著者
竹山 雅規 森田 修一 山田 秀樹 武藤 祐一 齊藤 力 高木 律男 花田 晃治
出版者
特定非営利活動法人 日本顎変形症学会
雑誌
日本顎変形症学会雑誌 (ISSN:09167048)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.105-110, 2003-12-15 (Released:2011-02-09)
参考文献数
17
被引用文献数
1

This study investigated the soft tissue profile change of the chin following genioplasty. The subjects were 20 females who underwent genioplasty. They were divided into two groups depending on the directions of surgical displacement of the chin. In 11 patients anterior repositioning was made (forward movement group) and in 9 patients posterior repositioning was made (backward movement group).For each patient, lateral cephalograms taken preand postoperatively were traced and superimposed, and then linear measurements were obtained.The results were as follows: 1. There were differences in soft tissue reaction to hard tissue displacement between the forward movement group and backward movement group.2. In the forward movement group, the size of the chin increased as a result of further forward displacement of soft tissue pogonion in spite of forward displacement of lower labial sulcus. In the backward movement group, the size of the chin decreased as a result of backward displacement of soft tissue pogonion and forward displacement of lower labial sulcus.3. The horizontal displacement ratio of soft tissue pogonion to pogonion was 148% in the forward movement group, and 33% in the backward movement group.4. There was a significant positive correlation between the horizontal change of pogonion and soft tissue pogonion, horizontal change of menton and soft tissue menton, horizontal change of pogonion and the size of the chin, and horizontal change of menton and the size of the chin. On the other hand, in the forward movement group, there was no correlation between skeletal changes and soft tissue changes of the chin.
著者
松井 希代子 柳原 清子 佐藤 正美 能登原 寛子 下 綾華 塚本 愛実 中村 優希 西野 ひかり 東 郁江 兵田 亜未 村田 奈穂 元橋 茉佑 森田 恵里 米澤 智亜紀
出版者
ウェルネス・ヘルスケア学会
雑誌
Journal of wellness and health care (ISSN:24333190)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.125-135, 2017

Cancer medicine is becoming more sophisticated and complex, and therefore it is becoming more difficult to care for people at the end of life. This study was performed to identify the nature of positive attitudes to nursing practice of nurses in general hospitals, and to examine their associations with various different factors. The participants were 683 nurses working in 41 wards in eight regional general hospitals. The survey was carried out as an anonymous self-administered questionnaire. Four factors were identified as constituents of nurses' positive attitudes to nursing practice. These consisted of three factors concerning attitudes and knowledge, comprising [The practice of specialist end-of-life specific care], [Making the best arrangements until the end], and [Spiritual care], and one affirmative sentiment, that of [The confidence to nurse someone at the end of life]. The mean score for factors related to knowledge of nursing practice was > 4 points on a 6-point scale, corresponding to "Somewhat applicable," whereas the mean score for the sentiment [The confidence to nurse someone at the end of life] was > 3 points, corresponding to "Not really applicable." In terms of related factors, for all factors other than spiritual care, positive attitudes to nursing practice increased significantly with increasing experience. There was no association with having cared for a dying family member. Although having experienced an educational opportunity was not associated with the practice of case conferences for deceased patients, it was significantly associated with the experience of having been able to talk at length about the care they had provided and their own thoughts in venues such as case conferences, receiving recognition by colleagues at their own level of seniority or above, and reflection. Improving nurses' positive attitudes to nursing practice in end-of-life care in general hospitals, therefore, depended not on personal characteristics, such as having taken care of a dying family member, but rather on having repeatedly overcome difficulties in the course of nursing experience. Talking at length about care and expressing one's own thoughts, receiving recognition from colleagues at one's own level of seniority or above, and reflection on nursing practice were all important in this process.がん医療が高度・複雑化し、結果、人々が「死」を看取っていくことが難しくなっている。本研究の目的は、総合病院における看護師のがん終末期の実践への肯定感はどのようなものかを明らかにし、要因との関連を見ることとである。対象は地方の 8 つの総合病院 41 病棟683 名の看護師である。自記式質問紙調査を行い、看護師の実践への肯定感は 4 因子の構造として見いだされた。それは【終末期固有の専門的ケア実践】、【最期までの最善の調整】、【スピリティアルなケア】という実践への態度や認識と、【最期を看取っていく自信】という肯定的心情であった。実践への認識の平均値は 6 段階中 4 点台で、「どちらかといえばできる」レベルであり、【最期を看取っていく自信】の心情は 3 点台で「どちらかといえば自信がない」であった。関連要因では、スピリティアルケアを除く全ての因子で、経験年数が増すと実践への肯定感が有意に高まっていた。また、身内の死の看取り経験は関連がなかった。一方、教育的働きかけを受けた経験との関連は、デスカンファレンス実施の有無とは関係がなかったが、自分の行ったケアや思いを十分に語った経験、先輩や同僚に認められた経験、そしてリフレクションが有意に関係していた。つまり、総合病院の終末期ケアにおいて、看護師の実践への肯定感の高まりは、身内の死の看取りなどの個人的特性ではなく、看護経験の中で、困難感からの転換の形で積み重ねられていた。その過程では、ケアや思いを十分に語り、先輩や同僚に認められ、そして実践をリフレクションすることが重要となる。
著者
森田 直賢 清水 岑夫 竹崎 孝行
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.88, no.10, pp.1277-1280, 1968-10-25 (Released:2008-05-30)
参考文献数
14
被引用文献数
9 12

