著者
曽根 陽子 亀井 靖子 香山 奈緒美
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究は昭和40年代後半に首都圏郊外で大手開発業者によって開発された建て売り住宅・団地の変容の要因を明らかにすることを目的とした。これは欧米に比べ短命なわが国の戸建て住宅の延命に役立つと同時に、現在のわが国の供給住宅の約1割を占める建売住宅・団地の変容過程を明らかにすることである。首都圏からの距離が等しい、同時期に一斉分譲された7団地のアンケート調査を中心に13種の調査を行い、以下のことを明らかにした。1)分譲形態、延べ床面積、協定有無等々の開発条件の違いは入居時にはさほど違いが見えないが、30年後には、住宅改変状況や家族構成、住戸植栽の状況などに違いを生じさせる2)住宅改変は新築後の年数より、子供が中学生になった時や世帯主が50才代になった時などライフステージ上の変化時の方が強い関係がある3)中古住宅購入者は新築建売購入者より家族形態が多様である。購入時の築後年数と住宅改変までの年数は逆比例し、新築後15年以上経過した住宅では建替え率が高くなる4)住戸の緑の量は手入れの度合いは関係があるが、プランターの数はどちらとも関係しない5)世帯主が高齢になるほど緑の量が多く、手入れも良い傾向がある6)南道路の家、街路の角やT字路の突き当たりにある家の方がそうでない家より緑の量が多く、手入れも良い7)建売団地は宅分団地より、協定団地は協定のない団地より緑が多く、手入れも良い。8)住宅改変状況、緑の量と手入れの度合い共に近隣の影響をうける「同化」現象がある。
著者
松田 友輔 大町 真一郎 阿曽 弘具
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.3, pp.336-344, 2010-03-01
被引用文献数
3

本論文ではNAT(Noise Attribute Thresholding)法と色情報を用いた2値化及びエッジ情報を利用した情景画像からの高精度な文字列検出手法を提案する.NAT法はノイズの特性を利用した文書画像の2値化手法である.NAT法と色情報を用いて文字列検出を行う従来手法は照明変化等による色の変化に脆弱で誤検出が多いという問題があった.それに対して提案手法では,色コントラストを考慮した濃淡画像にNAT法を適用して2値化することにより従来手法よりも高い精度の2値化を実現し,高精度な文字列の検出を可能としている.また照明変化などにより文字の単色性が損なわれている場合を考慮して色情報を処理することにより照明変化に対応し,誤検出数を抑制している.更にエッジ情報を利用した手法を導入することにより,従来手法では不可能であった接触文字の検出を可能としている.実験により提案手法の有効性を示す.
著者
世利 修美 古谷 修一 曽我 昇
出版者
一般社団法人 軽金属学会
雑誌
軽金属 (ISSN:04515994)
巻号頁・発行日
vol.39, no.10, pp.724-729, 1989-10-30 (Released:2008-10-30)
参考文献数
6
被引用文献数
5 6

The corrosion behaviors of the four kinds of Al-Cu alloys with different copper contents ranging from 0.36-1.30% were investigated in terms of the corrosion weight loss, micromorphology observations and measurements of the corrosion potentials. Increasing the content of copper in aluminum results in decreasing the corrosion resistance of aluminium. It is shown that the copper in solid solution has less effect on the corrosion resistance than the copper as intermetallic phases of CuAl2.
著者
廣重 亮一 村上 知徳 曽我部 昭好 井上 章二 金城 一彦
出版者
公益社団法人 日本木材保存協会
雑誌
木材保存 (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.199-207, 2016 (Released:2016-10-01)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

実建物を模したミニチュアハウスを用いた野外暴露試験により,住宅建築における基礎周囲や基礎内部におけるシロアリの活動状況について検討した。無処理区では基礎配管部からシロアリが侵入し,PEシートの端部を通過し,土間コンクリートの出隅部に生じたわずかな隙間を通り,基礎入角部に蟻道を構築した。さらに,蟻道は基礎パッキン上を延び,土台,柱,野地板などが食害された。土壌に敷設したPEシートの裏側の蟻土の付着率からシロアリがPEシート下のほぼ全面で活発に活動していることを明らかにした。防蟻処理区では7.9年経過後も基礎内への蟻道の構築は見られなかった。またPEシートの蟻土の付着率も無処理区の半分で,新たな蟻土の付着は見られず,防蟻施工がシロアリ侵入防止に有効であることが示された。
著者
曽根 涼子 安永 奈央
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
日本体育・スポーツ・健康学会予稿集
巻号頁・発行日
vol.71, 2021

