著者
毛利 透 土井 真一 曽我部 真裕 尾形 健 岸野 薫 片桐 直人
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

まず、ジョン・ロールズの正義論において世代間正義の占める意義を検討した。世代間正義の観点から、市民的不服従の許容性について格別の考慮が求められることになるとの指摘は、世代間正義と民主主義の関係を考えるうえで、大変示唆的である。世代間正義の観点から代表民主政に制度的変革を迫るべきかどうかという重大な問題については、ドイツでの議論を参考にして詳しく考察を行った。この結果、制度的改革で政治に長期的視点を導入するという試みには大きな難点があるといわざるを得ないことが分かった。さらに、財政赤字の限界を憲法上定めるといった手法にも、実効性に加えてその政策的有用性について疑問が残ることが分かった。
著者
黄 國賓 杉浦 康平 赤崎 正一 今村 文彦 荒木 優子 山之内 誠 さくま はな 曽和 英子 Kuo-pin HUANG Kohei SUGIURA Shoichi AKAZAKI Fumihiko IMAMURA Yuko ARAKI Makoto YAMANOUCHI Hana SAKUMA Eiko SOWA
雑誌
芸術工学2014
巻号頁・発行日
2014-11-25

本研究は中国雲南省の麗江地区を基軸に、トンパ文字とその特異な造形、宗教的背景を明らかにし、トンパ文字の構造原理と新たなビジュアル・コミュニケーションツールを開発するための基盤研究を確立する。本研究はトンパ文字の造字原理の考察をはじめ、現地でのフィールドワーク調査、トンパ文字を再デザインする仕組み、また、先例の視覚言語の表現や漢字の構造をも分析の視野にいれ、トンパ文字の表現の可能性について研究を行った。その結果、以下の結論を得た。すなわち、トンパ文字は象形文字であるため判読がしやすく、時間軸、空間軸、動詞などの記号を組み合わせれば、トンパ文字としての視覚言語のシステムを構築する可能性が高いと示唆した。一方、文字としての記述、伝達の機能が欠け、覚えにくいということが最大の欠点であり、漢字の変遷原理を探究すれば、書きやすく、覚えやすいトンパ文字が作られると考えられる。
著者
曽田 修司
出版者
Japan Association for Cultural Economics
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.47-55, 2007-03-31 (Released:2009-12-08)
参考文献数
31

公立文化施設は、従来アートの愛好家だけを対象としがちであり、公共財としてのアートという認識は一般的ではなかった。近年、ワークショップやアウトリーチなどの手法により、非愛好家に対してもアートの価値を目に見える形で提示する機会が増加している。これは、非愛好家を含む地域住民が地域文化形成への参加の保証を得ることにつながり、公立文化施設をめぐる異なる立場間の対立に「対話の可能性」をもたらすものと考えられる。
著者
川浦 淳一 鈴木 陽一 浅野 太 曽根 敏夫
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.45, no.10, pp.756-766, 1989-10-01 (Released:2017-06-02)
被引用文献数
3

本論文では、ヘッドホン再生によってラウドスピーカ再生時の音場を模擬する手法について述べる。ヘッドホン再生条件と、ラウドスピーカ再生条件の比較から、頭部が静止している状態の静的な頭部伝達関数と、聴取者が頭部を動かすことによって生じる頭部伝達関数の動的な変化の2点について、ディジタル信号処理などの手法により補償を行った。静的な頭部伝達だけの補償によって、ヘッドホン再生によっても、頭外の水平面内任意方向への音像定位が実現できたが、正面付近のラウドスピーカを模擬した場合には前後の誤判定が増加する、頭内定位が起き易いなどの問題が生じた。静的な頭部伝達関数に加えて、伝達関数の動的な変化を模擬すると、前後の誤判定が減少し、頭内定位も減少するなど、より自然な音像定位が実現された。また、頭部回転に伴う動的な音源位置情報は、静的な伝達関数からの音源位置情報に比べて、少なくとも同程度の重みを持つものであることが示唆された。
著者
曽我 祥子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.215-221, 1983-10-30 (Released:2010-07-16)
参考文献数
23
被引用文献数
22 20

The purpose of this study is to standardize the State-Trait Anxiety Inventory for Children (STAIC), developed by Spielberger et al. (1973) into a Japanese version. The Japanese version of STAIC composed by the authors were tested in 2539 primary school children. On the basis of the data, mean scores, standard deviations and score distributions of A-Trait and A-State in the Japanese version of STAIC are reported. The high values of the test-retest reliability, construct validity, factorial validity and concurrent validity were proved by examination.

