著者
小林 茂人
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.47-51, 2012 (Released:2012-07-27)
参考文献数
10

反応性関節炎とは, 広義には関節以外の部位の微生物感染後におこる無菌性の関節炎である. レンサ球菌感染症に起因する反応性関節炎は海外ではpoststreptococcal reactive arthritisと呼ばれ, リウマチ熱との異同が論議されている. 扁桃炎に続く反応性関節炎の多くはレンサ球菌感染に起因するがレンサ球菌以外の微生物によることも多いので注意する必要がある. 扁桃炎に伴う反応性関節炎の多くは抗生物質治療によって治るが, 関節炎が持続する症例には抗リウマチ剤治療は有効ではなく, 扁桃摘出術によって完治する. つまり, 扁桃の陰窩膿瘍を除去することによって関節炎が治るという「病巣感染」である. このため, 本疾患は「扁桃摘出によって完治する関節炎」として, 耳鼻科医との医療連携においてきわめて重要なリウマチ性疾患である.
著者
荒川 和久 小林 克巳 黒崎 亮 佐藤 弘晃 富澤 直樹 安東 立正
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.409-412, 2015-05-31 (Released:2015-09-08)
参考文献数
15
被引用文献数
1

手術により絞扼性イレウスと診断された103例を対象として,腸管壊死群と非壊死群とに分けて,臨床症状,血液検査,血液ガス分析,CT画像の項目で比較・検討した。単変量解析では術前SIRSの有無,白血球数,PaCO2およびCT所見の腸間膜濃度の上昇,腸管壁浮腫,腸管の造影不良で有意差があり,多変量解析ではPaCO2と腸間膜濃度の上昇で有意差を認めた。絞扼性イレウスは重篤な状態に陥る可能性のある疾患であり,そのリスクの高い腸管壊死症例を早期に診断し治療することは重要である。今回の検討で有意差のあった項目に注意しながら,症状および検査結果の解釈とCT画像の読影の精度を高くすることが重要である。
著者
岡田 成生 上野 泰宏 星 健太郎 伊藤 弘人 神部 芳則 草間 幹夫 小林 馨
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科放射線学会
雑誌
歯科放射線 (ISSN:03899705)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.8-11, 2008

We report a patient with jaw trismus demonstrating Square-Mandible face.<BR>Clinically, the patient had a square face with prominent masseter muscles and mandibular angles. The interincisal opening was 26mm, with limited lateral and anteroposterior mobility.<BR>The clinical diagnosis was restricted mouth opening due to bilateral hyperplasia of the masseter muscle aponeuorses. Masseter muscle myotomy with aponeurectomy was performed bilaterally by an intraoral approach. Mouth opening improved to 40mm after incision of the aponeuroses.<BR>An examination of the patient one year after surgery demonstrated an interincisal opening of 37mm without strain.
著者
小林 正佳
出版者
天理大学人間学部総合教育研究センター
雑誌
総合教育研究センター紀要 (ISSN:1347975X)
巻号頁・発行日
no.9, pp.58-63, 2010

1年間の台湾滞在で一番思い出深いのは,今回も「日本語劇」だった。みんなが参加してくれるきっかけになったのは天理大学生の中国語劇台湾公演で,4 0人以上の学生が集まった。劇のスタイルは能狂言とギリシャ劇が手本。あくまで日本語学習の中での劇だから,正しい日本語をきちんと話すことを目指した。台詞はできる限り完結した文章の形の丁寧語で書き,演技にスタイルは,日常的な会話調より定型化された様式を採用した。大きな声での発声を重視したが,日本語らしいイントネーションを生み出す仕掛けとして,「発音」というより「発声」に注意を向けさせることはよいきっかけになる。天理大学と文化大学両校の学生が一緒に演じるという夢を実現するためにも,日本語劇が再び恒例の伝統行事となってくれたら嬉しい。1年間の台湾滞在で一番思い出深いのは,今回も「日本語劇」だった。みんなが参加してくれるきっかけになったのは天理大学生の中国語劇台湾公演で,4 0人以上の学生が集まった。劇のスタイルは能狂言とギリシャ劇が手本。あくまで日本語学習の中での劇だから,正しい日本語をきちんと話すことを目指した。台詞はできる限り完結した文章の形の丁寧語で書き,演技にスタイルは,日常的な会話調より定型化された様式を採用した。大きな声での発声を重視したが,日本語らしいイントネーションを生み出す仕掛けとして,「発音」というより「発声」に注意を向けさせることはよいきっかけになる。天理大学と文化大学両校の学生が一緒に演じるという夢を実現するためにも,日本語劇が再び恒例の伝統行事となってくれたら嬉しい。
著者
原田 直哉 中島 容子 中村 徹 橋本 平嗣 林 道治 堀江 清繁 赤崎 正佳 小林 浩 井上 芳樹 高井 一郎 潮田 悦男 大井 豪一 小畑 孝四郎 喜多 恒和 下里 直行
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.1-10, 2013

