庭に関する教育と子育て理解のための体験や高齢者との交流を重視する」と述べており、社会の変化に伴った家族・家庭生活領域の学習に重点を置いていることが分かる。韓国の実科(技術・家政)教育課程解説においても、「実科は多様な国家社会の要求に対応できるようにし、…(省略)…少子高齢社会、多文化社会での個人及び家庭生活に求められる自己管理及び自立的な生活の遂行管理能力を充足させる必要がある」と述べており、日本の家庭科と同様、少子高齢化等、社会の変化に対応した家族・家庭生活の学習が重点化して取り上げるようになっていることが分かった。一方、韓国では「多文化社会」というように、多文化家族(国際結婚家族)が増加している社会状況を踏まえ、家族・家庭生活領域の学習のあり方に多文化理解教育が明示されていることが日本と相違していた。<br>(2)両国の家族・家庭生活領域における内容要素を比較すると、日本の小学校家庭科の『A家庭生活と家族』は「自分の成長と家族」「家庭生活と仕事」「家族や近隣の人々とのかかわり」の3つの項目で構成されており、韓国の初等学校実科の『自分と家庭生活』は「自分の成長と家族」「家庭の仕事と家族員の役割」の2つの項目で構成されていた。両国とも自分の成長や、家庭生活における仕事に関しては同様に扱われていたが、韓国では地域社会を視野に入れた内容要素は扱われていなかった。さらに日本の「家庭生活と仕事」では、生活時間の有効な使い方について扱われているのに対し、韓国は、生活時間についての学習が家族・家庭生活領域では扱われておらず、住生活及び消費・環境領域である『快適な住居と生活資源管理』の「お小遣いと時間の管理」の項目で扱われている違いが見られた。<br>(3)教科書の記述内容をみると、両国とも扱っている「自分の成長と家族」「家庭生活と仕事」の項目についても、具体的な学習内容には違いがあることが明らかになった。例えば「自分の成長と家族」では、日本では、家族に支えられて自分が成長してきたことを理解するという学習内容であるのに対し、韓国では、自分の成長過程を乳児期・幼児期・児童期に分け、身体的・精神的・社会的成長の特徴を理解するという学習内容であった。全体的に韓国の小学校家庭科の教科書の方が、日本より内容量が多く、多文化家族等の様々な家族形態や、家族とジェンダー、家族・家庭生活と関連した職業(健康家庭士や家族相談士等)の紹介等、日本の小学校家庭科の教科書では扱われていない学習内容が多く見られた。
著者
藤林 紀枝 山上 遥那 高橋 洋子 髙清水 康博 齋藤 暁史 Fujibayashi Norie Yamakami Haruna Takahashi Yoko Takashimizu Yasuhiro Saitoh Akifumi
出版者
新潟大学教育学部
雑誌
新潟大学教育学部研究紀要 自然科学編
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.113-123, 2019-03

月の高度簡易測定器「ツクヨミ」を作成し,方位磁石とともに用いて月の形と移動経路を測定する実習を実施した.小・中学校の学習内容である「月の満ち欠け」,「地球から見た月の動き」,「月と太陽と地球の位置関係」,および「月の運動(公転)と見え方」は,小学校理科の学習項目の中で「教える自信」のない項目の1つである.本研究では,教育学部理科教育専修の2年次学生の授業で,月の高度簡易測定器「ツクヨミ」を新たに作成し,それを用いて1ヶ月間のうち6日の月の観測をさせた.そのデータを基に,月と太陽と地球の位置関係と月の運動(公転)について図示させたところ,系統的に高めの数値を記録した者が数名あったが,測定者ごとの月の移動経路はほぼ弧を描き,有益な結果を得ることができた.授業では他に,ボールとライトを用いた月の満ち欠け実験と,月齢カレンダーを用いた月の形と月の出・入時刻の規則性の調べ等を行った.その結果,授業前は位置関係と地球から見た月の形と出入り時刻の相関性が分かっていた学生が18.2%だったのに対し,授業後は理解度が大きく上昇し81.8%となった.記述からは,月と太陽と地球の位置関係の理解において,視点の転換だけでなく,地球の自転による時刻の変化と,北から俯瞰した時の(観察者にとっての)方角の概念が欠けやすいことが明らかになった.そして,特に中学生以降の観察や観測の機会の少なさが,理解度を減少させる原因の1つとなっている可能性が指摘される.「ツクヨミ」のような簡易測定器を用いて月の位置を数値化し,科学的思考に発展させることが今後重要となるであろう.
著者
桐野 文良 大野 直志 田口 智子 根津 暁充 横山 亮一
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
pp.J2018048, (Released:2019-03-01)
参考文献数
12

