著者
小林 芳恵
出版者
広島大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2003

平成17年度は、本研究の目的達成の為に、バルトリハリ著『ヴァーキヤパディーヤ』第三巻及びそれに対するヘーラーラージャの注釈「プラカーシャ」について、次の研究を実施した。まず、前年度のインド渡航時に収集した写本写真を含む現在使用可能な『ヴァーキャパディーヤ』及び「プラカーシャ」の写本資料を整理し、同時にコンピューター上で画像ファイル化した。これによって写本使用の便が図られ、かつ永続的な保存が可能となった。次に、それら収集・整理された写本資料を利用して、『ヴァーキャパディーヤ』及び「プラカーシャ」のこれまでの読了部分、すなわち第一章「種詳解」章前半分(第一詩頌から第四十詩頌まで)、第二章「実体詳解」章、第四章「再実体詳解」章、第五章「属性詳解」章について、テキスト・内容・翻訳を再検討した。その成果は広島大学に提出予定の学位請求論文「ヴァーキャパディーヤ研究」に附論として収録の予定である。同論文は、既発表の論文を含むこれまでの研究成果と本科学研究費による成果等を集大成するものであり、それによって、抽出された語意の観点からバルトリハリの言語理論が明快に示されることとなろう。なお、研究計画において同論文は本年度中に広島大学に提出される予定であったが、『ヴァーキャパディーヤ』及び「プラカーシャ」の写本の整理編集作業と写本研究の成果反映に予定外の時間と労力を要したため、今年度中の提出は見合わせざるを得なくなった。しかし研究の内容そのものに変更がないことはいうまでもない。そのほか前年度に開催された国際バルトリハリ学会での口頭発表の内容を論文としてまとめた。近刊の同学会報告書に掲載予定である。
著者
斉藤 和雄 田宮 久一郎 青梨 和正 瀬古 弘 小司 禎教 川畑 拓矢 大関 誠 原 昌弘 柳野 健 中澤 哲夫 國井 勝 田中 博 古本 淳一 永戸 久喜 村上 正隆 田中 博 津田 敏隆 古本 淳一 若月 泰孝 林 修吾 露木 義 小泉 耕 西嶋 信 石川 宜広 本田 有機 三好 建正 経田 正幸 山口 宗彦 澤田 謙 酒井 亮太 米原 仁 小野 耕介 津口 裕茂 藤田 匡 三上 彩 近藤 圭一 劉 國勝
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

集中豪雨を数値モデルで予測するため、大気の3次元的な状態を観測データを用いて精度良く解析する研究、および予測の信頼性を定量的に見積もる手法の研究を行った。非定時の観測データを同化する高解像度4次元変分法の開発、GPSデータ、マイクロ波放射計データ等の同化実験を行い、豪雨の予測が改善できることを示した。アンサンブル予報の手法をメソ現象の短時間予測に適用し、予報誤差を定量的に見積もる手法を示した。
著者
芹澤 知広 志賀 市子 角南 聡一郎 槙林 啓介 中尾 徳仁
出版者
奈良大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

日本各地の博物館に収蔵されている、20世紀前半に日本人が中国から持ち帰った中国の生活用品・民間工芸品について、共同調査を行った。その作業を通じて、どのような品物が現在残されているのかということがわかり、また多くの博物館が、それらの収蔵品について館内データベース等を通じて積極的に公開していることもわかった。その調査を踏まえ、研究代表者と研究分担者は個々の関心に基づき、対象を絞った事例研究を行った。
著者
松川 正樹 高橋 修 林 慶一 伊藤 慎 Konovalov V. P. Valentine
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.48, pp.29-42, 1997-06-30
被引用文献数
1

西南日本のジュラ紀から前期白亜紀付加体の重複配列分布は, 付加体の放散虫化石と付加体の堆積物に不整合で覆う非海成ないし浅海成の堆積物に含まれる軟体動物化石の化石層序と時代論に基づき, オーテリビアン期に形成されたと解釈される。一方, 日本を含む東アジアの浅海成堆積物から後期ジュラ紀〜前期白亜紀のアンモナイトが産出し, それらが低緯度地域と高緯度地域の種を含む。これは, この地域が二つの異なる海流の影響を受けたことを示し, 現在の下部白亜系の分布位置と堆積当時の分布位置がほぼ同じであったと解釈できる。特に, 前期白亜紀の手取地域は高緯度地域からの海流の影響を受けたことが示唆される。これらの解釈は, この時期のテクトニクスの考察による日本列島の位置の解釈と化石による解釈の両者がともに整合性のあることを示す。
著者
堀 光平 林 巖
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.62, no.596, pp.1548-1555, 1996-04-25
被引用文献数
6