妊婦健康診査(以下,健診)をほとんど受診することなく分娩に至る妊婦健診未受診妊婦(以下,未受診妊婦)に関する既報では多くが施設単位であるため,奈良県全体での実態を把握するためのアンケート調査を実施した.未受診妊婦の定義は,(1)全妊娠経過を通じての産婦人科受診回数が3回以下,または(2)最終受診日から3カ月以上の受診がない妊婦,のいずれかに該当する場合とした.県内のすべての分娩施設に対し,平成22年1月からの1年間の分娩数と,未受診妊婦があれば個別に母児の状況を調査した.年間11,168例の総分娩数中の11例(0.10%)の未受診妊婦を認めた.初産婦は4例(36.4%)で,5回あるいは7回と多産の経産婦もいた.未入籍は9例(81.8%),妊娠のパートナーと音信不通になっている者が5例(45.6%)いた.重篤な合併症を認めた母体が3例(27.3%),集中治療室に収容された新生児が3例(27.3%)であった.産褥健診を受診しなかった1例(9.1%)は,新生児の1カ月健診も受診しなかった.未受診を防ぐことは,母児の健康を確保するだけでなく,周産期母子医療センターへの患者集中を防ぎ,周産期の医療資源の有効利用にもつながるため,社会全体でその解消に取り組む必要がある.また未受診であった妊婦に対しては,虐待のハイリスクグループと考え,その後を通常の妊婦と異なる個別の対応を行うことにより,虐待を防止することができるかもしれない.〔産婦の進歩65(1):1-10,2013(平成25年2月)〕
著者
丹治 肇 桐 博英 小林 慎太郎
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.5, 2009

エネルギー供給とスマートグリッド技術の進歩を前提に,21世紀の水田灌漑システムの再編の条件を検討した.今後,化石エネルギーから自然エネルギーへの転換が起こり,灌漑システムでもエネルギーの自立性が求められよう.スマートグリッドの通信制御技術を効率的に使うために,水田灌漑システムは流水システムから貯水システムへの転換が必要になり,耕作放棄地を活用したラグーン等の設置が求められる.スマートグリッド技術を活用し,水循環を制御すれば,水利用の自由度が上がるとともに,生態系,水質問題の解決が可能である.また,ラグーンを揚水発電と組み合わせることで,灌漑システムのバッテリー利用も有望である.これらの改変で,農地面積は減少するが,発電等の使用料が農家の収入になれば,全所得の向上が可能になろう.
著者
小谷 広子 阪下 裕子 林 和加子 吉田 君子 松田 実 植松 邦夫
出版者
特定非営利活動法人日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.226-230, 1980-04-25
被引用文献数
1

A case of mesothelioma of the peritoneum with asbestosis of the lung was reported. Cytological examination of the peritoneal effusion was performed in this case, which was histologically diagnosed to have malignant mesothelioma. Characteristic findings of malignant cells are as follows: Tumor ceils appeared singly or as groups consisting of a few〜 many cells. Some of these cells were overlapping each other. The cytoplasm was abundant and its perinuclear area was staind lightly pale or sometimes appeared to be eosinophilic, with a gradual transition to a deep stain at the periphery. Cytoplasmic rims were distinct and sometimes blister-like protrusions appeared after application of the Giemsa' stain. Nuclei were round or oval and mainly central in location. Their borders were smooth. The chromatin content was increased and chromatin was finely granular with occasional prominent clumps of chromatin. There could be seen 1〜4 small nucleoli and, sometimes, 1〜2 large irregular-shaped nucleoli. Single tumor cells were large and often multinucleated. Mitoses occured in a small number of tumor cells. Thick strand-like, dark clumping or finely granular PAS-positive substances were irregularly distributed in the cytoplasm, sometimes the whole of the cytoplasm was stained as a ring. Vacuolated cytoplasm gave a negative reaction to staining. Vacuolated cytoplasm and a part of the cytoplasmic border were stained positive by alcian blue staining.
著者
楳田 高士 栗林 恒一 笠原 由紀 若山 育郎
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.137-140, 2002-05-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
10