The production processes of old Japanese coins, Genbun-koban, Akita-ginban and Morioka-ginban, were studied. These coins were manufactured by a forging method in the Edo-era. Genbun-koban, manufactured at a gold mint of the Tokugawa shogunate called Kinza, in 1736, is made of Au-Ag alloy and its surface is not flat. The residual stress of this coin is compressive, and the residual stress in the stamped area is higher than that in the flat area. The Iroage method was used to color the coin; it is a thermal treatment, resulting in lows the residual stress is smaller at flat area. Akita-ginban, manufactured in the Akita domain in 1863 is made of pure Ag and its surface is also not flat. There is no residual stress in this coin. This result shows that the thermal treatment of this coin was carried out after processing. Morioka-ginban, manufactured in the Morioka domain in 1868, is made of pure Ag, and its surface is flat. The residual stress of this coin is compressive, and the residual stress in the stamped area is higher than that in the flat area. This result shows that the thermal treatment was not carried out after processing. These coins manufactured in the Edo-era thus had different thermal treatments.
著者
李 暁辰
出版者
関西大学東西学術研究所
雑誌
関西大学東西学術研究所紀要 = Bulletin of the Institute of Oriental and Occidental Studies, Kansai University (ISSN:02878151)
巻号頁・発行日
no.50, pp.271-285, 2017-04

In this paper, I will examine academic activities and the human network at Keijō Imperial University, focusing on the 'Assistants Association of the Department of Liberal Arts'. This association was established in April 1934 by Nakayama Iwamitsu (中山岩光), Takeshita Teruhiko (竹下暉彦), Park Chi-woo (朴致祐), Shūda Tatsuo (習田達夫), Sano (佐野道), and Shōji (庄司秀一). They gathered 44 members in a year and a half. Most of the members had experience as assistants at Keijō Imperial University, and most of the assistants were graduates after 1929, when Keijō Imperial University started producing graduates. They held regular lectures more than 10 times between 1934 to 1935, and published the journal Gakkai twice in 1935. The two journals published contain 17 articles and three poems written by members of the association. This association is important because it gives us a clue about how young Korean and Japan scholars communicated in that period, and helps us understand what the role of the assistant position in Imperial University was like.
著者
梶井 一暁
出版者
岡山大学大学院教育学研究科
雑誌
研究集録 (ISSN:18832423)
巻号頁・発行日
no.163, pp.9-19, 2016

本小稿は,19 世紀末から20 世紀初頭の日本における前近代的な手習塾(寺子屋)から近代的な国民教育への移行過程を考察するとともに,その教育の近代化がもたらす教育観の変化について論じるものである。近代において国民教育を行う機関であった学校は,教師が生徒に一斉教授を行う場であった。前近代の手習塾は,教師が生徒に個別教授を行う場であったことを考えると,大きな転換である。近代学校で教壇に立つ教師は,一斉教授を行う方法を心得る存在ゆえ,時代における新しい教師であった。 近代学校で一般化した一斉教授法は,教師による集団としての生徒の同時,同一の行為を強く求める方法であった。換言すれば,生徒の身体の制御と統制を必然とする方法であった。そして,この近代学校を通じて形成される制御と統制に馴染んだ生徒の身体は,人的資本の観点からすれば,労働市場の近代化と技能の標準化にとって有利な条件であった。
著者
殿内 暁夫 森山 裕理子 青山 嘉宏 土岐 春歌
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.111, no.7, pp.437-444, 2016 (Released:2018-07-30)
参考文献数
6
被引用文献数
1

著者らは,白神山地由来の微生物資源の産業利用を通じた地域貢献を目的として,酵母Saccharomyces cerevisiaeの分離を進めている。十分に検討された分離・同定スキームにより,これまでに多数の菌株を得ている。加えて,本稿には自然環境から酵母を分離する際に有用な示唆に富んだ内容も含んでいる。また,産学官の研究会を組織し,広報・普及活動を行っており,一部については商品開発もなされている。解決すべき課題もあるというが今後の展開が期待される。
著者
井川 倫宏 玉岡 優児 細田 暁
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学論文集 (ISSN:13404733)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.101-109, 2018 (Released:2018-09-15)
参考文献数
8
被引用文献数
1

