著者
中嶋 美和 (林 美和)
出版者
神戸大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

平成20年度は1935年7月の人事で浮上した真崎教育総監更迭問題を中心に、二・二六事件が発生するまでの陸軍内部の動向についての分析を行った。この問題は、陸軍中央の中でも中堅幕僚たちの水面下による活動の影響が非常に強い。荒木陸相辞任後はその影響力をかき消すべく、反荒木の中堅幕僚たちが陸軍中枢部に属する上官に対して書面で「真崎罷免」を懇願するなどの行動を起こしている。そこで、本研究では中堅幕僚たちによる諸活動の実態を解明していくことにした。分析史料としては、国会図書館憲政資料室所蔵「片倉衷関係文書」を使用した。「片倉衷関係文書」は近年になり新しい原史料が追加され、軍人宛ての書簡が多く収められている。平成20年度の科学研究費補助金は、この史料の収集作業に利用した。片倉は満州事変の際にも暗躍し、荒木を支持する青年将校から忌嫌われる存在であった(実際、二・二六事件の時に磯部浅一からの銃弾を浴びている)。板垣征四郎や石原莞爾などと親しい片倉は、彼らに頻繁に書簡を送り、真崎を罷免するよう促している。以上のような問題関心をふまえ、陸軍中堅幕僚の内部活動の実態を解明していくことにする。取り上げる事例としては真崎教育総監更迭問題における中堅幕僚たち(片倉を中心とした)の活動実態を研究分析していった。そして、かつては陸軍の中心であった荒木や真崎が、陸軍内のいわば悪役として位置づけられていく過程を明らかにした。なお、上記研究実績を踏まえ、現在、私は博士論文及び学術雑誌に投稿予定の論文の執筆作業を行っている。
著者
若浜 五郎 小林 俊一 成田 英器 和泉 薫 本山 秀明 山田 知充
出版者
北海道大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1987

温潤積雪の高速圧密氷化過程は、野外観測と実験室における定荷重圧縮実験によって研究した。野外観測では、温潤な平地積雪と雪渓の帯水層に長期間浸っている積雪とに着目して、その圧密状態や過程を観測した。その結果融雪開始時期から全層濡れ雪になるまでの時期に、積雪は急激に圧密されてその密度を増し、2mを超えない自然積雪では、およそ濡れ密度0.46ー0.5g/cm^3に達した後、消雪までの間この密度に保たれることが分かった。雪渓下部帯水層の水に浸った積雪は、そのすぐ上部の濡れ雪に比べると圧密速度が約3倍も大きいこと、帯水層に長期にわたって大きな上載荷重がかかっているため、最終的には乾き密度の0.75g/cm^3濡れ密度にして、0.83g/cm^3以上にまで圧密され、これが初冬の寒気により凍結し氷化することが明かとなった。定荷重圧縮実験は、水に浸った積雪について集中的に実施した。圧力は温暖氷河や雪渓の帯水層内の積雪に、実際に作用している0.1ー2kg/cm^2の範囲を用いた。実験の結果、歪速度は積雪の粒径にほとんど依存しないこと、圧力の増加と共に増加し、圧力が1kgf/cm^2を越えると急激に圧密され易くなることなどが定量的に明かとなった。歪速度の対数と密度の間には直線関係が成り立ち、かつ、直線には乾き雪の定荷重圧縮実験と同様、ある密度に達した時点で折れ曲がりが認められた。氷化密度0.83g/cm^3に達するまでに用する時間は、簡単な理論的考察から、上載荷重を与えることにより推定可能となった。実験結果をいくつかの経験式にまとめると共に、実験結果から、氷河や雪渓の帯水層における圧密氷化機構を説明出来るようになった。圧密機構のより詳細な理解のために、圧密過程を圧密に進行に伴う積雪内部構造の変化と関連付ける計画である。また相対的に実験の困難な濡れ雪の圧密特性の研究は今後に残されている。
著者
古丸 明 堀 寿子 柳瀬 泰宏 尾之内 健次 加藤 武 石橋 亮 河村 功一 小林 正裕 西田 睦
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.621-629, 2010 (Released:2010-10-11)
参考文献数
16
被引用文献数
4 6

シジミ属(Corbicula)の種判別を目的とし,日本,中国,朝鮮半島産 4 種(C. japonica, C. fluminea, C. largillierti, C. leana)と不明種 (C. sp.) mtDNA16S rDNA の配列(437 bp)を比較した。ヤマトシジミ C. japonica と淡水産シジミ類間の塩基置換率は平均 5.98%(5.26-6.41%)で判別は容易であった。日本産と朝鮮半島産ヤマトシジミ間の置換率は低かった(0-1.14%)が,ハプロタイプ頻度の相違から産地判別は可能であった。
著者
松林 昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CST, コンカレント工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.460, pp.69-76, 2001-11-19