A new glycoside (I), C24H26O18·11/2H2O, mp 274-275°, was isolated from Chrysosplenium grayanum MAXIM. (Japanese name"Nekonomeso"), and a glycoside (II), C24H26O12·2H2O, mp 175-176°, from C. flagelliferum FR. SCHM. (Japanese name"Tsurunekonomeso"). I was determined as oxyayanin-A (5, 2', 5'-trihydroxy-3, 7, 4'-trimethoxyflavone)-2'-glucoside, and was named chrysosplenoside-A, and II as pendulin (5, 4'-dihydroxy-3, 6, 7-trimethoxyflavone-4'-glucoside).
著者
森田喜久男著
出版者
同成社
巻号頁・発行日
2014
著者
森田 信一 松本
出版者
富山大学
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.247-260, 2006-12-14

大正期の童謡運動は、鈴木三重吉が子どものための質の良い読み物を考慮し、「子供の純性を保全開発するために、現代第一流の藝術家の真摯なる努力を集め、兼て、若き子供のための創作家の出現を迎ふる、」(鈴木 1917)ことを目指して大正7年に創刊した「赤い鳥」に代表され、続いて「金の鈴」「童謡」などの雑誌も刊行された。これらの雑誌を中心とした童謡作品については、主に物語や詩などの言葉の面から多くの研究が行なわれている(藤田 1971,童謡詩人會 1997)。音楽面からは童謡運動に参加した作曲家について、小島(2004)が「赤い鳥」と「金の鈴」を中心にとりあげ、成田為三、草川信、弘田龍太郎、本居長世、中山晋平、藤井清水、山田耕筰、河村光陽の童謡作品について、特に旋律の音階構造を詳しく分類、分析している。これらの作曲家は、日本近代の洋楽作曲家として、大正期から昭和期にかけて活躍した人々である。それらの作曲家のうち草川信については、現在でも「ゆりかごの歌」「春の歌」「どこかで春が」「風」「夕焼け小焼け」「汽車ポッポ」「みどりのそよ風」などの童謡作品がよく聴かれ、演奏されている。草川は童謡の作曲家と捉えられることが多いが、実際には童謡以外にも、歌曲、合唱曲、器楽曲などを残している。しかしこれらについては、現在ほとんど知られていない。そこで本稿では、まずいくつかの資料とご子息(次男)草川誠氏へのインタビューから草川信の生涯と仕事を概観する。次に、和声学を中心とした当時の日本の作曲理論の状況を調査し、彼の音楽技法上の背景を知る。そしてそれらに基づいて、草川信の作品のいくつかを分析して、この作曲家の、和声構造を中心とした音楽上の特徴を明らかにする。これによって、これが草川信の作曲法の特徴をつかむとともに、大正から昭和期へかけての日本の洋楽の作曲様式の状況を知る、ひとつの手掛りにもなると考えられる。
著者
渡邉 由裕 清水 香澄 永田 心 乾 眞登可 森田 寛 田川 俊郎
出版者
日本口腔内科学会
雑誌
日本口腔内科学会雑誌 (ISSN:21866147)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.8-13, 2013 (Released:2014-06-19)
参考文献数
13
被引用文献数
1

歯肉出血の後,急速な死の転帰を辿った急性前骨髄性白血病の1例を報告する。患者は61歳男性で歯肉より出血が持続するため来院した。血液検査では,白血球数は正常範囲内であったが,赤血球数,ヘモグロビン量,ヘマトクリット値,血小板数は低値で,血液凝固能も低下し,LDHが高値であった。内科対診の結果,急性前骨髄性白血病と診断されたが,初診当日深夜に脳出血にて他院に救急搬送され,5日後に死亡した。
著者
森田 敬知 高山 俊政 井上 隼人 吉村 博邦
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.268-279, 1998-06-30

