著者
馬場 慎介 澤村 大地 村串 まどか 柳瀬 和也 井上 暁子 竜子 正彦 山本 雅和 中井 泉
出版者
公益社団法人 日本分析化学会 X線分析研究懇談会
雑誌
X線分析の進歩 (ISSN:09117806)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.284-307, 2017-03-31 (Released:2023-08-18)
参考文献数
40

日本で出土する古代ガラスの化学組成の違いは,ガラスの製造地や原料の違いを反映することが知られている.日本では古代ガラスの研究が盛んに行われてきたが,平安時代以降の中世のガラスに着目して研究をした例は少ない.本研究では中世以降の京都府出土のガラスについてポータブル蛍光X線分析を用いて非破壊化学組成分析を行った.分析結果を他地域の中世のガラスと比較することで,ガラスの流通について考察することなどを目的として研究を進めた.まず,全資料を主成分組成により分類したところ,カリ鉛ガラス(K2O-PbO-SiO2),カリ石灰ガラス(K2O-CaO-SiO2),アルミナソーダ石灰ガラス(Na2O-Al2O3-CaO-SiO2)の3種類が確認された.カリ鉛ガラス,カリ石灰ガラスは中世を代表するガラスであり,化学組成に差が見られるものもあり,異なる起源を有することがわかった.アルミナソーダ石灰ガラスについては古代日本で広く流通したガラスタイプであるが,微量重元素組成においても古代のアルミナソーダ石灰ガラスと類似した組成を持つため,古代からの伝世品である可能性が示された.
著者
永渕 裕子 伊藤 彦 小泉 宏隆 風間 暁男 高木 正之 山田 秀裕 尾崎 承一
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.75-81, 2016-03-30 (Released:2016-05-31)
参考文献数
13

子宮腫瘍と両側副腎腫瘍を呈した悪性リンパ腫(ML)合併シェーグレン症候群(SjS)の2剖検例を経験した.症例1:関節リウマチとSjS合併の83歳女性.下腿浮腫精査で子宮腫瘍を指摘.症例2:SjSの83歳男性.発熱精査で両側副腎腫瘍を指摘.2例共生検できず.剖検でびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の診断が確定した.MLによる子宮と副腎病変は稀で,SjSでの報告はない.SjSに合併する腫瘍の鑑別として重要と考え,報告する.

2 0 0 0 OA 日本の局地風

著者
日下 博幸 西 暁史
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
日本風工学会誌 (ISSN:09121935)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.164-171, 2012 (Released:2013-03-20)
参考文献数
27
被引用文献数
1
著者
高橋 暁子 根本 淳子 竹岡 篤永 市川 尚 鈴木 克明
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.249-258, 2023-06-20 (Released:2023-07-14)
参考文献数
17

本研究では,Instructional Design(ID)の専門家の養成を目指した「大学版上級ID 専門家養成講座」のワークショップを題材に,修了者の継続的な参加が修了者自身にどのような意義があるのかを明らかにしようとした.参加者アンケートから,前年修了者がファシリテータとしてワークショップに参加したことで,参加者は有用なアドバイスを得られたと感じていることが示唆された.また,前年修了者に対するフォーカスグループインタビューでは,ワークショップへの継続参加がリフレクションの機会になっていることなどが示唆された.一方で,継続参加の効果についてさらなる分析が必要であることが確認された.
著者
西 正暁 島田 光生 森根 裕二 吉川 幸造 徳永 卓哉 中尾 寿宏 柏原 秀也 高須 千絵 良元 俊昭 和田 佑馬
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.59-61, 2022-04-15 (Released:2022-05-15)
参考文献数
10

近年では漢方の分子生物学的な作用機序の解明が進み, 臨床においても質の高いランダム化比較試験により漢方の有用性が明らかになってきた. 現在では大建中湯を含む多くの漢方製剤が広く臨床の現場で用いられている. 大建中湯は乾姜, 人参, 山椒の3つの生薬に膠飴を加えた漢方で, 外科領域においては癒着性イレウスや麻痺性イレウス, 過敏性腸症候群, クローン病などを適応とし, 消化管運動促進作用, 腸管血流増加作用,抗炎症作用などが報告されている. 近年では, 食道・胃・大腸・肝臓・膵臓・肝移植外科それぞれの領域でランダム化試験が実施され, 大建中湯の周術期管理における有効性が証明されている. また分子生物学的なメカニズムについても解明がすすみ, 現在, 大建中湯は消化管外科・肝胆膵外科の分野を問わず消化器外科全般における周術期管理のkey drugとして位置付けられている. 本稿では消化器外科領域における大建中湯による周術期管理のサポートについて概説する.
著者
中川 種昭 池上 暁子 鷺 二郎 伊藤 幸高 林 智子 大島 みどり 島 信博 山田 了
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.901-906, 1992-12-28 (Released:2010-08-25)
参考文献数
15
被引用文献数
2

