著者
森田 昌孝
出版者
山形大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2007

【目的】障害者雇用促進法により研究機関も含む公的機関は一定以上の障害者を雇用することが定められている。研究機関における一般管理業務や維持管理業務、研究補助業務は技術職員が従事し、定員として雇用されている。しかし、そのような管理業務を再点検してみると、多くは日々の決まって行う業務であり、作業監督者・従事者が一定の配慮をすることにより、軽度知的障害者の方でも十分に公共のために貢献できると考えられる。そこで、研究機関において円滑に就労するために必要な点についてを明らかにするため次の調査を行なった。【方法】高等養護学校(117校、回収率51.3%)ならびに研究機関(204施設、回収率36.8%)を対象にアンケートを実施した。高等養護学校へは就労にあたっての注意点や対応可能な職域について、研究機関へは職員の労働形態の推移や意識問題、具体的な作業について、主に調査した。【結果および考察】高等養護学校では雇用者側が障害の特性を理解するなど一定の配慮をすることにより雇用につながる可能性が示唆された。研究機関では実験器具の洗浄、試験動物の飼養管理の補助や施設の清掃など対応可能な場面が多くあることが明らかになった。しかし、慎重な意見も多く、事前に3者の十分な協議を行うことが雇用拡大には不可欠であると考えられた。
著者
伊藤 友美 森田 恭徳 三島 隆 久松 眞 山田 哲也
出版者
一般社団法人 日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌 (ISSN:21856427)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.236-240, 2012-11-20 (Released:2017-12-29)
参考文献数
13
被引用文献数
5 1

小麦澱粉を乾熱処理し,その物理特性を調べた。加熱条件は200℃で0.5~2.0時間行った。表面上は,何れの乾熱処理澱粉も澱粉粒子の変化はほとんどなかった。X線回折と酵素感受性はコントロール(生澱粉)と乾熱処理1,2時間との間に違いがみられた。DSCパターンは乾熱処理時間が長くなるほど糊化温度が低温側に移行した。RVAによる粘度測定では,すべての乾熱処理澱粉でコントロールより著しく低下しており,極限粘度も同様に低下していたことから,乾熱処理により外観では変化がみられないが,内部では分子が著しく崩壊し,低分子化が起こっていることが推察された。
著者
中里 和弘 塩崎 麻里子 平井 啓 森田 達也 多田羅 竜平 市原 香織 佐藤 眞一 清水 恵 恒藤 暁 志真 泰夫 宮下 光令
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.263-271, 2018 (Released:2018-08-21)
参考文献数
31

【目的】1)緩和ケア病棟における患者と家族間の思いの言語化を支える家族支援(家族へのバーバルコミュニケーション支援)の有無と評価,2)家族へのバーバルコミュニケーション支援と「患者と家族との良好な関係性」および「ケアの全般的満足度」との関連を検討した.【方法】全国の緩和ケア病棟103施設における死亡患者の遺族968名に質問紙調査を実施した.【結果】536名を分析対象とした.支援を受けた遺族の割合は内容によって差がみられたが,評価は概ね高かった.重回帰分析の結果,患者と家族との良好な関係性では,全8つの支援で有意な正の関連が認められた.ケアの全般的満足度では,4つの支援(家族から患者への言語化の具体的提案,家族の思いを患者に伝える,患者の聴覚機能保持の保証,患者の思いを推察した家族への言葉かけ)で有意な正の関連が認められた(p<0.05).【結論】家族へのバーバルコミュニケーション支援の意義が示唆された.
著者
小島 慎也 佐藤 香枝 前田 亮太 呉 宏堯 矢田 拓也 森田 敏明 岩崎 博之
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2014年大会
巻号頁・発行日
2014-04-07

明星電気株式会社は、小型気象計POTEKA Sta.(ポテカ:Point Tenki Kansoku、以下POTEKA)を開発した。POTEKAは気温・湿度・気圧・感雨・日照を1分間隔で測定でき、従来気象計と比較して安価で、設置が容易なため稠密な設置及びデータ収集が可能である。そのPOTEKAを用いて、伊勢崎市内小中学校及び同市周辺のコンビニ(SAVE ON)に約1.5~4km間隔で計55ヶ所に設置した。本稿では、顕著な観測事例として8月11日に高崎市・前橋市で発生した突風現象の観測結果について紹介する。8月11日18時頃に高崎市から前橋市にかけて突風が発生し、住家の屋根の飛散などの被害がみられた。POTEKAの気温1分値を見ると、最大12分間で-13.9℃の気温低下がみられた。前橋地方気象台発表の突風経路に近いPOTEKAの海面補正した気圧の1分値時系列を下図に示す。気象台の10分値の気圧は徐々に増加していく傾向しか見られないが、POTEKAの1分値では、1~2hPa程度の一時的な上昇がみられた。これはダウンバースト発生時の下降流による一時的な気圧上昇であると示唆される。さらに詳しく見ると、気圧の上昇は2回発生している地点もあり、1回目はガストフロントによるもの、2回目はダウンバーストによる上昇と考えられる(詳細は「地上稠密観測POTEKAによるダウンバーストとガストフロントの識別」を参照のこと)。今回の稠密観測のようなダウンバースト・ガストフロント発生時の地上における気圧変化を、これほど細かい時間的・空間分解能で観測した事例はほとんど見られない。このような稠密観測をすることによって、突風の種類の判別や突風に対する事前の注意喚起が出来る可能性がある。謝辞:本プロジェクト始動にあたり、サンデン(株)殿、(株)セーブオン殿、伊勢崎市教育員会殿にはPOTEKA設置のご協力を頂きました。ここに御礼申し上げます。
著者
米永 裕紀 青山 真帆 森谷 優香 五十嵐 尚子 升川 研人 森田 達也 木澤 義之 恒藤 暁 志真 泰夫 宮下 光令
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.235-243, 2018 (Released:2018-08-10)
参考文献数
21
被引用文献数
1