グラフを最小点数の矩形格子にレイアウトする問題は, コンパクトなVLSIレイアウトを構成する問題や, 格子ネットワークを相互結合網として有する並列計算機システム上で効率的に計算を行なう問題の基本的な定式化であり, 盛んに研究されている.小文では, マンハッタンルーティングモデルと辺非共有ルーティングモデルの下で、任意の2分木Tに対してTをレイアウトできる格子の最小の幅をkとするとき, 点数O(k+α/1+αN), 幅k+αの格子にTを多項式時間でレイアウトできることを示す.ただし, αは0&lnE;α&lnE;√<N>なる任意の整数である.さらに, 与えられたグラフGと整数a, kに対して, Gが点数a, 幅kの格子にレイアウト可能か否かを判定する問題は, マンハッタンモデルの下ではGを木に制限してもNP完全であり, 辺非共有モデルの下ではGを最大次数3以下の閉路を含まないグラフに制限し, かつkを3以上の任意の定数に固定してもNP完全であることを示す.
著者
高林 龍 竹中 俊子 渋谷 達紀 張 睿暎 竹中 俊子 渋谷 達紀 張 睿暎
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究プロジェクトは引き続き次の2つを目的として研究してきた。a 早稲田大学21世紀COE《企業法制と法創造》総合研究所のプロジェクトで確立したデータベースに、更にインドの判例を追加し、データベースをより総合的なものにすること。b 判例データベースや、「東アジアにおける産業財産権関連紛争の裁判上の処理に関する実態調査」報告書を基に、アジア各国の異なる知的財産権エンフォースメントを比較研究し、知的財産権紛争の解決の新しいあり方について模索すること。上記研究目的を果たすために、平成20年度には次のような研究活動をした。2008年5月13日にインドの判例88件が、2009年3月6日には91件、2009年3月31日には56件がアジア知的財産判例データベースに追加されて、無料公開されている。(http://www.21coe-win-cls.org/rclip/db/search_form.php)また、2007年5月13日には「IPエンフォースメントin India」というタイトルで、デリー高等裁判所判事Arjan K. Sikri氏やデリー大学法学部教授S.K.Verma氏など、インド知的財産権を代表する有識者を招いて、国際シンポジウムを開催した。 (http://www.21coe-win-cls.org/project/activity.php?gid=10096)
著者
市原 恒一 陣川 雅樹 山田 健 豊川 勝生 井上 昭夫 小林 洋司
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

間伐を実行して二酸化炭素の吸収量が多い健全な森林を作るため、および集材の際に排出される二酸化炭素量を削減するために、新しいモノレールを開発した。このモノレールは材を積載し斜面を降下する際に発電し、そのエネルギーを空荷で荷積み地点まで戻る際に利用するシステムを有する。このモノレールを用いて化石燃料の消費量が極めて少ない集材を実行し、間伐材を収穫して二酸化炭素の吸収固定量が多い健全な森林を作り、ゼロ・エミッション、すなわち廃棄物を出さない循環型の木材収穫システムの実現を目指した。試作機を用いて電気エネルギーと重力エネルギーの変換効率を測定すると、上りで0.50〜0.68、下りで0.18〜0.33と低い値になり、ゼロ・エミッションを達成することはできなかったが、化石燃料使用量を削減することができた。効率の高い直流モータとバッテリーおよび発電量を増加させるために歯車を入れるなどの改良点を明らかにした。地球環境を改善するために、環境倫理学に基づいた森林の管理法について検討を加えた。間伐材の集材ではコストを押さえることが重要である。このため、モノレールに搭載されたクレーンによる合理的な木寄せ法とモノレールへの積載法、最適複合路網計画法および軌条敷設作業能率などモノレール集材における作業の高能率化について検討した。ここで提案した木寄せ・積載法については、保残木を利用するためアウトリガーが不要で車両の軽量化と木寄せ地点間移動の簡素化を実現した。複合路網とは、急傾斜地ではモノレール、緩傾斜地では林道を敷設するものである。遺伝的アルゴリズムを用いて、敷設と木寄せに関わるコストが最も低い最適路網を求める方法を提案した。敷設作業能率については、軌条勾配と作業能率の関係を明らかにし、急傾斜地における敷設法に関する提案を行った。モノレール導入による、労働負担の軽減について定量的な効果を証明した。
著者
笠井 久豊 川口 香 村林 由紀 佐久間 隆幸 森谷 勲 清水 敦哉
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.577-582, 2009 (Released:2009-05-28)
参考文献数
14