本研究は, スクラビング方式の電動歯ブラシを用い, 刷掃時間, 振動数などの違いによるプラーク除去効果および手用歯ブラシとの比較検討を行った。被験者は本大学保存科医局員10名とした。プラークの付着状態を各条件のブラッシング前後で比較した結果, スクラビング方式の電動歯ブラシのプラーク除去効果は手用歯ブラシと同程度であり, 短時間で高い刷掃効果は得られなかった。刷掃時間は電動歯ブラシ, 手用歯ブラシともプラーク除去効果に与える影響が大きく, 刷掃時間が短いと刷掃効果は著しく低下し特に隣接面におけるプラーク除去効果の低下が認められた。
著者
鈴木 拓 早川 克彦 岩本 卓士 大木 聡 鳥居 暁子 雨宮 剛 佐藤 和毅
出版者
日本肘関節学会
雑誌
日本肘関節学会雑誌 (ISSN:13497324)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.237-239, 2018 (Released:2019-07-25)
参考文献数
9
被引用文献数
2

目的:上腕骨外側上顆炎に対するPRP療法の臨床成績について報告する. 対象と方法:上腕骨外側上顆炎に対してPRP療法を施行した7例9肘を対象とした.従来の保存加療が無効であった患者に対して行い,発症からPRP療法を施行までの期間は平均25か月であった.PRP施行前,施行後1,3,6か月時のVAS,握力健側比,患者評価のPRTEEに関して調査した. 結果:PRP療法施行前,施行後1,3,6か月における手関節背屈抵抗時の平均VAS(53→23→14→4),外側上顆の圧痛の平均VAS(79→38→26→14),平均握力健側比(80→89→104→97),平均PRTEEスコア(53→34→23→20)は治療前と比べて有意に改善した. 考察:PRP療法は,他の保存療法に抵抗性の症例に対しても疼痛を有意に軽減させ,有用な治療と思われる.
著者
遠藤 光暁
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.14-22, 2003-04-30 (Released:2017-08-31)

Thanks to the abundance of old documents as wel as the excellent descriptive work conducted both by the Chinese themselves and foreigners, the study of Chinese phonology has flourished. This paper, which consists of the following seven sections, introduces various approaches taken in past studies of Chinese phonology, discusses current theoretical issues, and points out some of the important topics in this area. (1) The concept of ‘layer’ in historical phonology (2) Studies on the compiling process for documents on Chinese historical phonology (3) A method of projecting family trees on geographical distribution (4) Tracing recent phonological changes (5) Historical studies on tone and stress accent (6) Bilingual documents (7) Studies on old Chinese phonology and genetic relation between Chinese and the other language families
著者
方 暁 小野 廣紀 久保田 朱里 井上 吉教 浦部 貴美子 灘本 知憲
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.775-781, 2010-12-15 (Released:2013-07-16)
参考文献数
14

The deodorizing activity against methanethiol (CH3SH) of compounds from Houttuynia cordata Thunb, “dokudami" in Japanese, were identified. The main deodorizing compound was isolated from the methanol extract of the dried aerial parts of H. cordata as caffeic acid. This is the first report to identify caffeic acid as the deodorant against CH3SH in H. cordata, although caffeic acid is an established compound. The reaction products of caffeic acid and CH3SNa were chromatographed, and three peaks were separated as the conjugates. Their structures were determined by MS and NMR methods to be those of 2-methylthiocaffeic acid, 5-methylthiocaffeic acid and 2, 5-dimethylthiocaffeic acid.
著者
田 来明 田 鑫 権 心嬌 付 暁霞 李 男 崔 鶴馨 胡 桂英
出版者
全日本鹿協会
雑誌
日本鹿研究 (ISSN:21850542)
巻号頁・発行日
vol.2020, no.1, pp.49-52, 2020 (Released:2023-05-22)