<p>一般的な縄跳び運動の筋の収縮動態は典型的な伸張-短縮サイクル(SSC)運動であり、縄跳び運動でSSC運動の遂行能力が強化される可能性が示唆されている。本研究では、大学陸上短距離選手において、多回旋跳びを取り入れた縄跳びレーニングがSSC運動の遂行能力(RJ-indexを指標とした)、およびその能力と密接な関係が認められている走跳能力に及ぼす影響について検討した。被験者は、短距離種目を専門とする学生であり、非トレーニング群(7名)には通常のトレーニングのみ行わせ、トレーニング群(6名)にはそれに加えて段階的に多回旋跳びに挑戦するように計画された4週間の縄跳びトレーニングを行わせた。跳び方は、接地時・跳躍時に膝を曲げず、接地時間を短くするようにさせた。トレーニング期間の前後とトレーニングの有無を要因とした分散分析を行った結果、1・2回旋跳び時の跳躍高/接地時間の値、および最大連続跳躍(RJ)での跳躍高/接地時間の値(RJ-index値)、および60 m走、垂直跳び、立ち幅跳びと立ち五段跳びの記録について、いずれにも有意な交互作用は認められなかった。ただし、上記検討とは別に運動習慣のない学生(4名)にも同じ縄跳びトレーニングを行わせたところ、RJ-index値および立ち幅跳びの記録が全員で向上した。縄跳び運動時の%RJ-index値は、110 bpmでの1回旋跳びが約50%、90 bpmでの1回旋跳びと2回旋跳びが約75%、3回旋跳びが約95%であった。以上のことから、日々鍛錬している大学陸上短距離選手では、多回旋跳びを取り入れた4週間の縄跳びトレーニングによってSSC運動の遂行能力に対する向上効果は認められないことが示された。また、よりゆっくりとした速さで短い接地時間で縄跳びを行うことは、より高いSSC運動の遂行能力を発揮できることが確認された。</p>
著者
矢尾 幸三 曽根原 裕介 永濵 文子
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.158, no.5, pp.408-418, 2023-09-01 (Released:2023-09-05)
参考文献数
40

ダルビアス®点滴静注用135 ‍mgの有効成分であるダリナパルシンは,グルタチオン抱合体構造を有する有機ヒ素化合物である.腫瘍細胞内でミトコンドリアの機能障害(膜電位の低下等)や細胞内活性酸素種の産生促進等を引き起こすことにより,アポトーシス及び細胞周期停止を誘導し,腫瘍増殖抑制作用を示す.ダリナパルシンの一部は,細胞膜表面に発現するγ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GT)を介してジメチルアルシン酸-システインに変換され,シスチントランスポーターによって細胞内に取り込まれる.多くの腫瘍細胞は,酸化ストレスを回避するためグルタチオンの細胞内レベルを高く維持しており,そのためγ-GTとシスチントランスポーターが高発現している.ダリナパルシンは,腫瘍細胞のこの特性を利用し,腫瘍細胞に効率的に取り込ませることで増殖抑制作用を示すよう設計された新規の抗悪性腫瘍薬である.再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫を対象とした国際共同第Ⅱ相試験(ピボタル試験)において,主要評価項目である効果安全性評価委員会の中央判定による奏効率は19.3%(11/57例,90%信頼区間:11.2~29.9%)であり,ダリナパルシンが投与された患者65例のうち発現頻度が5%以上のGrade 3以上の副作用は,好中球減少(9.2%,6例),貧血(6.2%,4例)及び血小板減少(6.2%,4例)であった.国際共同第Ⅱ相試験で再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫に対する一定の有効性及び許容可能な安全性が示されたことを受け,「再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫」を効能・効果として2022年6月にソレイジア・ファーマ株式会社が承認を取得し,同年8月に日本化薬株式会社から発売された.当該疾患の新たな治療選択肢の一つとして臨床現場に寄与し得ることが期待される.
著者
曽根 英秋
出版者
愛知大学大学院院生協議会
雑誌
愛知論叢 (ISSN:02896419)
巻号頁・発行日
no.104, pp.79-114, 2018-03-20
著者
曽我部 信広 久野 雅智 中釜 悠 幕内 陽介 原田 尚憲 高桑 輝人 岡村 浩史 廣瀬 朝生 西本 光孝 中嶋 康博 康 秀男 中前 美佳 城戸 康年 中前 博久 日野 雅之
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.1379-1385, 2022 (Released:2022-11-10)
参考文献数
15