緩和ケアの質や遺族の悲嘆や抑うつの程度に地域差があるかを目的とし,2014年と2016年に実施された全国遺族調査のデータの二次解析を行った.ケアの構造・プロセスはCare Evaluation Scale(CES),ケアのアウトカムはGood Death Inventory(GDI),悲嘆はBrief Grief Questionnaire(BGQ),うつはPatient Health Questionnaire 9(PHQ-9)で評価した.関東をリファレンスとし対象者背景で調整し,比較した.CESとGDIは調整後も九州・沖縄で有意に高かった(p<0.05).BGQは調整後も中部,近畿,中国,九州・沖縄地方で有意に低かった(p<0.05).PHQ-9は調整後,有意差はなかった.いずれのアウトカムも効果量は小さく地域差がほぼないと考えられ,ケアの提供体制は地域で大きく変わらないことが示された.
著者
小林 晋作 森 昌弘 森田 明 浅井 史敏 伊藤 福美 三宅 茂樹 長谷川 主計 熊倉 清次
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.1231-1234, 1984-06-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
7
被引用文献数
2

体外循環時には血小板が活性化され, 微小血栓の形成による血栓症の惹起や, 血小板が消費されることによる止血機構の不全による出血などの危険がある。そのため体外循環時には血小板の機能を保護することは極めて重要なことである。PG I2は血小板凝集抑制作用が強く, 臨床上極めて有用な血小板保護剤である。しかしながらPG I2は化学的に不安定である欠点を有する。CS-570は化学的に極めて安定なカルバサイクリンの誘導体であり, in vitro, ex vivo共に強力な血小板凝集抑制効果を示す。本化合物は経口投与によっても有効性を示すことより, 体外循環時の抗凝血および血小板保護作用をはじめとして, 各種の血栓症や末梢動脈閉塞症などにも, 有用性が期待される。
著者
酒井 秀夫 大橋 文人 佐々木 重人 伊藤 福美 森田 明 小林 晋作 高井 信治 佐々木 伸雄 竹内 啓
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.1239-1242, 1984-06-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
9

活性炭などの吸着剤による直接血液灌流(DHP)は肝不全・腎不全などに対する治療として有効である。本治療法実施に際しての抗凝固剤としては主にヘパリンが使用されているが, 血球の減少・DHP後の出血傾向などの問題がある。我々はこれらの問題点を考慮し, ヘパリンにかわる抗凝固剤としてカルバサイクリン誘導体CS-570を使用して実験的尿毒症犬の活性炭によるDHPを行ない, 血球成分・血液凝固能・血圧・回路内圧などを指標としてCS-570のDHPにおける抗凝固剤としての有用性を検討した。その結果, DHP実施中の赤血球数・血小板数は変動せず, 血液回路内での血小板凝集は強く抑制されており回路内凝血の徴候は認められなかった。一方, 生体内での凝集抑制率は低くDHP終了後の凝集能回復も速やかであった。また, 血圧の低下はわずかであった。以上のことからCS-570はDHPにおける抗凝固剤として非常に有用であると考えられた。
著者
久保 千春 高倉 修 古賀 泰裕 須藤 信行 河合 啓介 森田 千尋 古川 智一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、定量的PCR法に基づいたYakult Intestinal Flora-Scanを用いて、神経性食欲不振症(AN)女性患者の腸内細菌叢を年齢を一致させた健常女性と比較した。AN患者では健常群と比較し、総細菌数、Clostridium coccoides group、Clostridium leptum subgroup、Bacteroides fragilis group、およびStreptococcusの細菌数が有意に減少していた。AN群では健常者と比べ糞便中の酢酸、プロピオン酸濃度が有意に低かった。以上の結果は、AN患者では腸内細菌叢の異常が存在することを示している。
著者
福山 佑樹 森田 裕介 松野 夢斗 浅見 智子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.177-180, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
9

反転授業の予習に用いるデジタル教材として,デジタルゲームを用いた場合の特性を検証するための試行を行った.実践の結果,ゲームを用いた予習教材は一定数の学習者にとって「エンタメとして楽しめる」ものであったが,応用問題や科学哲学的な問題の理解を深めるためには対面授業でのディスカッションを組み合わせることが重要になること,反転授業形式にすることでゲーム教材の「授業中に必要以上に時間がかかりやすい」という欠点を乗り越え,振り返りを充実化することで学習効果を高める特性がある可能性が示唆された.