【目的】経皮内視鏡的胃瘻造設術 (percutaneous endoscopic gastrostomy: PEG) 施行後30日以内の早期死亡を予測できる指標を明らかにするため本研究を行った。【対象及び方法】2003年5月から2005年12月までにPEGを施行した170例につき年齢、術前の血清アルブミン値、トランスサイレチン値および総リンパ球数と早期死亡率との関連を検討した。【結果】PEG施行170例のうち早期死亡例は18例 (10.6%) であった。血清アルブミン値が2.5g/dl以下の症例の早期死亡率は有意に高率であり、特に90歳以上の症例では50%と極めて高率であった。多変量解析では血清アルブミン値が最も予後に相関する因子であった。【結論】PEG施行後の早期死亡の予測には、血清アルブミン値が最も適しており、本測定値が2.5g/dl以下の症例には、PEGの適応決定には慎重であるべきと思われた。
著者
紙野 健二 市橋 克哉 下山 健二 高田 清恵 高橋 祐介 豊島 明子 大沢 光 山田 健吾 前田 定孝 大河内 美紀 林 秀弥 藤枝 律子 稲葉 一将 岡本 裕樹 宮澤 俊昭
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

グローバルな規模で展開再編する市民社会は、少子化、大規模災害や自然環境の破壊が典型的であるように、自らの存続にとっての数多くの脅威に直面して、国家に解決すべき、しかし困難な多くの課題を突きつけている。このような国家と市民社会のそれぞれの運動に対抗するものとして、双方性を有する行為である契約が観念される。それは、国民生活に必要な役務の交換が国家から市場へと転化した結果一方的に提供される役務の「選択」の法制度に対して、またこのような法制度に対する多数の国民意思を正確に反映できなくなっている民主主義の機能不全に対して、ますます強く観念せざるをえない。このような意義を有する契約が、いかなる行政領域の法を反映して、どのような実体法手続法的な形態となって表現しているのかを論証するべき必要を明らかにしたことが、本研究の成果である。研究成果の一書による公表が、計画されている。
著者
中井 滋 政金 生人 秋葉 隆 井関 邦敏 渡邊 有三 伊丹 儀友 木全 直樹 重松 隆 篠田 俊雄 勝二 達也 庄司 哲雄 鈴木 一之 土田 健司 中元 秀友 濱野 高行 丸林 誠二 守田 治 両角 國男 山縣 邦弘 山下 明泰 若井 建志 和田 篤志 椿原 美治
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.1-30, 2007-01-28
被引用文献数
19 7

2005年末の統計調査は全国の3,985施設を対象に実施され, 3,940施設 (98.87%) から回答を回収した. 2005年末のわが国の透析人口は257,765人であり, 昨年末に比べて9,599名 (3.87%) の増加であった. 人口百万人あたりの患者数は2,017.6人である. 2004年末から2005年末までの1年間の粗死亡率は9.5%であった. 透析導入症例の平均年齢は66.2歳, 透析人口全体の平均年齢は63.9歳であった. 透析導入症例の原疾患毎のパーセンテージでは, 糖尿病性腎症が42.0%, 慢性糸球体腎炎は27.3%であった.<br>透析患者全体の血清フェリチン濃度の平均 (±S.D.) は191 (±329) ng/mLであった. 血液透析患者の各種降圧薬の使用状況では, カルシウム拮抗薬が50.3%に, アンギオテンシン変換酵素阻害薬が11.5%に, アンギオテンシンII受容体拮抗薬が33.9%に投与されていた. 腹膜透析患者の33.4%が自動腹膜灌流装置を使用していた. また7.3%の患者は日中のみ, 15.0%の患者が夜間のみの治療を行っていた. 腹膜透析患者の37.2%がイコデキストリン液を使用していた. 腹膜透析患者の透析液総使用量の平均は7.43 (±2.52) リットル/日, 除水量の平均は0.81 (±0.60) リットル/日であった. 腹膜平衡試験は67%の患者において実施されており, D/P比の平均は0.65 (±0.13) であった. 腹膜透析患者の年間腹膜炎発症率は19.7%であった. 腹膜透析治療状況に回答のあった126,040人中, 676人 (0.7%) に被嚢性腹膜硬化症の既往があり, 66人 (0.1%) は被嚢性腹膜硬化症を現在治療中であった.<br>2003年の透析人口の平均余命を, 男女の各年齢毎に算定した. その結果, 透析人口の平均余命は, 同性同年齢の一般人口平均余命のおよそ4割から6割であることが示された.
著者
岡本 健 藤原 美津穂 青柳 祥子 小林 なつみ 中根 宏樹
巻号頁・発行日
2011-02-23