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するmRNA COVID-19ワクチン接種後に自己免疫性血球減少を発症することが知られているが,成熟B細胞腫瘍患者のワクチン接種が腫瘍随伴症状へ与える影響を調べた報告はない。症例は71歳男性。数年前に成熟B細胞腫瘍を疑う症状があったが自然軽快し経過観察されていた。BNT162b2 mRNA COVID-19ワクチン2回目接種10日後に温式自己免疫性溶血性貧血を発症した。貧血はステロイドで改善したが,脾腫,IgM-M蛋白血症,腎障害が増悪した。診断・治療目的に脾臓摘出術を施行し,脾辺縁帯リンパ腫と診断され,M蛋白血症,腎障害は改善した。本症例でSARS-CoV-2特異的抗体の獲得は障害されていた。ワクチン接種後の非特異的な免疫賦活が,成熟B細胞腫瘍の腫瘍随伴症状を増悪させる可能性が示唆されたが,病態解明のためにさらなる症例集積が必要である。
著者
小木曽 太郎
出版者
公益社団法人 日本薬剤学会
雑誌
薬剤学 (ISSN:03727629)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.119-127, 2001 (Released:2019-05-18)
参考文献数
35
被引用文献数
1

Delivery of drugs via the skin has many attractions, including avoidance of gastro-intestinal disturbance and first-path metabolism, long-term maintenance of therapeutic plasma concentration and increased patient acceptability. This paper discusses the factors influencing the percutaneous absorption of drugs: lipophilicity, molecular size, melting point, cutaneous metabolism and skin binding of drugs. Additionally, quantitative structure-permeability relationships (QSPR) for skin penetration were discussed based on the octanol-water partition coefficient, molecular weight and electronic charge of drugs. Nonirritant enhancement methods, such as use of nonirritant penetration enhancers and formation of a complex or an ion pair, for drug penetration through skin were also described. As a result, the suitability of a drug for transdermal drug delivery was proposed.
著者
木曽 明子
出版者
京都大学西洋古典研究会
雑誌
西洋古典論集 (ISSN:02897113)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-13, 1991-12-20

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。

2 0 0 0 OA 獣皮と死

著者
曽我部 一行
雑誌
常民文化
巻号頁・発行日
no.29, pp.75-92, 2006-03
著者
小木曽 加奈子
出版者
一般社団法人 日本医療・病院管理学会
雑誌
日本医療・病院管理学会誌 (ISSN:1882594X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.21-30, 2023-01-31 (Released:2023-01-27)
参考文献数
28

本研究は,文献を用いてわが国における高齢者に対するトランジショナル・ケア(TC)の概念を概念分析により明らかにすることを目的とした。データベースは,Pub Med,医学中央雑誌web版,メディカルオンライン,CiNii Researchを用い,さらに,ハンドリサーチにて,研究目的に合う書籍2件を加え,最終的に20文献を分析対象とした。Rodgersの概念分析の手法を用いて分析をした結果,6つの属性として【多職種協働のチームケア】,【さまざまな療養の場における同じ方向性をもつケア】,【高齢者と家族のもてる力の活用】,【包括的・統合的なケア】,【高齢者の病状変化に伴うケア】,【高齢者と家族の意思決定支援】。3つの先行要件として,【生活の場を変えなければならないシステム】,【移行先の生活の場の機能】,【TCの範疇】。4つの帰結として,【生活の場での暮らしの継続】,【TCのPDCAサイクル】,【介護負担の軽減】,【高齢者と家族の意向の実現】が抽出された。これらから,本概念は高齢者の多様な病状変化の特徴を反映し,多職種協働による包括的・統合的なケアの要素を含むことが示唆された。
著者
藤井 洋泉 大谷 彰一郎 倉迫 直子 石津 友子 田中 利明 香曽我部 義則 時岡 宏明 大野 貴司
出版者
The Japanese Society of Intensive Care Medicine
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.49-53, 1998-01-01 (Released:2009-03-27)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(staphylococcal scalded skin syndrome; SSSS)は一般的に乳幼児の疾患とされており,成人発症型はきわめて稀である。今回,椎体・膝関節炎を契機として発症した成人型SSSSを経験した。68歳,男性,腰痛,膝関節腫脹のため当院整形外科に入院し,第3病日より頸部,前胸部,四肢にびまん性紅斑,弛緩性水疱が出現した。Nikolsky現象は陽性であった。高熱,意識障害が出現し,呼吸・循環動態が悪化したためICU入室となった。膝関節液,動脈血より黄色ブドウ球菌を検出し,組織像は皮膚顆粒層の切断による表皮剥離であり,表皮剥脱性毒素(exfoliative toxin; ET)の産生能を認めたため成人型SSSSと診断した。乳幼児では予後良好だが,成人型は死亡率が高く予後不良であり,早期よりの強力な抗生剤投与と集中治療により救命できた。多くの成人型SSSSは免疫能低下患者に発生するが,本症例は明らかな基礎疾患の合併なく発症した稀な1症例である。
著者
曽我 麻里恵 勝良 剛詞 小林 太一 髙村 真貴 黒川 亮 新美 奏恵 田中 恵子 石山 茉佑佳 林 孝文
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科放射線学会
雑誌
歯科放射線 (ISSN:03899705)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.41-46, 2022 (Released:2022-04-06)
参考文献数
14