3 0 0 0 OA 成形圖説

著者
曽槃, 白尾國柱 [ほか編]
巻号頁・発行日
vol.巻21, 1800

3 0 0 0 OA 当世人物評

著者
曽根松太郎 著
出版者
金港堂
巻号頁・発行日
1902
著者
霜山 博也 井上 寛雄 曽我 千亜紀 山田 庸介 大澤 健司 米山 優
出版者
一般社団法人社会情報学会
雑誌
社会情報学会(SSI)学会大会研究発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.49-54, 2012-09-14

In this paper, responding to the Heidegger's criticism of information, shows the route which advances informatics further by compensating the definition of the information. Not from the field of a substance or science but from a philosophical field. That is, the information as a difference in Gilbert Simondon which changes both relationship. Furthermore, it is shown that all the information penetrates in various levels in a reverse cone. And it is the ethic and the bond into which a group is united.
著者
奥西 淳二 長原 弘毅 辻谷 久美子 松瀬 仁 久川 和之 曽我 学
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.136, no.9, pp.1233-1242, 2016 (Released:2016-09-01)
参考文献数
26

Environmental cleaning and disinfection plays an important role as a part of the standard precautions to prevent healthcare-associated infections, whereas hand hygiene is one of the most important strategies for breaking the chain of transmission. Cleaning and disinfection of high-touch areas in a health-care facility is emphasized. And wiping with an alcohol-saturated cloth which has features such as low corrosion and a wide range of antimicrobial activity is performed commonly for this purpose. Although alcohol provides immediate activity against enveloped viruses, its virucidal activity against certain non-enveloped viruses, including norovirus, is insufficient. We created a novel alcohol-based hand rub, MR06B7, which is safe for the skin, and is active against an extended spectrum of microorganisms including non-enveloped viruses. For environmental surface disinfection, a novel disinfectant MR13B15, which is based on MR06B7, has been developed. In vitro antimicrobial activity against a variety of pathogens, material compatibility, and simulated surface disinfection and decontamination efficacy of MR13B15 were investigated. According to the results, MR13B15 demonstrated potent bactericidal, fungicidal, mycobactericidal, and virucidal activity within a short contact time in addition to superior efficacy against non-enveloped viruses compared to ethanol for disinfection. Moreover, MR13B15 showed better material compatibility. Two simulation tests conducted for evaluating the disinfection and decontamination potency on environmental surfaces against feline calicivirus, a surrogate for norovirus, indicated that MR13B15 had superior efficacy for surface treatment compared to ethanol. These findings suggest that MR13B15, which satisfies most requirements of an environmental surface disinfectant, may contribute to accomplishing advanced standard precautions in preventing infections.
著者
堤 智昭 小木曽 智信
雑誌
じんもんこん2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.179-184, 2015-12-12

近代文語 UniDic や中古和文 UniDic の登場により,近代以前の歴史的な日本語資料に対しても形態 素解析が可能となった.しかし,近代以前の現存する日本語資料は時代幅があり,ジャンルも多岐に わたる.そのため,資料ごとに文法・単語が適した辞書を用いて形態素解析を行う必要がある.日本 語研究者が形態素解析技術を用いた研究に取り掛かるには,煩雑な形態素解析実行環境の用意と辞書 を切り替えた解析作業が必要となり,その難易度が研究推進の妨げとなっている.そこで本研究では, 形態素解析を用いた言語研究の支援を目的とし,煩雑な計算機における形態素解析実行環境の用意を 必要とせず,容易に複数の辞書を切り替えて形態素解析が可能な形態素解析サポートソフトウェア, Web 茶まめの開発を行った.
著者
柴田 愛子 曽山 典子 岡村 誠 森 徹
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