北見工業大学ピア・サポーター来室記念「ピア・サポート交流会」. 2011年2月23日. 北海道大学ピア・サポート室. 札幌市.
著者
橋本 祐一 石川 稔 青山 洋史 杉田 和幸 小林 久芳 谷内出 友美 松本 洋太郎 三澤 隆史
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

タンパク質の機能や存在状態(細胞内での局在・分布や安定性・寿命)はその3次構造に依存している。したがって、特定のタンパク質の3次構造の制御は、その機能や存在状態の制御に直結する。また、特定のタンパク質の3次構造の異常に基づく多くの難治性疾患が存在する。本研究では、(1)タンパク質の3次構造を制御することによって作用を発揮する各種核内受容体リガンドの創製、(2)タンパク質の異常な3次構造に基づく細胞内局在異常を修正する化合物群の創製、ならびに(3)特定のタンパク質の生細胞内での分解を誘導する化合物群の創製、に成功するとともに、(4)関わる分子設計として共通骨格を利用する手法を提案した。
著者
八十島 安伸 小林 憲太
出版者
福島県立医科大学
雑誌
特定領域研究(C)
巻号頁・発行日
2001

運動制御における大脳基底核神経回路の間接路の役割を探るために、中継核の一つである視床下核(subthalamic nucleus,STN)に着目した。イムノトキシン細胞標的法を適用できるように、ヒトインターロイキン2受容体αサブユニット(IL-2Rα)タンパクをSTN細胞に発現する遺伝子変異マウス(NPIGマウス)を作製し、導入IL-2Rαを抗原として特異的に認識するanti-Tac-(Fv)PE38抗体(イムノトキシン、IT)をNPIGマウスの片側STNに微量注入したところ、STN細胞の特異的な脱落・破壊が認められた。NPIGマウス片側STNへのIT注入処理後、新奇環境に呈示すると、IT処理を受けた大脳半球の反対方向(破壊反対側方向)への自発的な回転運動が生じた。野生型マウスにIT処理を行っても、回転運動は生起しなかった。同一NPIGマウス群にドーパミン非選択的作動薬であるアポモルフィン(APO,2mg/kg)を皮下投与すると、回転方向が破壊同側方向(ipsiversive)へ逆転した回転運動を示した。片側STNにIT処理を行った同一NPIGマウス群を飼育室・ホームケージ環境で回復させ、IT注入操作の28日後以降に自発的な破壊反対側方向への回転量とAPO誘導性の破壊同側方向への回転量を測定すると、両者は有意に減弱することを認めた。また、自発的な定位運動・APO誘導性の定位運動も減少した。ドーパミンD1もしくはD2受容体の各選択的作動薬の単独投与では、APO投与時に認められた回転方向の逆転現象は認められなかった。STN選択破壊によるSTN機能不全は、ドーパミン刺激による運動亢進作用に対して障害が認められたことから、本研究は運動制御における大脳基底核の間接経路の独自機能の解明について示唆を与えると期待できる。
著者
島内 節 清水 洋子 福島 道子 佐々木 明子 中谷 久恵 河野 あゆみ 田中 平三 亀井 智子 林 正幸 丸茂 文昭
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