本研究では、保存方法の違いによる鹿肉の品質に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。冷蔵および冷凍時のpH は5.54 〜 5.69 の範囲内にあり、肉質が良好であることを示していた。しかし、冷凍庫で保存することによって、大腰筋の赤色度と色度が低下した(P <0.0001、P = 0.001)。解凍した鹿肉は高い遊離水比率(P = 0.001)、滴下損失(P = 0.033)、と低い可塑性(P = 0.001)を持った。冷凍された鹿肉の品質が冷蔵肉より劣っていることが判明した。
著者
西 康貴 大野 暁彦
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.86, no.5, pp.481-486, 2023-03-31 (Released:2023-05-12)
参考文献数
11
被引用文献数
1

In recent years, the city parks have diversified and it’s a problem how we balance various activities in city parks. In this research, I focused on dynamic actions and static actions seen in city parks and open spaces. I studied field survey to clarify the human behaviors in the three parks, and analyzed the relationships between actions and spaces elements, user density. As a result, it appears that trees and furniture in grass square influence on activities. And installing them in grass or connecting with it directly, it could create places with dynamic action and static action. User density increase and exceed a certain density, static actions tend to occupy static actions in grass areas. It depends on their sizes and forms. Also, about user density, it is thought static actions tend to be over dynamic action in grass areas when it is over a certain density, and it depends on the areas of each park.
著者
安元 暁子
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

野外調査ではニッコウキスゲはハナバチ媒花で24-48時間咲きであった。日本全国からサンプリングを行い、葉緑体DNAの系統樹を作成したところ、蛾媒花と蝶媒花がそれぞれ複数回進化したことが示唆された。蛾媒花キスゲの分布から交雑が見かけ上の複数回進化に寄与した可能性が高い。また、種子を作れない3倍体ヤブカンゾウは、全国に分布しながらも葉緑体DNA の変異がほとんどなく、人によって持ち運ばれたと考えられる。
著者
岸 知子 岡田 恵美子 佐藤 敦子 石川 雅子 鵜川 重和 中村 幸志 玉腰 暁子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.210-222, 2018 (Released:2018-05-29)
参考文献数
32

目的 北海道は面積が広く,地域により自然環境,主要産業が多様であることから社会経済状況の影響を受ける生活習慣ならびに生活習慣病による死亡率の地域差が大きい可能性がある。本研究は,北海道の地域間における健康格差縮小に取り組む際の資料を得ることを目的とし,北海道の二次医療圏を単位として,死亡率と栄養摂取状況の地域差の実態と,それらの関連を検討した。方法 本研究は生態学的研究である。死亡に関する情報の把握には,北海道保健統計年報ならびに北海道内の二次医療圏を単位として作成されている地域保健情報年報を用いた。平成17年~21年のデータから北海道全体と,各二次医療圏の標準化死亡比(SMR)の5年平均値を算出した。栄養素摂取量の把握には,平成16年度健康づくり道民調査のデータを用いた。二次医療圏の死亡率と栄養素摂取量の関連は,Spearmanの相関係数を用いて検討した。結果 死亡率は道南,道東の沿岸部で高く,道北地域の内陸部,十勝地域で低い傾向にあった。また,二次医療圏間の栄養素摂取量における最大値と最小値の差に関しては,エネルギーは400 kcal~500 kcal,たんぱく質は20 g~30 g,食塩は4 g~5 g,緑黄色野菜は60 g,淡色野菜は100 gであった。死亡率と栄養素摂取量の関連については,女性でのみ悪性新生物死亡と脂質摂取量,牛乳・乳製品摂取量の間に正の関連,悪性新生物死亡と米の摂取量の間,心疾患死亡と大豆・大豆製品摂取量の間に負の関連が認められた。結論 北海道の二次医療圏間における死亡率および栄養素摂取量の地域差の実態が明らかになった。また,女性でのみ死亡率と栄養摂取量との間に関連が認められた。今後は,地域の健康指標,生活習慣に関する情報に加え,社会経済環境に関する情報も含めて地域差の要因について検討することが課題であると考える。
著者
柿崎 暁 鈴木 秀行 市川 武 佐藤 賢 高木 均 森 昌朋 湯浅 圭一朗
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.106, no.10, pp.1488-1493, 2009 (Released:2009-10-15)
参考文献数
14

症例は46歳,女性.自己免疫性肝炎治療中の肝機能増悪の原因が,プレドニゾロンの先発医薬品からジェネリック医薬品への変更と考えられた.肝炎の増悪で入院.退院後の外来通院に際し,プレドニゾロンを先発品から後発品へ変更したところトランスアミナーゼの再上昇を認めた.先発品に戻したところ,同量でトランスアミナーゼは改善した.無論,後発品の多くは有効であるが,変更の際,留意すべき症例もあると考え報告する.