To improve the efficiency of 3K-type mechanical paradox planetary gear drive, a new design method called the approach-and recess-contact ratio equalization method is proposed and described. The concept of this method is to satisfy the coaxial condition of the rotatory- and fixed-internal gear pairs, which have a large influence on the efficiency of the gear drive, and simultaneously to maximize their efficiency. For this purpose, first the contact ratios of the two internal gear pairs are given ; second, their profile-shift coefficients are determined so that the coaxial condition can be satisfied ; then, the diameters of their addendum circles are determined so that their approach- and recess-contact ratios can be equalized. The efficiency of the gear drive obtained by this design method is theoretically calculated under the assumption that the tooth surface frictional coefficients are all 0.1. Consequently, the maximum efficiency of 86.1% is obtained on a gear drive with a reduction ratio of 1/351 and a contact ratio of 1.2. This obtained efficiency is higher by 12% and 8% than the efficiencies of 74% and 78%, obtained by the conventional design method without and with profile-shift coefficient optimization, respectively.
著者
山本 清人 古森 公浩 小林 昌義
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

実験1)Rho kinase inhibitorに代謝されるhydroxyfasudilのウサギ高脂血症腸骨動脈ステント留置モデルの内膜肥厚抑制効果について検討。コントロール:1.0%コレステロール餌。fasudil投与群:hydroxyfasudilをコレステロール餌に混ぜて投与.結果:4週後の内膜中膜比に有意差はなかった。実験2)Ezetimibe群で有意に内膜肥厚を抑制した。
著者
小倉 いずみ 林 以知郎 白川 恵子 竹内 美佳子
出版者
大東文化大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究の成果は二つあり、第一に、新大陸のアメリカでコネチカット植民地がいかに創設されたかを解明し、第二にトマス・フッカーの生涯と思想を解説した。コネチカット創設者のフッカーは、英国、オランダ、ボストン、ハートフォードと次々に移動したが、宗教者として正統派の会衆主義の教義を確立し、政治家として民主主義的なコネチカット基本法の制定に尽力した。本研究は思想家・宗教者としてのフッカーを、日本で初めて解明した。
著者
角 知憲 外井 哲志 大枝 良直 梶田 佳孝 松永 千晶 小林 敏樹
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

九州地方の中小都市を対象に、高齢化と人口減少がもたらす都市の閑散化・低密度化と高齢者の日常的な交通の実態を調査した。さらに、将来の年齢構成に基づいて交通需要を予測し、それを支える交通システムと都市の改造の方向性を検討した。その結果、軽便な軌道交通システムと進歩した情報システムを用いた効率的な公共交通網とそれに沿って住宅やショッピングセンターなどを適切に再配置する必要と、そのために都市の土地利用を誘導し規制する方策が求められることが判明した。
著者
戸谷 健朗 林 秀樹 渡辺 敏行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.59, pp.29-34, 2008-05-22

光を吸収することなく偏光を分離する偏光板を実現するために,複屈折ファイバーとマリックス樹脂で囲んだポリマーコンポジットの系を利用した.繊維の複屈折および樹脂の屈折率調整は比較的容易であり,これらの条件を整えることで偏光の拡散・反射を制御し、偏光分離機能を発現させることができた.偏光分離特性はコンポジットである繊維の複屈折と断面形状に依存して変化することがわかった.この特性はシミュレーション計算による理論および,実際に作製した素子による測定の両方で確かめられた.断面が三角形の繊維を用いてフィルムを作製した場合,偏光分離特性が向上し,さらに複屈折の大きな材料を選ぶことで偏光度は97%以上に達することが予測された.
著者
小林 哲夫
出版者
九州大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1997

乾燥土壌面からの蒸発とは,土壌表面が乾燥して,水蒸気が土壌中でのみ生成される状態を意味する。したがって,日中,土壌表面温度が大気温に比べて極めて高くなりうるために,土壌表面付近では水蒸気密度だけでなく温度勾配も水蒸気移動の駆動力となりうる。その結果,従来の蒸発速度測定法の多くは,乾燥土壌面からの蒸発には適用不能となる。このような温度勾配が水蒸気の駆動力となる蒸発過程を非等温蒸発と定義し,その機構を明らかにしてモデル化した。さらに,非等温蒸発時の蒸発速度測定方を開発し,その有効性を実証した。土壌層を湿潤土層(WSL),相変換層(PTZ)および乾燥土層(DSL)に分類し,それらが表面に露出している状態を,それぞれ,蒸発の第1,第2および第3段階とした。第1段階では水蒸気の生成(相変化)はすべて土壌表面で行われるが,第2段階では表面に露出している厚さ有限のPTZ内で行われる。第3段階ではDSLが表面に露出し,乾燥土壌面からの蒸発に相当する。温度勾配の影響はDSLと大気の境界面付近で作り出され,小対流(MCJ)によって接地気層内に運ばれる。その結果,接地気分層内に湿度逆転(日中,高度と共に比湿が減少する現象)が発現する。温度勾配の影響はDSL内では比較的小さいので,DSL内の水蒸気上昇フラックスを評価して蒸発速度を推定するDSL法を開発した。また,リモートセンシングによって測定可能な土壌表面温度と厚さ5cmの表土層内の平均体積含水率のみを用いて評価できるようDSL法をパラメーター化したDSLバルク法を提案した。両方法は,鳥取砂丘とマサ土を用いて検証され,有効性が確認された。
著者
丸野 俊一 加藤 和生 仮屋園 昭彦 藤田 豊 小林 敬一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