肺・縦隔悪性腫瘍の上大静脈浸潤に際して,腫瘍の根治的切除が可能と判断される場合,上大静脈の合併切除が行われることがある。この時,広範囲の浸潤例では上大静脈の完全遮断が必要となる。本研究は,上大静脈の完全遮断の安全性および許容限界を明らかにする目的で,ピーグル犬を用いて,45分間の上大静脈のみの単純遮断を行ったもの(A群),上大静脈と奇静脈の両者を遮断したもの(B群),さらに,3時間の上大静脈と奇静脈の両者を遮断したもの(C群)に分け,それぞれ上大静脈圧,頭蓋内圧,下大静脈圧,大腿動脈圧,肺動脈圧,肺動脈楔入圧,心拍出量,血液ガス分析(体動脈血・肺動脈血)を測定しその変動を観察するとともに,遮断解除後に開頭のうえ脳を摘出し組織学的検討を行った。上大静脈圧および頭蓋内圧は,A,B群とも,遮断とともに有意に上昇し,遮断経過中,B群が有意に高値を示した。また,両圧は,いずれの群においても速断後の時間の経過と共に漸減傾向を示したが,A群での漸減傾向がより大きく,一方,B群では低下の傾向は少なく高値を持続した。他の循環動態の指標では,心拍出量,肺動脈圧,肺動脈楔入圧,および中心静脈圧(いずれも平均値)は遮断とともに有意に低下し,A群に比べB群での変動がより大きい傾向を示した。心拍数は,A群では徐脈傾向が,B群では頻脈傾向がみられた。体動脈圧(血圧)の変動は少なかった。体動脈血および肺動脈血の酸素分圧は,A,B群とも遮断後有意に低下し,B群での低下がより大きかった。炭酸ガス分圧は,肺動脈血で上昇傾向が見られB群でより高い上昇傾向を示した。すなわち,血液ガス分析所見においてもB群でより大きな変動を示した。しかし,上記の変動は,遮断後解除とともにほぼ遮断前値に復しており,循環動態に関するかぎり,45分間の上大静脈ならびに奇上大静脈の速断は充分可能と考えられた。一方,上大静脈と奇静脈の両者を3時間にわたり遮断することを試みたC群では3頭中1頭で,遮断後110分で呼吸循環動態が悪化し死亡した。脳の病理組織学的検討では,A群の5頭中3頭で,また,B群の5頭中4頭で,脳皮質を中心に広範な出血が認められており,また,残りの3頭のいずれも血管周囲の鬱血が認められた。また,C群中の死亡した1頭では,海馬におよぶ出血が認められた。以上より,循環動態より見るかぎり45分間の上大静脈および奇静脈の遮断は可能と判断されるが,本処置により器質的脳障害が発生する可能性が強く示唆され,ことに長時間の上大静脈および奇静脈の遮断は危険と判断された。
著者
森田 昂 岡田 隆道 大賀 辰次郎 加納 正 岡田 弘
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.397-403, 1979
被引用文献数
1

系統的アミロイド症を伴つた骨髄腫に2種の癌を併発した希な症例を経験した.またこの例は6年前の喉頭癌の手術時にすでに単クローン性γ血症をみとめ,その後次第にM成分量の増量と共に骨髄腫の病像を完成した点でも興味がもたれた.症例: 70才,男性. 64才時に喉頭の扁平上皮癌で摘除をうけ,癌周囲組織に形質細胞浸潤が目立つた.血清総蛋白7.8g/dl中fast γ域に1.8g%のM成分を認めたが放置. 5年後心不全症状で緊急入院.血清総蛋白10.4g/dl中IgG-λ型のM成分が3.7g%を占めたが,この時期では尿BJ蛋白は陰性.骨髄中の形質細胞は未熟型のものも含めて4.8%で,骨髄腫の診断を確定しえなかつた.その後右足にBowen病を発症し,その切除標本の癌周囲組織には形質細胞浸潤はなかつた.入院7カ月後に至つてBJが出現,すなわちBJ escapeがみられ,さらに血清蛋白M成分の漸増と正常γ-glの著減,骨髄中異型形質細胞の著増をみとめて骨髄腫と診断した. prednisolone, cyclophosphamideの併用治療を開始し著効を見たが,心不全が増強し死亡した.剖検により全身諸臓器の骨髄腫細胞浸潤と,心,肝,脾,腎,副腎などにアミロイド沈着が認められた.本例の検討を通じて単クローン性γグロブリン血症と癌の関係,骨髄腫・アミロイド症・癌の複雑な合併にみられる免疫学的背景,骨髄腫の自然史などについて考察した.なお, Bowen病は種々の悪性腫瘍を合併するが骨髄腫を合併した報告例はない.本例が最初である.
著者
森田 浩介
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.698-707, 2005-09-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
23