Background and Purpose: Dental caries that arise after radiotherapy (radiation caries) can lead to reduced masticatory function caused by tooth loss and osteoradionecrosis caused by dental infections. There are two main opinions regarding the mechanism underlying radiation caries: 1) tooth fragility caused by the direct effects of radiation and 2) a reduction in the physiological effects of saliva due to hyposalivation and a worsening of oral status. However, it has not been clarified which of these mechanisms is the main cause of radiation caries. Therefore, the purpose of this study was to investigate the risk factors for radiation caries in patients who had received head and neck radiotherapy. Material and Methods: Forty patients who had received head and neck radiotherapy were enrolled. We retrospectively investigated the relationships between radiation caries and clinical parameters, such as the treated site, irradiation field, radiation dose, and oral status, for 3 years after the completion of radiotherapy. Results: The incidence rate of radiation caries was 85%. Twenty-two percent and 78% of radiation caries occurred within and outside the irradiation field, respectively. The incidence rate of radiation caries among teeth within and outside the radiation field was 41.7% and 57.7%, respectively. The occurrence of radiation caries showed a moderate positive correlation with plaque control records. On the other hand, it was not correlated with the total radiation dose, the mean radiation dose delivered to the parotid gland, or the amount of saliva. Discussion: Our results suggested that radiation caries occur both within and outside the radiation field. It is considered that the risk of radiation caries is affected more by oral status, such as poor oral hygiene, than structural changes in teeth caused by radiation. Therefore, it is important to maintain a good oral status after head and neck radiotherapy to prevent radiation caries.
著者
曽我部 功二 河田 正仁 小平 睦月 加藤 幸範 瀧上 雅雄 黑田 優 松浦 岳司 松本 晃典 平山 恭孝 足立 和正 松浦 啓 坂本 丞
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.656-660, 2018-06-15 (Released:2019-06-20)
参考文献数
8

症例は56歳男性.来院5年前に十二指腸癌で十二指腸切除を受けていた.見当識障害,両下腿浮腫,歩行障害で脳外科から紹介された.心拍数120/分で胸部X線ではうっ血と胸水を認めた.心エコー図では収縮能の低下は認めなかった.末梢神経障害を認め,脚気心を疑い,血中ビタミン濃度測定提出後,総合ビタミン剤を含んだ点滴を開始した.翌日には下腿浮腫は消失した.長谷川式簡易知能評価スケールは入院時の21点から第4病日には25点に改善した.入院時のビタミンB1は11 ng/mLと低値であった.持参MRIでは両側乳頭体と中脳水道周囲が軽度high intensityを呈した.以上より,十二指腸切除後5年で発症したWernicke-Korsakoff症候群を伴った脚気心と診断した.腸管切除後,同時期にWernicke-Korsakoff症候群と心不全を伴った脚気心の両者を発症した例は稀なため報告する.
著者
坂田 幹宏 木曽 朋顕
出版者
一般社団法人 溶接学会
雑誌
溶接学会誌 (ISSN:00214787)
巻号頁・発行日
vol.83, no.7, pp.560-565, 2014 (Released:2015-12-17)
参考文献数
37