現行の表面吸水試験では,測定結果から得られる10分時点での表面吸水速度を評価基準に用いている。本研究では,3種類の水セメント比のコンクリートを用いた促進凍結融解試験による様々な劣化の程度の供試体に対して,10分時点での表面吸水速度と10分間の吸水量が比例関係を示すことが分かった。これまでに提案されている品質評価のしきい値により,W/Cが55~75%のコンクリートの凍結融解作用による劣化の程度を評価可能であると考えられる。さらに,測定時間の短縮について検討し,1分から10分の間の任意の測定時間において,現行の10分時点での評価と同じ評価結果をもたらす評価指標を提案した。
著者
坂井 素思 馬場 康彦 色川 卓男 影山 摩子弥 永井 暁子 濱本 知寿香
出版者
放送大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

この研究の目的は、「生活政策学」という研究分野の可能性について、基礎的かつ応用的な模索を行うことにある。現代社会の変動は、少子高齢化やサービス経済化などを通じて、政府・市場・家計などの経済領域に対して、かなり強い影響を及ぼしてきている。たとえば、労働や社会組織のフレキシビリティ問題は、典型例である。あるいは、少子高齢社会の中での柔軟な「仕事と家庭」との社会的な調整の問題などが起こってきている。このため、今日の生活領域では、政府が行う公共政策、企業や家庭が行う経営・運営なとが「ミックスした状況」のもとで政策が立てられてきている。このような状況のなかで、これらの社会変動のもたらす弊害に対して、総合的な視点が求められている。このような変動する社会の不確実な状況に対して、一方では市場経済のなかで個人がそれぞれ能力を高めて、これに対処することが求められ、他方で個人では対処が困難なときには、公共政策が企てられてきている。実際には、このような二つの領域が接するところで、はじめてこれらの行動原理が調整される必要があり、ここに生活政策学が求められる可能性がある。基礎的な研究作業では、「生活政策」とは何かについての理論的な研究の展望が行われた。従来、「政策」とは政府が中心として私的分野へ介入を行うような公式的な施策が基本的なものであった。けれども、今日では政府以外の組織によって行われるインフォーマルな施策にも、「政策」と同等の位置づけが行われるようになってきている。このような状況のなかで、これらの複合的な政策に関する整合的な理論が求められている。「生活政策学」に関する応用的な研究を行う段階では、それまで行ってきた基礎的な研究、その性質についておおよその見通しが得られたので、これらの成果を基にして、公共領域と市場領域、市場領域と家計領域、さらに家計領域と公共領域などに見られる中間的な組織や経済制度を対象に選んで、「事例研究」を進めてきている。このなかで、国や地方公共団体のIT政策の生活政策的意味についての検討を試みた研究、または、成果主義や裁量労働制などが導入されている現代における労働生活過程のシステム転換について考察を行った研究、あるいは、生活領域における「ケア」のあり方のなかに、社会の中間的な組織化の原理があると考え、このようなケア組織化の特性についての研究、さらには、平成不況の特質について、現代日本の家計構造を調べることで明らかにしている研究などの成果が上がってきている。
著者
佐々島 暁 十亀 昭人
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.79, no.701, pp.1561-1566, 2014-07-30 (Released:2014-09-30)
参考文献数
28

The hatch of the International Space Station (ISS) has been designed based on the “NASA STANDARD”. This hatch has been designed for the transportation of equipment, and wasn't for the use of man. In case of using of civilian who aren't trained, the hatch of the ISS isn't secure enough to ensure their safety. We observed the emergency evacuation behavior of crowds flocking to the hatch, under microgravity conditions. This underwater experiment simulates microgravity conditions. This study also verified the validity of the appropriate positions of handrails used to evacuate. The underwater experiments where the 3 handrails were positioned in the direction of the exit, allowed for the shortest evacuation times. It was proven that the specific alignment of the handrails decreased the speed of the crowd, which allowed for all participants to exit in an orderly manner. We can conclude that an efficient and controlled evacuation of a crowd is a result of the handrails and their strategic positioning.
著者
岩田 浩子:筆頭著者 佐藤 啓造:責任著者 米山 裕子 根本 紀子 藤城 雅也 足立 博 李 暁鵬 松山 高明 栗原 竜也 安田 礼美 浅見 昇吾 米山 啓一郎
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.156-167, 2018-04 (Released:2018-09-11)