我々の研究は、法や規則やモラルに反した行為、例えば、いじめが行われている状態を考える。この違反行為を知りながら傍観する傍観者達の行動を進化的非協力ゲームとしてモデル化し、実験で検証した。この理論によれば傍観者が(1)いじめを報告する(2)報告しない(3)確率p^*で報告するの3つの状況はNash均衡である。しかし、3番目の均衡は進化的不安定な均衡(evolutionarily unstable equilibrium)である。そして、日本人大学生を対象とした8回の実験結果から、いじめを排除するサービスは公共財であり、傍観者の生徒からのいじめについての報告が増える条件は、(1)いじめを報告したときの費用(仕返し等)が小さい。(2)生徒がいじめを傍観することから受ける不効用が大きい(3)教師がいじめを取り上げるのに至る必要な最小報告生徒数が少ないことなどが判明した。しかし、最も重要な結論は、(4)クラスの規模が小さくなれば、協力的行動が増え傍観者が減る結果である。この結論は学校のクラスの小人数化政策を支持する。3回の国際学会で報告され、カルフォルニア大学のDaniel Friedmanとイエール大学のShyam Sunderが高く評価した。(論文は英文で投稿中)これらの結果が、日本人に特有なものか否かを調べる為に、現在までに3回の国際混合実験が行なわれた。実験1は関西学院大学(1998.9.24)で、日本とドイツの大学生10名ずつ、実験2はドイツAugsburg大学(1999.9.6)で、日本人大学生10名、ドイツ人大学生8名日本人留学生2名、実験3が天理大学(2000.11.8)で日本、中国、台湾の大学生を40人集めて実施された。その結果、事前協議効果は同国人と外国人に関係なく存在する。また、異なる国籍のメンバーが同一グループを形成する場合、信頼感が薄くなることが判明した。
著者
横井 彩 山中 玲子 森田 学 山崎 裕 柏﨑 晴彦 秦 浩信 友藤 孝明 玉木 直文 江國 大輔 丸山 貴之 曽我 賢彦
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

舌の上に白い苔のように付着している汚れ(舌苔)の面積と、口の中のアセトアルデヒド濃度について、健常者65人(男性51人、女性14人)で調査し、舌苔の付着面積が大きい人は、付着面積が小さい人に比べ、口の中のアセトアルデヒド濃度が高くなることを明らかにしました。その理由として、舌苔に含まれる細菌がアセトアルデヒドの産生に関与していると考えられ、舌苔を取り除く舌清掃を行うと、口の中のアセトアルデヒド濃度が減少することも確認しました。
著者
石原 和夫 佐藤 彩乃 曽根 英行
出版者
新潟県立大学
雑誌
県立新潟女子短期大学研究紀要 (ISSN:02883686)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.9-18, 2008
被引用文献数
1