我々は, 独立行政法人理化学研究所の重イオン線形加速器からの70Znビームを209Bi標的に照射し, ビーム核と標的核との完全融合反応によって合成される, 原子番号113, 原子質量数278の原子核278113の崩壊を観測することに成功しました.ビームやその他実験にとってバックグラウンドとなる粒子から分離された目的の核は, 半導体検出器に打ち込まれ, そこで4回の連続したα崩壊をした後, 自発核分裂を起こして崩壊しました.4回目のα崩壊の崩壊エネルギーと崩壊時間, それに引き続いて起こった自発核分裂の現象と崩壊時間は, 既知の崩壊連鎖である266Bh(原子番号107)→262Db(原子番号105)のものと矛盾がなく, これらの崩壊に先立って起こった3回の連続したα崩壊は278113→274Rg(原子番号111)→270Mt(原子番号109)→という, これまでに報告されていない新同位体の崩壊であると結論づけました.観測された原子数はわずか1ですが, 保守的な言い方をすれば, 今回合成された278113は, 実験的に原子番号と質量数を決定されたものとしては, 原子番号, 原子質量数ともに最大のものであり, 新元素の発見の可能性があると考えています.
著者
渡辺 幸恵 森田 明理
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.548-552, 2006

2001年に日本皮膚科学会においてケミカルピーリングガイドラインが作成されて以来,ケミカルピーリングは,大学病院や総合病院,また開業医においても,皮膚科治療の一方法として盛んに行われるようになっている。今回,開業医で行われるケミカルピーリングの実態を知る目的で,当院でグリコール酸ピーリングを受けたざ瘡患者199例について検討した結果,2回以上継続して治療を受けたものは176例であり,著効27例と有効105例を合わせ,約75%に治療効果を認めた。一方,副作用は7例に認められ,部分的痂皮形成が2例,強い発赤が認められステロイド外用の必要があったものが5例であった。本治療法は,一般開業医のレベルにおいても,その日常診療で非常に診療頻度の高い尋常性ざ瘡の患者に対して,安全かつ有効性の高い治療だと考えられた。
著者
永井 良治 中原 雅美 森田 正治 下田 武良 岡 真一郎 鈴木 あかり 濱地 望 池田 拓郎 金子 秀雄 高野 吉朗 江口 雅彦 柗田 憲亮
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.713-719, 2017 (Released:2017-10-23)
参考文献数
11
被引用文献数
2

〔目的〕臨床実習指導者を対象に,クリニカルクラークシップ(CCS)の取り組みに対する意見をまとめ,今後のCCS型臨床教育の捉え方を検討するための資料とすること.〔対象と方法〕4年目以上の理学療法士60名を対象に,自己記入式質問紙を用いたアンケート調査を実施した.〔結果〕実習形態については,診療に参加させながら学生の成長を促すことができるとの回答が多かった.しかし学生は受身的な取り組み姿勢で,チェックリストを埋めることに意識が向きやすいことが示された.学生の理解度の把握については理学療法全体に関する理解の指導方法が課題になっていることが示された.〔結語〕現在のCCSの取り組みが明らかになった.学生の取り組み姿勢や指導方法については,臨床実習指導者と連携して検討していきたい.
著者
糸川 秀治 竹谷 孝一 一柳 幸生 森田 博史
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.119, no.8, pp.529-583, 1999-08-01 (Released:2008-05-30)
参考文献数
149
被引用文献数
2 10

A lot of anticancer agents have been isolated from natural sources, especially from microorganisms and plants. However, there is no special type of compounds for cancer therapy. Various types of substances are effective for various types of cancers and tumors : for instance, alka1oids, lignans, terpenes and steroids, etc. In this report, the authors will describe especially about higher plants.
著者
前田 裕弘 松田 光弘 森田 恵 正木 秀幸 白川 親 堀内 房成 小山 敦子 濱崎 浩之 藤本 卓也 入交 清博 堀内 篤
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.118-125, 1993-04-30 (Released:2009-01-22)
参考文献数
17

成人T細胞白血病(ATL)患者の血清を健常人の末梢血単核細胞(PBMC)に添加し,そのPBMCのCD 3抗原の発現を観察した. CD 3抗原の発現が低下している急性型ATL患者の血清を添加したときのみ健常人PBMCのCD 3抗原の発現が低下した.しかし, CD 3抗原の発現が正常の慢性型ATL血清では,この現象はみられなかった.同様の結果が細胞培養上清添加時にもみられた.細胞培養上清をSephacryl S-200を用いて分画し,健常人PBMCのCD 3抗原を低下させる活性を分子量40-60 kDの分画に認めた.各種抗サイトカイン抗体を用いた中和実験および各種サイトカイン添加実験より,この可溶性因子が既知のサイトカインとは異なる因子と考えられた.この因子が臨床的に急性型ATLに認められ,くすぶり型および慢性型ATLに認められないことより, crisisに関与している可能性も考えられた.