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著者
森田 悌
出版者
日本風俗史学会
雑誌
風俗 (ISSN:02869802)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.p1-13, 1988-06
著者
宮西 祐香子 長濱 澄 森田 裕介
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.149-152, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
10

本研究では,指尖容積脈波を用いて学習活動時のストレス指標を計測し,従来の生体情報計測手法と比較して安価で容易に教育現場に導入しやすい計測手法の意義を検討することを目的とした.大学生7名を対象に,学習活動時における安静状態と心的負荷をかけた状態との,心拍変動のストレス指標を計測および比較した.また,ストレス指標と主観評価質問紙との関連性を分析した.重回帰分析の結果,主観評価質問紙で測定した項目のうち,理解度項目と疲労度項目それぞれの平均値でストレス指標値が推定できる可能性が示唆された.
著者
服部 賢志 塚田 政範 森田 美文 末永 和也
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.157-160, 2018-06-25 (Released:2018-07-21)
参考文献数
13

長野県で開発された果汁中のカビ毒であるパツリンの分析法をCodex Procedural Manualの性能規準ガイドラインおよびGuidelines on Analytical Terminologyの目標値を満たしているか単一試験室により妥当性評価を実施した.結果として,りんごおよびなし果汁において,真度は98.8~103.4%,併行精度は6.4%以下,室内精度は8.1%以下およびHorRat値は0.4以下であり目標値を満たしていることが確認できた.
著者
森田 進
出版者
恵泉女学園大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:09178325)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.A1-A18, 1999
著者
朝山 奈津子 森田 学 山田 高誌
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.114, pp.59-73, 2015-10

20世紀初頭にイタリアで興隆したピアノ伴奏付独唱歌曲は従来、事典項目や音楽通史においていささか表面的に「ドイツ・リートの影響下で」確立したジャンルとされてきた。しかしその影響関係は、実際の響きや音楽形式からも、このジャンルに取り組んだ作曲家たちや詩人たちの創作活動からも、けっして自明ではない。そこで本論文は、両者の関係性を問い直した上で、このジャンルに対するドイツの影響を指摘しようと試みる。
著者
森田高志
雑誌
体外循環技術
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.117-119, 1994
被引用文献数
1
著者
伊藤 弘 埴岡 隆 王 宝禮 山本 龍生 両角 俊哉 藤井 健男 森田 学 稲垣 幸司 沼部 幸博
出版者
日本歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

歯周治療の一環として禁煙治療が歯科保険に導入されるためには、禁煙治療の介入による歯周治療の成果が極めて良好となることが重要である。そこで、禁煙外来受診による改善を、一般的に行われている臨床パラメータと歯肉溝滲出液と血漿成分の生化学的成分解析、さらには禁煙達成マーカーである血漿中コチニンと呼気CO濃度の変化を検索した。その結果、禁煙外来受診により、禁煙達成マーカーが減少し、さらには自己申告による禁煙の達成から、禁煙外来受診は禁煙に対し有効な戦略である。しかしながら、生化学的変化は認められなかった。今後長期的な追跡が必要であると考えている。
著者
森田 茂紀 豊田 正範
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.217-223, 2000-06-05
参考文献数
28
被引用文献数
3

メキシコ合衆国バハ・カリフォルニア州のゲレロ・ネグロで, 日本政府とメキシコ政府の共同事業として, メキシコ沙漠地域農業開発プロジェクト(以下, プロジェクト)が実施された.プロジェクトの目的は, 沙漠地域で野菜と果樹を点滴灌漑栽培するための技術を開発し, 移転することであった.プロジェクトの圃場の土壌と, そこで用いられる灌漑水は, いずれもpHと塩類濃度が高いという問題を持っているため, 作物の耐塩性に関する問題は重要な課題である.そこで本研究では, 耐塩性の問題を研究していくための基礎的なデータを得るために, 根から吸収されて茎葉部へ転流される様々なイオンについて検討した.すなわち, プロジェクトで重要な作物であるトウガラシとメロンについて, 成熟期の出液中に含まれているイオンの分析を行なうとともに, 出液速度を測定した.露地栽培したトウガラシでは出液中のイオン濃度に昼夜で差があったが, 出液速度も昼頃にピークを持つ山型の日変化パターンを示した.一方, 畝立マルチ栽培のメロンでは, イオン濃度も出液速度も昼夜に関係なくほぼ同じレベルであった.そこで, 出液速度を考慮して検討したところ, 耐塩性に関係しているナトリウムイオンの濃度は出液速度が大きいと低く, 出液速度が小さいと高いことが明らかとなった.なお, 土壌のイオン濃度も場所によって異なっていたため, バックグラウンドとして土壌成分を基準にした比較も行なった.以上のように, 出液成分に着目したアプローチによって, 作物の耐塩性を研究するために基礎的データが得られるが, 出液速度や土壌条件を考慮して解析する必要があることが明らかとなった.