平成10年度〜12年度にかけて「在宅ケアにおける基本的な日常生活行動の自立支援のためのケアプランと評価方法」について研究を行った。平成10年度に日常生活行動の自立を可能にする条件を分析した。結果は2ヵ月で改善可能な内容は着替え、服薬行動、痛み、介護者の心身の疲労であった。同年にケアプランの実施の有無とプラン修正によるニーズ解決を分析した。その結果、ニーズ解決率の高い順位は(1)ケアプランを必要に応じて修正し実施、(2)ケアプラン実施、(3)実施しない、の順であること、ケアプランの修正要因は利用者条件、サービス提供条件、ケアマネージャーの順であった。平成11年度には日常生活行動変化のアウトカム項目をアメリカ合衆国のメディケア機関で義務化されていたOASIS(The Outcome Assessment Information Set)を中心に我々が開発していた日本版在宅ケアアセスメント用紙を組み合せて、在宅ケアの評価を行い、それに基づきケアプランを5機関で行った。平成12年度にはアウトカム項目を確定し、自立度変化とケアプロセスの内容、満足度を評価し、プランを立てて実施後に再度アウトカムとプランを評価する方法の開発、サービス提供者の能力開発と組織力向上の評価方法を開発し、マニュアル化した。なお、利用者アウトカムに関しては、フィンランドとの共同研究を行った。
著者
上山 邦雄 かく 燕書 呉 在〓 張 淑英 王 振中 王 保林 金 基燦 金 顕哲
出版者
城西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日中韓研究者による本格的な研究体制を構築した上で、主として、日中韓3国の自動車および電機産業の工場や研究開発拠点を訪問し、競争力構造の現状を解明した。日本企業は、特に技術面では、依然として競争優位を保っているものの、ますます重要性を増している途上国市場への戦略構築に成功したとはいえない。それに対し、韓国企業はウォン安もあり確実にグローバル市場で存在感を高めており、中国企業は国内市場を中心とした競争力強化に成功しつつある状況を明確にした。
著者
上田 多門 後藤 康明 長谷川 拓哉 濱 幸雄 田口 史雄 遠藤 裕丈 林田 宏 桂 修 加藤 莉奈 佐藤 靖彦 王 立成
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

寒冷地のコンクリート構造物は,コンクリート内部の水分が凍結融解を繰り返すことにより,凍害といわれる劣化が生じる.超音波を用いた実構造物における凍害の程度を測定する方法を提示し,凍害の程度と材料特性の劣化程度との関係を示した.乾湿繰返しや塩害と凍害との複合劣化のメカニズムを明らかにし,劣化をシミュレーションするための数値モデルを提示した.凍害を受けた構造物を増厚工法で補修補強した後の,構造物の挙動を数値解析するためのモデルを提示した.
著者
矢部 光保 荘林 幹太郎 田中 宗浩 西澤 栄一郎 林 岳 高橋 義文 陳 廷貴 黄 波 田村 啓二 辻林 英高
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

中国では畜産廃棄物が深刻な水質汚染をもたらしている。そこで、中国江蘇省にある出荷頭数 2.8 万頭の養豚場と近隣農家を対象に、ふん尿由来のメタン発酵消化液を液肥利用する試験を行い、その環境的・経済的効果を評価した。3 年間で液肥利用農地面積は、ゼロから 40ha に拡大し、農家は肥料代を大きく節減できた。また、消化液の投棄が防止され、有機性廃棄物循環、水質環境の改善、温室効果ガス削減に、液肥利用は貢献できることが実証された
著者
瀧口 桂子 松本 園子 富田 恵子 遠藤 久江 森久保 俊満 小林 理
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

<研究目的>核家族化や少子化が進み、地域社会の連帯も失われつつある現在、子育て中の家族が孤立化し、育児不安や養育困難な問題が生じ、児童虐待も深刻な社会問題となっている。本研究は乳児院や児童養護施設などの基幹児童福祉施設が要保護児童の保護や自立支援など従来の役割に加えて、地域社会の家庭養育支援施設としてどのように機能を拡大し、地域社会のネットワークを形成していくことができるか、またその課題を明らかにすることを目的とした。平成9年の児童福祉法改正により新設された「児童家庭支援センター」に焦点を絞り、センターがどのように設置運営され利用されていくかそのプロセスを調査し、地域におけるセンターの役割機能と地域子育て支援ネットワークの実態を明らかにして、これからの児童家庭支援センターの充実発展、さらにセンター制度改革への提言を行う。<研究成果>1.児童家庭支援センター構想とセンター制度が制定された経緯を検証した。2.児童家庭支援センター制度創設から5年間のセンター設置プロセスを明らかにした。児童家庭支援センターが発足して今年度で5年が経過した。平成14年度末現在、全国に36センターが設置されている。そのうち25センター(実質1年以上の活動実績があるセンター)を訪問し、運営方針、活動内容、利用状況、地域の関連機関との連携・ネットワークの形成、今後の課題などを聞き取り調査した。そのほか全国児童家庭支援センター会議で情報、資料収集を行い全センターの状況を把握した。3.児童家庭支援センターは付設されている本体施設の機能を活用し、地域の子育て支援機能を果たしていることは実証できた。しかし地域偏在、センター間の活動内容、利用状況の差が大きいこと、児童相談機関としての位置づけが明確でないこと、本体施設の運営、養護実践自体が厳しい状況下でセンター付置が容易でないことなど、多くの課題が明らかとなった。