わが国の伝統的な発酵調味料である味噌は、製法や産地によりその風味は異なり、また、種類は多く地域性の高い調味料である。さらに、原料の大豆や発酵・熟成に由来する多くの機能性を持つ優れた食品でもある。味噌は主として、味噌汁として食され、その味噌汁の調理にあたっては、味噌を溶かし短時間沸騰させる。そのことにより、香味が最大限引き出され、おいしさが感じられる。しかし、過度の加熱では、多くの香気成分が揮発、あるいは逆に増加することで風味が損なわれ、おいしさは減少することが知られている。本研究では、味噌汁中の香気成分が味噌の種類や加熱時間の長短によりどのように変化するか香気成分捕集方法として動的ヘッドスペース法を用いて検討した。実験には、越後味噌、信州味噌、八丁味噌、西京味噌の4種類の味噌を用いて、未加熱、加熱時間10〜60分での香気成分の変化をガスクロマトグラフィー(以下、GC)により分析し、比較検討を行った。GC分析の結果検出された総ピーク数は、越後味噌111、信州味噌106、八丁味噌113、西京味噌65であり、越後味噌、信州味噌、八丁味噌の香気成分は西京味噌に比べ、多種類の成分より構成されていた。また、GCパターンを比較すると、越後味噌、信州味噌は類似し、八丁味噌、西京味噌はそれぞれ特有のGCパターンを示した。GCの総ピーク面積は、越後味噌が一番大きく、次いで西京味噌、八丁味噌で、信州味噌は一番少なく、他の味噌の約41〜50%に相当した。標準化合物および文献をもとに、各味噌汁中の香気成分を解析したところ、味噌汁の香気成分として、アルコール13、アルデヒド7、有機酸4、エステル12、合硫化合物2、炭化水素5、ケトン類1の総計44種類の化合物を同定または推定した。これら化合物のうち、94〜99%占めたのがアルコール類で、このうちethanolが一番多く、越後味噌で65.14%、信州味噌で67.05%、八丁味噌で82.82%、西京味噌で93.19%であった。八丁味噌と西京味噌はその発酵・熟成には酵母の関与が比較的少ないにもかかわらず、ethanol量の多いのは上述の「酒精」の添加によるものと考えられる。そして、ethanolのほか、2-methylbutanol、3-methylbutanol 、methanol、2-methyl-1-propanol、n-butanol、n-propanolなどが主なアルコール類として検出された。越後味噌、八丁味噌、西京味噌中の多くのアルコール類は加熱により減少する傾向を示したが、信州味噌では増加またはほとんど変化しないという特徴が認められた。各味噌汁中のアルデヒド類としてethanal、hexanal、benzaldehydeなどが検出され、これらは一般に加熱により増加する傾向にあり、他の香気成分との違いが認められた。アルデヒド類の加熱による増加は一般的にも知られ、その原因は味噌中の遊離アミノ酸からストレッカー分解により生成されるためと考えられる。有機酸のacetic acidは越後味噌、butyric acidは八丁味噌、2-methylbutyric acidと3-methylbutyric acidは信州味噌中で最も多いことが認められた。そして、加熱によりacetic acidは減少、butyric acid は増加、2-methylbutyric acidと3-methylbutyric acidは変化がないという、それぞれの特徴を示した。各味噌汁中で検出された主なエステル類はethyl acetate、ethyl heptanoate、ethyl lactateおよび2-methylbutyl acetate と3-methylbuty lacetateなどであり、量的にはethyl acetateは八丁味噌、ethyl heptanoate は越後味噌、ethyl lactateは信州味噌に多いことが認められた。これらのうち量的に多かったethyl acetateも加熱により増加する傾向にあったが、八丁味噌では加熱10分で一旦急激に減少することが認められた。そして、エステル類はその種類や味噌の違いにより加熱による傾向が異なったが、信州味噌ではethyl dodecanoateのみ減少傾向を示し、その他多くのエステル類は増加する傾向があった。食欲化合物のdimethyl disulfideは加熱により減少し、3-methylthiopropanal(methional)は増加した。また、炭化水素類ではハ丁味噌においてtridecane、hexadecaneに増加がみられた。これらの結果から、味噌汁の香気成分の中には加熱により減少するもの、逆に、増加するもの、また、味噌の種類による違いなど解析することができた。また、前報では香気成分捕集法として静的ヘッドスペース法を用い、味噌汁の香気成分として15化合物を同定または推定したが、本研究での動的ヘッドスペース法では44化合物が同定または推定されたことから、後者の分析法の優位性が認められた。
著者
大曽根 圭輔 鬼沢 武久
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第26回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.14, 2010 (Released:2010-11-05)

本稿では,セブンカードスタッドポーカーにおいて、プレーヤと対話しながらゲームを攻略するパートナーエージェントの構築を目指す.セブンカードスタッドポーカーは不完全情報ゲームであるため,最適な戦略をとる事が難しい.そこで,パートナーエージェントが,ゲームに関するアドバイスを提示し,また,プレーヤからパートナーエージェントに対しても戦略を提示するという対話を通じて,協調し,ゲームを進めることを考える.パートナーエージェントはプレーヤに,ゲームの状況に応じた自身の意思決定および,顔表情を併せて提示し,アドバイスをする.そして,プレーヤが,パートナーエージェントの意見に反論がある場合にはプレーヤからの意見を事例という形で保存し,後のゲームに利用できるようにする.本稿では,評価実験を行い,提案したパートナーエージェントの有効性およびプレーヤから得られたルールについて検証する.
著者
一藤 裕 今野 将 曽根 秀昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.62, pp.43-47, 2006-05-17
参考文献数
9
被引用文献数
1

近年,プロバイダ責任制限法が施行され,コンテンツの管理者や運営者の責任が明確となり,問題行為に対する適切な処置を求められるようになった.その結果,管理者や運営者の管理負担が増大することとなった.よって,その管理負担を軽減するために,問題行為を発見を支援する手法が必要であるといえる.今回,我々は,コンテンツの中から,荒らし行為と呼ばれるコミュニケーションを阻害する問題行為が発生する電子掲示板を選択し,その荒らし行為の発見支援を目指す.具体的には,掲示板における各発言に含まれる閲覧者に心理的影響を与える単語と,他の閲覧者が興味を持った証拠であるアンカーと呼ばれる記号に着目し,それらを利用し,掲示板の雰囲気を数値化することにより評価するシステムの提案を行う.