B型肝炎キャリアの被験者に鍼刺入を行い、抜鍼後の鍼体にB型肝炎ウイルス (HBV) が付着しているのかをPolymerase Chain Reaction (PCR) 法を用いて検討した。その結果、鍼体からHBVのDNAを検出した。治療後の鍼の取り扱いに注意が必要である。
著者
井上 正人 井上 倫夫 小林 康浩
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.99, pp.9-16, 1989-11-20

本報告では,全てのプロセッサが大容量共有メモリを,アクセス競合による待機時間を回避して利用するためのアーキテクチャとして,共有メモリの階層化およびメインメモリのマルチリード・ワンライトメモリ方式について述べる.具体的には,メインメモリのリードアクセス用バスとライトアクセス用バスを分離し,マルチリード・ワンライトメモリ方式を採用することによって,各プロセッサの稼働率を落とさずに接続できる台数を多くできること,そのときメモリアクセスに占めるリード動作の割合が0.7?0.8であるとき最も能率がよいこと,さらに共有メモリの階層化について,メインメモリのアクセスの割合を0.8くらいに保てば,アクセス競合による性能低下を起こさずに稼働できるプロセッサの台数を最大にできることなどを示した.This paper proposes a memory architecture which is necessary for scaling up a tightly coupled multiple microprocessor system and is useful for implementing highly parallel processing. The proposal consists of (1) introduction of a concept of hierarchy into memory organization, (2) furnishing of shared memories with two ports, (3) equipment of two kind of shared memories; system memories for storaging prime data, and main memories for offering common working areas, (4) adoption of multiple access for read operations and once access for write operations, (5) construction of exclusive read buses and exclusive write buses, (6) use of two-way interleaved main memories, (7) provision of the omega network connecting to processor units through exclusive write buses. Usefulness of the above measures is discussed with theoretical investigations.
著者
林原 純生
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.45-55, 2007-10-10 (Released:2017-08-01)

西南戦争とその直後の言論界は、後の近代文学を考察する上で重要な対象である。この期に、政府の言論統制の方向が決定したからである。本論のその期における、特に「かなよみ」と「有喜世新聞」という二つの小新聞のめぐる対立と、当時の政府の戦後処理策を考察しながら、西南戦争を契機とした幕末から明治への言論界の問題を考察する。
著者
神尾 彪 小林 孝生
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.72, no.9, pp.799-802,a2, 2004

水稲田1耕区 (無暗渠水田, 30a) 内において, 用水路側, 中央部および排水路側の3地点でメタンフラックスの測定を行った。その結果, 次のことが明らかになった。<BR>(1) メタンの発生量は場所によって異なり, 用水路側でのメタンの発生量は排水路側でのそれの約1.8倍であった。<BR>(2) 同一水田の同一場所におけるメタンの発生量は毎年異なり, 3力年間で約1.8倍の相違があった。<BR>(3) 梅雨寒時のメタンフラックスは地温の低下によって若干減少した。<BR>(4) 中干し後にメタンフラックスが激減する要因として, 中干し後の土壌中メタン濃度の著しい減少が考えられた。<BR>(5) 田植え前と落水後の水田からのメタンの発生量は微少であった。
著者
尾田 成幸 上妻 智行 藤吉 栄次 玉城 泉也 小林 正裕 吉田 吾郎 菊池 則雄
出版者
福岡県水産海洋技術センター
雑誌
福岡県水産海洋技術センター研究報告 (ISSN:09192468)
巻号頁・発行日
no.22, pp.77-81, 2012-03

海域環境に適合したノリ養殖対象種および育種素材を探索するため,2010年と2011年の3月に福岡県豊前海沿岸の16河川の河口域でアサクサノリPorphyra tenera Kjellmanの分布状況を調査した。その結果,奥畑川(北九州市門司区大積)と近衛川(京都郡苅田町新浜町),および長野間川(行橋市稲童浜)の3河川でアマノリ属の生育が確認された。3河川で採取されたアマノリ属の葉状体は,奥畑川で採取されたソメワケアマノリPorphyra katadae Miura等を除き,形態的特徴とDNA分析結果からアサクサノリと判断された。アサクサノリはアシ原などの自然環境が残る干潟付近で生育が認められることが多い。近衛川は工業団地を流れ両県を護岸に囲まれた人工的な小河川で、長野間川についても護岸に囲まれた小河川であったが,いずれの河川も共通して河口域に広い感潮域が形成されていた。福岡県内でアサクサノリの生育が発見されたのは初めてである。今後は養殖対象種および育種素材として利用できるか否かを評価する必要がある。