子どもの発達に応じた創造的ディスカッション(CDC)技能を育む学習/教育環境作りに関する3年間の研究成果は次の通りである: 1)"CDC技能を育む学習/教育環境作りの基本型は対話中心(「子ども主体の話し合い・学び合う」)の授業実践にある"という前提の基に、対話を中心とした授業実践作りに向けての「学びの共同体」作りを行い、現場教師の実践力の向上を図るアクションリサーチを展開した。3年間に渡る追跡研究の中から、身体化された実践知を客観的に可視化し、支援する教師成長過程モデルを構築し、その妥当性を検証した。 2)子どものCDC技能はどのように発達していくのかに関する発達段階モデルを、「態度」「技能」「価値」の諸側面を考慮しながら構築し、その促進を図る為には、どのような学習/教育環境作りが不可欠であるかについての縦断的な追跡研究を行った。 3)対話を中心とした授業実践を行う為には、教師は「新たな授業観」(授業とは子どもと協同構成するもの)のもとに「子どもの視点を取り入れた事前指導案作り」を行い、実践の中では「最適な心理的距離」(自分の感情に振り回されない、遂行上の責任性)の取り方に注意し、3つの位相(授業前、授業中、授業後)での省察的思考に熟達化していくことが不可欠であることを実証した。 4)子どものCDC技能の育成には、"対話を支える談話的風土作り"(グランドルール作り)が教科を超えて必要であるが、創造的・批判的思考が広まる/深まるような対話が生まれる為には、具体的な授業実践の文脈の中でグランドルールの重要性を認識する/体験するような教師からの働きかけが不可欠である。 5)教師の"対話を中心とした授業実践力"の向上と、子ども達の創造的・批判的なCDC技能の向上との間には、車の両輪のごとく、切るに切れない双方向性の関係があり、一つのシステムとして機能する。
著者
飯吉 令枝 平澤 則子 小林 恵子 藤川 あや
出版者
新潟県立看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

高齢者の健康状態と生活の追跡調査により、IADL低下に関連する要因として加齢、食料品の買い物等日常生活行動や地域の役割遂行があげられた。また保健師への聞き取り調査から、保健師は日常生活のしづらさを把握して自立生活継続につながるための介護予防マネジメントを行っている反面、介護予防が必要な高齢者の早期発見の工夫が課題としてあげられた。申請者らはこれらの調査から介護予防が必要な高齢者を早期発見するための近隣での見守りリストを作成し、民生委員に調査した。8割以上の民生委員が役立つと回答し、このリストの活用の可能性が示唆された。
著者
岡本 一枝 松尾 邦江 中林 和彦 奥平 進之
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.1077-1082, 1997-12-15
被引用文献数
1

冬暖かいとうたわれ, 脱脂綿を医療用ガーゼで包んだ, 3層構造の特殊シーツに着目し, 睡眠中の生理反応および寝床内気候に及ぼす影響を検討した. 年齢20〜26歳の健康な成人女性4名を対象に実験を行った. 実験条件は, 特殊シーツ使用時(条件P)と, 一般に普及している綿100%平織りシーツ使用時(条件C)とした. 寝室内は18〜19℃, RH50〜55%に保った. 終夜睡眠脳波記録, 直腸温, 皮膚温, 寝床内気候は連続測定し, 主観申告(温冷感, 快適感, 湿潤感, 睡眠感)は入床時と起床時に, それぞれ申告してもらった. 睡眠変数, および各睡眠段階の出現時間に有意差は見られなかった. 条件Pでは, 大腿, 下腿, 足背, 胸の皮膚温上昇が速く条件Cよりも高いレベルを保つ傾向であった. 胸の寝床内温度は, 条件Pで有意に高かった. 入床時, 起床時の快適感, 温冷感は条件Pで快適側, 暖かい側の傾向にあった. 睡眠感は有意に条件Pで高かった. 特殊シーツは, 睡眠構築および生理反応に影響を与えずに, 主観的睡眠感を良くすることが示唆された.
著者
会田 雅樹 石橋 圭介 巳波 弘佳 栗林 伸一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.56, pp.25-30, 2003-05-09
被引用文献数
1

NTT DoCoMoのi-modeサービス(携帯電話端末を用いたIPデータ通信サービス)は急激にユーザ数を増やし,サービス開始から約4年後の2003年2月16日現在で契約者数が約36,773,000に達している.このような爆発的に広まった希有な通信サーービスの普及過程は,ヒット商品に対するユーザの挙動を知る上で興味深いサンプルである.人間関係の構造は,エンジニアリングによる設計や形成が行なわれる対象ではなく,多くの人々が個々に活動することよって形成される.他の社会的現象やインターネットでも同様な過程で形成されるネットワークが存在し,それらはしばしばスケールフリーネットワークとなることが知られている.本報告は,i-modeのユーザ数とトラヒック量の関係に関する非常に簡単な分析から,i-modeのpotential customerである非常に大きな人間の集合に対して,人間関係のネットワーク構造がスケールフリーとなることを示す.また,ユーザの振舞いに関する傾向についても考察する.