終末期医療における治療の自己決定は重要である.終末期医療における自己決定尊重とそれをはぐくむ医療倫理教育に関する課題を,安楽死・尊厳死の意識から検討する.われわれが先行研究した報告に基づき医学生と一般人と同質と考えられる文系学生を対象として先行研究(医学生と理系学生)と同じ内容のアンケート調査を行った.アンケートでは1)家族・自分に対する安楽死・尊厳死,2)安楽死・尊厳死の賛成もしくは反対理由,3)安楽死と尊厳死の法制化,4)自分が医師ならば,安楽死・尊厳死にどう対応するかなどである.医学生は安楽死・尊厳死について医療倫理教育を受けている230名から無記名のアンケートを回収した(回収率91.6%).文系学生は教養としての倫理教育をうけている学生で,147名から無記名でアンケートを回収した(回収率90.1%).前記5項目について学部問の意識差について統計ソフトIBM SPSS Statistics 19を用いてクロス集計,カイ二乗検定を行いp<0.05を有意差ありとした.その結果,家族の安楽死については学部間で有意差があり,医学生は文系学生と比較し医師に安楽死を依頼する学生は低率で,依頼しない学生が高率で,分からないとした学生が高率であった.自分自身の安楽死について医学生は医師に依頼する学生は低率で,依頼しない学生は差がなく,分からないとした学生は高率であった.家族の延命処置の中止(尊厳死)では,医学生と文系学生間で有意差を認めなかった.自分自身の尊厳死は,医学生は文系学生と比較し,医師に依頼する学生は低率で,かつ依頼しない学生も低率で,分からないとした学生が高率であった.もし医師だったら安楽死・尊厳死の問題にどう対処するかは,医学生は条件を満たせば尊厳死を実施すると,分からないが高率で,文系学生では安楽死を実施が高率で医学生と文系学生との間に明らかな差を認めた.法制化について,医学生は尊厳死の法制化を望むが多く,文系学生では安楽死と尊厳死の法制化を「望む」と「望まない」の二派に分かれた.以上より終末期医療における安楽死・尊厳死の課題は医学生と一般人と同等と考えられる文系学生に考え方の相違があり,医学生は終末期医療における尊厳死や安楽死に対して「家族」「自分」に関して医療処置を依頼しない傾向がある一方,判断に揺れている現状が明らかとなった.文系学生は一定条件のもとで尊厳死を肯定する意識傾向があった.医学生の終末期医療に関する意識に影響する倫理的感受性の形成は,医学知識と臨床課題の有機的かつ往還的教育方略の工夫が求められる.「自己」「他者」に関してその時に何を尊重して判断するかを医学生自身が認識することを通して,倫理的感受性を豊かにする新たな教育の質を高める努力が必要である.文系学生においても終末期医療の現実を知ることや安楽死・尊厳死を考える教育が必要であると思われた.
著者
児玉 良明 角川 明 高橋 孝仁 石川 暁 川北 千春 金川 健 戸田 保幸 加藤 洋治 地本 晶彦 山下 和春 永松 哲朗
出版者
The Japan Society of Naval Architects and Ocean Engineers
雑誌
日本造船学会論文集 (ISSN:05148499)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.192, pp.1-13, 2002 (Released:2007-05-30)
参考文献数
17
被引用文献数
5 2

This paper is the first half of the report on the study on microbubbles carried out by the SR239 project of the Shipbuilding Research Association of Japan, and describes the preparatory study for the full-scale experiment using a 116m-long ship. In the present study, first the skin friction reduction effect by microbubbles was investigated including the use of an array-of-holes plate for bubble generation, the effects of streamwise pressure gradient, surface curvature, and vertical plate, the sea-water effect, and the effect of bubble size. Bubble generators for the full-scale experiment were designed and built, and a preliminary injection experiment was carried out. Two new measuring devices for the full-scale experiment were developed; they are skin friction sensors and local void ratio sensors. Microbubble experiments were carried out in a 400m-long towing tank using a 50m-long flat plate ship, in order to obtain the scale effect data and to confirm the validity of the new devices for the full-scale experiment. The use of adhesives to fix measurement devices and cables on the hull surface was tested and established. The hydrodynamic fairing of the cables was also tested and established. Finally, a preliminary microbubble experiment using a small ship was carried out and the bubble behavior was observed.